シャルレ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 シャルレ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、女性用インナーの訪問販売を主力事業としています。近年はウルトラファインバブル技術を活用したシャワーヘッド等の製造販売も展開しています。直近の決算では、主力事業の苦戦やコスト増により減収となり、営業損益および最終損益は赤字に転落しています。


※本記事は、株式会社シャルレの有価証券報告書(第50期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シャルレってどんな会社?


女性用下着の訪問販売で知られる企業です。現在はEC販売やシャワーヘッド等の製造販売も展開しています。

(1) 会社概要


1975年に神戸で関西ゴールデンユニバーサルとして設立され、レディースインナーの販売を開始しました。1998年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、2013年の市場統合を経て東京証券取引所市場第二部へ移行しました。2020年には株式会社田中金属製作所(現TKS)などを子会社化し、ウルトラファインバブル事業へ参入しています。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しました。

連結従業員数は223名、単体では205名体制です。筆頭株主は創業家出身の林雅晴氏で、第2位は林勝哉社長が代表を務める資産管理会社の有限会社G&L、第3位も同様に資産管理会社の有限会社Lam’sとなっており、創業家および関連会社が上位を占めています。

氏名 持株比率
林 雅晴 9.67%
有限会社G&L 8.15%
有限会社Lam’s 6.12%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は林勝哉氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
林 勝哉 代表取締役社長 伊藤忠商事入社を経て、2000年に同社入社。副社長やグループ会社代表を経て、2021年6月より現職。
高畑 則雄 取締役 1988年に入社。営業本部副本部長、執行役員営業本部長などを歴任し、2019年6月より現職。
千本松 重雄 取締役 1996年に入社。営業戦略部長、経営企画部長などを経て、2021年6月より現職。
濵野 正治 取締役 1984年に入社。管理本部本部長、総務・人事部長、内部監査部長などを歴任し、2021年6月より現職。
石岡 弘幸 取締役 2002年に入社。マーケティング本部や商品管理部の部長職を経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、吉田金吾(元SMBCフレンド証券部長)、岸本達司(新世綜合法律事務所代表パートナー)、井出久美(井出久美公認会計士事務所所長)、茂永崇(松村・茂永法律事務所代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レディースインナー等販売事業」および「ウルトラファインバブル技術製品等製造販売事業」を展開しています。

レディースインナー等販売事業


国内および海外の協力工場で生産したレディースインナー、化粧品、健康食品等を販売しています。販売手法としては、ビジネスメンバーを通じて消費者へ提案する「ホームパーティー形式の試着会」による訪問販売を主力としつつ、一般消費者へ向けたECサイトによる通信販売も展開しています。

収益は、ビジネスメンバーや一般消費者への商品販売による代金が主な源泉です。運営は主にシャルレが行っています。

ウルトラファインバブル技術製品等製造販売事業


微細な気泡を発生させるウルトラファインバブル技術を用いたシャワーヘッドや水回り製品等の製造および販売を行っています。OEM供給のほか、自社ブランド製品の展開も進めています。

収益は、製品の販売代金やOEM供給による売上が中心です。製造および販売は株式会社TKSが行い、ECサイト等での販売は株式会社WATER CONNECTが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。特に2025年3月期は減収幅が大きく、115億円となりました。利益面では、2022年3月期には高い利益率を確保していましたが、その後は低下し、2025年3月期には経常損失および当期純損失を計上し、赤字に転落しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 138億円 156億円 133億円 132億円 115億円
経常利益 -7.3億円 17億円 3.0億円 6.2億円 -9.3億円
利益率(%) -5.3% 11.1% 2.3% 4.7% -8.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -15億円 2.7億円 -7.2億円 3.5億円 -10億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の減少に伴い、売上総利益が大きく減少しています。売上総利益率は約50%から約44%へ低下しました。販売費及び一般管理費は横ばい圏ですが、売上総利益の減少を吸収できず、営業損益は赤字となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 132億円 115億円
売上総利益 66億円 51億円
売上総利益率(%) 49.8% 44.0%
営業利益 5.6億円 -10億円
営業利益率(%) 4.2% -8.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が12億円(構成比21%)、販売促進費が10億円(同17%)を占めています。売上原価については、商品売上原価等が中心となり、売上原価率は約56%となっています。

