エムティジェネックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エムティジェネックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。森トラストの子会社として、オフィスビルや住宅のリニューアル工事、駐車場運営、不動産管理及び保険代理事業を展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高39.5億円(前期比4.2%増)、経常利益4.3億円(同4.6%減)の増収減益となりました。


※本記事は、エムティジェネックス株式会社 の有価証券報告書(第75期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エムティジェネックスってどんな会社?


森トラストグループの一員として、ビル・住宅のリニューアル工事や駐車場運営、不動産管理を手掛ける企業です。

(1) 会社概要


1945年に金網卸売業として創業し、1999年に森トラストと業務提携を行いました。2002年に現社名へ変更し、2004年にJASDAQ市場へ上場しました。2007年にリニューアル事業を開始し、事業多角化を推進しています。2024年には電気設備工事を行うエムティアイテックを完全子会社化するなど、グループ機能の強化を図っています。

2025年3月31日時点の従業員数は連結134名、単体28名です。筆頭株主は親会社の森トラストで発行済株式の53.38%を保有しています。第2位は投資事業等を行う光通信(7.51%)、第3位はUH Partners 2(4.91%)となっています。

氏名 持株比率
森トラスト 53.38%
光通信 7.51%
UH Partners 2 4.91%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は鈴木均氏です。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
鈴木  均 代表取締役社長 1975年4月森ビル入社。森ビル開発(現森トラスト)管理部長、MTファシリティサービス(現森トラスト・ビルマネジメント)取締役を経て、2007年6月より現職。
矢部 雅彦 取締役営業企画部長兼ビル管理事業部長兼駐車場事業部管掌 1980年4月森ビル入社。森トラスト執行役員、森観光トラスト(現森トラスト・ホテルズ&リゾーツ)取締役を経て、2021年6月より現職。
篠﨑 延夫 取締役リニューアル事業部長 1981年4月森ビル入社。森トラスト・ビルマネジメント総務部長、同社執行役員リニューアル事業部長を経て、2019年6月より現職。
長野 幸司 取締役管理部管掌 1992年4月ミサワリゾート(現リソルホールディングス)入社。森トラスト入社後、同社管理部長を経て、2021年6月より現職。


社外取締役は、安達智一(戸田建設建築営業統轄部副統轄部長)、阿部和康(元森トラスト・ホテルズ&リゾーツ社長)、井上善雄(エル・スタッフビジョン社長)、奥村太久実(むさしの税理士法人代表社員)、福田実主(三菱HCキャピタル環境エネルギー統括部エグゼクティブ・エキスパート)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リニューアル」「駐車場」「施設等保守管理」「保険代理」事業を展開しています。

(1) リニューアル


森トラストが所有するビルや住宅等の内装工事、リニューアル工事を請け負っています。また、不動産の外構工事等の請負及び設計施工監理も行っています。

収益は、顧客である森トラスト等からの工事請負代金等から得ています。運営は主にエムティジェネックスと、連結子会社のエムティアイテックが行っています。

(2) 駐車場


森トラストが所有する駐車場の運営管理を受託するほか、同社から駐車場を賃借して運営を行っています。月極駐車場や時間貸駐車場のサービスを提供しています。

収益は、駐車場の利用者からの利用料収入や、所有者からの運営管理受託料から得ています。運営は主にエムティジェネックスが行っています。

(3) 施設等保守管理


森トラストが所有する不動産の運営管理を受託しています。また、オフィス向けの衛生消耗品の販売や、電気設備システムの保守保全業務も手掛けています。

収益は、不動産所有者からの運営管理受託料や、消耗品の販売代金、設備保守料から得ています。運営は主にエムティジェネックスと、連結子会社のチヨダMEサービスが行っています。

