PALTAC 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

PALTAC 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

PALTACは東京証券取引所プライム市場に上場し、化粧品や日用品、一般用医薬品等をメーカーから仕入れて小売業に販売する中間流通事業を展開しています。業績トレンドとしては、販売単価の上昇により直近の売上高は増収となったものの、人件費や物流費の増加が影響し、経常利益は減益となっています。


※本記事は、株式会社PALTACの有価証券報告書(第98期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. PALTACってどんな会社?


化粧品や日用品、一般用医薬品等の卸売業を展開し、メーカーと小売業をつなぐ中間流通を担う企業です。

(1) 会社概要


同社は1898年に角倉種次郎が化粧品・小間物商として創業したことに始まります。1928年に角倉商店として設立され、1976年にパルタックへと商号を変更しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場後、2005年にメディセオホールディングスと経営統合を行いました。その後、2010年に東京証券取引所市場第一部へ上場し、2015年に現在のPALTACへと商号を変更しています。

従業員は単体で2,363名です。筆頭株主は親会社であり事業会社のメディパルホールディングスで、第2位および第3位は資産管理業務などを行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
メディパルホールディングス 52.40%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.22%
日本カストディ銀行(信託口) 2.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性4名の計18名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役会長は糟谷誠一氏、代表取締役社長は吉田拓也氏です。社外取締役は7名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
糟谷誠一 代表取締役会長 1985年パルタック入社。2016年常務執行役員営業本部長、2018年代表取締役社長兼COOなどを経て、2023年より現職。
吉田拓也 代表取締役社長 1995年三和銀行入行。2000年新和パルタック入社。2016年執行役員近畿支社長などを経て、2023年より現職。
野間正裕 取締役専務執行役員管理統括本部長 1985年パルタック入社。2012年執行役員近畿支社長、2020年取締役専務執行役員営業統括本部長等を経て、2024年より現職。
嶋田政治 取締役専務執行役員経営企画本部長 1990年東洋信託銀行入社。2005年パルタック入社。2014年執行役員経営企画室長等を経て、2023年より現職。
山田恭嵩 取締役専務執行役員営業統括本部長 1993年新和パルタック入社。2016年執行役員中四国支社長、2021年専務執行役員東日本営業本部長等を経て、2025年より現職。
左近祐史 取締役 1977年三星堂入社。2012年メディパルホールディングス執行役員、取締役管理本部長等を歴任し、2023年より現職。


社外取締役は、大石歌織氏(北浜法律事務所・外国法共同事業パートナー)、織作峰子氏(織作事務所代表・大阪芸術大学教授)、乾新悟氏(乾光海運代表取締役)、吉武一郎氏(元トヨタモビリティパーツ代表取締役社長)、髙森龍臣氏(元資生堂取締役)、服部明人氏(服部明人法律事務所代表)、伊賀真理氏(マーチ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「卸売事業」の単一セグメントで展開しています。

(1) 卸売事業


化粧品や日用品、一般用医薬品などの「美と健康」に関する生活必需品をフルラインでメーカーから仕入れ、全国のドラッグストアやホームセンター、コンビニエンスストアなどの小売業に対して安定的に供給する中間流通事業を展開しています。

収益源は、小売業に対して商品を販売することで得る商品代金などです。メーカーと小売業の間に立ち、流通段階で欠かすことのできない物流、在庫、情報伝達、金融等の機能を提供することで付加価値を生み出しています。事業の運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は毎年着実に増加を続けており、成長基調を維持しています。一方、経常利益については、物流費や人件費などの事業運営コストの上昇圧力もあり、2026年3月期は前期比で減益となるなど、利益率はやや低下傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 10,457億円 11,042億円 11,520億円 11,881億円 12,378億円
経常利益 286億円 274億円 305億円 317億円 298億円
利益率(%) 2.7% 2.5% 2.6% 2.7% 2.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 196億円 193億円 206億円 229億円 220億円

