DAIKO XTECH 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

DAIKO XTECH 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、富士通のパートナーとして情報通信機器の販売やシステム開発、保守サービスを主力としています。当期の業績は、大型案件の一服や特需の剥落などにより、売上高427億円、経常利益25億円と前期比で減収減益となりました。


※本記事は、DAIKO XTECH株式会社の有価証券報告書(第72期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. DAIKO XTECHってどんな会社?


富士通との強力なパートナーシップを基盤に、ICT機器の販売からシステム開発、保守までをワンストップで提供するトータルサービス企業です。

(1) 会社概要


1953年に大興通信工業として設立され、1964年に富士通と特約店契約を締結しました。1974年に大興電子通信へ商号変更し、1990年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。その後、2019年にディ・ネットワークスなどを子会社化して体制を強化し、2025年4月に現在のDAIKO XTECHへと商号変更を行いました。

現在、同社グループは連結従業員数1,323名、単体737名の体制で事業を展開しています。筆頭株主はパートナー関係にある大手電機メーカーの富士通で、第2位は独立系システムインテグレータのオービック、第3位は物流ソリューションなどを手掛ける事業会社となっています。

氏名 持株比率
富士通 14.71%
オービック 11.82%
ドッドウエル ビー・エム・エス 5.02%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長CEOは松山晃一郎氏が務めています。社外取締役比率は約45.5%です。

氏名 役職 主な経歴
松山 晃一郎 代表取締役社長CEO 1988年入社。関西支店長、公共ビジネス統括本部長などを経て、2016年代表取締役社長COOに就任。2024年より現職。
岡田 憲児 代表取締役副社長COO 1984年入社。産業ビジネス統括本部長、インフラビジネス本部長、マーケティング本部長などを歴任し、2024年より現職。
園田 信裕 取締役常務執行役員CISO 1983年入社。システムソリューション本部長、SEイノベーション本部長などを経て、2024年より現職。
関 高志 取締役上席執行役員CTO 1990年入社。リテールビジネス統括部長代理、SEイノベーション本部長などを経て、2025年より現職。
間渕 剛志 取締役上席執行役員CFO 1999年入社。法務コンプライアンス部長、総務人事部長、コーポレート本部長などを経て、2025年より現職。
大西 浩 取締役(常勤監査等委員) 1988年入社。管理本部総務部長、監査部長、コーポレート本部長などを経て、2023年より現職。


社外取締役は、岡田登志夫(元イプロス社長)、滝川芳賢(富士通ビジネスマネジメント本部エグゼクティブディレクター)、大山みのり(公認会計士)、樋口千鶴(弁護士)、小野弘之(元富士通Japan会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報通信機器部門」および「ソリューションサービス部門」を展開しています。

**情報通信機器部門**
当部門では、情報端末、サーバー機器、電子交換機、ネットワーク機器およびこれらに関わる周辺機器やソフトウェアの販売を行っています。主な顧客は法人企業であり、ICTインフラの基盤となるハードウェア製品を提供しています。

収益は、顧客への機器販売代金から得ています。運営は主にDAIKO XTECHが行っており、富士通製品を中心としたマルチベンダー対応により、顧客ニーズに合わせた最適な商品を提案・提供しています。

**ソリューションサービス部門**
当部門では、システムの企画・設計・開発から、ネットワーク機器・設備の工事、システムおよびハードウェアの保守、建物附帯設備の保守管理などのサービスを提供しています。独自のパッケージソフトや受託開発、ストックビジネスとなる保守サービスが含まれます。

収益は、システム開発の請負代金、ネットワーク工事代金、および保守契約に基づくサービス料から得ています。運営はDAIKO XTECHのほか、大興テクノサービス(保守)、ディ・ネットワークス(工事)、DSR(ソフトウェア開発)などの子会社が連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は300億円台後半から400億円台へと拡大基調にありましたが、直近では大型案件の一服などにより微減となりました。利益面では、経常利益が10億円台から30億円近くまで伸長したものの、直近では減益となっています。当期純利益は10億円台後半の水準を維持しており、全体としては安定した収益性を確保しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 363億円 355億円 376億円 434億円 427億円
経常利益 12億円 16億円 19億円 30億円 25億円
利益率(%) 3.3% 4.5% 5.1% 6.9% 5.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -6億円 12億円 11億円 16億円 15億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微減となり、売上総利益も減少しました。売上総利益率は25%前後を維持していますが、利益額の減少に伴い営業利益率は低下しました。販管費は横ばい傾向にある中で、トップラインの減少が利益を圧迫する形となり、営業利益は前期を下回る結果となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 434億円 427億円
売上総利益 111億円 106億円
売上総利益率(%) 25.6% 24.7%
営業利益 29億円 24億円
営業利益率(%) 6.7% 5.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が39億円(構成比48%)、賃借料が7億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


