※本記事は、英和株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、工業用計測制御機器、環境計測・分析機器、測定・検査機器、産業機械などの製造販売およびサービスを展開しています。顧客ニーズに対応できる強固な経営基盤の構築と安定的な成長を目指しています。
単体従業員数は346名、連結従業員数は400名です。
主な国内グループ会社は、双葉テック(連結子会社)、東武機器(連結子会社)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
英和は、社員の成長を重視し、多様な働き方を支援する環境づくりに注力しています。給与水準は、職務内容や成果に応じた公正な評価に基づいて決定される方針です。社員が長期的に活躍できるような制度設計や育成プログラムが整備されていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的長く勤める社員が多く、安定したキャリアを築ける環境が整っている傾向が見られます。社員の平均年齢も、経験豊富な人材が多数在籍していることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,414,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.7年 |
| 平均年齢 | 43.9歳 |
| 単体従業員数 | 346人 |
| 連結従業員数 | 400人 |
| 単体のグループ内比率 | 86.5% |
英和グループは、従業員の退職給付に充てるため、積立型の確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。これらの制度は同社および連結子会社に適用されています。退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付制度における退職給付債務は12.0億円、年金資産は18.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
英和グループは、「人材」を最も重要な経営資源と位置づけ、社員の成長なくして企業価値の向上は困難であると考えています。多様な価値観を持つ社員の主体性や創造性を活かすため、一人ひとりの適性と目標に合わせた成長機会を提供し、組織の強化を推進しています。
給与等の決定においては、職務内容・能力・成果に応じた公正かつ競争力のある水準で給与その他の給付を決定する方針です。給与は基本給、賞与、各種手当等で構成され、賞与は会社業績および個人評価を反映した設計となっています。人事評価制度に基づき昇給や賞与額を決定し、同業他社や外部労働市場の水準も参照しながら適切な水準の維持に努めています。
具体的な取り組みとして、定期採用者にはOJTリーダーを配置し、短期的・中期的な育成スケジュールを設定して丁寧な指導を行っています。等級別に設定された独自の研修制度や、中長期的な経営戦略の実現に必要なスキル・専門性を高めるための学びの機会を全社員に提供しています。また、女性の活躍推進を不可欠と認識し、育児・介護休業や勤務時間短縮制度を利用しやすい環境整備、快適な職場環境の整備、健康管理体制の維持・向上、社内DX推進による業務効率化にも取り組んでいます。2024年度には人材開発の専任部署を新設し、2026年度には新たな人事制度の運用を開始しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 62.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 53.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 59.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 58.0% |
多様な人材の活躍推進と働きやすい職場環境の整備
同社グループは、多様な人材の活躍推進や働きやすい職場環境の整備が中長期的な企業価値向上に資する重要な要素であると認識し、女性活躍の推進やワークライフバランスの向上を中心に具体的な目標を設定しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率(実績) | 62.5% |
| 女性管理職の人数(目標) | 3名以上 |
| 女性管理職の人数(実績) | 2名 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
英和は、工業用計測制御機器、環境計測・分析機器、測定・検査機器、産業機械などの製造販売およびサービスを手掛ける企業グループです。主に国内市場を対象とし、直接需要家への販売や卸販売を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、工業用計測制御機器、環境計測・分析機器、測定・検査機器、産業機械といった幅広い製品を取り扱っています。これらの商品の性質や販売市場、販売方法が類似していることから、単一セグメントとして事業を展開しています。
主要な事業としては、工業用計測制御機器の販売が挙げられます。造船業界向けの各種センサーや化学、鉄鋼、建設・プラント業界向けのプロセス計測制御機器の販売が堅調に推移しています。また、デジタル技術を活用した設備状況の可視化や遠隔監視といったソリューション提案にも注力し、収益を上げています。
環境計測・分析機器の分野では、環境負荷低減や各種規制への対応、設備の安全性向上を目的とした需要を取り込んでいます。水質計や大気分析計、振動計などの販売に加え、定期メンテナンスや運用支援を通じてビジネスを底堅く維持しています。
測定・検査機器は、鉄鋼業界での高精度・高品質な製品開発や品質管理体制の維持を目的とした需要が見られます。産業機械分野では、造船業界向けバルブの販売が増加しているほか、化学、鉄鋼業界における生産設備の更新需要や省エネルギー関連の投資需要を取り込み、各種機器の販売を伸ばしています。
