※本記事は、株式会社ケーユーホールディングス の有価証券報告書(第54期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ケーユーホールディングスってどんな会社?
国産・輸入車の新車および中古車販売やアフターサービスを幅広く手掛けるトータルディーラーです。
■(1) 会社概要
1972年に自動車販売業務を目的にケーユー商事として設立されました。1989年に株式を店頭登録し、1996年には東証二部への上場を果たしました。2007年に持株会社体制へ移行して現在の社名に変更後、シュテルン世田谷などの子会社を通じて輸入車ディーラー網の積極的な拡大を続けています。
現在の従業員数は連結で1461名、単体で70名体制です。筆頭株主はヤマサンで、第2位はラグナとなっており、第3位には資産管理業務を担う日本マスタートラスト信託銀行が名を連ねるなど、法人や信託銀行が主要な株主として安定した資本基盤を形成しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ヤマサン | 28.48% |
| ラグナ | 11.16% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.92% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は板東徹行氏が務めており、社外取締役比率は約38%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 板東徹行 | 代表取締役社長 | シュテルン世田谷代表取締役社長、ファイブスター東名横浜代表取締役社長を経て現職。 |
| 井上久尚 | 代表取締役副社長 | 同社執行役員、専務取締役などを経て、ケーユー代表取締役社長に就任し現職。 |
| 稲垣正義 | 取締役専務執行役員 | 同社取締役店舗開発部長、取締役常務執行役員総合企画部長などを経て現職。 |
| 松本正三 | 取締役上席執行役員 | 東京海上アセットマネジメント人事総務部長を経て、同社総合企画部長などを歴任し現職。 |
| 萩原博文 | 取締役(常勤監査等委員) | 同社総務部次長、常勤監査役などを経て現職。 |
社外取締役は、細野泰司(細野コンクリート代表取締役)、浅野雅雄(元文教堂グループホールディングス専務取締役)、網谷充弘(一橋綜合法律事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国産車販売事業」および「輸入車ディーラー事業」を展開しています。
■国産車販売事業
国産中古車の販売を中核とし、車両の販売や買取、修理・車検などのアフターサービスをトータルで提供しています。関東圏にとらわれず、より広範囲なエリアでの店舗展開を推進することで強固な営業基盤の構築を目指しています。
収益源は、顧客からの車両購入代金や修理・点検費用の受け取りです。事業の運営は主にケーユーが担っており、積極的なIT投資による生産性の向上を図りながら、グループ内のサービス工場と連携して効率的なアフターサービスを提供しています。
■輸入車ディーラー事業
メルセデス・ベンツやBMWなど、世界のトップブランドを中心とした輸入車の新車および中古車販売、修理サービスを提供しています。高級ブランド車を扱う特性上、集客力アップに向けた積極的な店舗投資やリニューアルを行い、店舗網の一層の拡充に努めています。
顧客からの車両販売代金や修理代金などを主な収益源としています。事業の運営はシュテルン世田谷、モトーレン東名横浜、ファイブスター東名横浜などがそれぞれ分担して展開しており、各メーカーの正規ディーラーとして高い専門性を持つサービスを提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高は安定して成長を続けており、事業規模の拡大傾向が確認できます。一方で経常利益や当期利益は一定の水準を維持しつつも、直近では物価高や仕入価格の上昇などの影響を受けてやや伸び悩む推移となっています。
| 項目 | 第50期 | 第51期 | 第52期 | 第53期 | 第54期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1311億円 | 1533億円 | 1546億円 | 1600億円 | 1691億円 |
| 経常利益 | 85億円 | 99億円 | 94億円 | 95億円 | 86億円 |
| 利益率(%) | 6.5% | 6.5% | 6.1% | 5.9% | 5.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 35億円 | 44億円 | 37億円 | 40億円 | 41億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の連結業績を比較すると、売上高は着実に増加して売上総利益も拡大基調にありますが、物価高等の影響による外注費や材料費の増加に加え、人件費の上昇によって販売費及び一般管理費が膨らみ、営業利益は減少する結果となりました。利益率の改善が今後の経営課題として挙げられます。
| 項目 | 第53期 | 第54期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1600億円 | 1691億円 |
| 売上総利益 | 271億円 | 275億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.9% | 16.3% |
| 営業利益 | 92億円 | 84億円 |
