※本記事は、三京化成株式会社 の有価証券報告書(第99期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 三京化成ってどんな会社?
化学品専門商社として、原料・資材の販売から住宅部材の製造販売まで幅広く展開する企業です。
■(1) 会社概要
1946年に染料販売を行う三協商会として創業し、翌1947年に三京化成として設立されました。1986年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、2002年にはシンガポールに現地法人を設立するなど海外展開を推進しています。2015年にはキョーワを完全子会社化して建装材事業のメーカー機能を強化し、2022年に東証スタンダード市場へ移行しました。
同グループは連結従業員138名、単体90名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業家関連とみられる有限会社新光企画であり、第2位にはみずほ銀行、第3位には主要な取引先である花王が名を連ねています。安定した株主構成のもと、堅実な経営が行われています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社新光企画 | 15.52% |
| みずほ銀行 | 6.85% |
| 花王 | 3.82% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は小川和夫氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小川 和夫 | 代表取締役社長営業本部長 | 日本合成化学工業を経て1981年に入社。開発本部長、営業本部長などを歴任し、1992年より現職。 |
| 大林 和幸 | 常務取締役建装材事業部長 | 1980年に入社。建装材事業部長、大阪支社長などを経て、2020年より現職。 |
| 吉田 充 | 取締役大阪支社長兼SB事業部長 | 1983年に入社。東京支社長、SB事業部長などを経て、2023年より現職。 |
| 小林 達司 | 取締役東京支社長 | 1994年に入社。山陽営業所所長、名古屋支店支店長、大阪支社長を経て、2023年より現職。 |
| 小川 和浩 | 取締役経営企画部長 | 経営共創基盤を経て、2022年に取締役就任。2023年より現職。 |
| 青戸 淳 | 取締役管理部長 | 阪神電気鉄道、グンゼを経て2024年に入社。同年より現職。 |
| 尾﨑 寛三 | 取締役監査等委員 | 1980年に入社。大阪支社長、常勤監査役などを経て、2019年より現職。 |
社外取締役は、中田英里(公認会計士)、山本寛(弁護士)、福塚圭恵(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「科学事業」「建装材事業」を展開しています。
■(1) 科学事業
土木・建材資材関連、情報・輸送機器関連、日用品関連、および化学工業関連の各分野において、主に原料や資材となる商品を販売しています。幅広い産業分野に対し、化学品を中心とした商材を提供することで、モノづくりの現場を支えています。
収益は、顧客への商品販売による対価を中心としています。運営は主に三京化成が行っているほか、海外においてはSANKYO KASEI SINGAPORE PTE.LTD.や産京貿易(上海)有限公司などの現地法人が、関連会社である三東洋行有限公司と連携して事業を展開しています。
■(2) 建装材事業
主に住宅用部材の販売および各種木工製品の製造販売を行っています。商社機能にとどまらず、メーカー機能を取り込むことで付加価値の高い商品提供を目指しています。
収益は、住宅用部材や木工製品の販売によって得ています。運営は、販売を三京化成が担い、製品の保管・仕分梱包・出荷を大同工業が、各種木工製品の製造販売をキョーワが行う体制となっています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は200億円台前半から後半へと堅調に推移しています。経常利益も増加傾向にあり、利益率も徐々に改善しています。当期純利益については、直近の第99期において大幅な増加が見られます。全体として、事業規模の拡大とともに収益性も向上している傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 216億円 | 242億円 | 267億円 | 262億円 | 271億円 |
| 経常利益 | 1.8億円 | 3.2億円 | 4.7億円 | 5.0億円 | 5.9億円 |
| 利益率(%) | 0.8% | 1.3% | 1.8% | 1.9% | 2.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.2億円 | 0.9億円 | 1.4億円 | 3.2億円 | 6.6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率、営業利益率ともに小幅ながら改善しており、本業の収益性が高まっていることがうかがえます。コストコントロールが進み、効率的な経営が行われている様子が見て取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 262億円 | 271億円 |
| 売上総利益 | 25億円 | 26億円 |
| 売上総利益率(%) | 9.4% | 9.5% |
| 営業利益 | 3.8億円 | 4.6億円 |
| 営業利益率(%) | 1.5% | 1.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6.4億円(構成比30%)、賞与引当金繰入額が0.8億円(同4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
科学事業は、土木・建材資材関連や化学工業関連分野が伸長し、増収となりました。一方、建装材事業は造作関連製品の出荷が低調で減収となりましたが、利益面では改善が見られます。全体としては科学事業の成長が業績を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 科学事業 | 210億円 | 228億円 |
| 建装材事業 | 53億円 | 43億円 |
| 連結(合計) | 262億円 | 271億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**事業検討型**
営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっていますが、これは主に仕入債務の減少(支払いの実行)や棚卸資産の増加などによるものです。投資活動では有価証券の売却等によりプラスとなり、財務活動では自己株式の取得や配当金の支払いでマイナスとなっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | -7億円 |
| 投資CF | -2億円 | 8億円 |
| 財務CF | -1億円 | -12億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均(2.9%)を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.9%で市場平均(48.5%)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同グループは、お客様中心の営業活動を基本とし、環境に優しい商品の提案に積極的に取り組むとともに、顧客に喜ばれるグローバル商社を目指すことを経営の基本方針としています。社会貢献と地球環境のサステナビリティ向上にも努めています。
■(2) 企業文化
創業以来、技術コンサルタントを主体とした「技術指向型営業」を一貫して行っています。商社でありながらファブレスによるものづくりを行うなど、付加価値の高い商品提供を目指す姿勢が根付いています。また、顧客ニーズへの迅速な対応と、タイムリーで的確な商品・サービスの提供を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
中期的な経営戦略の下、多様化する顧客ニーズに対応し、企業競争力の強化と企業価値の向上に取り組んでいます。具体的な数値目標としては、事業の持続性向上とともに、収益力の強化を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
収益向上に向けて、技術・ノウハウを駆使したファインケミカル商品への指向や、東南アジアへの営業基盤拡大に取り組んでいます。また、建装材事業ではメーカー機能の強化を図っています。海外市場においては、シンガポール、上海、タイ、ベトナムの4拠点と国内拠点の連携により、輸出入および海外進出企業との取引拡大を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
役職員の心身の健康に配慮しつつ、職務遂行能力を高めるための技能・技術・知識習得の機会を提供・支援しています。階層別の期待役割や発揮能力を習得させることで、専門性の高い人材集団となることを目指しています。また、多様な人材の確保にも積極的に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.9歳 | 15.6年 | 5,940,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、総合職に占める女性及び外国人労働者の割合(18.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 国内経済の動向
主に内需を対象としたビジネスを行っているため、国内経済の動向に影響を受けます。新規事業の開発や海外事業の拡大に取り組んでいますが、国内需要の減少や厳しい市場競争による価格低下により、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
■(2) 取引先の海外移転
取引先による製造拠点の海外移転に対応するため、東南アジアを中心に海外拠点を拡充しグローバル化を推進しています。しかし、主要な取引先の海外移転に適時適切に対応できず商権が減少した場合には、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 原油価格の変動
取扱商品である石油化学製品の価格は、原油価格の変動に影響を受けます。仕入先との価格交渉やコスト削減に努めていますが、原油価格の著しい変動を商品価格に転嫁しきれない場合、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。



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