※本記事は、株式会社キムラタン の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
キムラタンは、不動産事業、アパレル事業、ウェアラブル事業の3つの主要事業を展開しています。特に「衣・健・住」を軸とした戦略的ビジネスモデルを推進し、収益性向上と持続的成長を目指しています。
単体従業員数は20名、連結従業員数は34名です。セグメントは不動産事業、アパレル事業、ウェアラブル事業の3つです。
主な国内グループ会社は、キムラタンリテール(アパレル事業)、キムラタンエステート(不動産事業)、キムラタンフロンティア(―)などです。
同社グループは当連結会計年度より「衣・健・住」を軸とした戦略的ビジネスモデルを開始し、M&Aによる子会社化や資本・業務提携を通じて事業領域を拡大しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、アパレル、不動産、ウェアラブルの多角的な事業を展開しており、それぞれの事業特性に応じた働き方が期待されます。従業員一人ひとりの能力向上と成長を重視する方針が示されており、長期的な視点に立った人材育成に注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。平均勤続年数や平均年齢から、経験豊富なベテラン社員が多数活躍している傾向が見て取れます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,722,000円 |
| 平均勤続年数 | 22.5年 |
| 平均年齢 | 53.5歳 |
| 単体従業員数 | 20人 |
| 連結従業員数 | 34人 |
| 単体のグループ内比率 | 58.8% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、企業型確定拠出年金制度を採用しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を最も重要な経営資本の一つと位置づけ、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。従業員一人ひとりの能力向上と成長を重視し、自ら学び、挑戦し続けることが競争力向上につながると考えています。
従業員の給与は、職務内容、能力、成果、および会社業績を総合的に勘案して決定されます。主体的な成長や新たな挑戦、専門性の向上、業務領域の拡大への取り組みが適切に評価され、成長意欲の向上と企業価値向上の両立が図られています。
職種や役職に応じた研修機会の提供に加え、新たな業務や役割への挑戦を後押しする企業風土の醸成に取り組んでいます。失敗を過度に恐れることなくチャレンジできる環境を整備し、多様な経験を通じて従業員の専門性やマネジメント能力の向上を図っています。
具体的には、不動産事業では仕入、開発、販売、管理に関する専門知識を持つ人材の育成を推進しています。アパレル事業では商品企画、EC運営、デジタルマーケティングの専門人材育成を進め、ウェアラブル事業ではデータ分析を通じた顧客理解と商品開発、サービス改善能力の向上に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、常時雇用する労働者数が100人以下であり、女性活躍推進法及び育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
キムラタンは、不動産事業を主軸に、アパレル事業、ウェアラブル事業を展開する企業です。多角的な事業を通じて、社会の様々なニーズに応えるビジネスモデルを構築しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは「衣・健・住」を軸とした戦略的ビジネスモデルを推進しており、それぞれの領域で事業を展開しています。不動産賃貸やリノベーション再販、ベビー・子供服の企画・販売、園児見守りサービスなどを手掛けています。
不動産事業
不動産の賃貸・管理、中古物件のリノベーション・再販売、および不動産特定共同事業を行っています。当連結会計年度は、M&Aによる子会社収益の増加に加え、再販事業が大きく伸長し、前期から売上が大きく拡大しました。
収益は、不動産の賃貸収入や販売収入から得ています。運営は、キムラタンエステート、キムラタンプロパティ、イストグループ(イスト、ライブ、コネクト)、九建機材、SwanStyleが行っています。
アパレル事業
ベビー・子供服やその他衣料雑貨の企画・製造・販売を手掛けています。国内ではネット通販による消費者への直接販売を中心に展開し、一部百貨店でのインショップ運営も行っています。当連結会計年度は、店舗閉鎖や既存店売上高の減少、ネット通販の低調により、前期から売上が縮小しました。
収益は、ベビー・子供服や衣料雑貨の販売から得ています。運営は、キムラタンリテールが行っています。
ウェアラブル事業
ウェアラブルIoT技術を用いた園児見守りソリューション「cocolin」の提供や、熱中症対策商品の販売を行っています。園児見守りサービスの新規導入拡大や熱中症対策デバイスの販売に取り組んだ結果、当連結会計年度は前期から売上が増加しました。
収益は、園児見守りサービスの利用料や熱中症対策商品の販売から得ています。
同社グループは、本邦の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えており、国内市場が中心となっています。また、特定の主要な顧客に売上が集中している状況は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 不動産事業 | 13.7億円 | 22.0億円 |
| アパレル事業 | 3.6億円 | 2.9億円 |