情報通信機器部門は、前期にあった大型案件の反動により売上が減少しました。一方、ソリューションサービス部門は、ソフトウェアサービスの一部で減収があったものの、保守サービスやネットワーク工事が堅調に推移したことで、全体としては前期並みの売上を維持しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
情報通信機器 119億円 113億円
ソリューションサービス 315億円 314億円
連結(合計) 434億円 427億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

DAIKO XTECHは、情報通信分野における機器販売とサービス提供を主軸としています。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に利益や棚卸資産、仕入債務の変動により増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得が主な支出要因でした。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いと自己株式の取得が支出の大部分を占めました。これらの結果、現金及び現金同等物は前期末より増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 41億円 13億円
投資CF -5億円 -1億円
財務CF -8億円 -8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「未来に問いかけ、価値あるしくみで応える」をグループミッションとしています。社会を支える人々の想いに共感し、情報感度と見識に基づいた問いかけと多彩な力によって価値ある仕組みをデザインすることで、人の心を動かし、成長の喜びを共有することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、2030年に向けたビジョンステートメントとして「新たな価値提供への挑戦を続け、彩りのある企業へ~Be Challenging, Be Colorful~」を定めています。一人ひとりを尊重し多様な価値観を受け入れた上で、挑戦を通じた成長機会の創出や、挑戦を後押しする企業文化の醸成を進め、プロフェッショナルな人財の育成を行っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中期経営計画「CANVAS TWO」(2025年度から2027年度)を推進しています。「深化と革新」をテーマに、既存の強みを磨き上げると同時に事業変革を行い、新たな価値提供に挑戦しています。最終年度である2028年3月期の数値目標として以下を掲げています。

* 売上高:450億円
* 営業利益:30億円
* 営業利益率:6.7%
* ROE:13.0%

(4) 成長戦略と重点施策


「CANVAS TWO」において、コアビジネスの高付加価値化と効率化による事業ポートフォリオ最適化、将来の成長基盤となる重点ソリューション領域への積極的な投資と育成に取り組んでいます。具体的には、モダナイゼーションビジネスや製造・流通業向けビジネスへの注力、自社独自の業務ソリューションの販売強化などを推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人(人財)」を最大の財産と位置づけ、「価値創造人財」の育成を基本方針としています。すべての従業員が学び成長し続けられる教育体制と、能力を最大限発揮できる環境を整備しています。社員と組織が相互に成長する好循環の醸成に向け、生産性向上、人的資本投資、エンゲージメント向上の施策を実践しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.9歳 17.7年 7,207,020円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.7%
男性育児休業取得率 37.5%
男女賃金差異(全労働者) 76.0%
男女賃金差異(正規) 74.8%
男女賃金差異(非正規) 81.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、一人当たり生産性(15,625千円)、一人当たり教育投資(118千円)、離職率(4.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境に関するリスク


主要顧客である中堅企業向け市場は景気の影響を受けやすく、需要縮小が業績に影響する可能性があります。また、コンピュータメーカーやシステムインテグレータなど多くの競合他社が存在し、競争結果によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、主要取引先である富士通グループとの取引関係に変更が生じた場合も影響を受ける可能性があります。

(2) 品質に関するリスク


システム構築において、顧客との認識不一致や技術力不足、不具合等により多額の修正費用が発生するリスクがあります。また、納期遅延等により顧客からのクレームや訴訟を受ける可能性もあります。これに対し、同社は品質管理体制を強化し、プロジェクトのリスクコントロールに努めています。

(3) 人財の確保・育成に関するリスク


同社グループにとって人財は最大の財産であり、その確保と育成は経営基盤維持のために不可欠です。しかし、専門的知識や技術を持つ人財に対する需要は高く、必要な人財の確保が困難になることや、育成した人財が社外流出する可能性があります。これにより、事業展開に支障をきたす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。