デンキョーグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

デンキョーグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

デンキョーグループホールディングスは、スタンダード市場に上場し、生活家電や日用品の企画製造販売、不動産賃貸などを展開する企業です。直近の業績トレンドとして、売上高は前年比でやや減少しましたが、売上総利益率の改善や販売費用の削減を進めた結果、営業利益および経常利益は大幅な増益を達成しています。


※本記事は、株式会社デンキョーグループホールディングスの有価証券報告書(第78期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. デンキョーグループホールディングスってどんな会社?


同社グループは、生活家電や日用品の企画製造販売を主力とし、快適な暮らしをサポートする企業です。

(1) 会社概要


同社のルーツは1948年に創業した電響社に遡ります。1984年に大阪証券取引所第二部に上場し、2013年には東京証券取引所第二部(現スタンダード市場)へ移行しました。2022年に持株会社体制へ移行し、現在のデンキョーグループホールディングスに社名を変更しています。直近では2024年にシー・シー・ピーを子会社化し、2025年にはスタートアップを対象とする投資事業組合を設立するなど、事業領域の拡大を図っています。

同社グループは連結で511名、単体で19名の従業員を擁しています。筆頭株主は事業会社のイワタニであり、第2位は取引先で構成されるデンキョーグループ取引先持株会、第3位はデンキョーグループ従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
イワタニ 14.64%
デンキョーグループ取引先持株会 13.52%
デンキョーグループ従業員持株会 6.48%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は高瀬一郎氏が務めており、社外取締役比率は33.3%(取締役6名中2名)となっています。

氏名 役職 主な経歴
高瀬一郎 代表取締役社長 1992年に同社入社。名古屋支店長、関東営業部長、西日本営業統括部長兼関西営業部長などを経て、2022年に電響社代表取締役社長に就任。2024年より現職。
坂田周平 取締役会長 1980年に日立家電販売(現日立グローバルライフソリューションズ)入社。2012年に同社入社。営業本部長、代表取締役社長を経て、2024年より現職。
栗嶋裕充 代表取締役専務 1987年に三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2018年に同社入社。管理本部統括部長兼経理部長、常務取締役などを経て、2025年より現職。
御前仁志 取締役人事・総務担当 1987年に紀陽銀行入行。ピクセラ取締役、アテクト社外取締役を経て、2012年に同社入社。管理本部長兼総務部長などを歴任し、2022年より現職。


社外取締役は、徳丸公義氏(タックスブレイン代表取締役社長)、寺田明日香氏(N&T法律事務所共同代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「生活家電販売事業」「日用品販売事業」「不動産賃貸事業」および「その他」事業を展開しています。

生活家電販売事業


メーカーから商品を仕入れ、家電量販店やホームセンター、通信販売会社などの小売業者等へ販売するほか、自社で企画製造した生活家電を卸売・小売業者等に提供しています。消費者のニーズに合致した付加価値の高い商品の発掘・開発を行っています。
収益源は、商品の販売代金です。同事業の運営は、主に電響社、大和無線電器、アピックスインターナショナル、シー・シー・ピーの各社が担当しています。

日用品販売事業


文房具や日用品、衛生用品などの家庭用品を企画製造し、小売業者等に販売しています。また、メーカーから仕入れた日用品を専門量販店や通信販売会社に提供し、主要得意先への提案強化を通じて事業拡大を図っています。
収益源は、日用品や家庭用品の販売代金です。同事業の運営は、主に梶原産業およびサンノートが担当しています。

不動産賃貸事業


同社グループが所有する自社物件の一部を有効活用し、安定的な収益基盤を構築することを目的に不動産賃貸を行っています。
収益源は、所有不動産のテナント等から受け取る賃貸料です。運営は同社のほか、大和無線電器、梶原産業、響和が担当しています。

