BIPROGY 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BIPROGY 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BIPROGYは東京証券取引所プライム市場に上場し、クラウドやシステム構築、アウトソーシング等のITソリューションサービスを総合的に展開しています。直近の業績は企業の旺盛なIT投資需要を背景に、サービスや製品販売が伸長して増収となり、利益面でも増益を達成するなど好調なトレンドを維持しています。


※本記事は、BIPROGY株式会社の有価証券報告書(第82期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. BIPROGYってどんな会社?


同社はシステム構築やクラウド等のITソリューションサービスを総合的に展開する企業です。

(1) 会社概要


1958年に日本レミントン・ユニバックとして設立され、1968年に日本ユニバックへ商号変更しました。1988年にはバロースを吸収合併して日本ユニシスとなり、1970年の上場を経て事業を拡大しました。2012年に大日本印刷と業務提携等を締結し、2022年に現在のBIPROGYへと商号を変更しています。

同社グループの従業員数は連結で8,801名、単体で4,359名です。筆頭株主は事業会社の大日本印刷で、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
大日本印刷 21.44%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.49%
日本カストディ銀行(信託口) 11.26%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性4名の計14名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は齊藤昇氏が務めており、社外取締役の比率は35.7%です。

氏名 役職 主な経歴
齊藤昇 代表取締役社長 1986年入社。流通事業部長などを経て2020年代表取締役専務執行役員。2024年より現職。
葛谷幸司 代表取締役専務執行役員 1985年入社。金融事業部門などを経て2021年取締役専務執行役員。2024年より現職。
澤上多恵子 取締役執行役員 1993年入社。広報部長や経営企画部長を経て2024年より現職。
金沢貴人 取締役 1998年大日本印刷入社。情報システム本部長などを歴任し、2021年より現職。


社外取締役は、ナリン アドバニ(バルコ元代表取締役社長)、池田義典(国税庁元長官官房相互協議室長)、大崎麻子(国際連合開発計画元職員)、片山雄一(みずほ銀行元常務執行役員)、寺浦康子(エンデバー法律事務所設立)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システムサービス」「サポートサービス」「アウトソーシング」「ソフトウェア」「ハードウェア」および「その他」事業を展開しています。

(1) システムサービス


ソフトウェアの請負開発業務や、システムエンジニアによる技術支援サービス、ITソリューション導入等のコンサルティングを提供しています。金融機関、小売業、電力事業者などの顧客に対し、最適なシステム構築を行っています。
収益源は、顧客からのソフトウェア請負開発やサービス提供に伴う対価です。事業の運営は同社および、ユニアデックスや国際システムをはじめとする複数の子会社が担っています。

(2) サポートサービス


ソフトウェアやハードウェアの保守サービス、およびシステムの導入支援を提供しています。顧客の希望に応じて24時間365日の高可用性を支援するサービスや、機器の据付調整などを行っています。
収益源は、顧客から受け取る保守サービス料や導入支援作業に伴う手数料です。事業の運営は主に同社および、ユニアデックスやエス・アンド・アイなどの子会社が行っています。

(3) アウトソーシング


顧客のIT資産を預かり、保守運用等を行うサービスや、サービス型ビジネスを展開しています。また、カタリナマーケティングジャパンを通じた流通業界向けのマーケティングサポートも提供しています。
収益源は、情報システムの運用受託料やサービス利用に伴う課金収入です。事業の運営は同社および、ユニアデックス、トレードビジョン、カタリナマーケティングジャパンなどが担っています。

(4) ソフトウェア


ソフトウェアの使用許諾契約に基づくソフトウェア製品の提供を行っています。官公庁やサービス業、製造業などの顧客に向けて、様々な業務要件に対応する自社製および他社製のソフトウェアを販売しています。
収益源は、顧客にソフトウェアのライセンスを供与した際に受け取る販売代金や利用料です。事業の運営は同社および、ユニアデックス、UEL、V-Drive Technologiesなどが担当しています。

(5) ハードウェア


機器の売買契約や賃貸借契約に基づき、サーバーや通信機器などのハードウェアを提供しています。官公庁や研究機関、一般企業を対象に、システム構築に必要な各種IT機器を販売しています。
収益源は、顧客への製品引渡しおよび検収完了に伴って受け取るハードウェアの販売代金です。事業の運営は同社および、ユニアデックス、エス・アンド・アイなどの子会社が行っています。

