イエローハット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イエローハット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するイエローハットは、全国規模でカー用品や二輪用品等の卸売・小売販売、車検・整備等のメンテナンス事業を展開しています。直近の業績は、タイヤなどの消耗品や工賃の販売が好調で増収となった一方、人材投資や店舗運営コストの増加などにより営業利益と経常利益は減益となっています。


※本記事は、株式会社イエローハットの有価証券報告書(第68期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. イエローハットってどんな会社?


全国に店舗を展開し、カー用品・二輪用品の販売やメンテナンスを提供する小売・卸売企業です。

(1) 会社概要


1961年10月に自動車用品等の販売を目的として創業し、1962年3月に法人化しました。1975年11月に直営第1号店を開設し、1997年9月に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。その後も、2012年に二輪事業会社の子会社化や他社との業務提携などM&Aを積極的に推進し、事業領域を拡大しています。

従業員数は連結で4,176名、単体で137名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は不動産賃貸業を行う幸栄企画で、第2位および第3位には資産管理業務などを行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
幸栄企画 14.67%
INTERTRUST TRUSTEES(CAYMAN)LIMITED SOLEL Y IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(常任代理人: みずほ銀行決済営業部) 9.68%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長は木村昭夫氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
堀江康生 代表取締役会長 1976年同社入社。営業本部長等を経て2008年代表取締役社長に就任。2024年より現職。
木村昭夫 代表取締役社長 1996年同社入社。経理部企画課長、経理部長等を経て2022年取締役に就任。2024年より現職。
佐藤和幸 専務取締役 1979年同社入社。仙台支店長等を経てジョイフル代表取締役に就任。2014年同社取締役に就任し、2018年より現職。
白石理 専務取締役 1982年同社入社。執行役員運営本部長等を経て2008年取締役に就任。2011年より現職。
上甲祐 取締役 1995年同社入社。タイヤ・ホイール商品部長、DX推進室長等を経て2024年取締役に就任。2026年より現職。
本村弘之 取締役 2008年同社入社。関東支店長、店舗運営部長、運営本部長等を経て2024年取締役に就任。2026年より現職。


社外取締役は、斎藤四郎(斎藤四郎税理士事務所開設)、久保妙子(元甲南女子大学特任教授)、神田知江美(かすが・國塚法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「カー用品・二輪用品等販売事業」および「賃貸不動産事業」を展開しています。

カー用品・二輪用品等販売事業


同社グループの中核として、カー用品および二輪用品などの製造、卸売販売、ならびに一般消費者向けの小売販売やメンテナンス作業の提供を行っています。顧客の安全で快適なカーおよびバイクライフを支援しています。

収益は、卸売を通じた販売収入や、店舗での商品販売および車検・整備などのサービス提供による工賃から得ています。運営はイエローハットのほか、ジョイフル、2りんかんイエローハット、バイク館イエローハット、ワイズロード・イエローハットなどが担っています。

賃貸不動産事業


同社が保有する店舗建物や設備などの不動産をグループ内外に貸し出し、不動産の有効活用を図っています。これにより安定した経営基盤の構築に寄与しています。

収益は、販売子会社や関連会社、グループ企業などの賃借人から受け取る不動産賃貸料によって構成されています。運営はイエローハットが主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は安定して成長を続け、直近では1,713億円を記録しています。経常利益も150億円から168億円の水準を維持しており、10%前後の高い利益率を背景に、堅調な収益基盤と事業の成長性がうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,480億円 1,472億円 1,466億円 1,541億円 1,713億円
経常利益 150億円 163億円 160億円 168億円 166億円
利益率(%) 10.1% 11.1% 10.9% 10.9% 9.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 73億円 86億円 81億円 96億円 94億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、消耗品の販売増や新規子会社の業績寄与により売上高が順調に拡大し、売上総利益も増加しています。一方で、人材投資や事業拡大に伴うコスト増が影響し、営業利益率はやや低下しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,541億円 1,713億円
売上総利益 674億円 745億円
売上総利益率(%) 43.7% 43.5%
営業利益 155億円 151億円
営業利益率(%) 10.0% 8.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が202億円(構成比34.1%)、賃借料が78億円(同13.1%)、広告宣伝費及び販売促進費が52億円(同8.8%)を占めています。売上原価(968億円)は売上高の56.5%を占めています。

(3) セグメント収益


主力のカー用品・二輪用品等販売事業は、タイヤなどの消耗品や工賃収入が好調で増収となりました。賃貸不動産事業も堅調に推移しており、グループ全体の売上拡大に貢献しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
カー用品・二輪用品等販売事業 1,483億円 1,655億円
賃貸不動産事業 58億円 58億円
連結(合計) 1,541億円 1,713億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出しながら、外部からの資金調達も活用して積極的な投資を行っている「積極型」の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 163億円 105億円
投資CF -167億円 -90億円
財務CF 269億円 70億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.8%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「思いやりの心を磨き、関わる人すべてに喜びと感動を与える」ことを基本理念に掲げています。お客様に安全・安心・快適なカーおよびバイクライフを提供できるよう努め、環境の変化に影響されずに安定した利益を確保し、業界トップの企業となることを目指しています。

(2) 企業文化


創業精神である「関わる人すべての幸せ」を第一に掲げています。また、「安全で安心な、人とクルマにやさしい社会づくり」を目指し、事業活動を通じてサステナブルな社会の実現に貢献する価値観を重視しています。全役職員が法令や企業倫理を遵守するよう、「イエローハット憲章」による行動規範の浸透にも取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期からの3カ年を対象とする中期経営計画を策定し、資本効率の改善や株主還元の強化による企業価値の最大化を目指しています。

* 売上高:1,800億円(2028年3月期)
* 営業利益:168億円(2028年3月期)
* ROE(自己資本当期純利益率):10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


自動車が日常移動手段となっている地域で小商圏・ローコストの出店を積極的に行い、生活インフラとしての役割を強化します。また、自社ECと店舗の連携を深め、会員データの統合管理(DX)によりリピート率の向上を図ります。さらに、車検や整備業務の強化に向けて整備士の人材育成を推進し、二輪事業の拡大にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の成長こそが持続的成長と価値向上に不可欠と考え、積極的な人材育成に取り組んでいます。専門部署を通じた研修や資格取得支援により、整備士や検査員の増員と定着を図っています。また、女性、中途採用者、外国人、高齢者など多様な人材の起用を推進し、働きやすい環境づくりと安全な職場の形成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 48.4歳 21.3年 7,285,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 92.3%
男女賃金差異(全労働者) 28.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 57.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 28.0%


※同社における女性管理職は0名であるため、有報には具体的な比率の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役員比率(16.6%)、課長職以上の管理職における中途採用者の比率(47.3%)、整備士・検査員数(1,579名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国内経済情勢及び個人消費低迷


同社グループは主に日本国内で事業を展開しているため、さまざまな要因による国内経済の悪化や個人消費の低迷が発生した場合、商品の販売不振などを通じて業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材確保


店舗での接客や、車検・整備など専門知識を必要とする部門において人材需要が伸びています。採用活動の強化や多様な人材の確保に努めていますが、小売業やサービス業全体での採用難が続き、人材確保に係る費用等が上昇するリスクがあります。

(3) 天候要因


スタッドレスタイヤやタイヤチェーンなど、天候によって販売数量が大きく左右される季節商品を取り扱っています。過去のデータに基づき計画を立てていますが、異常気象などにより季節商品の販売が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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