その他事業


電子部品の仕入販売、生活家電の修理や商品の保管・配送・取付設置、弱電設備の設計・施工、不動産および駐車場の管理、スタートアップを対象とした投資など、多様な事業を展開しています。
収益源は、部品販売代金、業務委託料、設備施工料、管理手数料などです。運営は、大和無線電器、リード、システム機器センター、響和などの各社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は520億〜540億円台で安定して推移しています。経常利益は一時的に赤字となった時期もありましたが、直近では回復傾向にあり、利益水準の改善が進んでいます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 537億円 528億円 546億円 543億円 521億円
経常利益 11億円 3億円 -1億円 3億円 4億円
利益率(%) 2.0% 0.5% -0.2% 0.5% 0.8%
当期利益 6億円 4億円 6億円 3億円 2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高は前年比で減少したものの、売上総利益および売上総利益率は上昇しています。これにより、営業利益および営業利益率の改善につながっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 543億円 521億円
売上総利益 102億円 106億円
売上総利益率(%) 18.7% 20.4%
営業利益 1億円 2億円
営業利益率(%) 0.2% 0.3%


販売費及び一般管理費のうち、配送費が29億円(構成比28%)、給料手当(販売費および一般管理費の合計)が30億円(同29%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の生活家電販売事業は前年比で減収となり赤字を計上しましたが、日用品販売事業および不動産賃貸事業が増収増益となり、全体の業績を支えています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
生活家電販売事業 430億円 406億円 1億円 -1億円 -0.1%
日用品販売事業 93億円 95億円 2億円 2億円 2.6%
不動産賃貸事業 4億円 4億円 3億円 3億円 68.9%
その他 17億円 16億円 1億円 1億円 5.9%
連結(合計) 543億円 521億円 1億円 2億円 0.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的とされる末期型のパターンとなっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 11億円 -0.3億円
投資CF 1億円 -2億円
財務CF -40億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「消費者第一主義」を掲げ、ブランドマップのパーパスとして「毎日をもっと、もっと、ここちよく」を定めています。生活に関わるサービスや商品をトータル的に取り扱うことで、消費者が安心で快適な暮らしができるお手伝いを目指しています。

(2) 企業文化


同社は5つのスピリットを行動基準として掲げています。「Commitment(最後までやり抜く)」「Sincerity(誠実と信頼)」「Challenging(失敗を恐れず挑戦する)」「Teamwork(全員参加)」「Well-being(心と体が満たされた日々)」を体現し、組織文化の醸成を図っています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画において「売上高1,000億円企業」の実現を掲げており、その達成に向けた企業価値の向上を目指しています。

* 売上高:1,000億円(中期目標)
* 経常利益率:1.4%(2027年3月期目標)、5.0%(2031年3月期目標)

(4) 成長戦略と重点施策


「成長事業戦略の再構築・推進強化」「経営基盤・事業基盤の強化・拡充」「働き方改革・人材育成への取組強化」を基本戦略としています。オリジナル商品の販売強化や新規販路の開拓、M&Aによる事業拡張、物流コストの削減などに取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「働き方改革・人材育成への取組強化」を基本戦略に掲げ、持続的成長に不可欠な人材確保・育成と働き甲斐のある職場づくりを目指しています。シニア層の活躍やオープンな組織運営、リスキリング支援など、7つの重点項目に基づく人事施策を展開しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.4歳 5.3年 6,523,701円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.5%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 55.7%
男女賃金差異(正規雇用) 71.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 97.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員女性比率(29.8%)、新入社員女性比率(5年以内)(52.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済動向・個人消費の減退リスク


同社グループの業績は国内の景気動向と個人消費に強く連関しています。エネルギー価格や原材料コストの高騰、物価上昇に伴う個人消費の減退など、不確定要素が顕在化した場合、売上および利益に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 専門量販店との価格競争激化


主要販売先である家電量販店やホームセンターなどの専門量販店において、業種業態を超えた激しい価格競争や寡占化が進んでいます。市場環境の変化や選別消費の傾向が強まる中、適切に対応できない場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。

(3) 為替変動に伴う仕入価格への影響


同社グループが取り扱う商品の多くは海外(特に中国)で生産されており、為替相場の変動が仕入価格に影響を及ぼします。為替予約や外貨建預金の保有などでリスク軽減を図っていますが、急激な為替変動が生じた場合、収益を圧迫するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。