※本記事は、株式会社フォーバルの有価証券報告書(第46期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フォーバルってどんな会社?
中小・小規模企業向けに情報通信機器の販売やコンサルティングサービスを幅広く展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1980年に新日本工販として設立され、1988年に現在の東証スタンダード市場に相当する店頭登録を果たしました。1991年にフォーバルへ社名変更し、2008年より総合ITコンサルティングサービス「アイコン」の提供を開始しています。直近では2025年にテレクトを子会社化するなど、継続的な事業拡大とM&Aを推進しています。
同社グループの従業員数は連結で2,530名、単体で793名となっています。筆頭株主は創業者が代表を務めるエス・エヌ・ケーで、第2位は創業者の大久保秀夫氏、第3位はUHPartners2投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エス・エヌ・ケー | 26.50% |
| 大久保 秀夫 | 13.00% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合 | 9.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中島將典氏が務めています。社外取締役比率は約28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大久保 秀夫 | 代表取締役会長 | 1980年9月同社設立、代表取締役社長。フォーバルテレコム代表取締役社長等を経て、2010年6月より現職。 |
| 中島 將典 | 代表取締役社長 | 1987年4月同社入社。取締役OA営業本部長、代表取締役副社長等を経て、2010年6月より現職。 |
| 谷井 剛 | 常務取締役 | 1996年6月フォーバルテレコム入社。同社代表取締役社長等を経て、2022年6月より現職。 |
| 加藤 康二 | 常務取締役 | 1996年2月同社入社。取締役管理本部長、取締役兼内部統制室長等を経て、2014年4月より現職。 |
| 鈴木 弘之 | 取締役(監査等委員) | 2013年2月同社入社。内部統制室長等を経て、2019年6月より現職。 |
社外取締役は、松坂祐輔(東京平河法律事務所弁護士)、小野隆弘(税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「フォーバルビジネスグループ」「フォーバルテレコムビジネスグループ」「総合環境コンサルティングビジネスグループ」「人的資本経営」の報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) フォーバルビジネスグループ
主に中小・小規模企業に対してオフィス用OA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次、伴走型の経営コンサルティングサービスを提供しています。
顧客企業に対して機器を販売し代金を受け取るほか、コンサルティングサービスの提供期間にわたり利用料を収益としています。同事業の運営は主にフォーバルや関連子会社が行っています。
■(2) フォーバルテレコムビジネスグループ
主に中小・小規模企業に対してVoIPやモバイルなどの通信サービス全般の提供、普通印刷、および保険サービスの取り次ぎ等を提供しています。
通信サービスの提供期間にわたる利用料や、保険会社から受け取る取次手数料などを主要な収益源としています。同事業の運営は主にフォーバルテレコムが担っています。
■(3) 総合環境コンサルティングビジネスグループ
主に代理店に対して、オール電化・エコ住宅設備やLED照明、太陽光発電システムなどの環境関連製品の卸販売を展開しています。
販売代理店を通じた製品の販売代金を収益源とするビジネスモデルです。同事業の運営は主にアップルツリーが行っています。
■(4) 人的資本経営
企業の人的資本最大化を支援するため、健康経営サービス事業や技術者派遣事業、およびIT教育サービス事業などを展開しています。
サービスの提供期間に応じた利用料や派遣料金、教育プログラムの参加費用などを顧客から受け取るモデルです。同事業の運営は主にアイテックやタニタヘルスリンク等の子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は増加基調を維持していましたが、直近では一部事業の減少要因などにより微減となりました。一方、経常利益は堅調に推移し、直近3期連続で過去最高を更新するなど、安定した収益基盤を確立しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 515億円 | 595億円 | 635億円 | 726億円 | 715億円 |
| 経常利益 | 29億円 | 27億円 | 35億円 | 40億円 | 40億円 |
| 利益率(%) | 5.5% | 4.6% | 5.4% | 5.5% | 5.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 14億円 | 14億円 | 10億円 | 21億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の微減に対し、売上総利益率は改善を示しており、付加価値の高いコンサルティングサービス等へのシフトが寄与していると見られます。営業利益率は横ばいで安定しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 726億円 | 715億円 |
| 売上総利益 | 253億円 | 264億円 |
| 売上総利益率(%) | 34.8% | 36.9% |
| 営業利益 | 37億円 | 37億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 5.2% |
