※本記事は、クワザワホールディングス株式会社の有価証券報告書(第77期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. クワザワホールディングスってどんな会社?
建設資材の販売から施工、運送までを北海道を基盤に総合的に展開する企業です。
■(1) 会社概要
1933年に創業者桑澤清が札幌でタイル煉瓦問屋を開業したのが始まりです。1951年に法人化し、その後建材・建設分野の会社を順次設立・統合してきました。1973年に札幌証券取引所へ上場し、2018年には東京証券取引所へ上場、2020年に持株会社体制へ移行し現在の社名となりました。
同社グループは連結従業員1009名、単体従業員70名の体制で事業を運営しています。大株主については、筆頭株主が事業会社の太平洋セメントで、第2位は資産管理等を行う桑澤商事、第3位が事業会社の吉野石膏となっています。主要な取引先企業が上位株主として名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 太平洋セメント | 18.24% |
| 桑澤商事 | 9.42% |
| 吉野石膏 | 5.42% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は桑澤嘉英氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 桑澤嘉英 | 代表取締役社長 | 1976年東京海上火災保険入社。1981年同社入社。取締役、常務、専務、代表取締役副社長を経て、1997年6月より現職。 |
| 小玉明彦 | 取締役副社長執行役員グループ営業本部長 | 1978年同社入社。取締役、常務、専務執行役員などを経て、2020年10月グループ営業本部長。2022年6月より現職。 |
| 桑澤悠介 | 取締役副社長執行役員グループ営業本部副本部長 | 2008年北洋銀行入行。2015年同社入社。札幌営業二部長、常務、専務執行役員等を経て、2026年4月より現職。 |
| 宮英郎 | 取締役専務執行役員管理本部長 | 1981年北海道拓殖銀行入行、1998年北洋銀行入行。2023年同社顧問。2024年4月管理本部長。2026年4月より現職。 |
| 為国徹 | 取締役(常勤監査等委員) | 1984年北洋相互銀行(現北洋銀行)入行。2018年同社入社。審査部長、総務部長等を経て、2022年6月より現職。 |
社外取締役は、山下信行(元札幌東管サービス社長)、佐藤博志(元北海道銀行薄野支店長)、山本賢正(元東京海上火災保険札幌支店長)、林美香子(フリーキャスター)、小林雄一(大平洋セメント北海道支店長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建設資材」「建設工事」「資材運送」「不動産賃貸」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 建設資材
セメント、生コンクリート、土木資材などの基礎資材や、外装材、住宅機器、省エネルギー機器などの建築資材を、ゼネコン、建材販売店、ハウスメーカーなどに販売しています。また、生コンクリートやサッシについては自社での製造や加工も行っています。
顧客への商品および製品の販売代金を主な収益源としています。自社で製造・加工を行うほか、仕入れた資材の卸売が中核です。運営は主にクワザワ、光和、ニッケーなどの事業会社が担当しています。
■(2) 建設工事
建設資材の販売に伴う外壁取付やユニットバスの施工、ゼネコン等の下請けとなる内装工事、戸建住宅の元請け建築工事などを請け負っています。また、マンションの大規模修繕や住宅リフォーム全般も扱っています。
顧客からの工事請負代金を収益源としており、工事の進捗や完成のタイミングで対価を受け取るモデルです。運営はクワザワ、クワザワ工業、住まいのクワザワ、フリー・ステアーズなどが担当しています。
■(3) 資材運送
同社グループ内および外部企業を顧客として、セメントや各種建設資材の運送業務を中心に事業を展開しています。さらに、車両のリース業務や倉庫業務など、物流領域の周辺サービスも提供しています。
顧客への運送役務の提供や、倉庫の利用、車両リースによる対価を収益源としています。グループの物流基盤を支える役割も担っており、運営は札幌アサノ運輸、山光運輸、サツイチが担当しています。
■(4) 不動産賃貸
北海道内を中心とする自社保有の倉庫、事務所、土地などの不動産を活用し、外部への賃貸事業を行っています。
契約に基づく安定的な賃貸収入を収益源としています。グループが保有する不動産の有効活用を目的としており、運営は同社(持株会社)のほか、ニッケー、山光運輸、サツイチなどが担当しています。
■(5) その他
報告セグメントに含まれない事業として、太陽光発電事業、保険代理業、車両整備事業、施設管理事業などを展開しています。
各サービスの提供対価を収益源としており、グループの事業多角化に寄与しています。運営はクワザワ、クワザワエージェンシー、東日本自工などが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は600億円台半ばで安定的に推移しています。利益面では、過去に当期利益がマイナスとなる場面もありましたが、その後は回復傾向を示しています。経常利益は継続して増益基調にあり、利益率も徐々に改善しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 629億円 | 643億円 | 648億円 | 654億円 | 648億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 11億円 | 15億円 | 17億円 | 17億円 |
| 利益率(%) | 1.6% | 1.7% | 2.3% | 2.5% | 2.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | -5億円 | 1億円 | 4億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微減となりましたが、売上総利益は増加しており、売上総利益率は14.0%から15.0%に向上しています。一方で、システム更新費用などにより販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益はわずかに減少しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 654億円 | 648億円 |
