カメイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カメイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の総合商社。エネルギー、食料、建設、自動車関連などを展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高が5,743億円で前期比微増、経常利益は177億円で同4.1%増、当期純利益は107億円で同5.7%増と、増収増益でした。


※本記事は、カメイ株式会社 の有価証券報告書(第112期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カメイってどんな会社?


東北地方を基盤とする老舗の総合商社です。エネルギー供給を中心に、食料、建設、自動車販売など多角的に事業を展開し、地域インフラを支えています。

(1) 会社概要


1903年に創業し、石油や砂糖などの販売を開始しました。1932年に法人改組とともに自動車販売を開始し、1988年には東京証券取引所市場第一部に上場しました。その後も事業を拡大し、2012年には北米でスーパーマーケットを運営するMitsuwa Corporationを子会社化するなど、海外展開も進めています。

同社の連結従業員数は4,894名、単体では1,575名です。筆頭株主は創業家資産管理会社の有限会社亀井興産で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位には代表取締役会長CEOの亀井文行氏が名を連ねており、創業家が経営に深く関与していることがうかがえます。

氏名 持株比率
有限会社亀井興産 9.80%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.72%
亀井文行 8.20%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役会長CEOは亀井文行氏、代表取締役社長は亀井昭男氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
亀井文行 代表取締役会長 CEO 1992年入社。エネルギー本部長等を歴任し、2003年社長就任。2023年4月より現職。
亀井昭男 代表取締役社長 1998年入社。コカ・コーラボトラーズジャパン出向等を経て、2021年副社長就任。2023年4月より現職。
佐藤清悦 常務取締役執行役員営業担当 1983年入社。法人営業部長、東京支店長等を歴任。2023年6月より現職。
相原徹 常務取締役執行役員管理担当兼総合企画担当兼関係会社担当 1983年入社。三興メイビス社長、東京支店長等を歴任。2024年4月より現職。
亀井淳一 取締役相談役 1992年入社。東京支店長、専務取締役等を歴任。2020年4月より現職。


社外取締役は、尾町雅文(公認会計士事務所代表)、三井精一(元仙台銀行頭取)、倉林千枝子(法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エネルギー事業」「食料事業」「建設関連事業」「自動車関連事業」「海外・貿易事業」「ペット関連事業」「ファーマシー事業」および「その他」事業を展開しています。

**エネルギー事業**
ガソリンスタンドの運営や、産業用燃料、LPガス、環境商材などの販売を行っています。また、航空燃料や都市ガスの供給も手がけています。
収益は、ガソリン、灯油、軽油、LPガスなどの製品販売やサービス提供から得ています。運営は主にカメイ、東北ガス、設備センターなどが行っています。

**食料事業**
米穀、酒類、食肉などの販売に加え、スーパーマーケットやフランチャイズ店舗の運営を行っています。また、ワインや洋菓子原材料の輸入も手がけています。
収益は、各種食料品や酒類の卸売・小売販売から得ています。運営はカメイ、ウイングエース、池光エンタープライズなどが行っています。

**建設関連事業**
住宅設備機器や建材の販売、建設工事、リフォーム事業を展開しています。また、土木建設機械の製造販売も行っています。
収益は、資材の販売や工事請負代金から得ています。運営はカメイ、立花マテリアル、近江機工などが行っています。

**自動車関連事業**
国産車(トヨタ)および輸入車(ボルボ等)のディーラー事業に加え、レンタカーやカーリース事業を展開しています。
収益は、車両販売、メンテナンスサービス、レンタカー・リース料から得ています。運営は仙台トヨペット、山形トヨペット、カメイオートなどが行っています。

**海外・貿易事業**
機械部品や食品の輸出入を行うほか、米国やアジアでスーパーマーケット運営や食品卸売を行っています。船舶用燃料の供給も手がけています。
収益は、商品の輸出入販売や小売販売から得ています。運営は三興メイビス、Mitsuwa Corporation、カメイ・プロアクトなどが行っています。

**ペット関連事業**
ペットフード、ペット用品、園芸資材、農業資材などの販売を行っています。プライベートブランドの開発も手がけています。
収益は、ペット関連商品の販売から得ています。運営は株式会社オーシマ小野商事が行っています。

**ファーマシー事業**
調剤薬局の運営、医薬品の販売、在宅医療や介護サービスを提供しています。
収益は、調剤報酬や介護報酬、一般医薬品の販売から得ています。運営はカメイ、株式会社まろん、株式会社ファーマシー東北などが行っています。

**その他**
物流サービス、情報機器販売、オフィス用品販売、保険代理店業、人材派遣、テレビ放送、スポーツクラブ運営などを行っています。
収益は、配送料、商品販売、手数料収入など多岐にわたります。運営はカメイ物流サービス、カメイ商事などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大傾向にあります。利益面でも、経常利益は安定して推移しており、当期純利益も増加基調にあります。全体として堅調な成長を続けています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 4,053億円 4,826億円 5,512億円 5,722億円 5,743億円
経常利益 130億円 147億円 167億円 171億円 177億円
利益率(%) 3.2% 3.1% 3.0% 3.0% 3.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 78億円 85億円 86億円 101億円 107億円

