JBCCホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JBCCホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するJBCCホールディングスは、クラウド、セキュリティ、超高速開発を中心とした情報システムの構築や運用・保守サービスを主力事業として展開しています。直近の業績では、注力事業の順調な拡大により増収増益を達成しており、高い収益性を伴う成長トレンドを維持しています。


※本記事は、JBCCホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第62期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. JBCCホールディングスってどんな会社?


企業向け情報システムの構築から運用までをトータルでサポートし、中堅・大手企業のDXを推進しています。

(1) 会社概要


1964年、日本ビジネスコンピューターとして設立されました。1990年に株式を公開し、2000年には東京証券取引所市場第一部への上場を果たしています。2006年に純粋持株会社体制へ移行してJBCCホールディングスとなり、各事業会社を通じた専門性の高いITサービスを提供する現在の体制へと発展しました。

同社グループの従業員数は連結で1,604名、単体で17名となっています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位はJBCCグループ社員持株会、第3位には日本カストディ銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.37%
JBCCグループ社員持株会 8.09%
日本カストディ銀行(信託口) 7.63%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は東上征司氏が務めており、社外取締役比率は50.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
東上征司 代表取締役社長 日本アイ・ビー・エム入社後、同社取締役専務執行役員などを経て、2012年顧問として入社。JBCC代表取締役社長などを歴任し、2019年より現職。
浅利信治 取締役 日本アイ・ビー・エム入社後、同社常務執行役員などを経て、2023年顧問として入社。C&Cビジネスサービス(現JBエキスパート)代表取締役社長などを歴任し、2024年より現職。
山﨑健 取締役常勤監査等委員 同社入社後、エンタープライズ事業部営業本部長やJBCC上級執行役員ソリューション事業ヘルスケア事業部長などを歴任し、2022年より現職。


社外取締役は、井戸潔(元かんぽ生命保険取締役兼代表執行役副社長)、今村昭文(元あたご法律事務所弁護士)、渡辺善子(元日本アイ・ビー・エム常勤監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報ソリューション」および「製品開発製造」事業を展開しています。

情報ソリューション


超高速開発、クラウド、セキュリティを中心としたシステム開発や、情報システムの運用・保守サービスを提供しています。また、ハードウェアおよびソフトウェアの販売なども展開し、国内の中堅・大手企業を主な顧客として事業の変革を支援しています。

収益は、請負契約に基づくシステム開発料や、マネージドサービスを通じた継続的な運用・保守の利用料などから得ています。事業の運営は主にJBCC、JBサービス、シーアイエスなどのグループ各社が担っています。

製品開発製造


クラウドデータ連携基盤などの独自ソフトウェアや生産管理システムの開発・提供のほか、プリンターなどの各種ハードウェア製品の製造・販売を行っています。サイボウズ社のプラットフォーム向けプラグインなども提供しています。

収益は、独自開発したソフトウェアのライセンス販売やクラウドサービスの利用料、ハードウェア機器の販売代金などから得ています。事業の運営は主にJBCCなどのグループ各社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は安定して拡大を続けており、経常利益も連続して増加しています。利益率も段階的に向上しており、高付加価値ビジネスへの転換が着実に進んでいることがうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 559億円 581億円 652億円 699億円 760億円
経常利益 32億円 38億円 45億円 63億円 75億円
利益率(%) 5.8% 6.6% 7.0% 9.0% 9.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 14億円 49億円 50億円 49億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も伸びており、売上総利益率も改善しています。これによって営業利益も拡大し、本業での稼ぐ力が一段と強化されています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 699億円 760億円
売上総利益 210億円 242億円
売上総利益率(%) 30.0% 31.8%
営業利益 62億円 73億円
営業利益率(%) 8.8% 9.6%

(3) セグメント収益


主力の情報ソリューション分野が大型案件の受注などにより好調に推移し、業績を牽引しました。製品開発製造分野もソフトウェア分野の伸長などにより増収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
情報ソリューション 679億円 739億円
製品開発製造 20億円 21億円
連結(合計) 699億円 760億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは改善型に分類されます。営業活動で安定的に資金を獲得しつつ、有価証券の売却等による資金流入もあわせて、株主還元や自己株式の取得などに充当している状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 66億円 60億円
投資CF 4億円 3億円
財務CF 9億円 -55億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.8%で市場平均を大きく上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も52.5%で市場平均を上回っており、高い資本効率と財務の健全性を両立しています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「創り出そう、躍動する社会を。挑戦しよう、技術とともに。」というビジョンを掲げています。グループの総合力と技術力を活かし、ITサービスの提供を通じて社会や環境課題を解決することで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


お客様が一番欲しいものを最速でお届けするため、新たな技術に積極的に挑戦し、より一層ビジネスのスピードを上げる「価値創造型企業」としての姿勢を重視しています。社員一人ひとりが自ら考え行動し、得た知見をチームへ還流する「Think×Act×Team」を行動指針としています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「CHALLENGE 2026」を推進し、継続的成長と高い収益性の実現を目指しています。同計画の最終年度となる2027年3月期の業績目標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高:795億円以上
* 営業利益率:11.0%以上
* 自己資本利益率(ROE):20.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


注力事業であるクラウド、セキュリティ、超高速開発の3分野に経営資源を集中し、事業構造の変革を加速させています。さらに生成AIの広がりを成長機会と捉え、AI人材の育成を強化するとともに、お客様の業務変革を支援する独自のAIプラットフォームの整備やサービスモデルの確立を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最も重要な経営資源と位置づけ、「価値創造型人材」を中核とした人材戦略を推進しています。採用・育成・配置・エンゲージメントの強化を一体的に行い、社員が主体的に学ぶキャリアオーナーシップの育成や、柔軟な働き方の提供を通じて、人的資本基盤の充実を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 48.9歳 16.3年 12,392,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 50.0%
男性育児休業取得率 84.2%
男女賃金差異(全労働者) 118.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 108.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 111.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、eNPS(-37)、女性採用比率(50.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新・生成AIの進展への対応遅れ

生成AIをはじめとする先進技術の急速な進化により、IT業界の競争環境は大きく変化しています。これらの技術革新への対応が遅れた場合、既存サービスの競争力低下や新たな事業機会を逃すリスクがあります。同社は自らAIを前提とした業務変革を進め、得た知見をサービスに還元することで対応しています。

(2) 高度化するサイバー攻撃と情報漏洩

システム開発や運用等のサービス提供において、顧客の機密情報や個人情報を取り扱っています。サイバー攻撃や不正アクセス、人為的過失により情報漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜や業績への悪影響が生じる可能性があります。同社はセキュリティポリシーの策定や監査体制の強化など、多層的な対策を行っています。

(3) システム開発における不採算案件の発生

システム開発の請負契約において、顧客の要望の複雑化や開発着手後の要件変更により、作業工数が増加して追加費用が発生するリスクがあります。これによる不採算案件を回避するため、見積り段階での審査やプロジェクト管理の高度化、AIを活用した開発手法の進化などに取り組んでいます。

(4) 高度専門人材の確保・定着の困難化

AIやクラウドなどの先進技術分野において、IT人材の獲得競争が市場全体で激化しています。必要な専門人材の確保や育成、定着が計画通りに進まない場合、サービス提供力や競争力の低下を招く恐れがあります。同社は採用チャネルの多様化や独自の育成プログラムの充実、処遇制度の拡充により人材基盤を強化しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。