立花エレテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

立花エレテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の技術商社。FAシステム事業、半導体デバイス事業、施設事業などを展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高2,201億円(前期比4.7%減)、経常利益87億円(同26.9%減)となり、中国市場の低迷や在庫調整の影響を受けて減収減益で着地しました。


※本記事は、株式会社立花エレテック の有価証券報告書(第96期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 立花エレテックってどんな会社?


電機・機械・電子・情報を扱う技術商社として、FA機器や半導体デバイス等の産業用製品を提供しています。

(1) 会社概要


1921年に創業し、1947年に三菱電機と特約店契約を締結しました。1948年に会社を設立し、2001年に現在の社名である立花エレテックに変更しています。2005年には東京証券取引所市場第一部に指定され、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。

連結従業員数は1,478名、単体では887名です。筆頭株主は主要仕入先でもある事業会社の三菱電機で、第2位は電子機器商社のサンセイテクノス、第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)となっています。

氏名 持株比率
三菱電機 8.36%
サンセイテクノス 7.23%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.93%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長社長執行役員は布山尚伸氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
布山 尚伸 代表取締役社長社長執行役員 1984年入社。海外事業・半導体デバイス海外担当、常務執行役員東京支社長などを経て、2022年6月より現職。
髙見 貞行 取締役専務執行役員 1980年入社。ルネサス・三菱半導体デバイス統括本部長、常務執行役員半導体デバイス事業担当などを経て、2017年4月より現職。
南本 隆吏 取締役常務執行役員 1993年入社。FAシステム事業本部長などを経て、2025年6月より現職。
松浦 良典 取締役執行役員 1985年入社。管理本部長、経営戦略室長などを経て、2025年4月より管理部門担当兼グローバル戦略室長。
飯島 誠 取締役常勤監査等委員 1986年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2015年同社入社、管理部門法務担当部長等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、辻川正人(弁護士)、辻孝夫(元JVCケンウッド会長)、権藤義一(三菱電機関西支社事業推進部長)、大谷康弘(公認会計士)、塩路広海(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「FAシステム事業」「半導体デバイス事業」「施設事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) FAシステム事業


プログラマブルコントローラー、インバーター、産業用ロボット、産業機械などのFA機器製品やシステムを提供しています。製造業の自動化や省人化ニーズに応えるソリューションを、国内および海外の製造現場へ向けて販売しています。

収益は、主に顧客への機器販売やシステム構築により得ています。運営は、同社のほか、子会社の研電工業、大電社、タカギコネクトなどが国内で行っており、海外では台湾立花股份有限公司や立花機電貿易(上海)有限公司などが担当しています。

(2) 半導体デバイス事業


マイコン、ASIC、パワーモジュール、メモリーなどの半導体製品や、液晶、メモリーカードなどの電子デバイス製品を取り扱っています。幅広い産業分野の顧客に対し、製品の販売だけでなく技術的なサポートも行っています。

収益は、半導体・電子デバイス製品の販売により得ています。運営は、同社のほか、開発・設計機能を持つ立花デバイスコンポーネントや立花電子ソリューションズ、海外現地の販売会社であるタチバナセールス(シンガポール)社などが行っています。

(3) 施設事業


店舗用・設備用パッケージエアコンなどの空調機器、LED照明、太陽光発電システム、受変電設備機器、監視制御装置などを扱っています。また、これらの機器に付帯する管工事やメンテナンスサービスも提供しています。

収益は、設備機器の販売および施工・メンテナンスサービスにより得ています。運営は、主に同社および子会社の立花宏和システムサービスが行っています。

(4) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、海外子会社の統括管理業務や、電子部品の販売、EMS(電子機器受託製造)ビジネス、MMS(金属加工受託製造)ビジネスなどを展開しています。

