※本記事は、株式会社RYODEN の有価証券報告書(第85期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. RYODENってどんな会社?
三菱電機系の技術商社として、FAシステムや冷熱ビルシステム、半導体などを提供。植物工場などの新規事業も推進しています。
■(1) 会社概要
同社は1947年に三菱電機の代理店として設立されました。1958年に菱電商事へ商号変更し、FAシステムや冷熱ビルシステム等の事業を拡大しました。1991年に東証一部へ指定され、2022年にプライム市場へ移行しました。2023年には現在のRYODENへ商号変更し、事業創出会社への変革を進めています。
連結従業員数は1,451名、単体では1,073名です。筆頭株主は同社の主要仕入先でもある事業会社の三菱電機で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位には従業員持株会が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱電機 | 36.05% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.58% |
| RYODEN従業員持株会 | 2.08% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は富澤 克行氏です。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 富澤 克行 | 代表取締役取締役社長 | 1983年三菱電機入社。同社執行役員中国総代表等を経て2021年RYODEN入社。2022年6月より現職。 |
| 東 俊一 | 取締役常務執行役員 | 1984年同社入社。半導体・デバイス事業本部グローバル戦略統括部長、デバイスシステム事業本部長等を経て現職。 |
| 與五澤 一元 | 取締役常務執行役員 | 1983年同社入社。菱商電子(上海)董事長兼総経理、ICTソリューション事業本部長、経営企画室長等を経て現職。 |
| 友森 裕三 | 取締役常勤監査等委員 | 1985年同社入社。東京支社総務部長、総務部長、監査役等を経て2024年6月より現職。 |
社外取締役は、松尾 英喜(元三井化学副社長執行役員CTO)、藤原 悟郎(三菱電機営業本部事業企画部長)、小笠原 由佳(インパクト志向金融宣言事務局長代理)、関口 典子(公認会計士)、トーマス・ヴィッティ(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「FAシステム」「冷熱ビルシステム」「X-Tech」「エレクトロニクス」および「その他」事業を展開しています。
■FAシステム事業
サーボシステム、インバータ、NC装置などのFA機器や産業用メカトロニクス製品を、主に製造業の顧客向けに提供しています。
製品の販売による収益が中心です。運営は主にRYODENが行い、海外では菱商電子(上海)有限公司やRYOSHO (THAILAND) CO.,LTD.などが担当しています。
■冷熱ビルシステム事業
パッケージエアコン、チリングユニットなどの空調・冷熱機器や、エレベーター、エスカレーターなどのビル設備機器を提供しています。
機器の販売や保守サービス料が収益源です。運営はRYODENのほか、保守・サービスを株式会社テクノフォートが担当し、海外子会社も事業を展開しています。
■X-Tech事業
植物工場システムや、映像・画像情報システム、医療・ヘルスケア関連機器などを提供し、新しい価値の創出を目指しています。
システムの販売や生産した野菜の販売等から収益を得ています。運営はRYODENのほか、植物工場野菜の生産・販売を行うブロックファーム合同会社などが担っています。
■エレクトロニクス事業
マイコン、メモリ、パワーデバイスなどの半導体や電子デバイス製品を、電機メーカーや自動車関連企業等に提供しています。
製品の販売収益が主です。運営はRYODENに加え、菱商電子(上海)有限公司、菱商香港有限公司などの海外現地法人がグローバルに展開しています。
■その他
損害保険および生命保険の代理店業務を行っています。
保険会社からの代理店手数料が収益源です。運営は持分法適用会社の三菱電機保険サービス株式会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの業績を見ると、売上高は2023年3月期をピークに減少傾向にあります。利益面でも、経常利益率は3%台前後で推移していましたが、直近期では低下しています。当期純利益も2023年3月期以降は減少傾向が見られます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,968億円 | 2,291億円 | 2,603億円 | 2,590億円 | 2,158億円 |
| 経常利益 | 37億円 | 73億円 | 91億円 | 82億円 | 60億円 |
| 利益率(%) | 1.9% | 3.2% | 3.5% | 3.2% | 2.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 21億円 | 43億円 | 50億円 | 48億円 | 41億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い、売上総利益も減少していますが、売上総利益率は改善傾向にあります。一方で、販売費及び一般管理費は増加しており、営業利益率の低下要因となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,590億円 | 2,158億円 |
| 売上総利益 | 292億円 | 275億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.3% | 12.8% |
| 営業利益 | 83億円 | 55億円 |
| 営業利益率(%) | 3.2% | 2.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給与諸手当が71億円(構成比32.0%)、運賃諸掛が26億円(同11.7%)、賞与が25億円(同11.2%)を占めています。
