新光商事 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

新光商事 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する新光商事は、半導体や電子部品、アセンブリ製品などの販売を主力とするエレクトロニクス商社です。直近の業績は、主要取引先との契約終了等の影響により減収となったものの、利益率の改善や販売費及び一般管理費の低減等により最終増益を達成し、減収増益のトレンドとなっています。


※本記事は、新光商事株式会社の有価証券報告書(第73期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 新光商事ってどんな会社?


同社は半導体や電子部品などの販売を主力とするエレクトロニクス商社です。

(1) 会社概要


1953年に東京都中央区で設立され、1983年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、1990年に同市場第一部へ指定替えを行いました。直近では2025年にシミズシンテックを子会社化し、2026年に完全子会社のノバラックスジャパンを吸収合併するなど、グループ再編を進めています。

現在の従業員数はグループ全体で667名、単体で288名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は個人株主の野村絢氏、第3位はシティインデックスファーストとなっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.16%
野村絢(常任代理人 三田証券) 9.69%
シティインデックスファースト 6.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は小川達哉氏が務めています。社外取締役は4名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
小川達哉 代表取締役社長 1986年同社入社、NOVALUX EUROPE LTD.社長などを経て、2013年より現職。
細野克宏 常務取締役 1989年同社入社、名古屋支店長などを経て、2026年より現職。
一色修志 常務取締役 1986年横浜銀行入行、コンコルディア・フィナンシャル・グループなどを経て、2026年より現職。
小林克衛 取締役 1990年日本電気入社、ルネサスエレクトロニクスなどを経て、2024年より現職。
井上邦博 取締役 1988年同社入社、SHINKO(PTE)LTD.社長などを経て、2026年より現職。
石戸正典 取締役 1989年同社入社、楽法洛(上海)貿易有限公司社長などを経て、2026年より現職。
弓削文孝 取締役監査等委員 1984年同社入社、NT販売社長などを経て、2022年より現職。


社外取締役は、吉池達悦(元日置電機社長)、石原敏彦(元富士電機執行役員)、坂巻吉輝(弁護士)、田中一恵(税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「電子部品事業」「アセンブリ事業」および「その他の事業」を展開しています。

電子部品事業


マイコン、システムLSI、メモリなどの半導体や、コンデンサなどの一般電子部品の販売を行っており、国内外の顧客に向けて多様なエレクトロニクス商材を提供しています。

顧客への製品販売による代金を主な収益源としています。事業の運営は同社のほか、SHINKO(PTE)LTD.やNOVALUX HONG KONG ELECTRONICS LIMITED、シミズシンテックなどの関係会社が担っています。

アセンブリ事業


顧客の多様なニーズに合わせたアセンブリ製品の提供を行っています。主に娯楽機器関連などの分野に向けて製品を販売しています。

顧客へ販売したアセンブリ製品の代金を収益源としています。同社およびNOVALUX HONG KONG ELECTRONICS LIMITEDが事業を運営しています。

その他の事業


ワークステーション、サーバ、コンピュータ周辺機器等の電子機器販売や、電気設備工事業、マイクロコンピュータのソフトウェア受託開発などを行っています。

製品の販売代金や受託開発費用などを収益源としています。同社やNT販売、エルエスアイデザインセンター、シミズシンテックなどが運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は半導体需要の変動や特約店契約終了の影響により増減がみられ、直近では減収となっています。一方、経常利益は利益率の改善やコスト削減により直近で増益に転じており、外部環境の変化を受けつつも収益性の向上に努めている傾向がうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1352億円 1791億円 1758億円 1160億円 991億円
経常利益 41億円 68億円 48億円 6億円 16億円
利益率(%) 3.0% 3.8% 2.7% 0.5% 1.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 33億円 27億円 18億円 3億円 -2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益推移を見ると、売上高は減少したものの、売上総利益および営業利益は増加しており、各利益率も改善しています。これは利益率の高い商材へのシフトやコストコントロールの成果が表れているものと考えられます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1160億円 991億円
売上総利益 92億円 105億円
売上総利益率(%) 8.0% 10.6%
営業利益 6億円 12億円
営業利益率(%) 0.5% 1.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が37億円(構成比40%)、賞与引当金繰入額が10億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力である電子部品事業は自動車電装機器関連などの不調により減収となりました。アセンブリ事業も娯楽機器関連の低調により売上が減少しています。一方、その他の事業は子会社化や設備装置の好調により大幅な増収を記録しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
電子部品事業 891億円 645億円
アセンブリ事業 166億円 141億円
その他の事業 103億円 205億円
連結(合計) 1160億円 991億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で稼いだキャッシュを投資や借入金の返済に充てる健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 317億円 58億円
投資CF -31億円 -4億円
財務CF -116億円 -68億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


『電子部品商社グループとして持続可能な社会の実現に貢献する』と定め、多様化する事業課題に対し迅速かつ最適な対応を行い、更なる企業価値向上を図るとともに人と地球の環境を大切にする社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


『変革の時代の中で、多様なエレクトロニクス商材・サービス等の提供を通じ存在価値を高め、進化する電子部品商社グループを具現化する』を経営方針としています。多様性を重視して個々人を尊重・受容し、組織の力を最大限に発揮するための環境整備に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期から2028年3月期までの3カ年を計画期間とする中期経営計画において、以下の目標を掲げています。

* 売上高:1,700億円
* 当期純利益:45億円
* ROE:8.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


成長に向けた重点施策として、事業ポートフォリオの再構築や新規コア商材の創出・拡充、エリア戦略やM&Aを目的とした成長投資を進めています。また、人的資本への投資や環境に関する取り組みを強化し、持続的な成長と企業価値の向上を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人間尊重主義」を掲げ、多様性を重視して個々人を尊重・受容し組織の力を最大限に発揮できる環境整備に取り組んでいます。社員が自らの意志で学べる環境を提供することを企業の責任と考え、体系的な人材教育制度を整え、多様な人材の採用や育成を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.3歳 15.8年 7,252,000円


※平均年間給与は、賞与、基準外賃金及び前払退職金を含んでいます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.8%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 53.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 61.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 35.0%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職の占める割合の目標値(提出会社10.0%)、女性管理職の占める割合の目標値(グループ20.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界の需要動向による影響


得意先である電子・電気機器業界の電子部品等の需要や設備投資動向の影響を受けやすく、生成AIやデータセンター向けなど需要が変動することにより、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 顧客に対する信用リスク


多くの顧客に対して代金後払いで製品やサービスを提供しており、多額の売掛金を有する顧客が財務上の問題に直面した場合、業績や財務状況に影響を及ぼす恐れがあります。同社は与信管理体制を整備しリスク軽減に努めています。

(3) 海外市場での事業拡大に伴うリスク


アジアを中心とした海外市場での事業拡大を戦略としており、海外の金融市場や経済、政情などに問題が生じた場合、需要が大幅に減少し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) システム障害及び情報漏洩のリスク


ハードウェアの故障やサイバー攻撃、内部の不正行為などにより、重要な業務の中断やデータ損失、情報漏洩が発生し、業績や信用を損なうリスクがあります。同社はEDRの導入等でセキュリティ強化に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。