※本記事は、株式会社トミタ の有価証券報告書(第78期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トミタってどんな会社?
工作機械や工具類を扱う専門商社で、国内だけでなく北米・アジア・欧州に拠点を展開しています。
■(1) 会社概要
1911年に冨田商店として創業し、輸入工具の小売を開始しました。1943年に前身となる冨田工具を設立し、1970年に現社名へ変更しました。2013年に東証JASDAQへ上場し、2022年の市場区分見直しに伴い東証スタンダード市場へ移行しました。
連結従業員数は215名、単体では76名です。筆頭株主は株式会社トミコーポレーションで、第2位は従業員持株会であるトミタ共栄会、第3位は主要取引先である工作機械メーカーです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| トミコーポレーション | 9.71% |
| トミタ共栄会 | 8.82% |
| オークマ | 5.05% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は冨田稔氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 冨田 稔 | 代表取締役社長 | 2011年入社。営業統括本部長、副社長等を経て2021年より現職。 |
| 冨田 薫 | 取締役会長 | 1975年入社。1991年社長就任。2021年会長就任。2023年より現職。 |
| 樋口 勝幸 | 専務取締役国内管掌 | 1975年入社。北関東営業部長、営業統括本部副本部長、常務等を経て2022年より現職。 |
| 小倉 弘司 | 常務取締役海外管掌 | 1979年入社。TOMITA U.S.A.,INC.ゼネラルマネージャー、常勤監査役等を経て2022年より現職。 |
| 中村 龍二 | 取締役総務部長 | 第一勧業銀行(現みずほ銀行)出身。2009年入社、総務部長。2011年より現職。 |
| 樺木 徹 | 取締役東日本営業部長兼営業統括本部部長 | 1989年入社。埼玉営業所長、北関東営業部担当部長等を経て2023年より現職。 |
| 粟野 友広 | 取締役中部・西日本営業部長兼中国営業所長 | 1983年入社。中国営業所長、執行役員西日本統括部長等を経て2025年より現職。 |
社外取締役は、金口和正(元厚木自動車部品専務執行取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「北米」「アジア」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 日本
同社が工作機械や工具の仕入・販売を行うほか、子会社が工具の通信販売、機械の配線・修理等を行っています。半導体業界関連の装置需要などに対応しています。
主な収益は顧客への商品販売代金です。運営は主にトミタが行い、通信販売は株式会社ツールメールクラブ、技術サービスは有限会社フィールドが担当しています。
■(2) 北米
米国、カナダ、メキシコにおいて工作機械や工具の販売を行っています。自動車メーカー向けのMRO(工具類)需要などに対応しています。
主な収益は現地顧客への商品販売代金です。運営はTOMITA U.S.A.,INC.、TOMITA CANADA INC.、TOMITA MEXICO, S. DE R.L. DE C.V.が行っています。
■(3) アジア
タイ、中国、インドネシア、ベトナム、インドにおいて工作機械や工具の販売を行っています。日系製造業の海外進出サポートや現地需要に対応しています。
主な収益は現地顧客への商品販売代金です。運営はTOMITA ASIA CO.,LTD.やTOMITA INDIA PVT.LTD.など各国現地法人が行っています。
■(4) その他
英国において工作機械や工具の販売を行っています。欧州地域での顧客ニーズに対応しています。
主な収益は現地顧客への商品販売代金です。運営はTOMITA U.K.,LTD.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が173億円から217億円へと右肩上がりで推移しています。経常利益も4.8億円から9.7億円へと倍増しており、利益率も改善傾向にあります。特に直近では自動車関連や半導体関連の需要を捉え、増収増益基調を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 173.2億円 | 194.0億円 | 202.0億円 | 213.1億円 | 216.8億円 |
| 経常利益 | 4.8億円 | 7.2億円 | 6.8億円 | 8.9億円 | 9.7億円 |
| 利益率(%) | 2.8% | 3.7% | 3.4% | 4.2% | 4.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.7億円 | 3.9億円 | 4.6億円 | 6.9億円 | 7.7億円 |
■(2) 損益計算書
前期と比較して売上高は微増ですが、売上総利益の伸びが大きく、営業利益率は2.9%から3.6%へ改善しました。販売費及び一般管理費は増加しましたが、増収効果と利益率向上により営業利益は大幅に増加しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 213.1億円 | 216.8億円 |
| 売上総利益 | 37.8億円 | 41.3億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.7% | 19.1% |
| 営業利益 | 6.1億円 | 7.7億円 |
| 営業利益率(%) | 2.9% | 3.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が16億円(構成比48%)、旅費及び交通費が2億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
日本セグメントは半導体関連需要により微増収、北米セグメントは自動車向け工具需要で大幅増収となりました。一方、アジアセグメントは二輪車向け投資の反動や中国市場低迷により減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 134.5億円 | 135.0億円 |
| 北米 | 39.2億円 | 49.6億円 |
| アジア | 36.7億円 | 29.4億円 |
| その他 | 2.7億円 | 2.8億円 |
| 連結(合計) | 213.1億円 | 216.8億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローはプラスで、本業で現金を創出しています。投資活動はマイナスで、定期預金への預入や有価証券取得等の投資を行っています。財務活動は配当支払等によりマイナスです。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業(健全型)と言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -7.7億円 | 3.5億円 |
| 投資CF | -6.8億円 | -6.1億円 |
| 財務CF | -1.9億円 | -2.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「フェアプレイで世界のものづくりに貢献する」という企業理念を掲げています。コンプライアンスを重視した公正で健全な企業活動を基本とし、専門商社として付加価値の高い商品やサービスを提供することで、製造業の発展に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
「Next Global 4C (Connect, Change, Challenge, Create)」をモットーとしています。法令に基づいたフェアな活動を行い、社員のやりがいを尊重して公正な機会を提供するとともに、健康増進や幸福度の向上を図ることを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
持続的に売上及び利益を伸長させ、企業価値を高めることに注力しています。具体的な数値目標としては、主要取扱商品において年1%以上の生産性向上に貢献する割合90.0%などを掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「グローバル経営の深化」としてインドなど海外拠点の拡充を進めています。また、HV・EV・自動運転技術などの自動車関連や半導体関連等の成長分野へ積極的に展開し、顧客の自動化・省人化ニーズへの対応やDX推進による業務効率化に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「技術に強いグローバル専門商社」を目指し、世界各地の展示会視察や勉強会を通じて社員の専門性を高めています。また、若手社員向けの教育プログラムや定期的な各種研修を実施し、次世代を担う多様な人材の確保と育成に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.9歳 | 14.9年 | 7,748,595円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含む税込額です。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 工作機械業界の動向に関するリスク
工作機械の取扱比率が高く、ユーザー層が機械業界に集中しています。業界は景気変動による設備投資動向の影響を受けやすいため、予期せぬ景気変動が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替変動に関するリスク
連結売上高の約4割を海外売上高が占めており、北米やアジア等との外貨建輸出入取引を行っています。為替予約等でヘッジを行っていますが、想定を超える大幅な為替変動が生じた場合、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 海外事業展開に関するリスク
北米、アジア、欧州等で積極的に事業を拡大しています。各国の経済・市場動向に加え、政治的変動や法規制の変更、予期せぬ政策変更等が起きた場合、事業活動が制限され業績に影響を及ぼす可能性があります。



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