JBCCホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JBCCホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JBCCホールディングスは東証プライム上場企業です。企業のDXを実現するトータルITサービスを提供しており、情報システムの構築・運用、クラウド、セキュリティ等の事業を展開しています。直近の2025年3月期は3期連続の増収増益を達成し、営業利益は過去最高益を更新するなど、業績は好調に推移しています。


※本記事は、JBCCホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第61期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. JBCCホールディングスってどんな会社?


持株会社体制のもと、企業のDXを支援するITソリューションや製品開発を行うグループ企業です。

(1) 会社概要


1964年に日本ビジネスコンピューターとして設立され、1983年に日本アイ・ビー・エムと資本提携しました。1999年に東証二部、2000年に東証一部へ上場し、2006年に純粋持株会社体制へ移行して現社名となりました。2024年にはグループ名称を「JBCCグループ」に変更し、ブランドの統一を図っています。

同グループの従業員数は連結1,592名、単体15名です。大株主の構成は、筆頭株主が資産管理業務を行う信託銀行、第2位が社員持株会、第3位も信託銀行となっており、機関投資家や従業員が主要な株主となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 15.22%
JBCCグループ社員持株会 8.04%
日本カストディ銀行(信託口) 7.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は東上征司氏です。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
東上 征司 代表取締役社長 日本アイ・ビー・エム取締役専務執行役員を経て、2012年JBCCに入社。JBCC代表取締役社長などを歴任し、2019年より現職。
浅利 信治 取締役 日本アイ・ビー・エム常務執行役員などを経て、2023年同社入社。管理担当およびC&Cビジネスサービス(現JBエキスパート)社長を経て、2024年より現職。
三星 義明 取締役 1983年同社入社。JBCC取締役常務執行役員などを経て、2016年JBサービス代表取締役社長、2017年より現職。
籔下 真平 取締役 日本アイ・ビー・エム取締役専務執行役員などを経て、2020年JBCC取締役副社長。2021年より現職。JBアドバンスト・テクノロジー社長も務める。
内田 義隆 取締役 1986年同社入社。JBCC取締役常務執行役員などを経て、2021年より現職。2023年からはJBCC取締役専務執行役員も務める。
山﨑 健 取締役常勤監査等委員 1985年同社入社。JBCC上級執行役員などを経て、2022年より現職。


社外取締役は、井戸潔(かんぽシステムソリューションズ会長兼CEO)、鷺谷万里(元セールスフォース・ドットコム常務執行役員)、今村昭文(弁護士)、渡辺善子(元日本アイ・ビー・エム常勤監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報ソリューション」「製品開発製造」事業を展開しています。

情報ソリューション


企業の基幹システム構築や運用保守、クラウド、セキュリティサービスを提供しています。特に「超高速開発」や運用付きクラウドサービス「EcoOne」等の独自ソリューションにより、顧客のDXを支援します。主な顧客は国内の中堅・大手企業です。

収益は、システム開発の請負対価、クラウドサービスの月額利用料、運用・保守サービス料、ハードウェア・ソフトウェアの販売代金等から得ています。運営は主に事業会社であるJBCC、JBサービス、シーアイエス、ソルネット等が担っています。

製品開発製造


クラウドデータ連携基盤「Qanat Universe」や生産管理システム「R-PiCS」等の自社ソフトウェアの開発・提供、およびプリンター等のハードウェア製造・販売を行っています。ソフトウェアによる高付加価値化を推進しています。

収益は、ソフトウェアのライセンス料やサブスクリプション利用料、ハードウェアの製品販売代金等から得ています。運営は主にJBアドバンスト・テクノロジーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、利益ともに順調な拡大傾向にあります。特に直近の2025年3月期は売上高、各段階利益ともに過去最高水準を達成しており、利益率も向上しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 600億円 559億円 581億円 652億円 699億円
経常利益 27億円 32億円 38億円 45億円 63億円
利益率(%) 4.5% 5.8% 6.6% 7.0% 9.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 11億円 14億円 14億円 49億円 50億円

