OUGホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

OUGホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

OUGホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、水産物荷受事業や市場外水産物卸売事業、養殖事業、食品加工事業等を幅広く展開しています。直近の業績トレンドでは、主力の水産物卸売事業における販売単価の上昇などにより売上高が増加し、経常利益も前年同期を上回る増収増益を達成しています。


※本記事は、OUGホールディングス株式会社の有価証券報告書(第80期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. OUGホールディングスってどんな会社?


OUGホールディングスは、国内外の水産物を調達し、卸売から加工、物流までを担う水産物流通企業です。

(1) 会社概要


同社は1946年に水産物の売買等を目的に大魚組として設立され、1947年に大阪魚と改称して水産物卸売業務を開始しました。1961年に大阪証券取引所市場第二部へ株式上場を果たし、1991年には同市場第一部へ指定替えとなりました。2006年に水産物荷受事業を会社分割し、純粋持株会社体制へ移行して現在のOUGホールディングスへ商号変更しています。

現在の同社グループは、連結従業員数1,301名、単体従業員数29名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は事業会社であるUmiosで、第2位は松岡、第3位は日本生命保険相互会社となっています。これら上位株主は、いずれも水産物等の仕入・販売や資金調達といった事業上の取引関係を有する企業等で構成されています。

氏名 持株比率
Umios 13.80%
松岡 5.56%
日本生命保険相互会社 4.91%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長グループ経営推進担当は橋爪康至氏が務めており、社外取締役比率は23.1%です。

氏名 役職 主な経歴
橋爪康至 代表取締役社長グループ経営推進担当 1975年同社入社。うおいち商品事業本部商品部マネージャー、同社取締役専務執行役員などを経て、2017年うおいち代表取締役社長に就任。2022年より現職。
山田稔 取締役経営基盤グループ担当 1987年同社入社。経営基盤グループ部長、執行役員、トップ取締役、常務執行役員経営基盤グループ担当などを経て、2025年より現職。
中村耕 取締役総合企画グループ・情報企画グループ担当 1984年農林中央金庫入庫。2013年同社に入社し経営監査室部長を務める。兵殖取締役、ツナクラフトワークス取締役などを経て、2025年より現職。
石井享一 取締役グループ戦略推進担当 1989年同社入社。うおいち商品事業本部商品部マネージャー、取締役常務執行役員などを経て、2025年同社代表取締役社長に就任。2025年より現職。
竹田誠 取締役グループ戦略推進担当 1984年ショクリュー入社。関西支社商品部部長、東日本支社支社長、取締役専務執行役員事業本部本部長などを経て、2023年同社代表取締役社長に就任。2023年より現職。
中迫猛 取締役グループ戦略推進担当 1984年同社入社。兵殖営業部部長、専務取締役などを経て、2017年兵殖代表取締役社長に就任。2023年より現職。


社外取締役は、三浦正晴(銀座中央法律事務所代表)、荻野義明(サントリーホールディングス社友)、永島眞由美(大洋エーアンドエフ監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「水産物荷受事業」「市場外水産物卸売事業」「養殖事業」「食品加工事業」「物流事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 水産物荷受事業


卸売市場法に基づき、中央卸売市場などにおいて国内外から集荷した鮮魚や加工食品等の水産物を販売しています。市場を核とした集荷販売機能により、全国の小売店や外食産業等の顧客へ安定的に水産物を供給しています。
収益源は、販売先からの商品販売代金や卸売手数料です。運営は主に子会社であるうおいちが行っています。

(2) 市場外水産物卸売事業


卸売市場外において、世界各国から輸入される冷凍海老をはじめとした各種水産物を、全国の販売網を通じて量販店やホテル、外食産業等へ直接販売しています。また、アジやサバなどの鮮魚を国内市場へ出荷・販売する業務も担っています。
収益源は、販売先からの商品代金です。運営は主に子会社であるショクリューが行っています。

(3) 養殖事業


九州や四国の近海漁場において、ブリやマグロなどの海面養殖事業を展開しています。稚魚から成魚までの一貫した生育管理を行い、安定した品質の養殖魚を生産・販売しています。
収益源は、生産した養殖魚の販売代金です。運営は主に子会社である兵殖が行っています。

(4) 食品加工事業


量販店向けのおにぎり等米飯加工、刺身のケンを主体としたカット野菜の加工、冷凍マグロの加工、および飲食事業者向けの加工・調理サービスを提供しています。
収益源は、顧客からの加工食品の販売代金です。運営は主に子会社であるダイワサミット、トウニチ水産、ツナクラフトワークス等が行っています。

(5) 物流事業


大阪港舞洲食品流通センターにおいて、搬入された水産物等を量販店等の配送先別に仕分け・配送する業務を行っています。グループ全体の物流網を支える重要なインフラ機能を担っています。
収益源は、取引先から受け取る物流センターの利用料や配送代金です。運営は主に子会社である舞洲流通センターが行っています。

