※本記事は、株式会社イエローハット の有価証券報告書(第67期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. イエローハットってどんな会社?
カー用品・二輪用品の販売や車検・整備を行う全国チェーンを展開する企業です。国内外に子会社を持ち、製造から卸売、小売までを手掛けています。
■(1) 会社概要
同社は1961年に自動車用品の販売を目的としてローヤルとして創業しました。1975年には直営店舗第1号店を開設し、事業を拡大しました。1997年に東京証券取引所市場第一部に上場するとともに、現在の商号であるイエローハットに変更しました。2025年1月にはスポーツサイクル販売を行うワイ・インターナショナルを子会社化し、事業領域を広げています。
同グループは連結従業員数4,049名、単体従業員数139名の体制で事業を行っています。筆頭株主は創業家資産管理会社の株式会社幸栄企画で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)、第3位は海外投資家等の資産管理を行う常任代理人(みずほ銀行)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 幸栄企画 | 14.15% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.68% |
| INTERTRUST TRUSTEES(CAYMAN)LIMITED SOLEL Y IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP | 9.25% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表者は代表取締役社長の木村昭夫氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 堀江 康生 | 代表取締役会長 | 1976年入社。営業本部長、管理部門等の役員を経て2008年代表取締役社長に就任。2024年6月より現職。 |
| 木村 昭夫 | 代表取締役社長 | 1996年入社。経理部財務課長、経理課長、企画課長を経て、2017年経理部長。2022年取締役経理部長に就任し、2024年6月より現職。 |
| 佐藤 和幸 | 専務取締役 | 1979年入社。仙台支店長等を歴任後、2005年ジョイフル入社。同社代表取締役を経て2018年専務取締役に就任。ジョイフル代表取締役会長も兼任。 |
| 白石 理 | 専務取締役 | 1982年入社。運営本部長等を歴任し、2011年専務取締役に就任。2りんかんイエローハット代表取締役会長、バイク館イエローハット代表取締役会長等を兼任。 |
| 上甲 祐 | 取締役 | 1995年入社。タイヤ・カーエレクトロニクス商品部等の課長、部長を歴任し、2024年6月取締役商品本部長兼DX推進室長に就任。 |
| 本村 弘之 | 取締役 | 2008年入社。ピットサービス推進部長、各支店長、店舗運営部長を経て、2024年6月取締役運営本部長兼店舗運営部長に就任。 |
社外取締役は、斎藤四郎(元鎌倉税務署長・税理士)、久保妙子(元甲南女子大学特任教授・一級建築士)、神田知江美(弁護士・元群馬大学医学部非常勤講師)です。
2. 事業内容
同社グループは、「カー用品・二輪用品等販売事業」および「賃貸不動産事業」事業を展開しています。
■カー用品・二輪用品等販売事業
この事業では、カー用品および二輪用品の卸売・小売を行っています。一般消費者向けには「イエローハット」等の店舗でタイヤ、オイル、バッテリー等の消耗品や各種用品を販売し、車検・整備サービスも提供しています。また、二輪車および二輪用品の販売も展開しています。
収益は、一般消費者への商品販売やメンテナンスサービス提供による対価、およびグループ企業等への卸売販売による売上が主な源泉です。運営は、卸売および不動産賃貸を行うイエローハット(親会社)のほか、小売を担当する多数の販売子会社(例:愛知イエローハット、2りんかんイエローハット、バイク館イエローハット等)や、製造・卸売を行うジョイフルが行っています。
■賃貸不動産事業
この事業では、グループ内外に対して不動産の賃貸を行っています。主に同社が保有する店舗用建物や土地を、販売子会社や関連会社、グループ企業等に賃貸する事業です。
収益は、賃借人から受け取る賃料収入が主な源泉です。運営は主にイエローハット(親会社)が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね横ばいから緩やかな増加傾向にあり、当期は過去最高を記録しています。経常利益も安定して推移しており、当期は増益となりました。当期純利益についても増加傾向を維持しており、利益率も安定した水準を保っています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,470億円 | 1,480億円 | 1,472億円 | 1,466億円 | 1,541億円 |
| 経常利益 | 140億円 | 150億円 | 163億円 | 160億円 | 168億円 |
| 利益率(%) | 9.5% | 10.1% | 11.1% | 10.9% | 10.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 85億円 | 97億円 | 107億円 | 103億円 | 113億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が増加し、それに伴い売上総利益も増加しています。売上原価率、販管費率ともに大きな変動はなく、安定した収益構造を維持しています。営業利益率も前年並みの水準を確保しており、堅実な経営が続いています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,466億円 | 1,541億円 |
| 売上総利益 | 628億円 | 674億円 |
| 売上総利益率(%) | 42.8% | 43.7% |
| 営業利益 | 145億円 | 155億円 |
