BIPROGY 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BIPROGY 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のBIPROGYは、顧客の経営課題解決に向けたITソリューションサービスを幅広く展開しています。第81期は、IT投資への旺盛な需要を背景にサービス・製品販売が好調に推移し、増収増益を達成しました。コア事業と成長事業の両輪で拡大を図り、持続的な企業価値向上を目指しています。


※本記事は、BIPROGY株式会社 の有価証券報告書(第81期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. BIPROGYってどんな会社?


BIPROGYは、コンサルティングから開発、運用・保守まで一貫したITソリューションを提供するシステムインテグレーターであり、広範なビジネスエコシステムの構築を目指しています。

(1) 会社概要


同社は1958年に日本レミントン・ユニバックとして設立され、1970年に東京証券取引所に上場しました。1988年には日本ユニシスへ商号変更し、2006年に米国ユニシス・コーポレーションとの資本関係を変更しました。2022年4月には現商号であるBIPROGYへ変更し、社会的価値創出企業への変革を進めています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は8,362名、単体では4,254名です。筆頭株主は大日本印刷であり、同社とは業務提携関係にあります。第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行が占めており、安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
大日本印刷 21.08%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.19%
日本カストディ銀行(信託口) 13.17%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性4名の計13名で構成され、女性役員比率は30.7%です。代表取締役社長は齊藤 昇氏です。社外取締役比率は30.7%です。

氏名 役職 主な経歴
齊藤 昇 代表取締役社長 1986年同社入社。ビジネスサービス事業部長、常務執行役員、代表取締役専務執行役員などを歴任し、2024年4月より現職。
葛谷 幸司 代表取締役専務執行役員 1985年同社入社。金融事業部門副部門長、経営企画部長、取締役常務執行役員などを経て、2024年4月より現職。
澤上 多恵子 取締役執行役員 1993年同社入社。広報部長、経営企画部長、業務執行役員CRMOなどを経て、2024年6月より現職。
金沢 貴人 取締役 大日本印刷にて常務執行役員などを歴任。2021年6月より同社取締役。現在は大日本印刷常務取締役を兼任。


社外取締役は、ナリン アドバニ(ベンチャー投資家)、池田 義典(元国税庁長官官房国際業務課長)、大崎 麻子(元国連開発計画職員)、片山 雄一(元オリエンタルランド副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システムサービス」「サポートサービス」「アウトソーシング」「ソフトウェア」「ハードウェア」および「その他」事業を展開しています。

システムサービス


ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等を提供しています。

顧客からシステム開発等の対価を受け取ります。運営は同社およびユニアデックス、USOLベトナム、国際システム、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズなどが行っています。

サポートサービス


ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等を提供しています。

顧客から保守サービス料等を受け取ります。運営は主にユニアデックス、エス・アンド・アイが行っています。

アウトソーシング


情報システムの運用受託等を提供しています。

顧客から運用受託料等を受け取ります。運営は同社、ユニアデックス、エス・アンド・アイ、トレードビジョンなどが行っています。

ソフトウェア


ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等を行っています。

顧客からソフトウェア使用料等を受け取ります。運営は同社、ユニアデックス、UELなどが行っています。

ハードウェア


機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等を行っています。

顧客から機器代金や賃貸料を受け取ります。運営は同社、ユニアデックス、エス・アンド・アイが行っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、回線サービス、設備工事および教育訓練事業等を行っています。

顧客からサービス料等を受け取ります。運営は同社およびグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益は5期連続で増加傾向にあり、順調に事業規模を拡大しています。利益面でも、税引前利益および当期利益ともに増加基調を維持しており、特に直近の第81期では売上収益が4,000億円を突破し、高い収益性を確保しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 3,084億円 3,176億円 3,399億円 3,701億円 4,040億円
税引前利益 247億円 296億円 300億円 342億円 388億円
利益率(%) 8.0% 9.3% 8.8% 9.2% 9.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 166億円 205億円 202億円 252億円 270億円

(2) 損益計算書


売上収益の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに増加しました。売上原価や販管費も増加していますが、増収効果がこれらを上回り、営業利益率は前年より改善しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 3,701億円 4,040億円
売上総利益 972億円 1,058億円
売上総利益率(%) 26.3% 26.2%
営業利益 333億円 391億円
営業利益率(%) 9.0% 9.7%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が195億円(構成比29%)、事務機械化費が71億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


