パーカーコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

パーカーコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のパーカーコーポレーションは、機械、化成品、化学品、産業用素材等の多角的な事業を展開する専門商社兼メーカーです。2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.4%増の700億円と伸長した一方、経常利益は為替差損の影響等で同11.1%減の45億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同21.9%減の28億円の増収減益となりました。


※本記事は、株式会社パーカーコーポレーション の有価証券報告書(第98期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。


1. パーカーコーポレーションってどんな会社?


パーカーコーポレーションは、機械設備の輸入販売や化成品・自動車部品の製造販売を行う専門商社兼メーカーです。

(1) 会社概要


1951年8月、日本パーカライジングの営業部門から分離独立し、パーカー商事として設立されました。その後、海外メーカーとの代理店契約や製造子会社の設立を通じて事業を拡大し、1988年に現社名へ変更しました。1989年の店頭市場登録を経て、2005年に東証二部へ上場し、2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しています。

同社グループは連結従業員数2,177名、単体214名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は同社の親密先である日本パーカライジングで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位はユニベストとなっています。

氏名 持株比率
日本パーカライジング 24.20%
BBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUND(常任代理人 三菱UFJ銀行) 8.20%
ユニベスト 5.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長社長執行役員は里見嘉重氏です。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
里見 嘉重 代表取締役社長社長執行役員 ダウ・ケミカル日本を経て1997年に入社。常務、取締役副社長を経て2019年6月より現職。パーカー川上代表取締役社長を兼任。
内藤 和美 取締役常務執行役員業務本部管掌財務経理本部管掌 ヘキストジャパンを経て1992年に入社。化工品本部長などを歴任し、2020年6月より現職。ヘイセイコーポレーション代表取締役社長などを兼任。
中村 光伸 取締役常務執行役員 1985年入社。化学品一部長などを経て、2020年6月より現職。パーカーアサヒ代表取締役社長を兼任。
片倉 浩志 取締役常務執行役員機械本部管掌兼化成品本部長 1985年入社。メキシコ現地法人社長、化成品部長などを経て、2020年6月より現職。


社外取締役は、村中正和(元太平化学製品社長)、中野裕人(第一芙蓉法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「機械」「化成品」「化学品」「産業用素材」「化工品」の5つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

**(1) 機械部門**
自動車・食品・化学業界向けに、各種装置や機械設備の設計・製造および輸入販売を行っています。
収益は主に顧客への製品・設備販売代金から得ています。運営は主にパーカーコーポレーションおよびパーカー工業などの子会社が行っています。

**(2) 化成品部門**
自動車製造ライン向けのシーリング材、アンダーコート材等の防錆対策材料や、住宅向け複層ガラス用シーラント等を製造・販売しています。
収益は自動車メーカーや住宅建材メーカー等への製品販売から得ています。運営はパーカーコーポレーション、パーカーアサヒおよび海外製造子会社等が行っています。

**(3) 化学品部門**
自動車・電機等の製造ライン向け洗浄剤・防錆剤等の一般工業用ケミカル品や、鉄鋼業界向けデスケーリング用ケミカル等を扱っています。
収益は製造業の顧客への製品販売や関連装置の設計施工から得ています。運営は主にパーカーコーポレーション、パーカーケミテック等が行っています。

**(4) 産業用素材部門**
自動車およびエアコン用の防音・防振材を、ユーザーとの共同開発を含めて製造・販売しています。
収益は自動車部品メーカーや家電メーカーへの製品販売から得ています。運営はパーカーコーポレーション、パーカーアサヒ、パーカーアコウスティックおよび海外拠点が行っています。

**(5) 化工品部門**
電子産業用ファインケミカル、カーケアケミカル、鉄道・航空機向けケミカル、工業用熱風機などを開発・製造・販売しています。
収益は各産業分野の顧客への製品販売から得ています。運営は主にパーカーコーポレーション、パーカーケミテック、東海化学工業所等が行っています。

