作成された記事は以下の通りです。
ソーダニッカ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、ソーダニッカ株式会社 の有価証券報告書(第78期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ソーダニッカってどんな会社?
化学品専門商社として、無機・有機薬品や合成樹脂を扱い、独自の物流拠点を活かした安定供給を強みとしています。
■(1) 会社概要
1947年に曹達商事として設立され、無機薬品類の販売を開始しました。1979年に新日化産業を吸収合併し、現在の社名へ変更しています。1991年には東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。2012年にインドネシア、2014年にはベトナムに現地法人を設立するなど海外展開を進めるほか、2014年に日本包装を子会社化し、機能材分野の強化も図っています。
同グループは連結従業員数411名、単体290名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位はガラス・化学品メーカーのAGC、第3位はガラス・化学品メーカーのセントラル硝子です。主要な仕入先でもある化学メーカーが上位株主に名を連ねており、商社として強固な取引関係を有しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 7.71% |
| AGC | 4.89% |
| セントラル硝子 | 4.89% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長執行役員は目﨑龍二氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 目﨑龍二 | 代表取締役社長執行役員 | 1987年4月同社入社。経営企画本部長、経理本部長などを歴任し、中期経営計画の推進を担当。2023年4月より現職。 |
| 長洲崇彦 | 取締役会長 | 1982年4月同社入社。化学品第一部長、経営企画本部副本部長、海外事業統括などを経て、2012年5月代表取締役社長に就任。2024年6月より現職。 |
| 松尾保幸 | 取締役専務執行役員化学品・機能材セグメント管掌兼本社管理部門全体統括兼 Go forward推進担当 | 1990年4月同社入社。化学品セグメント長、関西支社長、経営企画本部長などを歴任。2025年4月より現職。 |
社外取締役は、池田純(元三菱商事ライフサイエンス代表取締役社長)、古川裕二(元りそなホールディングス取締役)、西山佳宏(元東邦チタニウム代表取締役社長)、松村眞理子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「化学品事業」「機能材事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 化学品事業
主として無機薬品(ソーダ製品、ソーダ二次製品等)、有機薬品(溶剤、石油化学製品等)を取り扱っています。これらは化学、紙パルプ、食品・洗剤、官公庁などの幅広い市場へ販売されており、同社の基盤事業となっています。
収益は主に製品の販売代金から得ています。また、自社で保有するケミカルセンター等の物流設備を活用したタンク保管や小分け等の機能も提供しています。運営は主に親会社であるソーダニッカが行っています。
■(2) 機能材事業
主として合成樹脂(汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック等)、機器・材料(包装資材、電子材料、環境関連機器等)を取り扱っています。食品、樹脂加工、電機などの市場へ販売しており、製品の販売だけでなく関連する工事等も手掛けています。
収益は製品の販売代金や工事代金等から得ています。運営は、親会社であるソーダニッカのほか、子会社の日本包装(包装資材加工販売)や日進(包装資材・機器販売)などが各領域で事業を行っています。
■(3) その他事業
不動産の賃貸収入や、物流・海外事業などが含まれます。具体的には、不動産賃貸、倉庫・運送業、海外における工業薬品類の販売、ベトナムからの商品輸入およびコンサルティング業務、食品添加物等の販売などを行っています。
収益は不動産賃貸料、倉庫・運送サービスの対価、商品販売代金などから得ています。運営は、ソーダニッカビジネスサポート(倉庫・運送)、曹達日化商貿(上海)、PT.SODA NIKKA INDONESIA、SODA NIKKA VIETNAM、モリス、野津善助商店(現・野津商店)などの子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年3月期に収益認識会計基準の適用により見かけ上減少しましたが、その後は回復・増加傾向にあります。経常利益は2021年3月期から2024年3月期にかけて連続増益を達成し、2025年3月期はやや減少したものの高水準を維持しています。当期純利益は一貫して増加傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 946億円 | 555億円 | 627億円 | 641億円 | 651億円 |
| 経常利益 | 11億円 | 16億円 | 21億円 | 26億円 | 25億円 |
| 利益率(%) | 1.1% | 2.8% | 3.4% | 4.1% | 3.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 12億円 | 14億円 | 17億円 | 23億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しましたが、売上原価も増加しており、売上総利益率は概ね横ばいで推移しています。営業利益は前年比でやや減少しています。売上高の増加に伴い売上総利益は増加しましたが、販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 641億円 | 651億円 |