| 売上総利益 | 92億円 | 97億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.0% | 15.0% |
| 営業利益 | 15億円 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 2.2% | 2.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が38億円(構成比46%)と最も大きく、次いで賞与引当金繰入額が3億円(同3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の建設資材は、北海道エリアでの公共投資が好調で売上が増加しましたが、システム更新費用等の影響で利益は微減となりました。建設工事も大型案件の減少等で減収減益となっています。一方で不動産賃貸やその他事業は安定した利益を確保しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設資材 | 343億円 | 349億円 | 7億円 | 7億円 | 1.9% |
| 建設工事 | 270億円 | 257億円 | 5億円 | 5億円 | 1.8% |
| 資材運送 | 36億円 | 35億円 | 0億円 | -0億円 | -0.8% |
| 不動産賃貸 | 3億円 | 3億円 | 2億円 | 2億円 | 77.4% |
| その他 | 3億円 | 3億円 | 0億円 | 1億円 | 14.7% |
| 連結(合計) | 654億円 | 648億円 | 15億円 | 14億円 | 2.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 26億円 | 25億円 |
| 投資CF | -2億円 | -1億円 |
| 財務CF | -7億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.8%で、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「住宅・建設業界において、良質なサービス(製造・販売・施工・運送など)を提供して、安全・健康・快適な生活空間を創造する」ことを社業の基本方針とし、企業理念として掲げています。事業を通じてSDGsの達成に貢献し、世代を超えて使い続けられる良質な建設関連資材や建築物を提供することで、豊かな社会の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「働きがいのある会社をつくる」という経営理念を掲げており、年齢や性別、国籍で差別しない公平な評価を重視しています。一人ひとりが自分の能力を発揮し、全ての社員が力を合わせることで、社員の豊かな生活と企業としての成長の両立を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、企業価値の向上のために収益性を重視するとともに、キャッシュ・フローを重視した財務基盤の安定に注力しています。このため、収益力強化と経営効率化を図り、経常利益および自己資本比率を重要な経営指標として位置付け、その向上に取り組むことを目標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業の強化として、建設資材でのリフォーム・土木市場の開拓や、建設工事での施工体制強化・人材確保を進めています。また、新規事業・事業領域拡大に向けてM&Aを推進し、DXの取り組みとして推進部を設置して全社的な業務変革を進める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業価値を向上し持続的成長を続けていくために、優秀な人員の採用および育成を重要な経営課題と位置付けています。採用活動を強化するとともに、各種研修の拡充、計画的なジョブローテーションやOJTの強化、教育制度の拡充などに努め、社員のスキルアップに資する施策を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.6歳 | 12.7年 | 6,559,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 65.2% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 84.4% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒研修の研修時間(904時間)、障害者雇用率(1.6%)、健康診断受診率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外部環境と建設需要への依存
同社の事業は建設工事関連の領域に集中しているため、国内における民間設備投資や新設住宅着工戸数の減少、公共工事の削減など、建設需要の動向によって業績が大きく影響を受けるリスクがあります。
■(2) 特定地域(北海道)への集中
事業基盤が北海道地域に集中しているため、同地域の経済環境や建設需要の動向に対する依存度が高くなっています。このリスクを低減させるため、北海道外への事業展開の強化を推進しています。
■(3) 建設資材の価格変動
建設資材の仕入価格が変動した際、それに伴うコスト上昇分を適切なマージンとして販売価格に転嫁することが困難となった場合、収益性が圧迫され、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 外注先と人材の確保
建設工事や資材運送においては、外部の工事施工業者や運送業者の確保が不可欠です。職人やドライバーなど外注先の確保に支障が生じたり、外注コストが大幅に上昇したりした場合、事業活動に制約が生じる可能性があります。



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