■(3) セグメント収益
FAシステム、エレクトロニクス事業での減収が響き、全体として売上が減少しました。特にエレクトロニクス事業は大幅な減収減益となりました。一方、冷熱ビルシステム事業は増収増益を達成しました。X-Tech事業は増収ながらも営業損失となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| FAシステム | 520億円 | 482億円 | 26億円 | 14億円 | 2.8% |
| 冷熱ビルシステム | 309億円 | 324億円 | 16億円 | 18億円 | 5.6% |
| X-Tech | 61億円 | 87億円 | -3億円 | -0億円 | -0.1% |
| エレクトロニクス | 1,700億円 | 1,265億円 | 49億円 | 33億円 | 2.6% |
| 調整額 | -1億円 | -1億円 | -5億円 | -10億円 | - |
| 連結(合計) | 2,590億円 | 2,158億円 | 83億円 | 55億円 | 2.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
RYODENグループは、経営成績の向上と財政状態の安定を図り、健全かつ効率的な財務活動を行っています。
営業活動では、税金等調整前当期純利益の計上や、売上債権・棚卸資産、仕入債務の変動により、前年同期比で大幅な収入増となりました。投資活動では、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出があったものの、投資有価証券の売却や定期預金の払戻しなどにより、前年同期比で収入増となりました。財務活動では、配当金の支払い、自己株式の取得、借入金の返済などにより、前年同期比で支出が増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 99億円 | 185億円 |
| 投資CF | -7億円 | -0億円 |
| 財務CF | -23億円 | -42億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人とテクノロジーをつなぐ力で”ワクワク”をカタチにする」をパーパスに掲げ、ビジョンとして「未来を共創するエクセレントカンパニー」を目指しています。事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上とさらなる成長に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
「人とのつながりを力に」「強みを知り、強みを磨く」「常に挑戦し、失敗から学ぶ」「フェアに、そして誠実に」という4つのバリューズを掲げています。また、行動指針として、法令・ルールの遵守や利益ある成長、グローバルな責任を果たすことなどを定めています。
■(3) 経営計画・目標
新中長期経営計画「ONE RYODEN Growth 2029 | 2034」を策定し、2047年の100年企業を見据えた成長を目指しています。2029年度の定量目標として、以下の数値を掲げています。
* 営業利益:135億円
* 営業利益率:5.0%以上
* ROE:10.0%以上
* X-Tech・新事業売上高:235億円
■(4) 成長戦略と重点施策
新たなビジョン実現のため、6つの経営戦略の遂行と、価値創出・価値提供・価値循環という3つの強みの強化を図ります。特にX-Techや新事業の拡大に注力し、事業ポートフォリオの変革を進めます。また、サステナビリティ基本方針に基づき、社会的価値と経済的価値の両立を目指します。
* 成長投資:250億円~350億円(5年間総額)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「事業創出会社」への進化を支えるため、人的資本への投資を経営の最優先課題としています。ジョブ型要素を取り入れた新人事制度の導入や、高度専門人財の獲得、多様性の確保を進めています。また、社員の自律的なキャリア形成支援や柔軟な働き方の実現、健康経営の推進にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.1歳 | 16.6年 | 7,364,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.5% |
| 男性育児休業取得率 | 38.1% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.1% |
| 男女賃金差異(正規) | 63.8% |
| 男女賃金差異(非正規) | 65.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済環境の変動
同社グループはFAシステムやエレクトロニクス等の機器・システムを販売しており、取引先は製造業など多岐にわたります。景気変動や設備投資の減少などの影響を受ける可能性があります。これに対し、イノベーション戦略により高収益ビジネス領域を広げ、景気変動に強い体質への進化を目指しています。
■(2) 主要仕入先との関係
FAシステムや冷熱ビルシステムでは三菱電機が主要仕入先であり、仕入高の一定割合を占めています。仕入先の戦略変更などが業績に影響する可能性があります。サプライチェーン戦略を推進し、商社機能としての価値を高めることで、仕入先との関係を一層強固にする方針です。
■(3) 自然災害の発生
大規模地震や異常気象などが発生した場合、インフラの損壊やサプライチェーンの混乱により、営業活動に支障が生じる可能性があります。BCP(事業継続計画)の策定や、供給不足に対応するためのBCP在庫の確保などの対策を進めています。
■(4) 新事業の展開
イノベーション戦略に基づき新事業創出に取り組んでいますが、品質や知的財産権のリスクを自社で負担することになります。想定外の不具合などが生じた場合、業績に影響する可能性があります。戦略技術センターを中心に知的財産戦略を推進し、体制強化に努めています。



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