※本記事は、三京化成株式会社の有価証券報告書(第100期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. 三京化成ってどんな会社?
化学品専門商社として、土木・建材資材から情報関連まで幅広い領域で機能性商材を提供しています。
■(1) 会社概要
1946年7月に染料の販売を行う三協商会として創業し、1947年に三京化成として設立されました。1958年に製造部門を分離して大同工業を設立し、1986年に大阪証券取引所の市場第二部に上場しました。2013年の市場統合に伴い東京証券取引所市場第二部に上場し、2015年にキョーワを完全子会社化しています。
従業員数は連結で135名、単体で90名です。筆頭株主は有限会社新光企画で、第2位はインタラクティブ・ブローカーズ証券が常任代理人を務めるINTERACTIVE BROKERS LLCです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社新光企画 | 17.51% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 5.05% |
| みずほ銀行 | 3.91% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は小川和夫氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小川和夫 | 代表取締役社長 | 1978年日本合成化学工業入社、1981年同社入社。常務取締役、取締役副社長等を経て、1992年より現職。 |
| 吉田充 | 常務取締役大阪支社長 | 1983年同社入社。東京支社営業次長、大阪支社営業次長、東京支社長等を経て、2025年より現職。 |
| 小林達司 | 取締役東京支社長 | 1994年同社入社。山陽営業所所長、名古屋支店支店長、取締役大阪支社長等を経て、2023年より現職。 |
| 小川和浩 | 取締役経営企画部長兼SB事業部長 | 2016年経営共創基盤入社。同社マネージャーを経て、2022年同社取締役就任。2025年より現職。 |
| 青戸淳 | 取締役管理部長 | 1986年阪神電気鉄道入社。グンゼ繊維資材事業部管理課長、海外法人代表等を経て、2024年より現職。 |
| 喜田章生 | 取締役建装材事業部長 | 1984年同社入社。建装材事業部営業課長、キョーワ代表取締役等を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、中田英里(公認会計士)、山本寛(弁護士)、福塚圭恵(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「科学事業」および「建装材事業」を展開しています。
■(1) 科学事業
土木・建材資材関連、情報・輸送機器関連、日用品関連及び化学工業関連の各分野において、主として原料・資材となる商品を販売しています。国内外の取引先に対し、長年蓄積した技術やノウハウを駆使して機能性商材などの付加価値の高い商品を提案しています。
収益源は、各分野における商品販売の対価として顧客から受け取る販売代金です。事業の運営は同社が行うほか、海外取引についてはシンガポール、上海、タイ、ベトナムの各現地法人が直接または同社を通じて仕入れや販売を担っています。
■(2) 建装材事業
主に住宅用部材の販売及び各種木工製品の製造販売を行っています。商社としての販売機能に加え、メーカー機能も有しており、事業基盤の拡充とグループ収益の改善に向けた取り組みを継続的に進めています。
収益源は、住宅用部材や木工製品の販売代金です。住宅用部材の保管・仕分梱包・出荷については同社からの加工委託により大同工業が行い、各種木工製品の製造販売はキョーワが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は242億円から272億円へと緩やかな拡大傾向にあります。経常利益も3億円から6億円へと順調に増加しており、利益率も改善を続けています。親会社株主に帰属する当期純利益も増益傾向を維持しており、全体として安定した成長を遂げていることが伺えます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 242億円 | 267億円 | 262億円 | 271億円 | 272億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 5億円 | 5億円 | 6億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 1.3% | 1.8% | 1.9% | 2.2% | 2.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 3億円 | 3億円 | 6億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は微増ながら、売上総利益は堅調に増加しており、利益率の改善が見られます。営業利益も増加しており、コスト適正化の効果が表れています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 271億円 | 272億円 |
| 売上総利益 | 26億円 | 27億円 |
| 売上総利益率(%) | 9.5% | 9.9% |
| 営業利益 | 5億円 | 5億円 |
| 営業利益率(%) | 1.7% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7億円(構成比30%)、賞与引当金繰入額が1億円(同4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別に見ると、主力である科学事業は機能性商材の取引拡大が寄与し、売上高・利益ともに堅調に伸長しています。一方、建装材事業は建材関連製品が堅調だったものの、造作材関連や住宅用関連製品の出荷が低調となり、減収減益となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 科学事業 | 228億円 | 235億円 | 5億円 | 6億円 | 2.6% |
| 建装材事業 | 43億円 | 37億円 | 2億円 | 1億円 | 3.0% |
| 連結(合計) | 271億円 | 272億円 | 5億円 | 5億円 | 1.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -7億円 | 11億円 |
| 投資CF | 8億円 | 8億円 |
| 財務CF | -12億円 | -9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.6%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、お客様中心の営業活動を基本として、環境に優しい商品の提案に積極的に取り組むとともに、お客様に喜ばれるグローバル商社を目指すことを経営の基本方針としています。また、すべての事業目的の遂行において、環境保全や省資源、社会貢献など地球環境のサステナビリティ向上に努めています。
■(2) 企業文化
創業以来、一貫して技術コンサルタントを主体とした技術指向型営業を行っており、商社でありながらファブレスによるものづくりを行うなど、より付加価値の高い商品提供を目指す文化があります。長年蓄積した技術やノウハウを駆使し、顧客ニーズに迅速に対応する姿勢が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、中期的な経営戦略の下に、多様化する顧客ニーズに迅速に対応し、タイムリーで的確な商品・サービスの提供に努め、企業競争力の強化と企業価値の向上に取り組んでいます。持続的な収益改善とともに、国内外における事業基盤の拡充を目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は機能性商材を中心とした新規開発の加速と、継続的な業務改善活動の推進により事業拡大と収益力の強化に注力します。また、海外事業ではアジアにおける営業4拠点との連携による輸出入や取引拡大を推進し、ICTの更なる活用などを通じて事業の持続性向上を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、技術指向型営業を基盤とした高付加価値商品の提供と海外市場の拡大を支えるため、専門人材、事業推進人材、中核人材の育成と確保を進めています。多様な人材の確保に努めるとともに、意欲のある従業員に対する研修支援や、公正な人事評価に基づく人事処遇制度の整備を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.1歳 | 15.1年 | 6,150,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は常時雇用する労働者が300人以下であり公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 取引先の海外移転
主要な取引先の製造拠点が海外へ移転する中、適時適切に対応できず商権が減少した場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。これに対し、東南アジアを中心に海外拠点を拡充し、グローバル化を推進しています。
■(2) 原油価格の変動
取扱商品である石油化学製品の価格は、原油価格の変動に影響を受けます。仕入先との価格交渉やコスト削減に努めていますが、著しい変動を商品価格に転嫁しきれない場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 為替の変動
輸出入取引等に係る為替変動リスクを軽減するため、ヘッジ手段として為替予約を締結していますが、予測を超えた為替レートの変動が発生した場合、同社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
■(4) 取引先の信用リスク
国内外の取引先に対する売掛債権等について信用供与を行っており、定期的な評価や保全措置を講じています。しかし、予期せぬ貸倒れ等が発生した場合には、業績や財政状態に影響を与えるリスクが存在します。



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