同社グループの売上高は、外部顧客への売上高の合計に占める日本の割合が90%を超えており、国内市場が中心となっています。また、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める特定の販売先はありません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 合 計 | 47兆1,363億円 | 48兆8,462億円 |
| 工業用計測制御機器 | 22兆1,187億円 | 23兆447億円 |
| 産業機械 | 19兆2,490億円 | 19兆5,626億円 |
| 環境計測・分析機器 | 3兆9,719億円 | 4兆5,340億円 |
| 測定・検査機器 | 1兆7,967億円 | 1兆7,050億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5連結会計年度にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に直近の連結会計年度では、売上高が前期から増加し、それに伴い各利益も堅調に伸びています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 374億円 | 413億円 | 433億円 | 471億円 | 488億円 |
| 経常利益 | 16.1億円 | 19.8億円 | 24.2億円 | 28.5億円 | 30.4億円 |
| 経常利益率 | 4.3% | 4.8% | 5.6% | 6.1% | 6.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 10.7億円 | 13.2億円 | 16.7億円 | 19.5億円 | 20.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 168.61 | 208.71 | 263.56 | 308.79 | 327.11 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期からわずかに減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期と同水準を維持しており、従業員一人ひとりの収益創出力は安定している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 125.7百万円 | 122.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.4百万円 | 7.4百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
英和は、財務基盤の安定性を保ちつつ、事業運営における資金の動きが見られます。当期は営業活動と投資活動による資金の流出があり、フリーキャッシュ・フローも減少しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
英和は、強固な財務基盤を維持しています。自己資本比率は57.9%と、プライム市場の平均と比較しても高い水準にあります。また、ROE(自己資本利益率)も11.5%と、平均を上回る水準を示しています。手元資金である現金及び預金は50.5億円となっていますが、前期からは減少しています。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営基盤を持ち、事業継続性や将来の成長に向けた投資余力を有していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 170億円 | 190億円 |
| 自己資本比率 | 51.2% | 57.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.0% | 11.5% |
| 現金及び預金 | 61.1億円 | 50.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
英和の当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは減少となりました。これは、税金等調整前当期純利益はプラスであるものの、その他の流動資産の増加や仕入債務の減少、法人税等の支払額が主な要因となっています。投資活動によるキャッシュ・フローも減少しており、有形固定資産の取得や差入保証金等の支出が見られます。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があった一方で、配当金の支払額が大きく、減少しています。その結果、フリーキャッシュ・フローも減少となりました。これらの資金の流れは、事業運営における一時的な資金需要や投資、株主還元が行われている状況を示しています。資金の流出が続いているため、今後の資金繰りや事業戦略の動向が、入社後の安定性や成長性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.3億円 | △1.9億円 |
| 投資CF | △2.9億円 | △3.4億円 |
| 財務CF | △8.9億円 | △5.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 4.4億円 | △5.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの売上高の約50%を占める工業用計測制御機器は、国内外の経済環境の悪化により設備投資の動向に陰りが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、官公庁関連や民間設備の予算執行時期が下期に偏重する傾向があるため、同社グループの売上高も通常下期偏重となっています。
③ 人材・組織に関するリスク
慢性的な人手不足や技能継承の課題が顕在化しており、現場の安定操業や安全確保に向けた対応が重要なテーマとなっています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
