RYODEN 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

RYODEN 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する三菱電機系の技術商社です。FAシステム、冷熱ビルシステム、エレクトロニクス等を展開し、植物工場などのX-Tech事業も推進しています。2025年3月期の連結業績は、売上高2,158億円(前期比16.7%減)、経常利益60億円(同27.0%減)の減収減益でした。


※本記事は、株式会社RYODEN の有価証券報告書(第85期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. RYODENってどんな会社?


三菱電機系の技術商社として、FAシステムや冷熱ビルシステム、半導体などを提供。植物工場などの新規事業も推進しています。

(1) 会社概要


同社は1947年に三菱電機の代理店として設立されました。1958年に菱電商事へ商号変更し、FAシステムや冷熱ビルシステム等の事業を拡大しました。1991年に東証一部へ指定され、2022年にプライム市場へ移行しました。2023年には現在のRYODENへ商号変更し、事業創出会社への変革を進めています。

連結従業員数は1,451名、単体では1,073名です。筆頭株主は同社の主要仕入先でもある事業会社の三菱電機で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位には従業員持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
三菱電機 36.05%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.58%
RYODEN従業員持株会 2.08%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は富澤 克行氏です。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
富澤 克行 代表取締役取締役社長 1983年三菱電機入社。同社執行役員中国総代表等を経て2021年RYODEN入社。2022年6月より現職。
東 俊一 取締役常務執行役員 1984年同社入社。半導体・デバイス事業本部グローバル戦略統括部長、デバイスシステム事業本部長等を経て現職。
與五澤 一元 取締役常務執行役員 1983年同社入社。菱商電子(上海)董事長兼総経理、ICTソリューション事業本部長、経営企画室長等を経て現職。
友森 裕三 取締役常勤監査等委員 1985年同社入社。東京支社総務部長、総務部長、監査役等を経て2024年6月より現職。


社外取締役は、松尾 英喜(元三井化学副社長執行役員CTO)、藤原 悟郎(三菱電機営業本部事業企画部長)、小笠原 由佳(インパクト志向金融宣言事務局長代理)、関口 典子(公認会計士)、トーマス・ヴィッティ(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「FAシステム」「冷熱ビルシステム」「X-Tech」「エレクトロニクス」および「その他」事業を展開しています。

FAシステム事業


サーボシステム、インバータ、NC装置などのFA機器や産業用メカトロニクス製品を、主に製造業の顧客向けに提供しています。

製品の販売による収益が中心です。運営は主にRYODENが行い、海外では菱商電子(上海)有限公司やRYOSHO (THAILAND) CO.,LTD.などが担当しています。

冷熱ビルシステム事業


パッケージエアコン、チリングユニットなどの空調・冷熱機器や、エレベーター、エスカレーターなどのビル設備機器を提供しています。

機器の販売や保守サービス料が収益源です。運営はRYODENのほか、保守・サービスを株式会社テクノフォートが担当し、海外子会社も事業を展開しています。

X-Tech事業


植物工場システムや、映像・画像情報システム、医療・ヘルスケア関連機器などを提供し、新しい価値の創出を目指しています。

システムの販売や生産した野菜の販売等から収益を得ています。運営はRYODENのほか、植物工場野菜の生産・販売を行うブロックファーム合同会社などが担っています。

エレクトロニクス事業


マイコン、メモリ、パワーデバイスなどの半導体や電子デバイス製品を、電機メーカーや自動車関連企業等に提供しています。

製品の販売収益が主です。運営はRYODENに加え、菱商電子(上海)有限公司、菱商香港有限公司などの海外現地法人がグローバルに展開しています。

その他


損害保険および生命保険の代理店業務を行っています。

保険会社からの代理店手数料が収益源です。運営は持分法適用会社の三菱電機保険サービス株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの業績を見ると、売上高は2023年3月期をピークに減少傾向にあります。利益面でも、経常利益率は3%台前後で推移していましたが、直近期では低下しています。当期純利益も2023年3月期以降は減少傾向が見られます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,968億円 2,291億円 2,603億円 2,590億円 2,158億円
経常利益 37億円 73億円 91億円 82億円 60億円
利益率(%) 1.9% 3.2% 3.5% 3.2% 2.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 21億円 43億円 50億円 48億円 41億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も減少していますが、売上総利益率は改善傾向にあります。一方で、販売費及び一般管理費は増加しており、営業利益率の低下要因となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,590億円 2,158億円
売上総利益 292億円 275億円
売上総利益率(%) 11.3% 12.8%
営業利益 83億円 55億円
営業利益率(%) 3.2% 2.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与諸手当が71億円(構成比32.0%)、運賃諸掛が26億円(同11.7%)、賞与が25億円(同11.2%)を占めています。

