※本記事は、三信電気株式会社の有価証券報告書(第75期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 三信電気ってどんな会社?
半導体や電子部品の提供に加え、ICTインフラからAI活用まで支援するソリューション力を強みとしています。
■(1) 会社概要
同社は1951年11月に設立され、1959年に大阪営業所を設置して以降、国内外へ拠点を拡大してきました。1985年7月に東京証券取引所市場第二部に上場し、1996年9月には同市場第一部へ指定替えを果たしました。近年では、2016年4月にTAKUMIを子会社化し、2024年4月には三信ネットワークサービスなどを吸収合併するなど、事業基盤の強化を推進しています。
同社グループは、連結従業員数642名、単体従業員数518名の体制で事業を展開しています。筆頭株主および第3位株主は資産管理業務を行う信託銀行であり、第2位株主は同業の事業会社である新光商事となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.35% |
| 新光商事 | 6.50% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.77% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長執行役員(CEO)は鈴木俊郎氏が務めています。社外取締役は5名で、役員全体の38.5%を占めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木俊郎 | 代表取締役社長執行役員(CEO)監査室担当 | 1982年3月同社入社。総務部長、経営戦略室長を経て2008年6月取締役。2014年8月代表取締役社長兼COO等を経て、2024年6月より現職。 |
| 松永光正 | 取締役会長執行役員 | 1980年1月同社入社。専務取締役、代表取締役社長、代表取締役会長兼CEO等を経て、2024年6月より現職。 |
| 坂本浩司 | 取締役常務執行役員管理本部長 | 1984年3月同社入社。人事部長、執行役員管理本部長等を経て、2015年6月取締役。2021年6月より現職。 |
| 村上淳一 | 取締役上席執行役員財経本部長 | 1989年4月住友銀行(現三井住友銀行)入行。本店営業第十二部長等を経て2021年5月同社出向。2022年6月取締役執行役員。2025年4月より現職。 |
| 岩上均 | 取締役上席執行役員デバイス事業統括第三販売促進ユニット長海外営業ユニット長 | 1988年2月同社入社。三信国際貿易社長等を経て、2023年6月取締役執行役員。2025年4月より現職。 |
| 福井洋 | 取締役上席執行役員ソリューション営業本部副本部長 | 1994年3月同社入社。ネットワークシステム営業一部長等を経て、2024年10月執行役員。2025年6月より現職。 |
| 御園明雄 | 取締役常勤監査等委員 | 1982年3月同社入社。経理部長、財務部長等を経て2019年6月取締役常務執行役員。2022年6月常勤監査役。2024年6月より現職。 |
| 三浦伸一 | 取締役常勤監査等委員 | 1980年3月同社入社。物流センター長等を経て、2012年6月常勤監査役。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、西野實(元長谷工コーポレーション代表取締役専務執行役員)、藤岡昭裕(元三井住友アセットマネジメント取締役副社長)、山本昌平(丸の内中央法律事務所パートナー)、毛塚邦治(毛塚会計事務所設立)、安達美奈子(元ホーチキ商事代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「デバイス事業」および「ソリューション事業」を展開しています。
■(1) デバイス事業
主にエレクトロニクスメーカー向けに、システムLSI、マイコン、パワー半導体などの半導体や、コネクタ、コンデンサなどの電子部品を販売しています。加えて、ソフトウェア開発やモジュール開発といった技術サポートも提供しています。
収益源は、顧客からの商品販売代金や技術サポート料などです。運営は主に三信電気や、海外子会社であるSANSHIN ELECTRONICS (HONG KONG) CO., LTD.、台湾三信電気などが行っています。
■(2) ソリューション事業
クラウドサービスを利用したネットワークインフラやセキュリティ製品について、設計・構築から運用・保守までを一貫して提供しています。また、基幹系業務システムやアプリケーションの提供、AI商材・サービスを活用した新規領域の開拓も行っています。
顧客からのシステム構築費用、運用・保守サービス料、ソフトウェアの販売代金などを収益源としています。当該事業の運営は、主に三信電気が主体となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一時的な増減を伴いつつも直近では拡大傾向にあり、経常利益も直近2期連続で増益となっています。利益率も安定して推移しており、堅調な収益基盤がうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1236億円 | 1611億円 | 1402億円 | 1573億円 | 1724億円 |
| 経常利益 | 36億円 | 55億円 | 39億円 | 49億円 | 61億円 |
| 利益率(%) | 2.9% | 3.4% | 2.8% | 3.1% | 3.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 16億円 | 23億円 | 29億円 | 31億円 | 45億円 |
■(2) 損益計算書