連結の販売費及び一般管理費(226億円)のうち、給料及び手当が102億円(構成比45%)と最も大きく、次いで支払手数料が11億円(同5%)、賞与引当金繰入額が10億円(同5%)を占めています。売上原価は452億円となっています。
■(3) セグメント収益
主力のフォーバルビジネスグループは可視化伴走支援が堅調だったものの、一部特需の反動により微減となりました。一方、フォーバルテレコムビジネスグループは電力サービス等の契約伸長により増益を達成しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| フォーバルビジネスグループ | 396億円 | 395億円 | 26億円 | 26億円 | 6.5% |
| フォーバルテレコムビジネスグループ | 234億円 | 235億円 | 12億円 | 13億円 | 5.3% |
| 総合環境コンサルティングビジネスグループ | 63億円 | 51億円 | 0.7億円 | -0.3億円 | -0.5% |
| 人的資本経営 | 32億円 | 35億円 | 3億円 | 3億円 | 9.6% |
| 連結(合計) | 726億円 | 715億円 | 41億円 | 41億円 | 5.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 41億円 | 31億円 |
| 投資CF | -14億円 | -8億円 |
| 財務CF | -33億円 | -15億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
社名の由来でもある「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業」として中小・小規模企業の利益に貢献できる「新しいあたりまえ」づくりに挑戦することを掲げています。情報通信業界が抱える矛盾や問題点を打破し、サービスの向上とコストダウンを進める新しいビジネスモデルを提案し続けています。
■(2) 企業文化
「幸せの分配」を企業価値としており、社員自身が幸せであることがステークホルダーへ幸せを分配する原動力になると考えています。「明るく元気で素直」という「明・元・素(めい・げん・そ)」の人間性を大切にしつつ、結果にこだわる「実力主義」と、ビジョンを共有して協力し合う「強い仲間意識」を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループの事業ドメインは事業構造や事業環境の変化が激しいため、現段階では売上高利益率や資本回転率などの具体的な中長期の経営指標は設定していません。今後、変化に適切に対応しながら、適切な指標を設定した時点で開示する方針としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「企業ドクター(次世代経営コンサルタント)」として、情報通信、海外、環境、人材・教育、起業・事業承継の5分野で他社との差別化を図り、伴走型の経営コンサルティングを推進しています。また、国の基本方針に則り、産官学金と連携した「F-Japan戦略」を展開し、全国でDX・GX人材を育成して地方創生に貢献することに注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業ドクター」として顧客の課題を可視化し伴走支援できる高度な専門人材の育成に注力しています。「企業ドクター開発センター」を設置してESG経営などの専門知識の習得を促進するほか、テレワークやフリーワーク制度などの柔軟な働き方の整備、健康経営の推進により、社員一人ひとりの価値向上と成長を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.3歳 | 11.4年 | 6,177,892円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 66.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 57.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、DXアドバイザー検定取得率(45.9%)、ESGアドバイザー検定取得率(66.2%)、男性の育児休業平均日数(26.4日)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 中小企業マーケットの事業環境変化
同社グループの事業は主要な顧客である中小企業の経済状況の影響を受けます。原油高や円安などにより中小企業の経営環境が悪化した場合や、経営支援サービスの開発が遅れてマーケットが縮小した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、販売代金を回収するリース業界の環境変化もリスクとなります。
■(2) 新規事業の立ち上げとアライアンス
収益性の高い新規事業の立ち上げにおいて、他企業とのアライアンスを組むケースが多くあります。そのため、アライアンス先の事業展開の方向性やスケジュールの遅れが生じた場合、新規事業の進展が阻害され、想定していた事業展開や業績に重大な影響を与える可能性があります。
■(3) 次世代技術を活用した新サービスの創造
IoTやAIなどの先端技術を活用した次世代の経営課題解決サービスの開発に取り組んでいますが、開発の遅れやマーケットの支持を得られずサービスが陳腐化してしまった場合には、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 専門人材の確保および育成
5分野に特化したコンサルティングサービスを提供し続けるには、質の高い人材の確保と育成が不可欠です。健康経営や新しい働き方の導入で魅力向上に努めていますが、想定通りに人材の確保や育成が進まなかった場合、サービスの質に影響を与え、業績に波及する可能性があります。



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