(3) セグメント収益


レディースインナー等販売事業は、衣料品類の不振や価格改定後の買い控え等の影響で減収となり、営業損失を計上しました。ウルトラファインバブル技術製品等製造販売事業も、競争激化やEC販売の減少により大幅な減収となり、赤字に転落しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
レディースインナー等販売事業 121億円 111億円 3.4億円 -8.7億円 -7.8%
ウルトラファインバブル技術製品等製造販売事業 11億円 4.7億円 2.7億円 -0.5億円 -10.2%
連結(合計) 132億円 115億円 5.6億円 -10億円 -8.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、財務健全性を維持するため、自己資本比率の向上に努めています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、損失の発生や棚卸資産の増加などにより、資金の減少となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や投資有価証券の取得により、大幅な支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、資金の支出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 15億円 -18億円
投資CF 1.2億円 -27億円
財務CF -1.6億円 -5.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人はみな豊かでなければならない」という基本理念を掲げています。シャルレが提供する価値として「いつも、私らしく輝ける場所がある。」を目指し、女性一人ひとりの変化に寄り添い、生活の質を向上させる商品・サービス・ビジネスを提供することを約束しています。

(2) 企業文化


従業員一人ひとりが仕事に誇りとやりがいを持ち、「自発的貢献」と「新たな価値創造に向けた挑戦」ができる組織風土の醸成を目指しています。多様性を含む人材育成や、ワークライフバランスの充実、柔軟な働き方の推奨などを通じて、心身ともに充実し安定して働き続けられる環境づくりを重視しています。

(3) 経営計画・目標


2035年3月期をゴールとした長期ビジョン「Charle Group Vision 2035」を策定し、その実現に向けた中期経営計画を推進しています。最終年度である2035年3月期の目標として、以下の数値を掲げています。

* 連結売上高:204億円
* 連結営業利益率:10%以上
* 連結ROE:5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中核のシャルレ事業を第二創業期と位置付け、事業構造改革の完遂とグループシナジーの最大化を目指しています。具体的には、訪問販売と通信販売を融合したハイブリッドセールスの構築、健康食品の強化、リブランド戦略などを推進します。また、グループ事業では子会社の成長支援や新規事業開発、M&A等による多角化を進め、資本効率の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「自発的貢献」と「新たな価値創造に向けた挑戦」ができる組織風土を醸成するため、働き方改革や女性活躍推進、エンゲージメント向上に取り組んでいます。多様な人材が能力を発揮できるよう、フレックスタイム制やテレワーク等の柔軟な勤務制度を整備し、成果に応じた処遇とフィードバックによる育成を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.7歳 20.2年 6,249,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 24.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員の平均勤続年数(16.5年)、女性社員の育児休業取得率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 販売方法及び販売員に関するリスク


主力のレディースインナー等販売事業は訪問販売形態をとっており、販売員(代理店等)との信頼関係が重要です。女性の社会進出による在宅率低下や販売チャネルの多様化により、訪問販売での購入機会が減少する可能性があります。また、販売員の高齢化や新規参画者の減少により販売活動が停滞し、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 商品や製品の事故等に関するリスク


「高品質なものづくり」を掲げ厳格な品質管理を行っていますが、商品に事故や欠陥が生じた場合、製造物責任法に基づく訴訟や製品回収コストが発生する可能性があります。また、安全性に関するクレームや風評被害が発生した場合、ブランドイメージの低下を招き、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 情報セキュリティに関するリスク


事業運営において多くの個人情報や企業機密情報を扱っており、サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏洩のリスクがあります。特に訪問販売事業では販売員も顧客情報を扱うため、そこからの漏洩リスクも存在します。万一、情報漏洩が発生した場合は社会的信用の失墜や損害賠償等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。