1. ソマールってどんな会社?
メーカーと商社の機能を併せ持ち、高機能材料などの開発と販売をグローバルに手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
1943年に創業し、1948年に化学品専門商社として第一歩を踏み出しました。その後、1962年に製造拠点を設立してメーカー機能も備え、1984年に現在のソマールに商号を変更しました。1988年の株式上場を経て、2022年には東証スタンダード市場へ移行し、アジアや欧米など海外展開も推進しています。
現在の同社グループは連結従業員数464名、単体では308名の体制で事業を運営しています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は同社の関係会社であるナガツタコーポレーションで、第2位も同じく関係会社の多摩興産、第3位は金融機関の三井住友銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ナガツタコーポレーション | 32.90% |
| 多摩興産 | 12.30% |
| 三井住友銀行 | 4.60% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は曽谷太氏が務めています。社外取締役の比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 曽谷 太 | 代表取締役社長 | 2001年に有限責任監査法人トーマツに入所し、2005年に同社取締役に就任。常務取締役、代表取締役専務取締役、代表取締役副社長を経て、2011年より現職。 |
| 小林 正樹 | 常務取締役 | 2013年に同社理事に就任。理事営業本部長、執行役員営業本部長、執行役員業務本部長、取締役業務本部長、取締役草加事業所長などを歴任し、2025年より現職。 |
| 牛尾 成次 | 常務取締役 | 2019年に同社理事に就任。その後、理事営業本部長、取締役営業本部長を歴任し、2025年より現職。 |
| 関口 幸久 | 取締役 | 1985年に同社へ入社。タイの現地法人Siam SomarのC.O.Oや代表取締役社長、同社の名古屋支店長や大阪支店長などを経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、坂本昇(雪ヶ谷化学工業社長)、春日孝之(NiKKi Fron社長)、島田史子(まゆ月社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「高機能材料事業」「環境材料事業」「食品材料事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 高機能材料事業
電子機器、自動車部品、半導体関連向けの機能性フィルムや電気絶縁用などの高機能樹脂製品を開発・提供しています。コーティング製品や電子材料などのメーカー機能と仕入販売の機能を併せ持ち、多様なニーズに対応しています。
電子部品メーカーや自動車部品メーカー等への製品販売から収益を得ています。運営は主に同社本体が担い、海外ではSiam SomarやSomar North America Corporationなどの子会社が製造・販売を行っています。
■(2) 環境材料事業
製紙業界向けに特化したファインケミカルズ(工業用殺菌剤など)や製紙用化学品(紙塗工用バインダーなど)の開発・提供を行っています。アクリル合成技術やブレンド技術を活かし、歩留剤などの差別化製品を展開しています。
製紙会社などに対する自社製品および仕入商品の販売代金が主な収益源です。運営は主に同社本体が行っており、中国においては子会社の索馬龍精細化工(珠海)有限公司などが事業を展開しています。
■(3) 食品材料事業
加工食品等への使用を目的とした増粘安定剤や乾燥野菜などの食品素材を取り扱っています。味や風味を損なわず食感を改善できるゲル化剤など、健康に優しく独自性のある天然の食品素材を提供しています。
一般加工食品や介護用・高エネルギー食品のメーカー等に対し、食品機能性材料などの販売を行うことで収益を得ています。本セグメントの事業運営は、主に同社本体が行っています。
■(4) その他の事業
今後の成長を支える新たな事業領域の開発・育成を目的に、新規ビジネスの追求を進めています。主にアフリカから輸入した生花の国内販売や、新規市場開発用途の商材の発掘などを展開しています。
切り花などの輸入商材や、新規開発事業に関連する製品および商品の販売代金が収益源となっています。新規事業の開拓を含む本セグメントの運営は、主に同社本体が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は増収基調が続いています。特にエレクトロニクスや自動車向けの需要増を背景に売上高は右肩上がりで推移し、経常利益も大幅に拡大しました。当期は有価証券売却益の剥落により純利益は減少したものの、本業の収益力は安定しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 227億円 | 251億円 | 266億円 | 304億円 | 312億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 9億円 | 19億円 | 27億円 | 27億円 |
| 利益率(%) | 3.8% | 3.5% | 7.2% | 8.9% | 8.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 0億円 | 4億円 | 12億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期の損益は、売上総利益率が約22%程度で安定的に推移しています。高付加価値製品の拡販や差別化戦略が奏功し、増収とともに売上総利益も増加しました。営業利益率も8%台を維持しており、着実な収益構造を確保しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 304億円 | 312億円 |