(3) セグメント収益


FAシステム、エレクトロニクス事業での減収が響き、全体として売上が減少しました。特にエレクトロニクス事業は大幅な減収減益となりました。一方、冷熱ビルシステム事業は増収増益を達成しました。X-Tech事業は増収ながらも営業損失となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
FAシステム 520億円 482億円 26億円 14億円 2.8%
冷熱ビルシステム 309億円 324億円 16億円 18億円 5.6%
X-Tech 61億円 87億円 -3億円 -0億円 -0.1%
エレクトロニクス 1,700億円 1,265億円 49億円 33億円 2.6%
調整額 -1億円 -1億円 -5億円 -10億円 -
連結(合計) 2,590億円 2,158億円 83億円 55億円 2.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

RYODENグループは、経営成績の向上と財政状態の安定を図り、健全かつ効率的な財務活動を行っています。

営業活動では、税金等調整前当期純利益の計上や、売上債権・棚卸資産、仕入債務の変動により、前年同期比で大幅な収入増となりました。投資活動では、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出があったものの、投資有価証券の売却や定期預金の払戻しなどにより、前年同期比で収入増となりました。財務活動では、配当金の支払い、自己株式の取得、借入金の返済などにより、前年同期比で支出が増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 99億円 185億円
投資CF -7億円 -0億円
財務CF -23億円 -42億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人とテクノロジーをつなぐ力で”ワクワク”をカタチにする」をパーパスに掲げ、ビジョンとして「未来を共創するエクセレントカンパニー」を目指しています。事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上とさらなる成長に取り組んでいます。

(2) 企業文化


「人とのつながりを力に」「強みを知り、強みを磨く」「常に挑戦し、失敗から学ぶ」「フェアに、そして誠実に」という4つのバリューズを掲げています。また、行動指針として、法令・ルールの遵守や利益ある成長、グローバルな責任を果たすことなどを定めています。

(3) 経営計画・目標


新中長期経営計画「ONE RYODEN Growth 2029 | 2034」を策定し、2047年の100年企業を見据えた成長を目指しています。2029年度の定量目標として、以下の数値を掲げています。

* 営業利益:135億円
* 営業利益率:5.0%以上
* ROE:10.0%以上
* X-Tech・新事業売上高:235億円

(4) 成長戦略と重点施策


新たなビジョン実現のため、6つの経営戦略の遂行と、価値創出・価値提供・価値循環という3つの強みの強化を図ります。特にX-Techや新事業の拡大に注力し、事業ポートフォリオの変革を進めます。また、サステナビリティ基本方針に基づき、社会的価値と経済的価値の両立を目指します。

* 成長投資:250億円~350億円(5年間総額)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「事業創出会社」への進化を支えるため、人的資本への投資を経営の最優先課題としています。ジョブ型要素を取り入れた新人事制度の導入や、高度専門人財の獲得、多様性の確保を進めています。また、社員の自律的なキャリア形成支援や柔軟な働き方の実現、健康経営の推進にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.1歳 16.6年 7,364,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.5%
男性育児休業取得率 38.1%
男女賃金差異(全労働者) 65.1%
男女賃金差異(正規) 63.8%
男女賃金差異(非正規) 65.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境の変動


同社グループはFAシステムやエレクトロニクス等の機器・システムを販売しており、取引先は製造業など多岐にわたります。景気変動や設備投資の減少などの影響を受ける可能性があります。これに対し、イノベーション戦略により高収益ビジネス領域を広げ、景気変動に強い体質への進化を目指しています。

(2) 主要仕入先との関係


FAシステムや冷熱ビルシステムでは三菱電機が主要仕入先であり、仕入高の一定割合を占めています。仕入先の戦略変更などが業績に影響する可能性があります。サプライチェーン戦略を推進し、商社機能としての価値を高めることで、仕入先との関係を一層強固にする方針です。

(3) 自然災害の発生


大規模地震や異常気象などが発生した場合、インフラの損壊やサプライチェーンの混乱により、営業活動に支障が生じる可能性があります。BCP(事業継続計画)の策定や、供給不足に対応するためのBCP在庫の確保などの対策を進めています。

(4) 新事業の展開


イノベーション戦略に基づき新事業創出に取り組んでいますが、品質や知的財産権のリスクを自社で負担することになります。想定外の不具合などが生じた場合、業績に影響する可能性があります。戦略技術センターを中心に知的財産戦略を推進し、体制強化に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。