※本記事は、株式会社シャルレの有価証券報告書(第51期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. シャルレってどんな会社?
レディースインナーの訪問販売を主力事業とし、スポーツウェアやシャワーヘッド等の事業も展開しています。
■(1) 会社概要
1975年に設立されレディースインナーの販売を開始しました。1977年に現社名へ変更し、1998年に株式を上場しました。近年は事業の多角化を推進しており、2020年以降の企業買収によりファインバブル事業へ参入し、2025年にはオンヨネの子会社化によりスポーツウェア事業へも参入を果たしています。
同社グループは、連結従業員数291名、単体従業員数205名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業者一族とみられる林雅晴氏で、第2位および第3位にはそれぞれ有限会社G&L、有限会社Lam'sといった資産管理会社とみられる法人株主が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 林 雅晴 | 10.12% |
| 有限会社G&L | 8.53% |
| 有限会社Lam's | 6.41% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は林勝哉氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 林 勝哉 | 代表取締役社長 | 1994年伊藤忠商事入社。同社代表取締役副社長、シャルレ(旧BC)代表取締役社長等を経て2021年より現職。 |
| 高畑 則雄 | 取締役 | 1984年大成入社。同社営業本部副本部長、執行役員営業本部長などを経て2019年より現職。 |
| 千本松 重雄 | 取締役 | 1995年中央出版入社。同社営業本部営業戦略部長、執行役員経営企画部長などを経て2021年より現職。 |
| 濵野 正治 | 取締役 | 1984年同社入社。管理本部本部長、シャルレ(旧BC)経営管理本部総務・人事部長などを経て2021年より現職。 |
| 石岡 弘幸 | 取締役 | 1995年エフエル入社。同社マーケティング本部商品管理部長、商品特命担当などを経て2023年より現職。 |
社外取締役は、吉田稔(元TEIJIN FRONTIER (U.S.A.),INC. 代表取締役社長)、茂永崇(松村・茂永法律事務所 代表弁護士)、中西律子(元NECマネジメントパートナー 取締役執行役員兼CHRO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「レディースインナー事業」「スポーツウェア事業」「ファインバブル事業」および「その他」事業を展開しています。
■レディースインナー事業
国内外の協力工場で生産したレディースインナーを中心とする衣料品、化粧品、健康食品等を扱っています。主にビジネスメンバーを通じ、消費者へ「ホームパーティー形式の試着会」による訪問販売を展開するほか、訪問販売を補完するチャネルとしてECサイトによる通信販売も行っています。
収益源は、ビジネスメンバーや一般消費者からの商品購入代金です。同事業の運営は、同社が主体となって行っています。
■スポーツウェア事業
スキーウェア、スノーボードウェア、アウトドアウェア、フィジカルサポートウェアなど、各種高機能ウェアの企画、製造および販売を行っています。国内外のリゾート施設や一般消費者などを対象として展開しています。
収益源は、スポーツ用品店や施設、一般消費者等への各種ウェアの販売代金です。同事業の運営は、子会社であるオンヨネが担当しています。
■ファインバブル事業
ウルトラファインバブル技術を活用したシャワーヘッドや水回り製品などの企画、製造および販売を行っています。家電量販店やECサイトなどを通じて、一般消費者や法人向けに製品を提供しています。
収益源は、シャワーヘッドおよび水回り製品の販売代金です。同事業の運営は、子会社であるTKSが担当しています。
■その他事業
報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸事業を展開しています。大阪府内などで賃貸用マンション等の物件を保有しています。
収益源は、保有する賃貸不動産から得られる賃料収入などです。同事業の運営は、同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、売上高は110億円から150億円台で推移していますが、利益面は厳しい状況が続いています。特に直近2期間は経常赤字となっており、当期は販売不振や多額の減損損失の計上などが響き、当期純利益の大幅な赤字を計上しています。収益構造の抜本的な改善が急務となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 156億円 | 133億円 | 132億円 | 115億円 | 129億円 |
| 経常利益 | 17億円 | 3億円 | 6億円 | -9億円 | -10億円 |
| 利益率(%) | 11.1% | 2.3% | 4.7% | -8.1% | -8.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | -7億円 | 4億円 | -10億円 | -37億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加したものの、売上総利益は減少しており、粗利率の低下が見られます。営業利益も2期連続で赤字となっており、本業の収益力低下が課題となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 115億円 | 129億円 |
| 売上総利益 | 51億円 | 48億円 |
| 売上総利益率(%) | 44.0% | 36.8% |
| 営業利益 | -10億円 | -11億円 |