| 営業利益率(%) | 9.9% | 10.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が178億円(構成比34%)、賃借料が67億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のカー用品・二輪用品等販売事業は、消耗品の販売好調や工賃収入の増加、新規連結子会社の寄与等により増収増益となりました。賃貸不動産事業は減収減益となりましたが、全体としては増収増益を達成しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| カー用品・二輪用品等販売事業 | 1,407億円 | 1,483億円 | 130億円 | 141億円 | 9.5% |
| 賃貸不動産事業 | 59億円 | 58億円 | 15億円 | 14億円 | 24.1% |
| 連結(合計) | 1,466億円 | 1,541億円 | 145億円 | 155億円 | 10.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
イエローハットのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の増加などにより、前連結会計年度に比べて大きく増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や子会社株式の取得による支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加が主な要因となり、前連結会計年度の支出から大幅な収入に転じました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は大きく増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 115億円 | 163億円 |
| 投資CF | -113億円 | -167億円 |
| 財務CF | -36億円 | 269億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「思いやりの心を磨き、関わる人すべてに喜びと感動を与える」ことを基本理念に掲げています。この理念のもと、顧客に安全・安心・快適なカー&バイクライフを提供することに努めています。また、環境変化に左右されない安定利益の確保と、業界No.1企業となることを経営目標としています。
■(2) 企業文化
同社は、「イエローハット憲章」において行動規範・行動基準を定め、全役職員に配布してコンプライアンス意識の浸透を図っています。創業精神に基づき、「関わる人すべての幸せ」を第一とし、法令遵守や企業倫理を重視する文化があります。また、内部通報制度の運用など、良識ある企業行動を促す環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は2026年3月期からの3カ年を対象とする中期経営計画を策定しています。最終年度である2028年3月期に向けて、以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:1,800億円
* 営業利益:168億円
* 経常利益:181億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:118億円
* ROE(自己資本当期純利益率):10.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「イエローハット=カー用品販売店」という認識からの脱却を図り、カーメンテナンス事業者としての認知度向上を目指しています。エリア戦略として小商圏への出店を進め、ECと店舗の連携強化による利便性向上、DX活用によるロイヤルカスタマー育成、整備士育成による車検等の強化、そして2輪事業の拡大を重点施策として推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材の成長を持続的成長の鍵と捉え、教育・研修専門部署による階層別・職能別研修を実施しています。多様な人材の採用・起用を推進し、整備士資格取得支援や各種手当の充実により専門性の向上と離職防止を図っています。また、コンプライアンスやハラスメントの相談窓口を設置し、働きやすい職場環境の整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 49.0歳 | 23.3年 | 7,098,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は従業員規模が300人以下のため、有報には本稿の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役員比率(15.4%)、課長職以上の管理職のうち中途採用者(48.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 国内経済情勢及び個人消費低迷
同社グループは主に国内で事業を展開しているため、日本経済の悪化や個人消費の低迷が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。景気後退による消費マインドの冷え込みは、カー用品や二輪用品の販売減少につながる恐れがあります。
■(2) 人材確保
店舗運営やピットサービスには多くの人材が必要ですが、小売業・サービス業全体で採用難が続いています。人材確保のための費用増加や、必要な人員を確保できない場合、店舗運営やサービス提供に支障をきたし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 天候要因
スタッドレスタイヤやタイヤチェーンなど、天候に左右される商品を扱っているため、暖冬などの異常気象によりこれらの販売が低迷する可能性があります。天候不順は季節商品の売上に直接的な影響を与え、在庫リスクや収益性の低下を招く要因となります。



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