(6) その他事業


上記の主要セグメントを補完する事業として、保険代理業およびリース業、卸売市場での水産物仲卸事業、黒門市場や百貨店での水産物小売事業などを展開しています。
収益源は、リース料や保険手数料、一般消費者等への商品販売代金などです。運営はトップ、大京、黒門三平などの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は安定的に成長を続けており、2986億円から3637億円へと順調に拡大しています。経常利益も一時的な増減はあるものの、直近では68億円に到達し、利益率も1.9%へと上昇傾向にあります。当期利益についても着実な増加が見られます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2986億円 3250億円 3332億円 3501億円 3637億円
経常利益 31億円 43億円 39億円 59億円 68億円
利益率(%) 1.0% 1.3% 1.2% 1.7% 1.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 13億円 31億円 36億円 45億円 54億円

(2) 損益計算書


売上高は3501億円から3637億円へと増加し、それに伴い売上総利益も313億円から341億円へと拡大しています。売上総利益率は9.0%から9.4%へ改善しており、営業利益率も1.5%から1.7%へ上昇するなど、収益性の向上が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 3501億円 3637億円
売上総利益 313億円 341億円
売上総利益率(%) 9.0% 9.4%
営業利益 51億円 63億円
営業利益率(%) 1.5% 1.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が68億円(構成比24%)、荷造運搬費が65億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の水産物荷受事業と市場外水産物卸売事業が売上の大部分を占めており、いずれも前年から増収となっています。利益面では養殖事業が大幅な増益を達成し、全体の利益成長を牽引しています。一方、食品加工事業は生産原価の上昇などにより減益となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
水産物荷受事業 2041億円 2119億円 36億円 25億円 1.2%
市場外水産物卸売事業 1335億円 1396億円 19億円 16億円 1.1%
養殖事業 63億円 65億円 -5億円 21億円 32.3%
食品加工事業 24億円 25億円 -0.7億円 -0.5億円 -2.1%
物流事業 6億円 6億円 0.2億円 0.5億円 7.4%
その他 32億円 26億円 0.1億円 -0.1億円 -0.5%
連結(合計) 3501億円 3637億円 51億円 63億円 1.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「水産物をコアとし、お客様に価値ある商品とサービスを提供することにより、食文化の発展に貢献します。」を経営理念として掲げています。また、生産者から消費者までの水産物流通のトータルシステムである「新しい水産物流通サービス業を創造し、お客様に安全・安心と満足を提供することにより、社会に貢献することを通じて企業価値の最大化を図る」ことをグループ経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


同社グループは、社会の責任ある一員として行動するための指針として「グループ行動規範」を定めています。また、環境変化が激しい社会において異なる視点や価値観、経験を備えた多様な人材が活躍することが事業成功の重要要素であると認識し、多様性ある人材を育成する仕組みや、働きやすい社内環境の整備を重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2024年度から2026年度までを対象とした「OUGグループ中期経営計画2024」において、事業規模の拡大と利益率の向上、および資本効率の向上を重要な経営指標と位置づけています。最終年度である2026年度の目標値として以下の数値を掲げています。

* 売上高:3550億円
* 営業利益:46億円
* 経常利益:48億円
* 自己資本利益率(ROE):8.0%維持
* 投下資本利益率(ROIC):5.0%

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画達成に向け、事業面ではバリューチェーンの最適化を意識し、「鮮魚事業の強化」「商品力の強化」「関東マーケットの深耕・拡大」「海外事業の拡大」「サステナブルな事業活動」に取り組んでいます。非事業面では、事業ポートフォリオの見直しや人的資本の充実、基幹業務システム導入など経営基盤の整備・強化を進め、企業価値の最大化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、多様性を有する人材が能力を十分に発揮できるよう育成していくことを「人材育成方針」としています。個々のパフォーマンス向上のためのOJTや階層別研修の実施、自己啓発や資格取得の支援を行っています。また、「社内環境整備方針」として、仕事と子育て・介護の両立支援やハラスメント防止研修、健康づくりの推進など、安心して働ける職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 53.7歳 12.8年 7,023,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.5%
男性育児休業取得率 53.3%
男女賃金差異(全労働者) 63.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 71.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 77.1%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、コンプライアンス研修(管理職)の受講率(100%)、グループ取締役・監査役・執行役員研修の受講率(97%)、グループ部長職研修の受講率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 需給動向及び市況に関するリスク


水産物は天然資源であり、漁獲量や養殖生産量などの供給量と需要量のバランスにより市況が形成されます。海洋環境の変化等で供給量が急激に変化し需給バランスが崩れたり、消費動向が急変したりした場合、販売計画との齟齬や売上高の減少、利益率の低下が生じ、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食品の安全性に関するリスク


同社グループは品質管理体制を構築し衛生管理に努めていますが、想定を超える事象が発生した場合、販売・製造活動の停止や商品の回収・廃棄、信用力の低下が生じる恐れがあります。多大な売上高の減少や回収・廃棄費用、損害賠償費用の計上により、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 自然災害に関するリスク


全国に営業拠点を配置しているため、地震や台風、大雨などの大規模な自然災害が発生した場合、人的・物理的な被害や停電により業務遂行に支障が生じる可能性があります。施設等の改修費用や商品・製品在庫の廃棄損の計上、売上高の減少により、経営成績等が悪影響を受けるリスクが存在します。

(4) 感染症の流行に関するリスク


国内外から水産物を調達し、多様な顧客に販売する事業特性上、重篤な感染症のパンデミックが起きた場合、役職員の就業禁止や販売先の休業、輸送停止による海外取引の停止などにより業務遂行に支障が生じる可能性があります。多大な売上高の減少等により、同社グループの業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。