| 売上総利益 | 88億円 | 91億円 |
| 売上総利益率(%) | 13.8% | 13.9% |
| 営業利益 | 22億円 | 21億円 |
| 営業利益率(%) | 3.5% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が17億円(構成比25%)、運賃諸掛が11億円(同16%)を占めています。物流コストや人件費が主な費用項目となっています。
■(3) セグメント収益
化学品事業は、薬品貯蔵設備の増強効果等により増収増益となりました。機能材事業は、売上高は増加したものの、セグメント利益は減少しています。その他事業は売上高が増加しましたが、セグメント利益は減少しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 化学品事業 | 430億円 | 434億円 | 34億円 | 38億円 | 8.6% |
| 機能材事業 | 134億円 | 137億円 | 9億円 | 8億円 | 5.9% |
| その他事業 | 77億円 | 80億円 | 3億円 | 2億円 | 2.0% |
| 調整額 | -25億円 | -25億円 | -24億円 | -26億円 | - |
| 連結(合計) | 641億円 | 651億円 | 22億円 | 21億円 | 3.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.3%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 34億円 | 33億円 |
| 投資CF | -23億円 | -18億円 |
| 財務CF | 1億円 | -39億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、化学品専門商社として、無機薬品、有機薬品及び合成樹脂の基礎素材を主要取引商品とし、環境とモノづくりに貢献することを経営の基本方針としています。この実現のため、市場を重視した営業活動を推進するとともに、活力あふれる健全な企業体質を作り上げることを目指しています。
■(2) 企業文化
2030年度までの長期ビジョン「Go forward」を掲げ、事業戦略とサステナビリティの融合強化を重要テーマとしています。同社グループの役割を「社会と化学のコーディネーター」と定義し、経済成長を続けながら、脱炭素社会の実現や安全・安心な生活への貢献を通じて、「豊かで持続可能な社会」の実現を目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「Go forward STAGE3」の最終年度となる2027年3月期の経営目標として、以下の数値を掲げています。なお、2025年3月期の業績が当初目標を上回ったことを受け、純利益目標を上方修正しています。
* 連結当期純利益:24億円以上
* ROE:8%以上
* 配当性向:40%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画の達成に向け、各事業において時代の変化に即したビジネスモデルの発展に挑むとともに、事業や人材への積極的な成長投資と、安定的な株主還元を念頭に置いた資本効率の改善を図る方針です。特に、薬品貯蔵設備の増強や日用品受託生産仲介サービスといった施策の効果を見込んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の多様化と育成が中長期的な企業価値向上に繋がると考え、性別・年齢・国籍等に関わらず必要な人材を積極的に採用・登用する方針です。「攻」への意識改革、戦略実現のための人材ポートフォリオ、ダイバーシティの実現を軸に据え、個々人の成長と活躍できる職場づくりを目指しています。また、健康経営の推進やワークライフバランスの実現にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 43.0歳 | 17.0年 | 7,234,917円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.3% |
| 男性育児休業取得率 | 28.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 66.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 65.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性総合職人数(29名)、GHG排出量(Scope1:126t-CO2)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 関連市場の急激な変動
同社グループの商品は工業用から民生用まで多岐にわたり、販売先もあらゆる業種に関わっています。そのため、世界および各地域、特に日本における経済環境に急激な変化が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 取扱商品の価格変動
取扱商品の価格変動時には適正な価格転嫁に努め、在庫管理の徹底によりリスク回避を図っています。しかし、価格転嫁が十分に実行できない状況が多発した場合や、商品在庫の評価損が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 物流基地における災害等
北海道、仙台、静岡、広島などに薬品タンクや倉庫を備えたストックポイントを設置しています。取扱商品は危険物が大半であり、安全管理を徹底していますが、地震等の災害による事故を完全に防止できる保証はなく、大規模な事故が発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。