※本記事は、株式会社ケーユーホールディングス の有価証券報告書(第53期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ケーユーホールディングスってどんな会社?
同社は、国産中古車の販売からメルセデス・ベンツ等の輸入車正規ディーラーまでを手掛ける自動車販売会社です。
■(1) 会社概要
1972年にケーユー商事として設立され、自動車販売を開始しました。1988年にメルセデス・ベンツ、1996年にハーレーダビッドソンの正規販売店契約を締結するなど取り扱いブランドを拡大。2007年に持株会社体制へ移行し、現在の商号となりました。現在は南関東を中心に店舗網を展開し、マルチブランドを扱うトータルディーラーとして事業を行っています。
連結従業員数は1,395名(単体75名)です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である有限会社ヤマサンで、第2位は関連会社の株式会社ラグナです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ㈲ヤマサン | 27.18% |
| ㈱ラグナ | 10.66% |
| 日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口) | 4.90% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名、計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は板東徹行氏です。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 板東 徹行 | 代表取締役社長 | シュテルン世田谷代表取締役社長、タウ取締役などを経て、2007年同社代表取締役副社長。2021年より現職。 |
| 井上 久尚 | 代表取締役副社長 | ケーユー代表取締役社長などを経て、2007年より現職。 |
| 稲垣 正義 | 取締役専務執行役員 | 同社店舗開発部長、総合企画部長、常務執行役員などを経て、2022年より現職。 |
| 萩原 博文 | 取締役(常勤監査等委員) | 同社総務部次長、ケーユー管理部などを経て、2020年より現職。 |
社外取締役は、細野泰司(細野商事代表取締役)、浅野雅雄(元文教堂グループホールディングス常勤監査役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国産車販売事業」および「輸入車ディーラー事業」を展開しています。
■(1) 国産車販売事業
国産中古車の販売を中心に、新車の販売や点検・整備・修理を行っています。関東圏だけでなく、北海道から東北、北陸など広範囲なエリアで店舗を展開し、多様な車種を取り扱っています。
収益は、顧客からの車両購入代金や修理・整備代金から得ています。運営は主にグループ会社のケーユーが行っています。
■(2) 輸入車ディーラー事業
メルセデス・ベンツ、BMW、MINI、ジープなどの正規ディーラーとして、新車および中古車の販売、点検・整備・修理を行っています。東京都や神奈川県を中心に店舗網を構築しています。
収益は、顧客からの車両購入代金やアフターサービスに伴う修理代金などから得ています。運営は、シュテルン世田谷、モトーレン東名横浜、ファイブスター東名横浜などが各ブランドを担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は1,167億円から1,600億円へと拡大傾向にあります。経常利益は90億円台で安定的に推移しており、当期純利益も40億円前後を維持しています。利益率は5〜6%台で推移しており、安定した収益基盤を築いています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,167億円 | 1,311億円 | 1,533億円 | 1,546億円 | 1,600億円 |
| 経常利益 | 63億円 | 85億円 | 99億円 | 94億円 | 95億円 |
| 利益率(%) | 5.4% | 6.5% | 6.5% | 6.1% | 5.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 39億円 | 57億円 | 67億円 | 62億円 | 65億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し1,600億円となりました。売上総利益も微増しましたが、原価率の上昇により売上総利益率は若干低下しています。営業利益は前期並みの水準を維持しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,546億円 | 1,600億円 |
| 売上総利益 | 267億円 | 271億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.2% | 16.9% |
| 営業利益 | 91億円 | 92億円 |
| 営業利益率(%) | 5.9% | 5.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が59億円(構成比33%)、販売諸掛が21億円(同11%)、減価償却費が18億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
国産車販売事業は、小売販売台数および単価の増加により増収増益となりました。一方、輸入車ディーラー事業は、販売単価は上昇したものの販売台数が減少し、減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国産車販売事業 | 442億円 | 512億円 | 24億円 | 26億円 | 5.2% |
| 輸入車ディーラー事業 | 1,103億円 | 1,088億円 | 57億円 | 52億円 | 4.8% |
| 連結(合計) | 1,546億円 | 1,600億円 | 91億円 | 92億円 | 5.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、総資産の効率的な活用を意識した事業運営を志向し、ROAを重要指標としています。
営業活動では、主に棚卸資産の増加により、獲得した資金は前期比で減少しました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出が前期比で大幅に減少しました。財務活動では、長期借入金の返済や配当金の支払いにより、支出超過となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 77億円 | 73億円 |
| 投資CF | -29億円 | -8億円 |
| 財務CF | -20億円 | -34億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「信頼と安心を通じ豊かなカーライフの創造」を基本理念としています。業界の既成概念にとらわれず、多様なメーカーの新車・中古車を取り扱う「トータルディーラー」としての企業像を掲げ、顧客への自動車販売をコアビジネスと位置づけています。
■(2) 企業文化
国産車から欧米の有名ブランド車まで幅広いラインナップを揃え、販売からアフターサービスまで一貫して提供することを重視しています。また、グループ各社の連携により、仕入れた中古車を最適なセグメントで販売したり、修理を集約するなど、グループ経営のメリットを追求する姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
企業規模の拡大のみを追求するのではなく、売上高利益率の向上と総資産の効率的な活用を重視した「筋肉質な企業集団」の形成を目指しています。経営指標としては、ROA(総資産利益率)を重視した経営を行っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
積極的なIT投資による生産性の向上を図り、総需要が減少する環境下でも利益を確保できる体質強化に努めています。国産車販売事業では広範囲なエリア展開を推進し、輸入車ディーラー事業では店舗網の拡充を進めています。また、両事業間での人事交流やノウハウ共有により、強固な営業基盤の構築を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
性別や国籍、採用ルートにかかわらず、個人の人格や個性を尊重し、意欲と能力を発揮できる職場環境の整備を進めています。人材育成においては、入社時や年次ごとの定期研修に加え、輸入車ディーラー事業ではメーカー主催研修への参加を積極的に行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.2歳 | 11.0年 | 5,168,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.0% |
| 男性育児休業取得率 | 41.2% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 49.9% |
| 男女賃金差異(正規) | 59.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 77.9% |
※上記数値は連結子会社である株式会社ケーユーの実績です。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員に占める女性社員の割合(20.0%)、管理職に占める中途採用者の割合(59.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 販売店契約に関するリスク
同社グループは各インポーターと正規ディーラー契約を締結して事業を行っていますが、何らかの理由で契約が継続できなくなった場合、正規ディーラーとしての業務が困難になり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 自動車市場環境の変化
メーカーによるモデルチェンジ、リコール、不正問題、供給体制の変動などが業績に大きく影響します。また、少子化や若年層の車離れによる市場縮小、競合他社との競争激化も継続的な課題となっています。
■(3) 人材確保と育成のリスク
事業の安定成長には優秀なセールス・メカニック社員の確保が不可欠ですが、少子化による競争激化で人材確保が困難になったり、採用コストが増加する可能性があります。十分な人材を確保できない場合、将来の業績に影響が出る可能性があります。



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