(6) その他


報告セグメントに含まれない事業として、回線サービス、設備工事、および教育訓練事業などを展開しています。
収益源は、顧客からのサービス利用料や工事代金などです。事業の運営は同社およびグループの各事業会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、企業の旺盛なIT投資需要を背景に売上収益は右肩上がりで成長を続けており、5期連続で増収を達成しています。利益面でも増益傾向が続いており、堅調な業績拡大が確認できます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 3,176億円 3,399億円 3,701億円 4,040億円 4,337億円
税引前利益 296億円 300億円 342億円 388億円 438億円
利益率(%) 9.3% 8.8% 9.2% 9.6% 10.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 205億円 202億円 252億円 270億円 312億円

(2) 損益計算書


売上収益と売上総利益ともに前期を上回って推移しており、増収効果が原価の増加を吸収して利益率も改善しています。将来のビジネス拡大に向けた投資を強化しつつも、着実な利益成長を実現しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 4,040億円 4,337億円
売上総利益 1,058億円 1,160億円
売上総利益率(%) 26.2% 26.7%
営業利益 391億円 426億円
営業利益率(%) 9.7% 9.8%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が205億円(構成比28%)、事務機械化費が65億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


システムサービスやハードウェアが好調に推移し、全社的な増収を牽引しています。ソフトウェアやその他事業も前期を上回り、すべての報告セグメントで着実な売上成長を実現しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
システムサービス 1,304億円 1,408億円
サポートサービス 584億円 599億円
アウトソーシング 906億円 972億円
ソフトウェア 451億円 474億円
ハードウェア 674億円 753億円
その他 121億円 129億円
連結(合計) 4,040億円 4,337億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で資金を生み出しつつ、M&Aなどの積極的な投資を行っているため、投資CFが大きくマイナスとなっています。一方で借入金等の返済を進め財務CFもマイナスとなっており、本業で稼いだ資金で投資と借入返済を賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状態と言えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 449億円 576億円
投資CF -89億円 -740億円
財務CF -306億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.9%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も62.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「すべての人たちとともに、人と環境にやさしい社会づくりに貢献します」を企業理念に掲げています。また、Purpose(目的)として「先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出します」と定め、デジタルコモンズを通じて社会課題の解決を図る社会的価値創出企業を目指しています。

(2) 企業文化


同社はPurposeを達成するための原則として「Principles」を定めています。「人権の尊重と社会的包摂」「多様性の受容と獲得」「自己研鑽と主体性の発揮」などを行動の基盤とし、高品質・高技術の追求と個人の尊重、チームワークを重視する文化を根付かせており、誠実な履行を通じて社会的価値の創出に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は「経営方針(2024-2026)」において、2030年に向けた中長期的な視点で持続的な成長を目指しています。2027年3月期を最終年度とする経営目標として、以下の指標を掲げています。

* 売上収益:4,400億円
* 調整後営業利益率:11.0%
* ROE:17.0%以上
* 配当性向:40.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


顧客の持続的成長を支える顧客DXと、パートナーとともに社会課題を解決する社会DXの両面からビジネスを推進しています。コア事業ではファイナンシャル、リテール、エネルギー、モビリティ、OTインフラの5つを注力領域に定めています。成長事業ではデータ・AI利活用ビジネスやマネージドサービスの拡大を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、自らの志に基づき主体的にキャリアを築く「志追求型人財(ココツイ人財)」と、経営陣の「次世代経営人財」の育成を戦略の柱としています。また、事業戦略に連動し「顧客ビジネスアーキテクト」や「ビジネスプロデュース人財」などの中核人財を強化し、個人の多様性を尊重するDE&Iの推進にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 46.3歳 20.4年 8,846,208円


※平均年間給与は休業者を除いて算出しております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.7%
男性育児休業取得率 68.1%
男女賃金差異(全労働者) 79.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 77.4%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 78.2%


また、同社は「人的資本」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(56%)、女性役員比率(18.4%)、障害者雇用率(3.09%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 調達の遅延・停止リスク


同社グループは国内外の取引先からハードウェアやソフトウェアを調達しています。取引先の事業戦略変更や地政学リスク、経済安全保障関連規制等により、製品やサービスの供給が遅延・停止した場合、特定のサービスが提供できなくなり、業績に影響を与える可能性があります。

(2) プロジェクトの採算悪化リスク


システム開発やアウトソーシングビジネスにおいて、顧客要求の高度化や案件の複雑化が進んでいます。プロジェクトで問題が生じ、修復に想定以上の費用や時間を要した場合、コストオーバーや納期遅延を引き起こし、同社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) サイバー攻撃と情報漏洩リスク


同社は顧客の秘密情報や個人情報を取り扱っています。サイバー攻撃の高度化により、マルウェアや不正アクセス等で情報システムの停止や情報漏洩が発生した場合、損害賠償の発生やブランドイメージの低下を招き、業績に重大な影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。