(2) 損益計算書


売上高は微増し、売上総利益率も改善傾向にあります。営業利益および営業利益率も前期と比較してわずかに向上しており、安定した収益性を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 5,722億円 5,743億円
売上総利益 881億円 930億円
売上総利益率(%) 15.4% 16.2%
営業利益 157億円 159億円
営業利益率(%) 2.7% 2.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が230億円(構成比30%)、諸手数料が79億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


エネルギー事業が増収増益で全体を牽引しました。食料事業は黒字転換を果たし、海外・貿易事業も売上を伸ばしています。一方、建設関連事業や自動車関連事業は減収となりましたが、建設関連事業は増益を確保しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
エネルギー事業 2,744億円 2,827億円 49億円 58億円 2.1%
食料事業 349億円 367億円 -1億円 1億円 0.2%
建設関連事業 584億円 480億円 13億円 14億円 2.9%
自動車関連事業 764億円 736億円 46億円 45億円 6.2%
海外・貿易事業 838億円 899億円 51億円 50億円 5.5%
ペット関連事業 143億円 143億円 3億円 2億円 1.4%
ファーマシー事業 194億円 199億円 4億円 2億円 1.2%
その他 107億円 92億円 14億円 12億円 12.9%
調整額 - - -22億円 -26億円 -
連結(合計) 5,722億円 5,743億円 157億円 159億円 2.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


健全型:本業で稼いだ資金(営業CF+)を使って、将来のための投資(投資CF-)や借入金の返済・配当(財務CF-)を行っている、財務的に健全な状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 250億円 384億円
投資CF -117億円 -136億円
財務CF -65億円 -213億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は49.3%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「地域社会に密着し、人々の生活に役立つ総合商社として活動発展することをめざす。」という活動理念を掲げています。暮らしに役立つ商品・サービスを提供し、顧客、株主、取引先、地域社会、従業員と良好な関係を築き、将来にわたり成長発展していくことを基本方針としています。

(2) 企業文化


環境の変化に柔軟に対応し、「お客様にとって、真の価値を提供する」総合商社として事業を運営することを重視しています。各事業をあらゆる方向から考察し、顧客から支持され信頼される効率的で安定供給可能な流通ネットワークづくりを推進する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、健全性の高い経営の維持と収益性向上の観点から、以下の指標を重要な経営指標と位置付けています。
* 安定性の指標:自己資本比率、流動比率
* 収益性の指標:営業利益率、自己資本利益率(ROE)

(4) 成長戦略と重点施策


グループ全体の経営効率化と既存事業の推進に加え、新商材開発や新事業参入による拡大を目指しています。特に、エネルギー、建設、自動車など社会インフラに貢献する事業の拡大と利益基盤強化、脱炭素への取り組み、日本産食品を中心とした海外・貿易事業の拡大、M&Aや事業投資を積極的に推進します。また、人的リソースの最適配置やデータマーケティングにより稼ぐ力の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を重要な資本と捉え、積極的に投資する方針です。「能力開発」「従業員エンゲージメント向上」「人材が活躍できる環境整備」に取り組み、社員が仕事へ誇りとやりがいを感じて働ける環境を整備します。具体的には、新卒女性社員の採用比率向上や有給休暇取得促進、教育研修の充実などを通じて、多様な人材の活躍と育成を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.5歳 14.1年 6,609,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.5%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.9%
男女賃金差異(正規雇用) 69.6%
男女賃金差異(非正規) 81.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒女性正社員の採用比率(24%)、正社員の年次有給休暇取得率(50%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) エネルギー業界の環境変化


脱炭素社会への移行加速による石油製品需要の減少や、電力・ガスの小売全面自由化、再生可能エネルギー参入による競争激化が予想されます。これらは経営環境を厳しくし、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 資本価値の変動


多数の事業用固定資産を有しており、地価の動向や各社の収益状況によっては減損損失を認識する必要があります。これが財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 海外事業のカントリーリスク


海外での事業活動において、現地の政治・経済・社会情勢の変化や法規制の変更などが生じた場合、取引に支障を来たし、業績に影響を与える可能性があります。また、為替変動リスクも内包しています。

(4) M&A及び資本提携


事業拡大のためにM&A等を推進していますが、市場環境の変化等により計画通りに進捗しない場合、のれんの減損処理等が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。