※本記事は、株式会社UEXの有価証券報告書(第72期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. UEXってどんな会社?
UEXは、ステンレス鋼やチタンなどの金属材料の販売事業を主力として展開する専門商社です。
■(1) 会社概要
同社は1950年に設立され、1955年よりステンレス・特殊鋼の販売を開始しました。1962年に上野金属産業へ商号変更し、1998年に現在のUEXに改称しました。2004年にジャスダックへ株式を上場し、2025年には金属加工販売を展開するナカタニを完全子会社化するなど、事業基盤を強化しています。
現在の従業員数は連結で518名、単体で296名となっています。筆頭株主は事業会社の住友商事で、第2位に日本製鉄、第3位に三井物産スチールが名を連ねており、大手商社や鉄鋼メーカーなどの事業会社が上位株主となっているのが特徴です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 住友商事 | 6.53% |
| 日本製鉄 | 6.32% |
| 三井物産スチール | 3.34% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は秀髙雅紀氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 秀髙雅紀 | 代表取締役社長 | 1986年新日本証券入社。2011年UEX入社、経営企画部長や常務執行役員などを経て2025年3月より現職。 |
| 岸本則之 | 取締役会長 | 1979年UEX入社。総務部長や専務取締役などを経て2012年代表取締役社長に就任。2025年3月より現職。 |
| 合瀨雄介 | 取締役 | 1989年UEX入社。九州支店長、大阪支店長、ユーザー営業部長や執行役員営業統括などを歴任。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、伊藤哲夫(元環境省自然環境局長)、小佐井優(元住商鋼管社長)、新倉陽子(元出光興産コミュニケーションリード)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ステンレス鋼その他金属材料の販売事業」「ステンレス鋼その他金属加工製品の製造・販売事業」「機械装置の製造・販売及びエンジニアリング事業」を展開しています。
■ステンレス鋼その他金属材料の販売事業
主にステンレス鋼板、鋼管、条鋼等様々な品種の金属材料を切断販売し、半導体装置用ステンレス鋼管や鋳造品・鍛造品・機械加工部品などの加工販売を行っています。多様な産業分野の顧客へ向けて価値ある流通機能を提供しています。
ステンレス鋼その他金属材料などの販売代金を顧客から受け取ることで収益を得ています。事業の運営は同社が中核を担い、子会社の令和特殊鋼、UEX管材、日進ステンレス、ナカタニなどが販売を、ステンレス急送が商品の配送業務を行っています。
■ステンレス鋼その他金属加工製品の製造・販売事業
ステンレス鋼製ウェザーカバーのOEM生産や、中国国内におけるステンレス鋼管および加工製品の製造・販売を行っています。顧客のニーズに立脚したステンレス製品の提供を推進しています。
製造・販売した金属加工製品の代金を受け取る収益モデルとなっています。事業の運営は、子会社の大崎製作所および上海威克斯不銹鋼(清算予定)が行っています。
■機械装置の製造・販売及びエンジニアリング事業
食品や化学向けを中心とした一般産業用機械装置の設計・製作および販売を行っています。また、顧客向けのエンジニアリングサービスも提供し、産業インフラの発展を支援しています。
機械装置の販売代金やエンジニアリングサービスの提供対価を顧客から受け取ることで収益を得ています。事業の運営は、子会社の上野エンジニアリングが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が500億円前後で推移していますが、当期は497億円とやや減収になりました。経常利益は3期前に44億円まで拡大したものの、その後はステンレス鋼市況の軟調な動きなどの影響を受けて減少傾向が続いており、当期は13億円となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 455億円 | 538億円 | 521億円 | 503億円 | 497億円 |
| 経常利益 | 23億円 | 44億円 | 23億円 | 17億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 4.9% | 8.1% | 4.3% | 3.4% | 2.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 23億円 | 11億円 | 8億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微減となり、売上総利益や営業利益も減少しています。利益率も低下傾向にあり、市況の変化やコスト増加に対する収益力の向上が課題となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 503億円 | 497億円 |
| 売上総利益 | 95億円 | 92億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.9% | 18.5% |