| ウェアラブル事業 | 29百万円 | 39百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で変動が見られますが、当期は前期から大きく増加しました。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、損失を計上する期が多く、当期も損失が続いています。営業活動によるキャッシュ・フローは当期に大幅な増加を示しており、本業でのキャッシュ創出力は改善傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 42.4億円 | 35.5億円 | 12.8億円 | 17.6億円 | 25.3億円 |
| 経常利益 | △6.1億円 | △10.4億円 | △19百万円 | 10百万円 | △57百万円 |
| 経常利益率 | △14.4% | △29.2% | △1.5% | 0.6% | △2.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △8.9億円 | △11.3億円 | 41百万円 | △46百万円 | △98百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △6.07 | △6.25 | 0.17 | △0.19 | △0.38 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から大きく増加しています。これは、売上高の増加に対して連結従業員数の増加が緩やかであったため、生産性が向上したことを示しています。従業員1人あたり営業利益は前期から減少しており、売上高の増加が利益に直結しにくい状況が見られます。これらの指標は、同社グループが事業規模を拡大しつつ、組織全体の効率化や収益構造の改善に取り組んでいる状況を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 58.6百万円 | 74.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.5百万円 | 2.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
キムラタンは、本業で資金を生み出し、成長投資も行いつつ、余剰資金を確保している状況です。しかし、当連結会計年度は最終損益で損失を計上しており、収益性の改善が課題となっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から改善傾向にあります。しかし、プライム市場の非製造業平均と比較すると、まだ低い水準にあります。当期は最終損益が損失となっており、ROEもマイナスを示しています。手元資金である現金及び預金は増加しており、短期的な流動性は確保されている状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 11.3億円 | 16.5億円 |
| 自己資本比率 | 11.2% | 16.7% |
| ROE(自己資本利益率) | - | -7.1% |
| 現金及び預金 | 2.0億円 | 4.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは、棚卸資産の減少などにより大幅な収入超過となりました。投資活動によるキャッシュフローは、不動産事業の拡大に向けた株式取得や有形固定資産の取得により支出超過となっています。その結果、本業の稼ぎが投資を上回るフリーキャッシュフローはプラスとなりました。
財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済が主な要因で支出超過となりましたが、第三者割当増資による収入も計上されています。全体として、同社グループは本業で資金を創出し、成長投資も行いつつ、余剰資金を確保している状況です。これは事業の持続可能性と将来の成長に向けた基盤を築いていることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.3億円 | 10.7億円 |
| 投資CF | △3.3億円 | △6.0億円 |
| 財務CF | △2.7億円 | △2.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2百万円 | 4.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、ファッション市場のトレンド変動が激しく、競合他社との競争が激化している市場競争力に関するリスクを認識しています。また、不動産市場の金利水準や景気動向などによる市況変動が、販売利益率の低下や減損損失につながる不動産市況変動リスクも存在します。
③ 人材・組織に関するリスク
再販事業におけるリノベーションやリフォームでは、職人・施工人員の人手不足による工賃上昇のリスクがあります。これは、建築・改修コストの上昇につながる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
キムラタンは、創業100年を機に「衣・健・住」を軸とした新たな事業展開を推進し、社会課題の解決と収益性の両立を目指しています。持続可能な成長と企業価値の最大化を実現するため、多角的な視点から事業を構築している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
キムラタンは、2025年4月に創業100年を迎えたことを契機に、「衣・健・住」を軸とした戦略的ビジネスモデルを推進しています。同社グループは、この3領域への集中投資とシナジー創出により、収益性の向上と社会的価値の両立を目指しています。
