PALTAC 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

PALTAC 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する、化粧品・日用品、一般用医薬品の卸売大手です。メディパルホールディングスの連結子会社として、メーカーと小売業をつなぐ中間流通機能を担っています。直近の業績は、売上高1兆1881億円(前期比3.1%増)、経常利益317億円(同3.7%増)と増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社PALTAC の有価証券報告書(第97期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. PALTACってどんな会社?


化粧品・日用品、一般用医薬品等の卸売事業を展開し、全国規模の物流網を持つ中間流通のリーディング企業です。

(1) 会社概要


1898年に化粧品・小間物商として創業しました。2005年にメディパルホールディングス(当時メディセオ・パルタックHD)と経営統合し、同社の完全子会社となりました。その後、2010年に東証一部および大証一部へ上場を果たしています。2015年には現在の商号である株式会社PALTACへ変更しました。

同社(単体)の従業員数は2,283名です。筆頭株主は親会社のメディパルホールディングスで、第2位、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
メディパルホールディングス 51.65%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.99%
日本カストディ銀行(信託口) 2.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性4名の計18名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は吉田拓也氏です。取締役会における社外取締役比率は53.8%で、過半数を占めています。

氏名 役職 主な経歴
糟谷 誠一 代表取締役会長 1985年入社。横浜支社長、営業本部長、代表取締役社長兼COOなどを経て、2023年6月より現職。
吉田 拓也 代表取締役社長 1995年三和銀行入行。2000年入社。商品本部長、東京支社長、副社長執行役員兼COOなどを経て、2023年6月より現職。
野間 正裕 取締役専務執行役員管理統括本部長 1985年入社。近畿支社長、西日本営業本部長、営業統括本部長などを経て、2024年4月より現職。
嶋田 政治 取締役専務執行役員経営企画本部長 1990年東洋信託銀行入社。2005年入社。経営企画室長などを経て、2023年4月より現職。
山田 恭嵩 取締役専務執行役員営業統括本部長 1993年入社。中四国支社長、東日本営業本部長などを経て、2025年6月より現職。
左近 祐史 取締役 1977年三星堂入社。メディパルホールディングス常務取締役などを経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、大石歌織(北浜法律事務所パートナー)、織作峰子(大阪芸術大学教授)、乾新悟(乾汽船顧問)、吉武一郎(元トヨタモビリティパーツ社長)、髙森龍臣(元資生堂取締役)、服部明人(服部明人法律事務所代表)、伊賀真理(マーチ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「卸売事業」の単一セグメントを展開しています。

卸売事業


化粧品・日用品、一般用医薬品等をメーカーから仕入れ、ドラッグストア、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの小売業へ販売しています。メーカーと小売業の間に立ち、全国規模の物流センター(RDC)を活用した物流機能、需要予測に基づく在庫機能、情報伝達、金融機能などを提供し、サプライチェーン全体の効率化を支援しています。

主な収益源は、小売業への商品販売に伴う対価です。また、メーカーからのリベート等も収益の一部となります。運営は主にPALTACが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は1兆円台で安定的に拡大傾向にあります。売上高は毎期増加しており、1兆333億円から1兆1881億円へと成長しています。経常利益も270億円から310億円台の水準で推移しており、利益率は2%台後半を維持しています。当期利益も増加基調にあり、堅調な業績推移を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 10,333億円 10,457億円 11,042億円 11,520億円 11,881億円
経常利益 281億円 286億円 274億円 305億円 317億円
利益率(%) 2.7% 2.7% 2.5% 2.7% 2.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 193億円 196億円 193億円 206億円 229億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は1兆1520億円から1兆1881億円へ増加し、売上総利益も864億円から890億円へと増加しました。営業利益も272億円から280億円へ伸長しています。売上総利益率および営業利益率はそれぞれ7.5%、2.4%で横ばいとなっており、規模拡大に伴い利益額を着実に積み上げています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 11,520億円 11,881億円
売上総利益 864億円 890億円
売上総利益率(%) 7.5% 7.5%
営業利益 272億円 280億円
営業利益率(%) 2.4% 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が191億円(構成比31%)、配送費が126億円(同21%)を占めています。売上原価は1兆991億円で、商品売上原価が大部分を占めています。

(3) セグメント収益


インバウンド需要の増加や外出機会の拡大を背景に、化粧品や日用品の販売が伸長しました。物流費の高騰や人的資本への投資による販管費の増加がありましたが、増収効果や固定費の吸収により、増益を確保しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
卸売事業 11,520億円 11,881億円
連結(合計) 11,520億円 11,881億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、営業活動で得た資金を元手に、事業拡大や将来への投資、株主還元といった財務活動を行っています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加や仕入債務の増加などにより、収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や投資有価証券の売却などにより、支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、支出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 268億円 207億円
投資CF -63億円 -4億円
財務CF -55億円 -113億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「美と健康」に関する生活必需品をフルラインで安定的に供給する企業を目指しています。高品質・ローコストの物流機能と小売業の利益経営に貢献する営業機能を両軸とし、メーカーから小売業に至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化に貢献する中間流通業となることを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、125年以上にわたり築き上げた「つなぐ力」を活かし、流通にさらなるイノベーションを起こすことを目指しています。「つなぐ力で人と社会のミライを創る」をスローガンとする長期ビジョンを掲げ、お取引先をはじめとするすべてのステークホルダーとのつながりを重視し、社会課題の解決と持続可能な社会の実現に取り組む姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、長期ビジョンの実現に向け、2027年3月期までの3か年の中期経営計画「PALTAC VISION 2027」を策定しています。この期間を「構造改革による変革基盤の構築」と位置づけ、事業活動の成果を示す財務指標や、サステナビリティに関する非財務指標を設定し、取り組みの達成状況を判断する指標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


労働人口減少や環境変化に対応するため、既存事業の収益性改善、新たな価値創造への挑戦、サステナビリティの向上、資本効率を意識した経営に取り組んでいます。具体的には、AI・ロボット等の最新技術を活用した新物流モデルの開発による生産性向上や、データを活用した流通ソリューションの提供により、新たな収益機会の獲得とリスク低減を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人財を価値創造の源泉かつ最も重要な資産と捉え、多様な人財が自律・自発的に活躍する組織を目指しています。「多様な人財の育成・確保」、「活躍を促す環境の整備」、「健康経営の推進」に積極投資を行い、ジョブポスティングや研修の拡充、柔軟な働き方の実現などを通じて、従業員エンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.5歳 18.1年 6,860,052円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.9%
男性育児休業取得率 47.9%
男女賃金差異(全労働者) 54.3%
男女賃金差異(正規) 72.6%
男女賃金差異(非正規) 109.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(51.2)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 労働人口減少に関するリスク


多くの従業員により事業活動を行っているため、労働人口の減少は人件費の高騰や人材確保の困難化につながる可能性があります。生産性向上のための物流センター改善や新物流モデルの開発に取り組んでいますが、労働市場の逼迫により計画通りに人材を確保できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 配送に関するリスク


物流センターから小売業への商品配送を外部業者へ委託していますが、ドライバー不足が懸念されています。パートナー企業との連携により配送効率化を進めていますが、人手不足の深刻化や法改正等により配送費が増大したり、商品の安定供給に支障をきたしたりする場合、事業活動や業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 事業環境の変化に関するリスク


化粧品・日用品、一般用医薬品業界では、競争激化やM&Aによる規模拡大が続いています。同社は取引先のニーズを捉え、環境変化に対応できる組織を構築していますが、さらなる競争激化や取引先の企業再編等により、取引先の政策や取引条件が大幅に変更された場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。