※本記事は、株式会社デンキョーグループホールディングス の有価証券報告書(第77期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. デンキョーグループホールディングスってどんな会社?
生活関連商品を扱う商社機能と、メーカー機能を併せ持つ企業グループです。創業70年以上の歴史を持ちます。
■(1) 会社概要
1948年に電響社として創業し、電気・音響関連商品の卸売を開始しました。1984年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、2013年には東京証券取引所市場第二部へ上場しました。2022年に持株会社体制へ移行し、現社名に変更しました。2024年には株式会社シー・シー・ピーを完全子会社化するなど、メーカー機能の強化を進めています。
2025年3月31日現在、グループ全体の従業員数は535名、単体では34名です。筆頭株主は主要取引先である株式会社イワタニで、第2位は取引先持株会、第3位は金融機関となっており、取引先との強固な関係性がうかがえます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社イワタニ | 15.21% |
| デンキョーグループ取引先持株会 | 14.02% |
| 株式会社三菱UFJ銀行 | 4.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名、女性比率11.1%です。代表取締役社長は高瀬一郎氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 高瀬 一郎 | 代表取締役社長グループ事業統括本部長 | 1992年同社入社。名古屋支店長、関東営業部長、物流本部長などを経て、2024年6月より現職。 |
| 栗嶋 裕充 | 代表取締役専務グループ管理統括本部長 | 1987年株式会社三和銀行入行。2018年同社入社。管理本部副本部長、経理部長などを経て、2025年6月より現職。 |
| 坂田 周平 | 取締役会長 | 1980年日立家電販売株式会社入社。2012年同社入社。営業本部総括営業部長、代表取締役社長などを経て、2024年6月より現職。 |
| 御前 仁志 | 取締役人事・総務担当 | 1987年株式会社紀陽銀行入行。2012年同社入社。総務部長、管理本部長などを経て、2018年より現職。 |
社外取締役は、徳丸公義(株式会社タックスブレイン代表取締役社長)、寺田明日香(N&T法律事務所共同代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「生活家電販売事業」、「日用品販売事業」、「不動産賃貸事業」の3つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。
**(1) 生活家電販売事業**
メーカーから仕入れた商品を家電量販店やホームセンター、通販会社等へ販売するほか、自社で企画製造した生活家電の卸売を行っています。主な顧客は専門量販店や小売業者です。
収益は商品の販売代金です。運営は主に株式会社電響社、大和無線電器株式会社が行うほか、メーカー機能を持つ株式会社アピックスインターナショナル、株式会社シー・シー・ピー等が担当しています。
**(2) 日用品販売事業**
家庭用品や衛生用品などの日用品をメーカーから仕入れ、量販店や小売業者へ販売するほか、文房具や日用品の企画製造販売も行っています。
収益は商品の販売代金です。運営は主に卸売を行う梶原産業株式会社と、企画製造を行うサンノート株式会社が担当しています。
**(3) 不動産賃貸事業**
同社グループが保有する自社物件の一部を有効活用し、賃貸を行っています。
収益は賃貸先からの賃料収入です。運営は同社および大和無線電器株式会社、梶原産業株式会社、株式会社響和が行っています。
**(4) その他**
電子部品の販売、生活家電の修理・配送・設置、弱電設備の設計・施工、不動産管理などを行っています。
収益は商品の販売代金やサービスの提供対価です。運営は大和無線電器株式会社、リード株式会社、株式会社システム機器センター、株式会社響和が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は500億円台半ばで安定的に推移しています。2024年3月期は経常赤字となりましたが、2025年3月期は黒字に回復しました。利益率は低水準ながらも、当期純利益は資産売却益などの特別利益計上もあり、回復傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 574億円 | 537億円 | 528億円 | 546億円 | 543億円 |
| 経常利益 | 19億円 | 11億円 | 3億円 | -1億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 3.3% | 2.0% | 0.5% | -0.2% | 0.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 13億円 | 6億円 | 4億円 | 1億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微減となりましたが、売上総利益率は改善しました。営業利益は黒字転換を果たしており、本業の収益性が回復しつつあることがわかります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 546億円 | 543億円 |
| 売上総利益 | 99億円 | 102億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.2% | 18.7% |
| 営業利益 | -3億円 | 1億円 |
| 営業利益率(%) | -0.5% | 0.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が30億円(構成比約30%)、配送費が29億円(同約29%)を占めています。物流コストや人件費が主要なコスト要因となっています。