英和は、「持続可能な社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を重要な経営課題と位置づけ、経営理念のもとサステナビリティに関する取り組みを推進しています。事業を通じて社会に貢献し、社員の成長と幸福を追求する企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は、「事業は人なり、人は和なりを原点として事業を通じ会社の繁栄、社員の福祉、株主の利益、取引先との共存共栄の維持向上を図りつつ社会に奉仕貢献すること」です。この理念はサステナビリティ経営の考え方と一致すると認識されています。
2023年度にスタートした中期経営計画では、「持続可能な成長に向けた5Sの強化<社員(Staff)、スキル(Skill)、戦略(Strategy)、組織(Structure)、システム・制度(System)>」を経営基本方針に掲げています。不確実性の高まる環境下でも、人的資本投資を推進し、持続的な成長と企業価値の向上を図ることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、3つのマテリアリティ(重要課題)と重要テーマを特定し、事業活動と一体的に推進しています。これらには「事業を通じ地球環境保全に貢献」「多様な人材の育成とワークライフバランスの推進」「コーポレート・ガバナンスの維持向上」が含まれています。
「人材」を最も重要な経営資源と位置づけ、社員の成長なくして企業価値向上は困難であると考えています。多様な価値観を持つ社員の主体性や創造性を活かすことが重要であるとし、一人ひとりの適性と目標に合わせた成長機会を提供しています。
女性の活躍も不可欠であると認識しており、女性がキャリア形成を目指しやすい職場づくりの推進として、育児・介護休業や勤務時間短縮の制度を利用しやすい環境の整備に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、少子高齢化に伴う労働人口の減少や熟練技能者の技能継承といった社会課題に対応しています。生産現場における省力化や設備の安定操業に向けた取り組みを進めています。
中期経営計画では、人的資本経営の一層の推進やDX投資への取り組みを通じて、生産性向上と組織基盤の強化を図り、持続的な企業価値の向上を目指しています。国内市場の縮小に備え、海外との輸出入の拡大やグローバル人材の育成にも努めています。
サステナビリティ推進体制の強化やサステナビリティ・プロジェクトの発足、サプライチェーン全体のサステナビリティ向上にも取り組んでいます。サイバーセキュリティ対策の強化も経営上の重要課題と位置づけ、継続的に強化を図っています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
英和は監査役制度を採用しており、社外取締役と社外監査役を配置することで、客観的かつ公正な監視体制を構築しています。これにより、的確な意思決定と迅速な業務執行を可能とする経営体制を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、筆頭株主は光通信KK投資事業有限責任組合であり、複数の投資事業有限責任組合が上位に名を連ねています。また、取締役会長や代表取締役社長といった同社の役員や、社員持株会も大株主として名を連ねており、幅広い層に支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.46% |
| UH Partners 2投資事業有限責任組合 | 5.98% |
| 東京計器 | 3.90% |
所有株式数は千株未満を切捨てて表示されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は阿部吉典氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 阿 部 吉 典 | 代表取締役社長 | 1996年同社入社後、2016年に同社取締役副社長に就任。2023年6月より同社代表取締役社長より現職。 |
| 阿 部 健 治 | 取締役会長 | 1969年同社入社後、1993年に同社代表取締役社長に就任。2023年6月より同社取締役会長より現職。 |
| 玉 置 崇 久 | 取締役常務執行役員管理本部長 | 1988年同社入社後、2019年に同社取締役執行役員中部営業部長に就任。2025年10月より同社取締役常務執行役員管理本部長より現職。 |
| 加 藤 信 義 | 取締役常務執行役員営業本部長 | 1995年同社入社後、2019年に同社取締役執行役員東京本社営業部長に就任。2025年10月より同社取締役常務執行役員営業本部長より現職。 |
社外取締役は、大熊裕明氏(元三井物産オートモーティブ代表取締役社長・報酬諮問委員会委員長)、岡野喜子氏(元三井物産中部支社副支社長)です。
同社は監査役制度を採用しています。社外取締役は事業経営の意思決定に参画し企業価値向上を図り、社外監査役は取締役の職務執行を監視・監督することで経営判断の合理性・健全性を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の継続的な向上を促すインセンティブとして設計されています。業務執行取締役の報酬は固定報酬としての基本報酬と業績連動報酬で構成され、監督機能を担う社外取締役には基本報酬のみが支払われます。業績連動報酬は、連結売上高、連結経常利益、連結ROE、株価などの業績指標に連動する賞与と中期インセンティブで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 2.0億円 | 50.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 11.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 17百万円 | 4.2百万円 |
非金銭報酬等については、該当がないため記載されていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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