※本記事は、株式会社三栄コーポレーションの有価証券報告書(第77期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 三栄コーポレーションってどんな会社?
三栄コーポレーションは、生活関連用品の企画・輸出入販売をグローバルに展開する専門商社です。
■(1) 会社概要
同社は1946年に身辺装飾品の輸出を主とする共栄商会として創業し、1961年に現在の体制の母体となる三栄貿易を設立しました。1979年に東京店頭市場へ株式を公開しています。海外展開にも早くから取り組み、香港、中国、欧州、東南アジアなどに多数の拠点を設立しました。近年では防災関連分野の事業をM&Aにより取得するなど、事業領域の拡大を進めています。
同社グループの従業員数は連結で432名、単体で103名です。筆頭株主は同社の取引先持株会であり、第2位および第3位には金融機関やリース会社が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三栄コーポレーション取引先持株会 | 6.43% |
| 三菱UFJ銀行 | 4.81% |
| MUFGファイナンス&リーシング | 4.69% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は水越雅己氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 水越雅己 | 取締役社長(代表取締役)兼 社長室長 | 住友商事入社後、オリエンタルダイヤモンド代表取締役社長等を経て同社入社。常務取締役等を経て、2022年より現職。 |
| 上瀧準也 | 常務取締役営業本部長兼 家庭用品事業部長 | ニチメン(現双日)入社後、双日インドネシア取締役などを経て同社入社。家具事業部長などを経て、2025年より現職。 |
| 高橋哲也 | 取締役総務・人事本部長兼 チーフ・ファイナンシャル・オフィサー(CFO)兼 TRIACE LIMITED董事長兼 三曄国際貿易(上海)有限公司董事長兼 三栄貿易(深圳)有限公司董事長兼 三栄洋行有限公司董事長兼 台湾三栄貿易股份有限公司董事長 | 東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行後、台北支店長などを経て同社入社。管理本部長等を経て、2025年より現職。 |
| 岡﨑克則 | 取締役管理本部長兼 チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)兼 財務部長 | エルビス入社後、ビレロイ&ボッホテーブルウェアジャパン代表取締役等を経て同社入社。財務部長等を経て、2025年より現職。 |
| 新井三郎 | 取締役(常勤監査等委員) | 東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行後、ラブアン支店長などを経て同社入社。管理本部長等を経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、杉田雪絵(杉田公認会計士事務所代表)、山﨑雄一郎(みとしろ法律事務所代表弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「家具家庭用品事業」「服飾雑貨事業」「家電事業」および「その他」事業を展開しています。
■家具家庭用品事業
リビング家具、ダイニング家具、子供用家具、キッチン関連用品、インテリア用品、収納用品などの企画・輸出入販売を行っています。多様化するニーズに対応した高付加価値商品の提供を通じて、顧客の生活を豊かにすることを目指しています。
収益は、国内外の顧客に対する商品のOEM提供や自社ブランド商品の販売から得ています。運営は同社を中心に、三曄国際貿易(上海)有限公司やTRIACE LIMITED、台湾三栄貿易股份有限公司などの国内外の子会社が担っています。
■服飾雑貨事業
服飾雑貨などの企画・輸出入販売や、国内外フットウエアの販売、セレクトショップの運営を展開しています。また、環境関連商材を取り扱うサステナブルビジネスにも注力しており、環境負荷の低いブランドの展開を進めています。
収益は、一般消費者や法人顧客に対する商品の販売から得ています。運営は同社をはじめ、L&Sコーポレーションなどの子会社が行っています。なお、ベネクシーが運営していた一部の事業は事業譲渡および清算手続きが進められています。
■家電事業
理美容家電、調理家電、家事家電などの企画・輸出入販売を行っています。「mod's hair」などの理美容家電や「Vitantonio」の調理家電を取り扱い、ECチャネル等を通じたブランド展開を推進しています。
収益は、OEM製品の輸出や、自社開発製品の販売から得ています。運営は同社や三發電器製造廠有限公司などが担っています。なお、中国の製造拠点であった三發電器製品(東莞)有限公司は、事業採算性の観点から解散・清算の手続きが進められています。
■その他事業
報告セグメントに含まれない事業として、ペットショップの運営や動物病院の運営、輸送資材の販売、および防災用品の企画・販売など、生活に密着した幅広いサービスを提供しています。
収益は、それぞれの店舗やサービス拠点における顧客からの商品購入代金やサービス利用料から得ています。運営は、ペピカやサムコ、近年新たにグループ入りした防災ダイレクトなどの各子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が340億円から399億円の間で推移していましたが、直近では旅行・外出需要の反動減が響き、減収減益となっています。利益面でも前期の増益から一転し、当期は関係会社整理損の計上もあり最終利益が大きく縮小しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 340億円 | 387億円 | 367億円 | 399億円 | 363億円 |
| 経常利益 | -7億円 | 3億円 | 12億円 | 21億円 | 12億円 |
| 利益率(%) | -1.9% | 0.7% | 3.4% | 5.4% | 3.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -5億円 | 1億円 | 4億円 | 7億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