■(3) セグメント収益
生活家電販売事業は売上が横ばいでしたが、利益面では黒字を確保しました。日用品販売事業は増益となり、不動産賃貸事業も安定した高い利益率を維持しています。その他事業も黒字を維持しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 生活家電販売事業 | 431億円 | 430億円 | -6億円 | 1億円 | 0.1% |
| 日用品販売事業 | 94億円 | 93億円 | 1億円 | 2億円 | 1.9% |
| 不動産賃貸事業 | 4億円 | 4億円 | 3億円 | 3億円 | 66.6% |
| その他 | 18億円 | 17億円 | 1億円 | 1億円 | 6.9% |
| 調整額 | - | - | -1億円 | -5億円 | - |
| 連結(合計) | 546億円 | 543億円 | -3億円 | 1億円 | 0.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
デンキョーグループホールディングスは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、日々の事業活動から生み出される資金の流れを示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却など、将来の成長に向けた投資活動の結果を表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や調達、配当金の支払いなど、資金調達や返済に関する動きを示しています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「消費者第一主義」を掲げ、社会と共に成長する誠実な企業グループであることを目指しています。誠実なサービスや商品の提供を通じて人々に潤いや喜びを感じてもらうこと、そして全てのステークホルダーに対して誠実であることを「3つの願い」として経営理念に定めています。
■(2) 企業文化
同社は「すべてにチャレンジ 変化を恐れず、共に力を合わせて未来を切り拓こう!」を経営スローガンとしています。また、スピリットとして「Commitment(責任感)」「Sincerity(誠実・信頼)」「Challenging(挑戦)」「Teamwork(全員参加)」「Well-being(心と体の充足)」を掲げ、前向きで誠実な行動を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は2027年3月期を最終年度とする中期経営計画において、「売上高1,000億円企業」の実現に向けた企業価値の向上を基本方針としています。財務目標として、中期経営計画の最終年度において以下の数値を掲げています。
* 経常利益率:3.6%
■(4) 成長戦略と重点施策
「成長事業戦略の再構築・推進強化」「経営基盤・事業基盤の強化・拡充」「働き方改革・人材育成への取組強化」を基本戦略としています。具体的には、通販・EC事業やBtoB市場への取り組み強化、オリジナル商品の開発やM&Aによるメーカー機能の強化を進めます。また、物流改革やDX推進による業務効率化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「働き方改革・人材育成への取組強化」を基本戦略の一つとし、価値創出に必要な人材の確保とエンゲージメント向上を図っています。専門人材の確保、資格取得支援やeラーニングによる能力開発、DX推進による労働生産性の向上、女性活躍推進などの多様性向上に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.0歳 | 6.7年 | 6,212,903円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.8% |
| 男性育児休業取得率 | 22.2% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 52.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 70.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※数値は主要連結子会社である株式会社電響社の実績です。提出会社は公表義務の対象外ですが、連結子会社の情報を開示しています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済動向および個人消費の影響
取り扱う生活関連商品は国内の景気動向や個人消費の影響を強く受けます。計画時の想定を超える経済環境の変化や消費の低迷が発生した場合、グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 業界競争と競合関係
主要販売先である家電量販店やホームセンター等の業界では、価格競争の激化や合従連衡、寡占化が進んでいます。こうした業界動向の変化や競争環境の激化は、同社グループの経営戦略や業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 上位販売先への依存
売上高の一部は特定の上位販売先に依存しています。これらの販売先との取引関係が悪化したり、取引規模が縮小したりした場合、グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 為替変動リスク
取扱商品の多くを海外で生産しているため、為替相場の変動が仕入価格に影響を与えます。為替予約等の対策を行っていますが、急激な円安等は調達コストの上昇を招き、業績に影響を与える可能性があります。



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