※本記事は、トミタの有価証券報告書(第79期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トミタってどんな会社?
機械・工具の専門商社として、国内外で事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1911年に創業し、1943年に設立されました。1970年に現在のトミタに社名を変更し、1984年の米国進出を皮切りに海外展開を本格化しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、近年は2024年にメンテナンスサービスを手がける企業、2025年に計測機器を扱う企業を買収して事業領域を拡大しています。
従業員数は連結で213名、単体で78名体制となっています。筆頭株主はトミコーポレーションで、第2位は従業員などの持株会であるトミタ共栄会、第3位は事業会社のオークマです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| トミコーポレーション | 9.63% |
| トミタ共栄会 | 9.15% |
| オークマ | 5.01% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は冨田稔氏が務めています。社外取締役比率は9.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 冨田稔 | 代表取締役社長 | 2011年入社。営業統括本部長や海外子会社の代表取締役などを歴任し、2021年より現職。 |
| 冨田薫 | 取締役会長 | 1975年入社。1991年に代表取締役社長に就任し長年経営を牽引した後、2023年より現職。 |
| 樋口勝幸 | 専務取締役国内管掌 | 1975年入社。各営業部長を経て2017年に常務取締役となり、2022年より現職。 |
| 小倉弘司 | 常務取締役海外管掌 | 1979年入社。米国子会社のゼネラルマネージャーなどを歴任し、2022年より現職。 |
| 中村龍二 | 取締役総務部長 | 銀行を経て2009年に入社し総務部長に就任。2011年より現職。 |
| 樺木徹 | 取締役東日本営業部長兼営業統括本部部長 | 1989年入社。各営業所長や営業部長を歴任し、2023年より現職。 |
| 粟野友広 | 取締役中部・西日本営業部長兼中国営業所長 | 1983年入社。中国営業所長や西日本統括部長などを歴任し、2025年より現職。 |
社外取締役は、金口和正(元厚木自動車部品専務執行取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「北米」「アジア」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 日本
同社および国内子会社が、主に国内の自動車、建機、半導体関連などの製造業を対象に、工作機械や工具の販売、計量・計測機器の販売、機械の配線・修理などを提供しています。
収益は、取引先への機械および工具の販売代金から得ています。運営は、同社ならびに子会社の新日本産業、ツールメールクラブ、フィールドが行っています。
■(2) 北米
米国、カナダ、メキシコにおいて、現地の日系製造業などを中心に工作機械や工具の販売を行っています。
収益は、顧客への商品販売代金から得ています。運営は、子会社のTOMITA U.S.A.,INC.やTOMITA CANADA INC.などが担当しています。
■(3) アジア
タイ、中国、インドネシア、ベトナム、インドなどにおいて、現地の製造業向けに工作機械および工具の販売を展開しています。
収益は、機械や工具等の販売代金から得ています。運営は、子会社のTOMITA ASIA CO.,LTD.や広州富田貿易有限公司などが担っています。
■(4) その他
欧州地域において、主に電機メーカー等の製造業向けに工作機械および工具の販売を提供しています。
収益は、商品の販売代金から得ています。運営は、英国子会社のTOMITA U.K.,LTD.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあり、194億円から229億円へと成長しています。経常利益は一時的な増減を伴いながら推移し、直近では9億円の黒字を確保しています。利益率はおおむね3%から4%台で安定的に推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 194億円 | 202億円 | 213億円 | 217億円 | 229億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 7億円 | 9億円 | 10億円 | 9億円 |
| 利益率(%) | 3.7% | 3.4% | 4.2% | 4.5% | 4.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 5億円 | 6億円 | 6億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加した一方で、売上総利益は微増にとどまり、売上総利益率はやや低下しました。これに伴い営業利益は減少し、営業利益率も前期を下回る結果となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 217億円 | 229億円 |
| 売上総利益 | 41億円 | 42億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.1% | 18.2% |
| 営業利益 | 8億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 3.6% | 3.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が17億円(構成比49.2%)、旅費及び交通費が2億円(同7.0%)を占めています。
■(3) セグメント収益
北米セグメントが自動車部品メーカー向けの需要を取り込み大きく伸長したほか、アジアやその他セグメントも増収となりました。一方で日本セグメントは前期の設備投資の反動などにより減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 135億円 | 132億円 |
| 北米 | 50億円 | 61億円 |
| アジア | 29億円 | 32億円 |
| その他 | 3億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 217億円 | 229億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
当期のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金を借入金の返済や事業投資に充てる「健全型」となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 19億円 |
| 投資CF | -6億円 | -2億円 |
| 財務CF | -2億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「フェアプレイで世界のものづくりに貢献する」という企業理念を掲げています。コンプライアンスを重視した公正で健全な企業活動を推進し、専門商社として世界のものづくりを支える付加価値の高い商品やサービスの提供を通じて、製造業の発展に貢献することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社グループは「Next Global 4C (Connect, Change, Challenge, Create)」をモットーとしています。多様なステークホルダーとの対話を通じて信頼関係を構築し、時代の変化に対応して変革を続ける姿勢を重んじています。また、社員のやりがいを尊重し、健康増進や幸福度向上を図る働きやすい環境づくりも重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的に売上および利益を伸長させ、企業価値を高めることを経営上の客観的な目標として掲げています。国内外の拠点連携による収益力強化や、環境製品などの成長分野への展開を通じて、持続的な成長を目指す方針を示しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
海外拠点の拡充によるグローバル経営の深化や、HV・EVなどの成長分野および半導体関連業界へのアプローチ強化を推進しています。また、機械の販売とメンテナンスサービスの一体化、宇宙・航空機関連などの新分野への投資、製造工程のDX化や自動化・省人化への対応を通じて、顧客満足度の向上と事業拡大を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「技術に強いグローバル専門商社」を目指し、高度な知識と人間力、グローバルな視野を兼ね備えたプロフェッショナル人材の育成を方針としています。若手社員向けの研修や海外研修を継続的に実施するほか、株式報酬制度の導入や長時間労働の是正、年次有給休暇の取得率向上など、働きやすい職場環境の整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.7歳 | 14.5年 | 8,114,596円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 工作機械業界の動向による影響
同社グループは工作機械の取扱比率が高く、顧客が機械業界に集中しています。企業の設備投資動向や予期せぬ景気変動が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替変動による影響
北米やアジア、欧州などと外貨建による輸出入取引を行っており、海外売上高比率も高い状況です。為替予約などでリスクヘッジを行っていますが、想定を超える為替変動が生じた場合、財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 海外事業展開におけるカントリーリスク
グローバルな事業展開を積極的に進めているため、進出先の国や地域において政治的変動や法規制の変更、急激な経済変動などにより事業活動が制限された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 自然災害や感染症の流行
国内外で事業を展開しており、事業拠点における大規模な自然災害や感染症の流行等によって業務の停止やサプライチェーンの混乱が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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