| 営業利益率(%) | 5.7% | 5.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が58億円(構成比30%)、販売諸掛が25億円(同13%)、減価償却費が20億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
国産車販売事業は小売販売台数の増加により増収となりました。輸入車ディーラー事業も販売台数および販売単価が堅調に推移し、増収に貢献しています。全体として両セグメントともに売上規模の拡大が確認できますが、コスト増による利益面への影響には注視が必要です。
| 区分 | 売上(第53期) | 売上(第54期) |
|---|---|---|
| 国産車販売事業 | 512億円 | 522億円 |
| 輸入車ディーラー事業 | 1088億円 | 1169億円 |
| 連結(合計) | 1600億円 | 1691億円 |
同社のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金を投資や借入金の返済に充てる「健全型」の傾向を示しています。
| 項目 | 第53期 | 第54期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 73億円 | 51億円 |
| 投資CF | -8億円 | -29億円 |
| 財務CF | -34億円 | -27億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.4%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も72.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「信頼と安心を通じ豊かなカーライフの創造」を基本理念としています。業界の既成概念にとらわれず、多様なメーカーの新車・中古車を取り扱う「トータルディーラー」の企業像を掲げ、国産車から欧米有名ブランド車に至るまで幅広い選択肢を提供することを使命としています。
■(2) 企業文化
「常に新しいことへのチャレンジを」を社是に掲げています。性別や国籍、採用ルートによらず、一人一人の人格や個性を尊重するとともに、各人の意欲や能力が十分に発揮でき、ゆとりと豊かさを実現できる職場環境を作ることを企業行動規範として定めています。
■(3) 経営計画・目標
ROA(総資産利益率)を重視した経営を行い、単なる企業規模の追求ではなく、売上高利益率の向上と総資産の効率的な活用を意識した事業運営を志向しています。強固な財務体質を活かし、環境変化に強い筋肉質な企業集団の形成を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
総需要が減少する環境下でも利益を確保できる企業体質を構築するため、積極的なIT投資を通じた生産性の向上を進めています。国産車販売では広範囲なエリアでの店舗展開を推進する一方、輸入車ディーラーでは積極的な店舗投資によって店舗網の拡充に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材育成と社内環境整備を重視し、入社時や配属後の定期的な研修を通じてスキル獲得の機会を提供しています。半期ごとの人事評価とフィードバックで個々の能力向上を支援するほか、社内公募制度や多様な働き方を可能にする諸制度を通じて、社員が高いモチベーションを持てる環境作りに努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 第54期 | 40.7歳 | 11.1年 | 5,201,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.0% |
| 男性育児休業取得率 | 61.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 44.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 55.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 62.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める中途採用者の割合(60.5%)、正社員に占める女性社員の割合(20.5%)、管理職に占める女性社員の割合(3.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インポーターとの販売店契約の継続
輸入車ディーラー事業においては、各メーカーのインポーターと正規ディーラー契約を締結して業務を行っています。取引関係は良好ですが、何らかの事由で契約が継続できなくなった場合、正規ディーラーとしての業務に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 自動車マーケットの環境変化
国内の自動車市場は少子化や若者の自動車離れなどの課題を抱えています。さらに、メーカー主導のニューモデル発表や自動車リコール、メーカーの供給体制の動向等に大きく影響を受けるため、これらマーケット環境の変化が業績に直接的な影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 少子化に伴う人材の確保と育成
持続的な成長には優秀なセールス・メカニック社員の確保と育成が不可欠です。しかし、少子化の進展により人材獲得競争が激化し、十分な人材が確保できない場合や採用コストが増加するリスクがあり、スキルやノウハウの継承が滞ることで将来の業績に影響する可能性があります。



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