具体的には、原点である子ども服事業で「キムラタンらしさ」を追求したブランド価値を確立し、競争優位性を高める方針です。また、少子高齢社会に対応したヘルスケア領域では、園児見守りサービスから高齢者向け「室内見守り」分野へ事業領域を拡大しています。
さらに、「住」領域では、賃貸不動産の保有、空き家の再生・再販売、不動産小口化投資商品の提供、地域密着型のマッチングプラットフォーム運営の4つの収益モデルを通じて、安定的かつ成長可能な事業基盤の構築を進めています。これらの取り組みを通じて、持続可能な成長と企業価値の最大化を実現していくことをビジョンとしています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
キムラタンは、サステナビリティを広く経済、社会、環境の視点で捉え、継続的に取り組むことを重視しています。中長期的な成長や持続可能性を確保するため、事業の多様化や効率化を図るとともに、経済・社会の持続的な発展に貢献することが必要不可欠であると考えています。
同社グループでは、取締役会を中心としたガバナンス体制を構築し、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会について多様な視点で検討を行う方針です。また、幅広い世代が参画できるサステナビリティ推進のための仕組みを構築することを目指しています。
人的資本に関する戦略においては、将来の成長・持続的な発展や競争力向上のため、長期的な視点に立った戦略が必要であると認識しています。従業員のスキルや能力向上、組織の強化、事業の多様化などを考慮した戦略立案・実行を通じて、組織文化の整備や従業員のモチベーション向上にも注力し、人的投資の効果の最大化に取り組むカルチャーです。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
キムラタンは、持続的成長に向けて収益力の一層の強化と安定的かつ健全な財務基盤の構築を喫緊の課題と認識しています。この課題に対し、不動産事業の戦略的拡大と基盤強化、アパレル事業のブランド価値再構築と収益体質の改善、ウェアラブル事業の事業領域拡張と中長期的成長戦略を重点テーマとしています。
特に、ウェアラブル事業では、国内出生数の減少という構造的課題に対応するため、ウェアラブルIoTの応用領域を保育領域にとどまらず高齢者福祉・介護分野へと拡張する方向で舵を切っています。これらの取り組みを通じて、社会課題の解決に資する成長エンジンの確立を図る方針です。
また、サステナビリティに関する情報の適切な報告と透明性の確保、社会的な利害関係者との積極的な関わりと協力関係の構築も重要なテーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
キムラタンは監査役制度を採用しており、社外役員を選任することで経営の監督強化を図っています。取締役会は社外取締役を含む5名で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
キムラタンの株主構成を見ると、筆頭株主は個人である清川浩志氏です。上位には複数の個人株主が名を連ねており、特定の個人やその関連会社が上位株主として存在しています。この構成は、同社の経営に一定の影響力を持つ株主グループが存在することを示しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 清川 浩志 | 27.40% |
| 澤田 秀雄 | 19.70% |
| レゾンディレクション | 5.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は九鬼祐一郎氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 九鬼 祐一郎 | 代表取締役 社長 | 1987年山一證券入社後、日興証券、松井証券で要職を歴任。フジオフードグループ本社取締役副社長を経て、2024年4月同社入社、同年6月代表取締役に就任し現職。 |
| 木村 裕輔 | 常務取締役 | 1986年同社入社後、商品部課長、営業本部室次長、管理本部長などを歴任。2007年6月取締役、2012年4月常務取締役(財務担当)に就任し現職。 |
| 清川 浩志 | 取締役 | 2002年清川建設(現レゾンディレクション)取締役、2007年同社代表取締役に就任。2019年6月同社代表取締役、2024年6月同社取締役に就任し現職。 |
| 染川 智香 | 取締役 | 2010年税理士荒巻政文事務所入所後、清川建設(現レゾンディレクション)取締役を経て、2019年6月同社取締役に就任し現職。 |
社外取締役は、鈴木孝男氏(元三菱ふそうトラック・バス取締役副会長)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役1名、社外監査役2名を選任しています。これにより、経営の監督強化と迅速な意思決定の実現を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
キムラタンの役員報酬は、株主総会で決議された報酬限度額の範囲内で、役位、職責、業績などを考慮して決定されています。取締役の報酬は月例の固定報酬のみで構成されており、個別の報酬額は代表取締役社長に一任されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 18百万円 | 4.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 7百万円 | 2.2百万円 |
役員報酬の総額は31百万円であり、対象となる役員は合計8名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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