前期から当期にかけて、売上高の減少に伴い売上総利益と営業利益がともに減少しています。特に営業利益は半減しており、利益率も低下傾向にあることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 399億円 | 363億円 |
| 売上総利益 | 103億円 | 87億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.8% | 23.9% |
| 営業利益 | 21億円 | 10億円 |
| 営業利益率(%) | 5.3% | 2.8% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与及び賞与が27億円(構成比35%)、輸出及び諸手数料が10億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
家具家庭用品事業は堅調に推移しましたが、旅行・外出需要の反動を受けた服飾雑貨事業が大幅な減収となりました。その他事業は防災関連企業の子会社化などにより増収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 家具家庭用品事業 | 186億円 | 192億円 |
| 服飾雑貨事業 | 162億円 | 119億円 |
| 家電事業 | 32億円 | 30億円 |
| その他 | 18億円 | 22億円 |
| 連結(合計) | 399億円 | 363億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面であることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 38億円 | 9億円 |
| 投資CF | -1億円 | 3億円 |
| 財務CF | -7億円 | -9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「随縁の思想」を企業理念に掲げています。これは「縁に随(したが)い縁を活かす」ことであり、人との出会いや絆を大切にし、互いに尊重し助け合い、発展し合う思想を意味します。また、「くらしに、良いものを。」をミッションとし、「健康と環境」をテーマに健やかで潤いのあるくらしを創造することを経営ビジョンとしています。
■(2) 企業文化
同社は企業活動の基盤として「小さなことを誠実に行う」「助け合いのこころを大切にする」「感謝の気持ちを忘れない」「機を逃さない」「地球の未来を考え行動する」という5つの行動規範を定めています。これらは企業理念のもと、すべての役員・従業員が常日頃からいかに判断し行動すべきかの基準となっています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2026年度を初年度とする新たな3カ年中期経営計画「SANYEI NEXT 2028」を策定しました。サプライチェーンの高度化により収益基盤を強化し、サステナブル社会の実現に貢献することを目指しています。
* 経常利益:20億円(最終年度)
* 当期純利益(累計):30億円
* ROE:10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「成長投資」「人的資本投資」「株主還元」の3つを重点施策と位置づけています。成長投資においては、EC事業、海外事業、サステナブル関連事業を着実に積み上げるとともに、M&Aや事業ポートフォリオの見直しを推進します。また、安定的な配当実施や株主優待制度の充実を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を最重要の経営資源の一つと位置づけています。「健康と環境」をテーマとする同社の社員には、生活者としての視点を持ちながら専門性を高めることが求められます。多様な価値観を理解・尊重し、協力し合うことでグループ全体の総合人材力を引き出し、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境づくりを進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.3歳 | 10.4年 | 7,509,242円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.8% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※男女賃金差異については公表義務の対象ではないため、有報には記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める外国人の割合(1.9%)、管理職に占める中途採用者の割合(52.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 地政学リスクの顕在化
同社の事業はグローバルに展開されており、世界各国における政治経済社会情勢の変化や国家間紛争などの影響を受けやすい環境にあります。これらの地政学リスクが顕在化し、国際的な通商環境が不安定化した場合、同社グループの事業活動や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人的リソースの確保と育成
少子高齢化に伴う労働人口の減少や働き方の多様化が進む中、経営資源の根幹をなす人材の確保や育成が順調に進まないリスクがあります。同社は、柔軟な働き方を支援する制度の整備や自律的な学びを促す研修を通じて、社員の成長と定着を図っています。
■(3) サイバーセキュリティの脅威
成長戦略としてEC事業の強化を推進する中、顧客の個人情報漏えいやサイバー攻撃の被害によるリスクが高まっています。万一インシデントが発生した場合、多大な損害賠償責任の発生や信用力低下を招く恐れがあるため、情報セキュリティ対策やバックアップ体制の整備に努めています。
■(4) サプライチェーンの寸断・コスト高騰
原材料の調達から販売網の構築に至るサプライチェーンは、外部環境の変化によるコスト高騰や関税率の変動に左右されます。同社は、調達ルートの分散や代替素材への転換、事業継続計画(BCP)の整備等により、サプライチェーンの安定化とリスクの低減を図っています。



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