クワザワホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クワザワホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード、札幌証券取引所に上場する北海道基盤の建設関連企業。建設資材の販売と建設工事を主力事業とし、物流や不動産賃貸も展開します。直近の業績は、売上高654億円、経常利益17億円で増収増益を達成。建設コスト高止まりの環境下でも、非住宅分野の強化などで堅調な推移を見せています。


※本記事は、クワザワホールディングス株式会社の有価証券報告書(第76期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

クワザワホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. クワザワホールディングスってどんな会社?


北海道を拠点に建設資材販売や工事請負を行う企業グループです。創業90年以上の歴史を持ち、資材販売から施工、運送までを一貫して手掛ける点が特徴です。

(1) 会社概要


1933年に札幌で創業し、1951年に法人化しました。1973年に札幌証券取引所へ上場し、2019年には東京証券取引所市場第一部(現スタンダード市場)へ指定されています。2020年には持株会社体制へ移行し、現在の商号となりました。長年にわたり北海道の建設業界を支え続けています。

連結従業員数は1,014名、単体従業員数は62名です。筆頭株主は同社の主要な仕入先でもある太平洋セメントで、第2位は桑澤商事、第3位は吉野石膏です。業界大手メーカーとの強固な関係性がうかがえます。

氏名 持株比率
太平洋セメント 18.04%
桑澤商事 9.32%
吉野石膏 5.36%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は桑澤嘉英氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
桑澤 嘉英 代表取締役社長 1976年東京海上火災保険入社を経て、1981年同社入社。専務、副社長を経て1997年より現職。クワザワ代表取締役社長を兼務。
小玉 明彦 取締役副社長執行役員グループ営業本部長 1978年同社入社。東京本部長、営業統括本部長などを歴任し、2022年より現職。クワザワ取締役を兼務。
桑澤 悠介 取締役専務執行役員グループ営業本部副本部長 2008年北洋銀行入行を経て、2015年同社入社。営業統括副本部長などを経て2023年より現職。クワザワ取締役を兼務。
宮 英郎 取締役常務執行役員管理本部長 1981年北海道拓殖銀行入行。北洋銀行を経て2023年同社入社。2024年より現職。クワザワ取締役を兼務。
為国 徹 取締役(常勤監査等委員) 1984年北洋相互銀行入行。2018年同社入社。審査部長、総務部長、管理本部副本部長を経て2022年より現職。


社外取締役は、山下信行(元百景園代表取締役社長)、佐藤博志(弁護士法人PLAZA総合法律事務所企業支援部長)、山本賢正(元東京海上火災保険札幌支店長)、林美香子(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究所顧問)、小林雄一(太平洋セメント北海道支店長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設資材」「建設工事」「資材運送」「不動産賃貸」および「その他」事業を展開しています。

(1) 建設資材

セメント、生コンクリートなどの基礎資材や、外装材、内装材、断熱材、サッシなどの建築資材、キッチンやバスルームなどの住宅資材を仕入販売しています。一部製品については製造・加工も行います。主な顧客は建材販売店、ハウスメーカー、ゼネコン、工務店です。

収益は、これらの建設資材等の販売代金により構成されています。運営は主にクワザワ、北翔建材、クワザワサッシ工業などが行っています。

(2) 建設工事

外壁取付やユニットバス設置などの資材関連工事、内装工事、戸建住宅の建築請負、住宅リフォーム、マンションの大規模修繕工事などを請負・施工しています。各種工事の請負を主体とした事業です。