| 営業利益 | 18億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 3.5% | 2.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当及び賞与が28億円(構成比35%)、荷造運搬費が12億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のステンレス鋼その他金属材料の販売事業は、市況の軟調な動きや販売数量の減少により前期比で減収となりました。金属加工製品事業も微減でしたが、機械装置の製造・販売及びエンジニアリング事業は大口物件の売上計上があり増収を確保しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ステンレス鋼その他金属材料の販売事業 | 481億円 | 474億円 |
| ステンレス鋼その他金属加工製品の製造・販売事業 | 13億円 | 13億円 |
| 機械装置の製造・販売及びエンジニアリング事業 | 9億円 | 11億円 |
| 連結(合計) | 503億円 | 497億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
積極型:営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -12億円 | 10億円 |
| 投資CF | -5億円 | -12億円 |
| 財務CF | 20億円 | 5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.4%であり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「日本一のステンレス・チタン商社として、世のため人のために役立ちたい。」という企業理念を掲げ、「UEXの志」という形にまとめています。また、経営方針として「ステンレス・チタン商社として価値ある流通機能を提供することで社会に貢献し、永続的な成長を通じてステークホルダーの満足度向上をめざします。」と定めています。
■(2) 企業文化
「UEXの志」のもと、すべてのステークホルダーに配慮した事業活動を行うことで、自らの持続的な成長と持続可能な社会の実現への貢献を目指しています。また、企業倫理を確立し経営の透明性を確保するとともに、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制を構築・維持することを経営上の最重要課題と位置づけ、コンプライアンスの徹底を重視する文化を根付かせています。
■(3) 経営計画・目標
今後の経営施策の実行にあたり、営業利益の絶対額および営業利益率の目標値を設定し、資本効率をはかる尺度としてROEを経営指標に採用しています。株主還元については、以下の目標を掲げています。
* DOE(自己資本配当率)1.0%以上
* 連結配当性向35~40%を目安
■(4) 成長戦略と重点施策
国内市場での他社との競争に打ち勝ちシェアを拡大するため、高い付加価値が期待できる加工品販売の強化や、顧客ニーズに立脚した用途開発の提案営業を推進しています。また、半導体・脱炭素・国土強靭化などの国家戦略関連分野へ社内横断的に取り組んでいます。加えて、事業継続対策を兼ねた働き方改革を推進し、業務効率化や生産体制の強化にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中長期的な企業価値の向上には、異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観の存在が重要であるとの認識のもと、人材育成と職場環境整備に取り組んでいます。働きやすく安心で安全な企業風土の醸成、キャリア形成支援のための教育研修の実施、多様性を受け入れ尊重する組織風土の醸成を推進し、特に中途採用者の採用を積極的に行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.2歳 | 16.8年 | 6,947,960円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.1% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※男性育児休業取得率および男女賃金差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員の採用者数に占める割合(30.9%)、中途採用者の正社員等に占める割合(62.1%)、中途採用者の管理職に占める割合(69.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ステンレス鋼価格の変動
同社の販売事業はステンレス鋼への依存度が高く、売上高の大部分を占めています。商品在庫から販売する比率も高いため、需給動向や原料価格の推移によりステンレス鋼価格が急激に下落した場合、売上総利益率が著しく低下し、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 金利の変動による影響
中核事業である金属材料の販売において、競争力の維持・拡大のために商品在庫の確保や保管・加工設備の充実を図る必要があり、運転資金および設備資金の多くを借入金で調達しています。そのため、将来の金利変動による金融コストの上昇が、同社の業績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) 与信リスクの顕在化
販売先との取引の大部分が信用取引で行われています。債権の回収遅延や回収不能などによる損失を防ぐため、厳格な信用管理規程を設けて運営していますが、不測の事態により販売先の信用不安が顕在化した場合、同社の経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。