**(6) その他**
製商品や原材料の貿易業務、石油関連製品の販売、建設資材の製造販売などを行っています。
収益は製品や原材料の販売代金から得ています。運営は主にパーカーコーポレーション、ヘイセイコーポレーション、パーカー川上等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は441億円から700億円へと拡大傾向にあります。経常利益も29億円から45億円の水準で推移しており、増収基調を維持しています。当期は売上高が過去最高を更新したものの、為替差損の影響等により経常利益は前期比で減少しました。利益率は6%から7%台で安定的に推移しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 441億円 500億円 568億円 677億円 700億円
経常利益 29億円 31億円 38億円 50億円 45億円
利益率(%) 6.6% 6.1% 6.7% 7.4% 6.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 12億円 15億円 18億円 34億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善していますが、営業利益率は若干低下しました。これは販売費及び一般管理費の増加などが影響しています。営業外費用として為替差損等が計上されたことで、経常利益ベースでは減益となっていますが、当期純利益は増加しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 677億円 700億円
売上総利益 164億円 180億円
売上総利益率(%) 24.1% 25.7%
営業利益 46億円 49億円
営業利益率(%) 6.7% 7.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当・賞与金が38億円(構成比29%)、保管・運送費が30億円(同23%)を占めています。売上原価については内訳の詳細データがないため割愛します。

(3) セグメント収益


主力の化成品部門と産業用素材部門が売上を牽引し、増収に貢献しました。機械部門は大幅な増益を達成しましたが、化成品部門は原材料高騰等の影響で減益となりました。化学品部門や産業用素材部門、化工品部門はいずれも増益を確保しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
機械部門 25億円 27億円 1億円 2億円 7.6%
化成品部門 309億円 323億円 16億円 14億円 4.3%
化学品部門 68億円 67億円 3億円 5億円 7.3%
産業用素材部門 177億円 183億円 16億円 18億円 9.6%
化工品部門 65億円 67億円 8億円 8億円 12.3%
その他 33億円 34億円 2億円 2億円 7.1%
連結(合計) 677億円 700億円 46億円 49億円 7.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

パーカーコーポレーションのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権や棚卸資産の減少が主な要因となり、前連結会計年度を上回る収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出があったものの、前連結会計年度に比べて支出額は減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金やリース債務の返済、配当金の支払い等により支出となりましたが、その支出額は前連結会計年度より減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 53億円 57億円
投資CF -39億円 -14億円
財務CF -17億円 -14億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「国内外の顧客の発展と合理化に寄与するために当社グループの総合的な企画力・開発力、技術力を結集し、先進的商品を製造・供給すること」を経営の基本方針としています。この総合力を発展させ、多岐にわたる業界からの顧客満足度を向上させることを目指しています。

(2) 企業文化


事業活動を通じて社会に貢献する企業として、「顧客から信頼と期待を得る会社」「積極的提案の出る企業文化を持つ会社」「従業員が誇りを持てる会社」を目指しています。また、競争力の源泉は「人」であるとし、戦略的思考と発想を持ち、自ら率先して行動する人材を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営効率を持続的に追求することを方針としており、以下の数値目標を掲げています。
* 株主資本利益率(ROE):7%以上
* 営業利益率:8%以上

(4) 成長戦略と重点施策


将来を見据えた「事業の選択と集中」を進め、次代の収益基盤となる「新市場の創造」を推進することで、グループ全体の持続的成長を目指しています。また、テクニカルセンターの研究開発機能を駆使した製品開発や、グローバルネットワークの有機的結合による適地生産体制の確立、製造部門の強化に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


競争力の源泉は「人」であるとの考えのもと、戦略的思考と発想を持ち、自ら率先して行動し問題解決能力を有したグローバルに活躍できる人材の育成を掲げています。中長期研修制度を活用し、社員の能力開発を促進する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.9歳 15.7年 7,696,541円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.0%
男女賃金差異(正規雇用) 71.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 67.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況およびカントリーリスク


アジア、北米、欧州にて事業を展開しており、これらの国や地域の経済状況の悪化、景気後退、戦争やテロなどの不安定な社会情勢が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特定地域への依存度を下げることでリスク低減を図っています。

(2) 為替レートの変動


グローバル展開を行っているため、現地通貨建ての売上、費用、資産等が円換算時のレート変動により影響を受けます。通貨価値の変動による材料調達・製造コストの増加が利益率や価格競争力を低下させる可能性があります。

(3) 原材料価格の高騰


主要な原材料価格が高騰した場合、製造コストの上昇を招き、利益を圧迫する可能性があります。特に自動車業界向けの製品等において、原材料価格の変動は業績に影響を与える重要な要因となります。

(4) 製品の欠陥および大規模リコール


世界的な品質管理基準に従って製造していますが、製品に欠陥が生じ、大規模なクレームや製造物賠償責任につながる可能性があります。多額のコスト負担や社会的信用の失墜により、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。