※本記事は、カメイの有価証券報告書(第113期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. カメイってどんな会社?
エネルギーから食料、自動車まで幅広い事業を手掛ける地域密着型の総合商社です。
■(1) 会社概要
1903年塩釜にて石油等の販売を開始し創業。1986年に東京証券取引所市場第二部に上場し、1988年に同第一部へ指定替えとなりました。その後、自動車販売会社の連結子会社化やペット関連事業、海外・貿易事業への進出など、M&Aや新規事業開発により事業領域を拡大し、現在の多角的な事業基盤を構築しています。
従業員数は連結5015名、単体1589名です。筆頭株主は創業家関連とみられる有限会社亀井興産で、第2位は代表取締役会長CEOの亀井文行氏です。第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社亀井興産 | 9.80% |
| 亀井文行 | 8.20% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.95% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役会長 CEOは亀井文行氏、代表取締役社長は亀井昭男氏が務めており、社外取締役比率は約27%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 亀井文行 | 代表取締役会長 CEO | 1992年同社入社。エネルギー本部長などを経て2003年に代表取締役社長に就任。2023年4月より現職。 |
| 亀井昭男 | 代表取締役社長 | 1998年同社入社。名古屋支店長、総合企画室次長などを経て2021年に代表取締役副社長に就任。2023年4月より現職。 |
| 佐藤清悦 | 常務取締役執行役員営業担当 | 1983年同社入社。東京支店長、法人営業部長などを経て2022年に常務執行役員営業担当に就任。2023年6月より現職。 |
| 相原徹 | 常務取締役執行役員管理担当兼総合企画担当兼関係会社担当 | 1983年同社入社。三興メイビス社長、東京支店長などを経て2023年に常務取締役執行役員東京支店長に就任。2024年4月より現職。 |
| 亀井淳一 | 取締役相談役 | 1992年同社入社。東京支店長、関東地区統括などを経て2003年に専務取締役に就任。2020年4月より現職。 |
社外取締役は、尾町雅文(尾町雅文公認会計士事務所代表)、三井精一(元仙台銀行頭取)、倉林千枝子(ゆずりは法律事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エネルギー事業」「食料事業」「建設関連事業」「自動車関連事業」「海外・貿易事業」「ペット関連事業」「ファーマシー事業」および「その他の事業」を展開しています。
■エネルギー事業
同社グループは、ENEOSなどの特約店としてガソリン、灯油、軽油、LPガスなどの石油製品のほか、太陽光発電やLEDなどの環境商材を販売しています。また、都市ガス事業なども展開し地域のインフラを支えています。
収益は、顧客への石油製品やガス、環境商材などの販売代金から得ています。運営は同社のほか、パシフィック、東北ガス、設備センターなどが担当しています。
■食料事業
米穀類や農水産品、食肉のほか、アジアを中心としたビールやワインなどを販売しています。また、米国でのスーパーマーケット運営や、フランチャイズ店舗等の運営、高級洋菓子原材料の輸入なども手掛けています。
収益は、スーパーや飲食店等の顧客への食料品や酒類の販売代金から得ています。運営は同社のほか、樋口米穀、ウイングエース、池光エンタープライズなどが担っています。
■建設関連事業
キッチンやユニットバスなどの住宅設備機器をはじめ、鋼材などの基礎資機材を販売しています。さらに、建築設計や施工、リフォーム事業、土木建設機械の製造販売なども幅広く展開しています。
収益は、顧客への建設資機材や住宅設備機器の販売代金、および建設工事やリフォーム工事の請負代金から得ています。運営は同社のほか、立花マテリアル、近江機工などが担当しています。
■自動車関連事業
トヨタ自動車の系列ディーラーとして宮城県および山形県で国産車を販売するほか、東北や北海道地区でボルボなどの輸入車を販売しています。また、レンタカー事業やカーリース事業も手掛けています。
収益は、顧客への自動車の販売代金や修理代金、ならびにレンタカーやカーリースの利用料から得ています。運営は仙台トヨペット、山形トヨペット、カメイオートなどが行っています。
■海外・貿易事業
中国や東南アジア向けにベアリングなどの建設関連商材を輸出するほか、ロシアからの水産物輸入や、米国・シンガポール等での食品や船舶用燃料の輸出入販売事業を展開し、グローバルに活動しています。
収益は、海外の顧客への商材輸出代金や、食品・燃料等の卸販売代金から得ています。運営は三興メイビス、KCセントラル貿易、Mitsuwa Corporationなどが担当しています。
■ペット関連事業
ペットフードやペット用品、園芸資材、農業資材等の販売を行っています。また、プライベートブランド商品の開発や輸入を行うほか、企画・販売促進のコンサルティングサービスなども提供しています。
収益は、ホームセンターなどの顧客に対するペット関連商品や園芸資材等の販売代金、およびコンサルティング料から得ています。運営は主にオーシマ小野商事が行っています。
■ファーマシー事業
地域に密着した調剤薬局を運営し、処方薬および一般医薬品を販売しています。また、在宅医療への対応や、訪問介護、通所介護などの介護関連事業も展開し、地域の医療・福祉に貢献しています。
収益は、患者への医薬品の販売代金や調剤報酬、および介護サービスの提供による利用料から得ています。運営は同社のほか、まろん、遠藤薬局などが行っています。
■その他の事業
情報機器やオフィス用品の販売、事務機器等のリース、旅行業、不動産賃貸業、保険代理店業などを展開しています。さらに、エネルギー事業を中心とした配送業務や人材派遣業、テレビ放送業、スポーツクラブの運営も行っています。
収益は、顧客への商品販売代金やリース料、賃貸料、サービス利用料などから得ています。運営は同社のほか、カメイ物流サービス、ミツモト商事などが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が4826億円から5831億円へと着実に成長を続けています。経常利益も147億円から187億円へと増加傾向にあり、利益率も3%台で安定して推移しています。堅調なトップラインの伸びと収益基盤の安定性がうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,826億円 | 5,512億円 | 5,722億円 | 5,743億円 | 5,831億円 |
| 経常利益 | 147億円 | 167億円 | 171億円 | 177億円 | 187億円 |