(2) 損益計算書


売上高は増加したものの、事業運営コストの上昇により利益面では圧迫が見られます。特に売上総利益の増加分を、販売費及び一般管理費の増加が上回ったことが営業減益の主な要因となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 11,881億円 12,378億円
売上総利益 890億円 923億円
売上総利益率(%) 7.5% 7.5%
営業利益 280億円 264億円
営業利益率(%) 2.4% 2.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が203億円(構成比31%)、配送費が139億円(同21%)、減価償却費が40億円(同6%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は卸売事業の単一セグメントであるため、商品分類別の売上状況を分析します。主力の「日用品」と「化粧品」を中心に増収を達成しましたが、「医薬品」については前期比で減少しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
化粧品 2,819億円 2,947億円
日用品 5,255億円 5,565億円
医薬品 1,482億円 1,446億円
健康・衛生関連品 2,123億円 2,209億円
その他 202億円 212億円
連結(合計) 11,881億円 12,378億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 207億円 249億円
投資CF -4億円 -4億円
財務CF -113億円 -112億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「美と健康」に関する生活必需品をフルラインで安定的に供給する企業として、高品質・ローコストの物流機能と小売業の利益経営に貢献する営業機能を両軸に、サプライチェーン全体の最適化・効率化に貢献する中間流通業を目指すことを基本方針としています。また、「つなぐ力で人と社会のミライを創る」を長期ビジョンのスローガンに掲げています。

(2) 企業文化


いつの時代も「人々の豊かで快適な生活の実現」を目指し、流通の最適化・効率化を通じて社会課題の解決に取り組む姿勢を重視しています。お取引先をはじめとするすべてのステークホルダーとの「つながり」や、創業以来125年以上にわたり築き上げた「つなぐ力」を活かして、流通のイノベーションに挑戦し続ける文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


長期ビジョンと足許の現状からの双方のアプローチにより、2027年3月期までの3か年の中期経営計画「PALTAC VISION 2027」を策定しています。この3か年を長期ビジョン実現に向けた「構造改革による変革基盤の構築」の期間と位置づけています。なお、親会社による公開買付けに伴う上場廃止が予定されているため、最終年度の目標指標は記載されていません。

(4) 成長戦略と重点施策


優先的に対処すべき課題の解決に向けて、既存事業の収益性改善、新たな価値創造に向けた挑戦、サステナビリティの向上、資本効率を意識した経営の実践に注力しています。また、労働人口の減少や物流コスト高騰といった環境変化に対応するため、既存の物流センターにおける改善活動に加え、大幅に生産性を向上させる次世代型新物流モデルの開発なども推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様な人材が自律・自発で活躍する組織の構築」を基本方針とし、事業戦略と連動した人材ポートフォリオの構築を目指しています。多様な人材の育成・確保、自律的なキャリア形成を支援する制度の整備、および従業員の健康と安全を守る健康経営の推進に積極的な投資を実行し、働きがいと働きやすさを両立する環境づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.8歳 17.5年 6,761,779円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.3%
男性育児休業取得率 62.5%
男女賃金差異(全労働者) 52.2%
男女賃金差異(正規雇用) 74.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 91.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 労働人口減少に関するリスク


労働市場の逼迫や人手不足の深刻化により、人件費の高騰や人材確保が困難となるリスクです。これに対し、魅力ある職場環境や人事制度の構築、物流センターの生産性向上や新物流モデルの開発などで対応していますが、想定を超える人材不足が生じた場合は事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 配送に関するリスク


商品を小売業へ配送する際、ドライバーの人手不足が懸念されるリスクです。外部の配送業者や小売業との連携による配送の改善・効率化を進めていますが、法改正などで人手不足がさらに深刻化した場合は、配送費の増大や安定供給への支障が生じる可能性があります。

(3) 事業環境の変化に関するリスク


化粧品・日用品、一般用医薬品業界において、業種・業態を超えた競争の激化やM&Aによる規模拡大が進行しているリスクです。また、世界的な地政学リスクの高まりに伴い、エネルギーや原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱が生じた場合、収益や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報システム・情報セキュリティに関するリスク


物流センターの運営等で独自の情報システムを利用しているため、サイバー攻撃や自然災害でシステム障害が生じるリスクです。基幹システムのクラウド化によるデータ分散保管やCSIRTを中心とした緊急対応体制を整備していますが、機能停止や情報漏洩が発生した場合は販売・物流に大きな支障が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。