収益は、施主やゼネコン等からの工事請負代金により構成されています。運営は主にクワザワ、クワザワ工業、住まいのクワザワ、丸三商事などが行っています。

(3) 資材運送

セメントや建設資材の運送業務、車両のリース業務、倉庫業務などを展開しています。グループ内物流だけでなく外部企業も顧客としています。

収益は、運送業務や倉庫業務等の対価である運賃・料金により構成されています。運営は主に札幌アサノ運輸、山光運輸などが担当しています。

(4) 不動産賃貸

北海道内を中心に倉庫、事務所、土地などの賃貸事業を行っています。

収益は、テナント等からの賃貸料により構成されています。運営は主にクワザワホールディングス、ニッケー、山光運輸などが行っています。

(5) その他

太陽光発電、保険代理業、車両整備、施設管理などを行っています。

収益は、売電収入や保険手数料、整備料などにより構成されています。運営は主にクワザワ、クワザワエージェンシー、東日本自工などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2021年3月期の939億円から会計基準の適用変更により一度減少しましたが、その後は600億円台半ばで安定的に推移しています。利益面では、経常利益が直近3期連続で増加しており、利益率も改善傾向にあります。当期純利益も黒字基調を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 939億円 629億円 643億円 648億円 654億円
経常利益 13億円 10億円 11億円 15億円 17億円
利益率(%) 1.4% 1.6% 1.7% 2.3% 2.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -5億円 3億円 -5億円 1億円 4億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微増し、売上総利益も増加しています。売上総利益率は約14.0%で安定しています。営業利益は前期の13億円から15億円へ増加し、営業利益率も2.0%から2.2%へと改善が見られます。コスト管理と利益率向上の取り組みが成果を上げています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 648億円 654億円
売上総利益 88億円 92億円
売上総利益率(%) 13.6% 14.0%
営業利益 13億円 15億円
営業利益率(%) 2.0% 2.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が36億円(構成比47%)と最も大きな割合を占めています。次いで賞与引当金繰入額が2億円(同3%)となっています。人件費が主要なコスト要因であることがわかります。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、主力の建設資材事業は増収増益となり、利益率も2.1%を確保しています。建設工事事業は売上がやや減少したものの、依然として利益の柱の一つです。不動産賃貸事業は売上規模は小さいものの、76.0%という極めて高い利益率を誇り、安定収益源となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
建設資材 335億円 343億円 6億円 7億円 2.1%
建設工事 274億円 270億円 5億円 5億円 1.7%
資材運送 34億円 36億円 0.3億円 0.5億円 1.3%
不動産賃貸 3億円 3億円 2億円 2億円 76.0%
その他 3億円 3億円 0.6億円 0.5億円 14.6%
調整額 3億円 3億円 -1億円 0.5億円 14.6%
連結(合計) 648億円 654億円 13億円 15億円 2.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業の儲けを示す営業CFがプラス、将来への投資を示す投資CFがマイナス、借入返済等の財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業に見られる「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -13億円 26億円
投資CF -6億円 -2億円
財務CF -9億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均(7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.7%で市場平均(48.5%)を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「住宅・建設業界において、良質なサービス(製造・販売・施工・運送など)を提供して、安全・健康・快適な生活空間を創造する」ことを社業の基本としています。また、「私たちは、安全で快適な生活空間を創造し、豊かな社会の実現に貢献します。」という企業理念に基づき、事業を通じてSDGs達成に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「働きがいのある会社をつくる」を経営理念として掲げています。性別、年齢、国籍等で差別せず、能力、識見及び人格で評価する方針を持ち、障害者雇用や外国人雇用も積極的に行っています。また、様々なステークホルダーから選ばれ信頼される企業を目指し、コーポレート・ガバナンスの充実強化に取り組む姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、企業価値向上のために収益性を重視するとともに、キャッシュ・フローを重視した財務基盤の安定に注力しています。具体的には、収益力強化と経営効率化を図り、以下の指標を重要な経営指標として位置づけ、その向上に取り組んでいます。

* 経常利益
* 自己資本比率

(4) 成長戦略と重点施策


同社グループは、安定的かつ持続的な成長を実現するため、既存事業の強化、新規事業・事業領域の拡大、経営基盤の強化に取り組んでいます。建設資材事業では非住宅分野への取り組み強化、建設工事事業では施工体制の強化を進めるほか、シナジー創出に向けたM&Aや、成長分野への積極的な投資も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、企業価値向上と持続的成長のために優秀な人員の採用および育成を重要課題としています。採用活動の強化とともに、各種研修の拡充、計画的なジョブローテーションやOJTの強化、教育制度の拡充等を通じて、社員のスキルアップを支援する施策を実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.6歳 15.0年 6,141,000円


※平均年間給与は賞与及び基準賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.7%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 77.6%
男女賃金差異(正規) 76.2%
男女賃金差異(非正規) 141.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、研修時間(新卒研修924時間、新任管理職研修等1,456時間)、障害者雇用率(1.4%)、健康診断受診率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 環境・社会リスクおよび新時代への対応

環境・社会に関するリスク管理を行う一方、予測困難な新時代(VUCA)における新たな経営課題への対応が必要と認識しています。事業活動により社会に対し負の影響が発生した場合、事業の遅延や停止、損害賠償、レピュテーション低下等の悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 外部環境の変動

事業は建設工事に関連する領域で展開しており、国内の民間設備投資や住宅着工、公共工事の動向に影響を受けます。景気や金利、建設資材価格の高止まり、労務費上昇などにより建設需要が減少した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定地域(北海道)への集中

事業は北海道地域を中心に展開しており、同地域への依存度が高くなっています。北海道の経済環境や建設需要等の動向が悪化した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。リスク低減のため、道外での事業展開強化を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。