| 利益率(%) | 3.1% | 3.0% | 3.0% | 3.1% | 3.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 48億円 | 54億円 | 36億円 | 49億円 | 68億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の5743億円から5831億円へと増加し、それに伴い売上総利益も930億円から999億円へと拡大しました。営業利益も159億円から170億円に伸びており、売上総利益率および営業利益率ともに前期を上回る水準で推移し、本業の稼ぐ力が向上しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,743億円 | 5,831億円 |
| 売上総利益 | 930億円 | 999億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.2% | 17.1% |
| 営業利益 | 159億円 | 170億円 |
| 営業利益率(%) | 2.8% | 2.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が242億円(構成比29%)、諸手数料が89億円(同11%)、減価償却費が83億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力であるエネルギー事業が売上高の大部分を占めていますが、自動車関連事業や海外・貿易事業、建設関連事業なども堅調に推移しています。特に自動車関連事業は前期から大きく売上を伸ばしており、事業ポートフォリオの多角化がグループ全体の成長を支えています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| エネルギー事業 | 2,827億円 | 2,796億円 |
| 食料事業 | 367億円 | 391億円 |
| 建設関連事業 | 480億円 | 484億円 |
| 自動車関連事業 | 736億円 | 803億円 |
| 海外・貿易事業 | 899億円 | 912億円 |
| ペット関連事業 | 143億円 | 145億円 |
| ファーマシー事業 | 199億円 | 204億円 |
| その他の事業 | 92億円 | 97億円 |
| 連結(合計) | 5,743億円 | 5,831億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
当期のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う「健全型」の優良企業の状態を示しています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.4%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 384億円 | 297億円 |
| 投資CF | -136億円 | -131億円 |
| 財務CF | -213億円 | -144億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「地域社会に密着し、人々の生活に役立つ総合商社として活動発展することをめざす。」という活動理念を掲げています。地域のお役に立つ存在であり続けるため、地域の生活に密着する企業集団として発展し、社会に役立つ総合商社として真の価値を追求して提供することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、信頼と地域密着を最大の武器として、変化の激しい時代に新たな価値を提供する総合商社として事業を運営する文化を重視しています。顧客をはじめ、株主や取引先、地域社会、従業員と良好な関係を築き、将来にわたり持続的に成長していくことを基本方針として組織の行動様式を定めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、企業価値向上に向けて既存事業の拡大、グループ筋肉質化、新規・成長投資などに取り組み、ありたい姿として営業利益200億円を目指しています。また、資本コストや株価を意識した経営の指標として以下の目標を掲げています。
* 営業利益200億円
* 自己資本利益率(ROE)8%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「長期経営方針」における3つの基本戦略に基づき、新規事業の開発ならびにM&Aなど新規・成長分野への積極投資を推進し、経営基盤の拡充と国内外のネットワークの強化を図っています。また、エネルギー・インフラ関連を軸とした脱炭素への取り組みを最優先課題とし、新たな事業の柱としての早期確立を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人的資本を企業の変革を恒常的に推進できる源であると位置付け、「人材獲得」「人材育成」「人材活躍」に取り組んでいます。自律型の人材育成や多様な研修・人事交流を推進するとともに、女性活躍に向けた継続的サポートやワーク・ライフ・バランスの実現を図り、社員がポテンシャルを最大限発揮できる組織作りを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.4歳 | 13.8年 | 6,828,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.5% |
| 男性育児休業取得率 | 43.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 69.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 81.6% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒女性正社員の採用比率(42%)、正社員の年次有給休暇取得率(54%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 金利変動のリスク
同社グループは、営業活動や設備投資、M&Aなどを目的とした資金需要に対して金融機関からの借入を行っています。資金調達先の複数化や期間の分散によりリスク低減を図っていますが、借入金利が上昇した場合には金融コストが増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 個人情報流出による影響
多くの個人情報を収集・管理しているため、個人情報保護法等を踏まえた社内規程を整備し、従業員教育を徹底しています。しかし、万一情報が漏えいした場合には、社会的信用の失墜や損害賠償金の支払いなどにより、同社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) カントリーリスク
同社グループは海外での事業活動や海外企業との取引を行っており、現地の法令や商習慣等を随時把握しリスク軽減に努めています。しかし、対象国の政治・経済情勢等に起因する社会的混乱や法規制の変更により取引に重大な支障が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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