| 営業利益率(%) | -8.3% | -8.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が13億円(構成比23%)、発送保管費が10億円(同16%)、販売促進費が10億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
売上の大部分を占めるレディースインナー事業が減収および大幅なセグメント赤字となっており、全体の足を引っ張っています。一方、当期より新規連結されたスポーツウェア事業は利益に貢献していますが、既存のファインバブル事業も赤字が続いており、事業ポートフォリオの立て直しが急がれます。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| レディースインナー事業 | 111億円 | 107億円 | -9億円 | -12億円 | -11.0% |
| スポーツウェア事業 | - | 18億円 | - | 2億円 | 10.2% |
| ファインバブル事業 | 5億円 | 4億円 | -0.5億円 | -0.8億円 | -19.1% |
| その他 | - | 0.3億円 | - | 0.2億円 | 52.9% |
| 連結(合計) | 115億円 | 129億円 | -10億円 | -11億円 | -8.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業・投資・財務いずれもマイナスとなっており、資金繰りに注意が必要な末期型の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -18億円 | -10億円 |
| 投資CF | -27億円 | -35億円 |
| 財務CF | -5億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-23.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「人はみな豊かでなければならない 我々に関係ある人はみな どうしても豊かでなければならない」という基本理念を掲げています。女性一人ひとりの変化に寄り添い、生活の質を向上させる商品やサービス、ビジネスを提供することで、「いつも、私らしく輝ける場所がある。」という価値の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、10年後のあるべき姿として「いつの時代も『新しい豊かさ』を追求する企業へ」という長期ビジョンを掲げています。社会の変化や人々の価値観に柔軟に適応し、心身ともに健やかに過ごし、社会や人との関わりを通じて自分らしく輝ける「Well-Being」の実現に向けて挑戦し続ける姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2035年3月期を最終年度とする長期ビジョンを掲げ、それに向けた5カ年の中期経営計画を推進しています。中核であるインナー事業の業績回復を軸とした構造改革や、グループシナジーを活かした新規事業の多角化を通じて、以下の目標達成を目指しています。
* 連結売上高:204億円
* 連結営業利益率:10%以上
* 連結ROE:5%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
中核事業を第二創業期と位置づけ、訪問販売と通信販売を融合したハイブリッドセールスによるビジネス基盤の構築や、健康食品等の新商材開発によるマーケティング戦略を推進します。また、子会社の成長支援や新規事業開発を通じたグループシナジーの創出を図り、持続的な成長と企業価値の向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人材を重要な経営資源と位置づけ、従業員一人ひとりが仕事に誇りとやりがいを持ち、自発的に挑戦・貢献できる組織風土の醸成を目指しています。ワークライフバランスの充実や柔軟な働き方の整備を進めるとともに、教育研修や人事制度の充実を通じて従業員の自律的な成長と専門性の向上を支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 46.4歳 | 19.8年 | 6,102,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金が含まれています。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 29.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員の平均勤続年数(16.5年)、女性社員の育児休業取得率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 訪問販売のビジネスモデルと販売員に関するリスク
レディースインナー事業は訪問販売を主力としていますが、女性の社会進出に伴う在宅率の低下や販売チャネルの多様化により、訪問販売が敬遠される可能性があります。また、販売員の高齢化やビジネス意欲の減退により顧客獲得が伸び悩むことで、売上が減少し業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) M&Aに伴う事業拡大リスク
同社グループは新規事業開発の一環としてM&Aを推進しています。しかし、事前の検討にもかかわらず期待したシナジー効果が創出できない場合や、買収事業の需要を維持できない場合は成果が得られず、計上したのれんの減損処理等により財務状況および経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 経済環境および需要動向の変化によるリスク
国内市場への依存度が高く、景気や消費動向、競合との競争激化、天候不順等の影響を受けやすい事業構造です。需要予測を見誤った場合の在庫ロスの増加に加え、原材料価格の高騰や円安によるコスト上昇を販売価格に転嫁できない場合、収益を圧迫し業績に影響を及ぼすリスクがあります。



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