収益は、電子部品の販売や製造受託サービスにより得ています。運営は、同社のほか、立花オーバーシーズホールディングス社、タチバナセールス(香港)社などが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年3月期までは売上高・利益ともに増加傾向にありましたが、2025年3月期は減収減益となりました。利益率は4%前後で推移しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,614億円 1,934億円 2,273億円 2,310億円 2,201億円
経常利益 44億円 74億円 110億円 119億円 87億円
利益率(%) 2.7% 3.8% 4.8% 5.1% 3.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 21億円 35億円 53億円 63億円 63億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高が減少し、それに伴い売上総利益も減少しました。営業利益率は4.7%から3.7%へと低下しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,310億円 2,201億円
売上総利益 318億円 293億円
売上総利益率(%) 13.7% 13.3%
営業利益 108億円 82億円
営業利益率(%) 4.7% 3.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が95億円(構成比45%)、運送費及び保管費が26億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


FAシステム事業は在庫調整の影響等により減収、半導体デバイス事業も中国市場の回復遅れなどで減収となりました。一方、施設事業は空調機器のリニューアル需要等により微増収となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
FAシステム事業 1,189億円 1,086億円
半導体デバイス事業 859億円 840億円
施設事業 210億円 213億円
その他 52億円 62億円
連結(合計) 2,310億円 2,201億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


* 営業CF:プラス
* 投資CF:マイナス
* 財務CF:マイナス

営業活動によるキャッシュ・フローがプラス、投資活動と財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスの「健全型」です。本業で稼いだ資金を、投資や借入金の返済・株主還元に充当している健全な状態と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 21億円 165億円
投資CF -13億円 -8億円
財務CF 23億円 -93億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.5%でプライム市場の平均(9.4%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.4%で同市場(非製造業平均24.2%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「電機、機械、電子、情報を扱う技術商社として、優れた商品を最新の技術とともに産業界のお客様にお届けすることを通じて、社会の発展に貢献する」という企業理念を掲げています。この理念に基づき、グループ各社の力を結集し、顧客に満足される製品・サービスの提供を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「人基軸経営」という考え方を重視しています。これは、社員がやりがいを持って働き、成長を実感できる会社であれば社員は幸せを感じ、それが会社の発展につながるという考えです。「人の為に」「人から信頼を」「人と一緒に喜びを」「人の育成を」を指針とし、難しい課題への挑戦を通じて成長を促す文化があります。

(3) 経営計画・目標


中長期経営計画「NEW C.C.J2200」において、ソリューションビジネスへの注力、DX推進、人財への積極投資を進め、次期計画への足場固めと経営基盤の強化に取り組んでいます。具体的な数値目標は記載されていませんが、200年企業に向けた基盤強化を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


FAシステム事業では、自動化・省人化ニーズに応えるロボットやシステム提案を強化します。半導体デバイス事業では、商材の拡充と新規顧客開拓を進めます。施設事業では、カーボンニュートラル領域でのワンストップ対応力を強化します。また、全社的にはDXによる業務効率化、人事制度改革、グローバル対応の強化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人基軸経営」に基づき、年功序列型から能力主義型へのシフトを進める人事制度改革を行っています。職種別・職能別人事体系への移行や、積極的な人財投資としての採用と育成を推進しています。また、女性活躍推進や多様な人財の確保、ワークライフバランスの向上にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均(763万円)とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.4歳 17.0年 7,977,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.9%
男性育児休業取得率 5.0%
男女賃金差異(全労働者) 57.9%
男女賃金差異(正規) 57.8%
男女賃金差異(非正規) 46.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職向け研修(11回)、女性のキャリアアップを推進する研修(2回)、若手を対象とするキャリアアップ研修(9回)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況の変動について


同社グループはFA機器や半導体などを扱っており、取引先は製造業を中心としています。そのため、各業界の需要低下や設備投資の減少など、経済状況の変動によって経営成績が影響を受ける可能性があります。

(2) 主要取引先との関係について


主な取扱品目は三菱電機およびルネサスエレクトロニクスからの仕入が中心となっています。そのため、これら主要仕入先の事業戦略の影響を受ける可能性があります。また、商品を供給している主要販売先の市場戦略や商品戦略の動向によっても影響を受ける可能性があります。

(3) 為替レートの変動について


海外顧客への販売や海外仕入先からの調達を行っており、現地通貨建ての項目は円換算されます。為替予約等でリスク軽減を図っていますが、急激な為替変動は円換算後の数値に影響を与え、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。