※本記事は、理経の有価証券報告書(第69期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 理経ってどんな会社?
同社は、先端技術と発想を活かし、ITおよびエレクトロニクス分野で多彩なソリューションを提供する企業です。
■(1) 会社概要
1957年に理経産業として設立され、1971年に現在の理経に社名を変更しました。1988年には東京証券取引所市場第二部へ株式を上場しています。2017年にエアロパートナーズおよびネットウエルシステムの株式を取得して子会社化するなど、国内外でIT・エレクトロニクス事業の基盤を拡大してきました。
現在の従業員数は連結で179名、単体で137名体制です。大株主の状況としては、筆頭株主が個人の石川大樹氏で発行済株式の8.57%を保有しており、第2位は金融商品取引業者のMSIP CLIENT SECURITIES、第3位は明治安田生命保険相互会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 石川大樹 | 8.57% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 4.82% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 3.07% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長は猪坂哲氏が務めており、取締役における社外取締役の比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 猪坂哲 | 代表取締役社長 | 1987年同社入社。大学官公庁営業部長、執行役員等を歴任し2009年取締役に就任。常務取締役等を経て2016年4月より現職。 |
| 古畑直樹 | 常務取締役総務部長 | 1987年同社入社。2004年総務部長兼経理部長に就き同年取締役に就任。総務部・経理部担当等を経て2015年4月より現職。 |
| 小柳誠 | 常務取締役事業統括本部長 | 1982年同社入社。執行役員等を経て2012年取締役に就任。海外事業統括等を歴任し2024年より常務取締役、2026年4月より現職。 |
| 古田耕児 | 取締役企画戦略室長情報システム室長 | 1995年同社入社。IT統括部長、執行役員を経て2006年取締役に就任。技術センター長等を歴任し2025年4月より現職。 |
| 長谷川章詞 | 取締役経理部長 | 1983年同社入社。2006年経理部長代理に就き、2007年執行役員として経理担当部長等を務める。2009年6月より現職。 |
| 小金丸裕晃 | 取締役事業統括副本部長海外事業推進室長 | 1989年同社入社。ネットワークソリューション部長、執行役員等を経て2020年事業統括副本部長。2023年6月より現職。 |
| 横山晋司 | 取締役事業統括副本部長 | 1989年同社入社。理経香港総経理、部品機器営業部長、執行役員等を経て2020年事業統括副本部長。2023年6月より現職。 |
社外取締役は、伊達雄介氏(新千代田総合法律事務所パートナー弁護士)、滝澤明久氏(元冨士電線代表取締役社長)、越野純子氏(元JVCケンウッド執行役員経営企画部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「システムソリューション」「ネットワークソリューション」「電子部品及び機器」の3つの報告セグメントを展開しています。
■システムソリューション
教育機関向けITインフラ、製造業向けデータ収集・3次元CAD、セキュリティ、VR/ARコンテンツ、AI開発環境構築支援などを展開し、大学や官公庁、民間企業を主な顧客としています。
当該事業は、製品の販売やシステムの構築に伴い顧客から受け取る対価、および継続的な保守サービスの提供に伴う利用料を主な収益源としています。運営は主に理経および子会社のネットウエルシステムが行っています。
■ネットワークソリューション
衛星通信・放送用伝送システム、地方自治体向け防災情報伝達システム、高速無線LANシステムなどの情報通信機器の導入や運用保守サービスを幅広く提供しています。
本事業は、システムの構築や製品販売時の対価、および稼働後の運用サポートや保守サービスによる継続的な収入を主な収益源としています。運営は理経が行っています。
■電子部品及び機器
光通信用デバイス、半導体、電源、導電性樹脂接着剤などの各種電子部品や、航空機および関連部品、防災対策機器などを提供し、主に製造業や防衛省などの官公庁を顧客としています。
各種電子部品・機器の販売や航空機部品の修理・保守サポート等による販売対価を収益の柱としています。本事業の運営は、理経および子会社のエアロパートナーズ、エアロパートナーズ・アメリカが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績を見ると、売上高は100億円台前半で推移したのち、直近2年間で大きく伸長し195億円に達しています。経常利益も売上の拡大に伴って着実に増加し、利益率も1.9%から5.5%へと向上しており、全体として力強い成長と収益性の改善傾向が確認できます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 109億円 | 103億円 | 121億円 | 187億円 | 195億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 2億円 | 5億円 | 10億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 1.9% | 2.1% | 4.3% | 5.4% | 5.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 1億円 | 3億円 | 7億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に加えて売上総利益率も改善傾向にあり、営業利益は12億円に達しています。これは高利益率案件や好調な事業領域への注力が奏功し、本業での稼ぐ力が着実に高まっていることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 187億円 | 195億円 |
| 売上総利益 | 35億円 | 37億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.9% | 19.1% |