システムサービスは中小型案件の獲得により増収、アウトソーシングはクラウドサービス等が好調で大幅な増収となりました。ソフトウェアも大型案件の計上で増収増益となり、全体として全てのセグメントで増収を達成しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
システムサービス 1,270億円 1,304億円 441億円 447億円 34.3%
サポートサービス 549億円 584億円 167億円 194億円 33.3%
アウトソーシング 766億円 906億円 169億円 182億円 20.1%
ソフトウェア 383億円 451億円 59億円 92億円 20.3%
ハードウェア 605億円 674億円 105億円 114億円 16.9%
その他 128億円 121億円 30億円 29億円 23.9%
調整額 - - -634億円 -674億円 -
連結(合計) 3,701億円 4,040億円 338億円 384億円 9.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、既存および成長が見込まれるサービス型ビジネスからのキャッシュ・フローと手元資金で必要な資金を賄う方針です。
営業活動では、税引前利益や減価償却費等の収入加算要素により資金が増加しました。
投資活動では、有形・無形固定資産の取得等により資金が支出されました。
財務活動では、自己株式の取得や配当金の支払いにより資金が大きく支出されました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 417億円 449億円
投資CF -86億円 -89億円
財務CF -176億円 -306億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは、Purposeとして「先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出します」を掲げています。また、Corporate Statement「Foresight in sight」のもと、先見性と洞察力で顧客や社会の課題を深く理解し、ICTが貢献できることを考え抜く集団になることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「高品質・高技術の追求」「個人の尊重とチームワークの重視」「社会・お客様・株主・社員にとり魅力ある会社」を大切にしています。また、Principles(原理・原則)として「誠実な履行」「多様性の受容と獲得」「自己研鑽と主体性の発揮」などを掲げ、ステークホルダーの声に真摯に耳を傾ける姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


経営方針(2024-2026)に基づき、2027年3月期に向けた以下の業績目標を設定し、企業価値の持続的向上に取り組んでいます。

* 売上収益 4,400億円
* 調整後営業利益率 11.0%
* ROE 17.0%以上
* 配当性向 40.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


コア事業である「ファイナンシャル」「リテール」「エネルギー」「モビリティ」「OTインフラ」の5領域に経営資源を集中し、サービス型ビジネスの拡大と収益性向上を図ります。また、成長事業として「市場開発」「事業開発」「グローバル」を掲げ、特にグローバルではASEAN主要国への展開や北米市場への参入を強化します。これらを支えるため、人財戦略や技術戦略、戦略的投資を推進するとともに、コーポレート・ガバナンス体制の強化にも取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営戦略と連動し、ビジネスと技術の両面をリードできる人財や成長事業をけん引できる人財の増強、Purposeを軸とした多様性あるチーム力の強化を進めています。具体的には、「志追求型人財(ココツイ人財)」の育成や「次世代経営人財」の輩出に加え、顧客ビジネスアーキテクトや高度プロジェクトマネージャー等の「4つの強化人財」の獲得・育成に注力しています。また、ROLES(業務遂行上の役割)をベースとした人財マネジメントを導入し、適材適所の配置や自律的なキャリア形成を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.4歳 20.8年 8,462,098円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.0%
男性育児休業取得率 61.9%
男女賃金差異(全労働者) 78.4%
男女賃金差異(正規雇用) 77.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 77.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新規事業開発を推進する人財数(48人)、配偶者が出産した男性社員のうち育児のための休業・休暇を取得できた人の割合(83.3%)、障害者雇用率(2.98%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) システム障害リスク


同社グループが提供するシステムやサービスにおいて、不具合やサイバー攻撃等により重大な障害が発生した場合、広範囲に影響が及ぶ可能性があります。これにより、社会的信用やブランドイメージの低下、損害賠償金の支払等が発生し、経営成績に影響を与える可能性があります。対策として、品質目標の設定や開発時の品質保証レビュー、障害発生時の迅速な対応体制の構築に努めています。

(2) 情報セキュリティリスク


事業活動において多くの秘密情報や個人情報を取り扱っているため、サイバー攻撃や人為的過失による情報漏洩、改ざん等が発生した場合、社会的信用の低下や対応費用が発生する可能性があります。同社は情報管理を最重要課題と認識し、管理体制の維持や教育、CSIRTによる演習、SOCによる監視強化など、セキュリティ施策を推進しています。

(3) プロジェクト管理リスク


システム開発やアウトソーシング等の多数のプロジェクトにおいて、顧客要求の高度化や案件の複雑化が進む中、問題発生時の修復費用や納期遅延によりコストオーバーが生じるリスクがあります。これに対し、ビジネス審査委員会によるリスクアセスメントや実行可否の評価、開発手法の標準化、プロジェクト検診等の施策を通じて、コストオーバーの予防と早期発見に努めています。

(4) IT人財の確保・育成リスク


少子高齢化やDX進展によるIT人財獲得競争の激化により、必要な人財を確保できない場合、成長力の維持に影響を与える可能性があります。同社は、新卒・キャリア採用の強化、研修・制度の充実による育成、多様な人財の活躍支援、エンゲージメント向上等の施策を展開し、優秀な人財の確保と定着に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。