堅調な需要を背景に売上高が増加し、売上総利益および営業利益もそれに伴い拡大しています。営業利益率もわずかながら改善傾向を示しており、効率的な事業運営が進んでいます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1573億円 | 1724億円 |
| 売上総利益 | 165億円 | 184億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.5% | 10.7% |
| 営業利益 | 58億円 | 69億円 |
| 営業利益率(%) | 3.7% | 4.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が44億円(構成比38.2%)、業務委託費が13億円(同10.9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
デバイス事業は車載向けの新規ビジネスが寄与し、機構部品や海外メーカー商材も堅調に推移して増収となりました。ソリューション事業はDX推進ニーズを背景にネットワークシステム等が好調に推移し、大幅な増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| デバイス事業 | 1393億円 | 1502億円 |
| ソリューション事業 | 181億円 | 221億円 |
| 連結(合計) | 1573億円 | 1724億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスであり、営業利益や資産の売却で得た資金によって借入金の返済などを進める「改善型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 40億円 | 57億円 |
| 投資CF | -22億円 | 7億円 |
| 財務CF | -11億円 | -66億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.5%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も50.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「テクノロジーの新しい可能性を探究し、人々の豊かな暮らしと社会の発展に貢献します」という存在意義(ミッション)のもと、「人と技術と英知を磨き、お客様の課題解決のベストパートナーとして選ばれる企業」などの長期的な企業ビジョンを掲げています。
■(2) 企業文化
同社は、社是である「信用、信念、信実」と行動基準を大切にする価値観(バリュー)として定めています。これらを通じて、幅広いステークホルダーと相互理解を深め、共に発展していくことが持続的な企業価値の向上に繋がると考えています。
■(3) 経営計画・目標
2027年3月期を最終年度とする「V76中期経営計画」において、安定してROE8%以上を実現する事業構造の構築を目指しています。最終年度の定量的な目標として以下を掲げています。
* 経常利益:50億円以上
* 親会社株主に帰属する当期純利益:35億円以上
■(4) 成長戦略と重点施策
デバイス事業では成長市場へのリソースシフトや技術力による競争力向上を図り、ソリューション事業では消防・防災関連ビジネスのエリア拡大やAI・DXなどの新規ビジネス創造を推進します。また、収益性改善とキャッシュ創出に向けた資産効率の向上にも取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な企業価値向上を図るため、多様で有能な人材を採用し、経営戦略遂行に必要なスキルの習得を促進しています。さらに、頑張った人が公平に報われる処遇や、安心して効率的に働ける環境を整備し、従業員のエンゲージメントを高めることに努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.3歳 | 15.3年 | 7,300,456円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.2% |
| 男性育児休業取得率 | 71.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 63.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 38.5% |
また、同社は「人材戦略に関する基本方針等」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人管理職比率(10.9%)、中途採用者管理職比率(29.9%)、有給休暇取得率(69.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 気候変動問題に関するリスク
気候変動問題への対応として各国の法規制強化やマーケットの変化が発生しており、これらに適正に対応できなかった場合、競争力の低下や社会的な信用の失墜を招き、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 主要仕入先への依存リスク
デバイス事業における仕入先のうち、上位3社およびそのグループ会社からの仕入高が全体の約65%を占めています。上位仕入先における方針変更や生産停止、企業再編などが行われた場合、売上高や利益に影響を与える可能性があります。
■(3) 主要得意先への依存リスク
デバイス事業における上位4社への売上高構成比が約50%を占めるなど、特定の得意先への依存度が高くなっています。得意先の調達方針変更や生産停止等が生じた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。



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