| 営業利益 | 11億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 6.0% | 6.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が14億円(構成比55%)、福利厚生費が2億円(同9%)を占めています。売上原価は158億円で、売上原価合計に対する構成比は製品の仕入等が大部分を占める構造となっています。
■(3) セグメント収益
システムソリューションは文教基盤事業が貢献し大幅な増益となりました。一方、ネットワークソリューションは高利益率案件の減少で減益となっています。主力である電子部品及び機器は光ファイバ関連や防衛省向け案件が好調に推移し、全体の増収増益を牽引しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| システムソリューション | 37億円 | 38億円 | 0.3億円 | 1.8億円 | 4.8% |
| ネットワークソリューション | 18億円 | 18億円 | 0.9億円 | 0.2億円 | 1.0% |
| 電子部品及び機器 | 132億円 | 140億円 | 10億円 | 10億円 | 7.4% |
| 連結(合計) | 187億円 | 195億円 | 11億円 | 12億円 | 6.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -3億円 | 11億円 |
| 投資CF | -1億円 | -1億円 |
| 財務CF | 4億円 | 0.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「社会変革を先取りした発想と先端技術で、お客様のニーズに対応したソリューションを提供し、高度情報化社会に貢献いたします」という理念を掲げています。法令遵守、経営資源の有効活用と収益性向上により企業価値を高め、豊かな社会づくりや地球環境保全に貢献することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
社会の変革を先取りする柔軟な発想を重んじる文化があります。また、法令遵守を徹底し、株主、取引先、従業員とともに繁栄を目指す姿勢を大切にしています。持続的な社会の実現に向け、多様性のある人的資本への投資や知的財産の保護を推進し、「お客様の夢を叶えるパートナー」として価値提供を続ける組織風土が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
2025年6月に開示された中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)に基づき、事業の持続的成長を目指しています。株主還元においては、配当性向30%、一株当たりの配当6円以上の維持を目標として掲げています。
* 連結売上高 202億円
* 連結営業利益 8.6億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益 5.2億円
* ROE 8.8%
■(4) 成長戦略と重点施策
主要3事業における収益基盤の強化を図ります。新たな成長に向け宇宙ビジネスやAI開発環境構築等のNEXT事業を創出し、海外開発拠点の設置やM&A、業務提携などの事業投資を推進します。さらに、サステナビリティ戦略としてカーボンニュートラル化や多様性のある人材採用などを進め、持続性のある企業成長を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長と企業価値の向上のため、人材を重要な経営資源と位置づけ「人的資本への投資強化」を推進しています。従業員の心身の健康や心理的安全性の確保、雇用の安定に努めるとともに、性別や国籍、新卒・中途を問わず能力ある人材を管理職に登用し、多様な働き方を促進することで企業の長期的成長を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 47.7歳 | 16.2年 | 6,525,196円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.9% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育休取得率および男女賃金差異の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員における女性比率(33.5%)、管理職における女性比率(9.1%)、従業員における外国籍比率(2.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 製品スケジュールの遅延と瑕疵
海外メーカーからの製品製造の遅延や製品の瑕疵が発生した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これを防ぐため、仕入先との情報共有を徹底してスケジュールを注視し、契約書面での対応取り決めや保険適用等を検討することでリスク軽減を図っています。
■(2) 販売代理店契約の終了
国内外のメーカーと結んでいる販売代理店契約が、メーカー側の事情で一方的に打ち切られたり、仕入先が倒産したりするリスクがあります。同社グループは、仕入先が特定メーカーに偏重しないよう新分野の商品開拓を推進し、仕入先の経営状況等の確認・管理を行っています。
■(3) 製品の陳腐化と顧客要求の高度化
IT・エレクトロニクス業界は技術革新のスピードが速く競争が激しいため、新製品の登場による既存製品の陳腐化や、高度化する顧客要求を満たせない場合、収益性が低下する恐れがあります。同社グループは国内外の市場や技術動向を常に収集し、競争力ある最先端技術の投入に努めています。
■(4) 情報セキュリティ事故の発生
ランサムウェア等によるサイバー攻撃の被害に遭った場合、事業や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。同社グループは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の確実な運用を行うとともに、グループ各社のウェブサイトの脆弱性診断やIT資産のリスク管理を継続的に実施しています。



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