(2) 損益計算書


2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。営業利益率も上昇しており、収益性が改善しています。販管費のコントロールも効いている様子がうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 652億円 699億円
売上総利益 194億円 210億円
売上総利益率(%) 29.7% 30.0%
営業利益 44億円 62億円
営業利益率(%) 6.8% 8.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料が57億円(構成比39%)、賞与が25億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


情報ソリューション事業が増収増益で全社の成長を牽引しています。製品開発製造事業は売上高が横ばいですが、増益を確保しています。全体として高付加価値ビジネスへのシフトが進んでいます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
情報ソリューション 632億円 679億円 58億円 75億円 11.1%
製品開発製造 20億円 20億円 1億円 1億円 4.6%
調整額 △9億円 △8億円 △15億円 △15億円 -
連結(合計) 652億円 699億円 44億円 62億円 8.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

JBCCホールディングスは、自己株式の売却による収入が財務活動による資金増加に貢献しました。

営業活動では、税金等調整前当期純利益の増加や棚卸資産の減少が資金増加を後押ししました。投資活動では、投資有価証券の売却収入が資金増加の主な要因となりました。財務活動では、自己株式の売却収入が資金増加に寄与した一方、配当金の支払いにより資金が減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 12億円 66億円
投資CF 4億円 4億円
財務CF △24億円 9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「創り出そう、躍動する社会を。挑戦しよう、技術とともに。」というビジョンを掲げています。お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する総合ITサービスを提供する企業グループとして、持続的成長と企業価値の最大化を目指しています。

(2) 企業文化


「JBCCバリュー」として、「プロフェッショナルとしての成長」「チャレンジ(未来づくりへの挑戦)」「とことん考え抜く(課題発見×解決力)」「人間力(対人関係構築力)」「チーム・仲間への貢献」の5つを重視しています。社員のモチベーション向上やイノベーション創出ができる企業風土の実現を目指しています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「CHALLENGE 2026」において、以下の目標を掲げています。
* 2027年3月期 売上高:745億円以上
* 2027年3月期 営業利益率:11.0%以上
* 2027年3月期 自己資本利益率(ROE):20.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画「CHALLENGE 2026」では、注力事業であるクラウド、セキュリティ、超高速開発の3事業にデータ&AI活用を取り込み、事業を進化・深化させる方針です。高付加価値ビジネスを中心に「価値創造型企業」への変革を目指し、人材への戦略的投資やガバナンス強化等の経営基盤の高度化を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「Think × Act × Team」(自ら考え、行動し、その成果をチーム全体に広げる)を求める人材像とし、即戦力および若手人材の採用を強化しています。人材への投資を過去3か年比1.5倍に増やし、高度技術専門職制度の導入やJBCCアカデミーによる育成、従業員エンゲージメントの向上を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.4歳 11.6年 1027万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 66.7%
男性育児休業取得率 84.6%
男女賃金差異(全労働者) 113.4%
男女賃金差異(正規雇用) 114.9%
男女賃金差異(非正規雇用) -


※「労働者の男女の賃金の差異」における「非正規雇用」の「-」は対象となる労働者がいないことを示しております。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報漏洩に関するリスク


顧客の個人情報や機密情報を扱う事業の性質上、サイバー攻撃や人為的過失による情報漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として情報セキュリティポリシーの策定や教育・研修を実施しています。

(2) システム開発に関するリスク


顧客要望の高度化や仕様変更等により、当初見積もりより工数が増加し追加費用が発生する可能性があります。2025年3月期には一部プロジェクトの遅延により追加費用が発生しました。対策として審査会議による見積もり精査や、プロジェクト管理体制の強化を進めています。

(3) 大規模な自然災害等に関するリスク


地震や洪水等の大規模災害、伝染病の流行等により事業拠点や従業員が被害を受けた場合、事業継続に支障をきたし業績に影響を与える可能性があります。これに対し、事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、データセンターの分散化等の対策を講じています。

(4) 法令・規制に関するリスク


国内外の事業活動において各種法令・規制の適用を受けており、法令違反の発生や規制強化があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。リスク管理委員会によるガバナンス強化や、行動基準の制定、コンプライアンス教育の徹底によりリスク低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。