ソマール 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソマール 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソマールは東証スタンダード市場に上場し、高機能材料、環境材料、食品材料事業を展開する開発型企業です。直近の決算では、自動車部品向け製品の好調や価格改定効果などにより、売上収益は304億円、経常利益は27億円となり、前期比で増収増益を達成しました。


※本記事は、ソマール株式会社 の有価証券報告書(第78期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ソマールってどんな会社?


同社は、電子部品用フィルムや樹脂製品、製紙用薬品などを扱う、メーカー機能と商社機能を併せ持つ企業です。

(1) 会社概要


同社は、1948年に兵庫建材として設立され、化学品商社からメーカー機能を併せ持つ企業へと発展しました。1984年にソマールへ商号変更し、1988年に東証二部に上場しました。その後、アジア・欧米へ拠点を拡大し、2022年には東証スタンダード市場へ移行しています。現在は高機能材料などを主軸にグローバル展開を進めています。

従業員数は連結468名、単体319名です。筆頭株主はゴルフ練習場経営を行うナガツタコーポレーションで、第2位はゴルフ場経営を行う多摩興産、第3位は銀行です。

氏名 持株比率
ナガツタコーポレーション 32.90%
多摩興産 12.30%
三井住友銀行 4.62%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は曽谷太氏が務めています。社外取締役比率は約28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
曽谷 太 代表取締役社長 トーマツ入所後、同社取締役、常務、副社長を経て2011年より現職。
小林 正樹 取締役 デュポン ジャパン入社、同社事業部長を経て、同社執行役員営業本部長などを歴任し現職。
牛尾 成次 取締役 同社理事営業本部長などを経て2022年より現職。
関口 幸久 取締役 同社入社後、海外現地法人社長などを経て2023年より現職。
三村 摂 取締役 トーマツ入所後、三村会計事務所入所。2003年より同社取締役。


社外取締役は、坂本昇(雪ヶ谷化学工業代表取締役社長)、春日孝之(NiKKi Fron代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「高機能材料事業」「環境材料事業」「食品材料事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 高機能材料事業

電子部品用フィルムや粘接着フィルムなどのコーティング製品、電気絶縁用樹脂などの高機能樹脂製品、回路基板材料などの電子材料、機能性樹脂などを提供しています。スマートフォンや自動車電装部品などのエレクトロニクス関連分野が主な市場です。

収益は、これらの製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は主に同社および海外の連結子会社が行っています。

(2) 環境材料事業

製紙用殺菌剤などのファインケミカルズや、紙塗工用バインダーなどの製紙用化学品を提供しています。製紙業界が主要な顧客であり、顧客ニーズに応じた差別化製品の販売を行っています。

収益は、製品および商品の販売代金として製紙会社などから受け取ります。運営は同社が行っています。

(3) 食品材料事業

増粘安定剤や乾燥野菜、食品添加物などの食品素材を提供しています。食品業界が主な顧客であり、天然の食品素材を主要な取扱商品としています。

収益は、食品素材等の販売代金として顧客から受け取ります。運営は同社が行っています。

(4) その他

新規開発事業関連の製品・商品を取り扱っています。アフリカからの輸入切り花の販売や、化粧品ビジネス、機能性材料を使ったスイーツビジネスなどの新規事業が含まれます。

収益は、製品・商品の販売代金により得ています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期には300億円を突破しました。利益面でも、経常利益と当期純利益が大幅に伸長しており、利益率も向上しています。自己資本比率は60%台半ばで安定的に推移しており、財務基盤は盤石です。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 194億円 227億円 251億円 266億円 304億円
経常利益 4.0億円 9億円 9億円 19億円 27億円
利益率(%) 2.1% 3.8% 3.5% 7.2% 8.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.8億円 3億円 0.3億円 4億円 12億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。2025年3月期は増収効果により売上総利益率が向上し、営業利益も前期比で大きく伸びています。コスト管理と売上拡大のバランスが取れた収益構造となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 266億円 304億円
売上総利益 55億円 66億円
売上総利益率(%) 20.7% 21.6%
営業利益 18億円 26億円
営業利益率(%) 6.7% 8.5%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与及び手当が7.3億円(構成比18%)、発送配達費が5.3億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益

主力の高機能材料事業が増収増益を牽引し、環境材料事業も売上を大きく伸ばして利益貢献しました。食品材料事業は微減収となりましたが、黒字を維持しています。全セグメントで安定した収益を確保しつつ、成長分野への展開が進んでいます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
高機能材料事業 193億円 210億円 17億円 25億円 11.7%
環境材料事業 47億円 67億円 2億円 2億円 3.4%
食品材料事業 25億円 25億円 2億円 1億円 5.6%
その他 1.0億円 0.9億円 -0.0億円 -0.2億円 -22.8%
連結(合計) 266億円 304億円 18億円 26億円 8.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、本業で稼いだ資金に加え、借入による資金調達を行いながら積極的な事業活動を展開する「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 23億円 15億円
投資CF -10億円 -3億円
財務CF -1.0億円 9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「高い企業倫理観のもとで、真に社会に貢献できる企業となることを目指す」という理念を掲げています。独自のコア技術を強化・活用し、独自の事業領域を構築することで、顧客に存在価値を認められる開発型企業としての地位を高めることを目指しています。

(2) 企業文化

「メーカー機能」と「商社機能」を併せ持ち、それらを相乗的に高めることで課題解決を提案する姿勢を重視しています。また、グローバルに通用する企業品質を心がけ、技術開発や新市場開拓に果敢に挑戦し、「テクノロジーパートナー」としての存在価値を高めることを目指しています。

(3) 経営計画・目標

継続的な企業価値の増大を最重要課題とし、事業や資本の効率性指標を重視しています。第78期の実績としては以下の数値を達成しています。
* 売上高営業利益率:8.5%
* 総資産経常利益率(ROA):9.4%
* 自己資本比率:65.1%
* 海外地域売上比率:29.8%

(4) 成長戦略と重点施策

独自の技術や情報を活用し、グローバルな成長市場での事業展開を推進しています。特に、経営資源を生かした新規事業領域の育成、独自の情報・生産・物流網の強化、ガバナンス体制の強化を重要課題としています。
* 高速5G通信や半導体領域へのビジネス展開
* 機能性食品やバイオマテリアル等の新規分野育成
* 海外拠点を活用したグローバルサプライチェーンの強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

次代を担うグローバルな人材を積極的に登用・育成し、社会課題の解決能力を強化することを目指しています。また、健康経営プロジェクトや職場環境の整備、ハラスメント撲滅活動などを通じて、従業員の心身の健康を高め、能力を伸長させる環境づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.1歳 13.4年 4,985,402円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 89.0%
男女賃金差異(正規雇用) 87.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 97.0%


※女性管理職比率については、有価証券報告書に記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、平均残業時間(約7.8時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料価格および製品価格の変動

競合他社との競争激化や、国際的な原油価格・為替レートの変動により原材料価格が上昇した場合、また製品価格が下落した場合には、同社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(2) 特定の取引先への依存

製紙用化学品等の特定取引先からの仕入や販売に依存している部分があります。例えば旭化成のSBラテックス事業撤退発表に伴い、取引終了が見込まれており、今後の対応次第では業績に影響が生じる可能性があります。

(3) 海外展開に伴うカントリーリスク

海外地域売上高比率が高まっており、海外での予期せぬ法律・規制の変更、政治・経済情勢の変化、社会的混乱等が、同社グループの事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 減損損失のリスク

保有する固定資産の時価が著しく低下した場合や、事業の収益性が悪化した場合には、固定資産の減損損失が発生し、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。