| 売上総利益 | 66億円 | 68億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.6% | 21.8% |
| 営業利益 | 26億円 | 26億円 |
| 営業利益率(%) | 8.5% | 8.3% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与及び手当が7.4億円(構成比18%)、発送配達費が5.8億円(同14%)、研究開発費が4.2億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力となる高機能材料事業は、モバイル市場や半導体・自動車関連の需要増により増収を牽引しました。食品材料事業も堅調な推移を見せました。一方、環境材料事業は製紙業界の生産調整や需要減などの影響を受け減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 高機能材料事業 | 210億円 | 225億円 |
| 環境材料事業 | 67億円 | 60億円 |
| 食品材料事業 | 25億円 | 26億円 |
| その他 | 0.9億円 | 0.8億円 |
| 連結(合計) | 304億円 | 312億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社の資金の動きと財務の健全性を分析します。
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15億円 | 20億円 |
| 投資CF | -3億円 | -10億円 |
| 財務CF | 9億円 | 10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「高い企業倫理観のもとで、真に社会に貢献できる企業となることを目指す」を経営理念に掲げています。お客様にとってなくてはならない存在として付加価値の高い製品やサービスを提供し、地球環境の保全を重要な使命の一つとして認識しています。
■(2) 企業文化
独自のコア技術を強化し、「メーカー機能」と「商社機能」を相乗的に高める文化が根付いています。テクノロジーパートナーとして顧客の複雑な課題解決に適時・適切な提案を行う姿勢を重視し、グローバルに通用する企業品質を心がけています。
■(3) 経営計画・目標
継続的な企業価値の増大を最重要な経営課題として位置づけ、事業や資本の効率性を表す指標を重視して経営を行っています。具体的には以下の数値目標を達成目標として掲げています。
* 売上高営業利益率:4.0%
* 総資産経常利益率(ROA):5.0%
* 自己資本比率:60.0%
* 海外地域売上比率:20.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
長年培ってきた経営資源をベースに、事業の重点化と他社との差別化を推進する戦略を描いています。半導体や高速5G通信等の成長領域へのビジネス展開や、次世代材料などの新規事業領域の育成に注力しつつ、グローバルな情報・生産・物流網の強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人を重要な資産ととらえ、個人の能力伸長や働く環境の整備に努める方針を定めています。経営戦略を実現し、社会が直面する課題の解決能力を強化するため、次代を担うグローバルな人材を積極的に登用・育成しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.6歳 | 13.9年 | 5,057,253円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 13.2% |
| 男性育児休業取得率 | 66.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 84.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 82.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 106.0% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、一般職から基幹職へ昇任した女性の割合(33.3%)、月ごとの平均残業時間(約9.0時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 製品の製造販売における競争激化とコスト上昇
高機能材料や環境材料事業における競合他社との品質・価格競争に加え、原油価格や為替の変動による原材料価格の上昇リスクがあります。新製品のタイムリーな市場投入の遅れや製品欠陥が発生した場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 商品の仕入販売における外部環境の変動
販売先や仕入先の業界動向、生産供給体制の変化に影響を受けます。競合各社による廉価品の投入や新商品の市場展開、さらに仕入先と販売先による直接取引が発生した場合、商社機能における販売数量の減少や価格下落を引き起こすリスクがあります。
■(3) 特定の取引先への依存
製紙用化学品等の一定割合を特定の取引先に依存しています。同社は長年緊密な関係を築いていますが、例えば旭化成による製紙用バインダーからの事業撤退表明により今後の取引終了が見込まれるなど、仕入先の事業方針が同社の業績に影響を与える可能性があります。



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