(4) 保険代理


森トラストに対して、各種損害保険などの総合的なリスクマネジメントプランを企画・提案し、損害保険代理業務を行っています。

収益は、保険会社からの代理店手数料から得ています。運営は連結子会社の森トラスト保険サービスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は30億円前後から40億円近くまで増加傾向にあります。経常利益は3億円台から4億円台へと推移しており、安定した黒字を維持しています。利益率は10%台後半から11%台で推移しており、高い収益性を保っています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 30.1億円 29.7億円 32.6億円 37.9億円 39.5億円
経常利益 3.2億円 3.4億円 3.8億円 4.5億円 4.3億円
利益率(%) 10.8% 11.5% 11.7% 11.9% 10.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.5億円 2.0億円 2.5億円 3.0億円 2.1億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費も増加しました。特に販管費の増加率が高く、営業利益は減少しました。売上総利益率は25.5%と前期比で改善していますが、営業利益率は10.4%に低下しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 37.9億円 39.5億円
売上総利益 9.6億円 10.1億円
売上総利益率(%) 25.4% 25.5%
営業利益 4.4億円 4.1億円
営業利益率(%) 11.6% 10.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料・手当が1.6億円(構成比28%)、のれんの償却額が0.7億円(同11%)、役員報酬が0.6億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


リニューアル事業は大規模工事の反動等で増収減益となりました。駐車場事業は売上が横ばいで利益は減少しました。一方、施設等保守管理事業と保険代理事業は増収増益となり、特に施設等保守管理事業は利益が大きく伸びています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
リニューアル 14.3億円 14.7億円 3.1億円 2.3億円 15.5%
駐車場 14.6億円 14.6億円 2.9億円 2.7億円 18.7%
施設等保守管理 8.4億円 9.6億円 0.3億円 0.8億円 8.4%
保険代理 0.6億円 0.7億円 0.3億円 0.4億円 52.1%
その他 - - - - -
調整額 - - -2.3億円 -2.1億円 -
連結(合計) 37.9億円 39.5億円 4.4億円 4.1億円 10.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

エムティジェネックスは、営業活動を通じて資金を創出し、事業投資や借入金の返済、配当金の支払いを行っています。

営業活動によるキャッシュ・フローは増加しており、これは主に本業での利益創出によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得や有価証券の売却といった活動により、わずかに資金が減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払いにより、資金が減少しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 2.9億円 3.0億円
投資CF -1.8億円 -0.1億円
財務CF -1.0億円 -1.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、ビル管理業務等で培った技術やノウハウを活かし、時代のニーズに応じた快適な都市環境・オフィス空間の提供を通じて、持続的な社会の実現に貢献することを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、取締役及び従業員がとるべき行動規範として「企業倫理規程」を制定し、コンプライアンスの徹底に努めています。また、一人一人が社会における存在意義(Purpose)を認識し、健全な事業活動を遂行するための「行動準則」を制定し、その浸透を図っています。

(3) 経営計画・目標


経営の効率化及び株主利益を重視する視点から、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標と位置付け、10%を目標値としています。安定的な収益基盤の維持と、成長投資、株主還元のバランスをとりながら、企業価値の向上を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


安定的な収益基盤を維持しつつ、内部留保資金を活用した成長投資を行うことを重要課題としています。具体的には、M&Aによる事業規模の拡大や新規事業への参入を検討するとともに、グループ外顧客の獲得に向けた営業強化や、サービス品質・技術力の向上を図るための人財育成に注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を重要な資本と位置付け、知識やスキルの開発を支援しています。性別や国籍等に関わらず能力や実績に基づいて人材を登用する方針であり、資格取得の奨励・支援や、他事業部の研修・体験プログラムの実施などを通じて、社員のスキル向上とキャリア形成を後押ししています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.6歳 7.3年 5,967,671円


※平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(72.6%)、長時間労働是正の取組(1.1時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の法人への依存


同社は森トラストの子会社であり、同社グループからの受注が収益基盤に大きく寄与しています。今後、同社グループの事業方針や取引形態の見直しが行われた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定地域への依存


同社グループが運営・管理する駐車場や不動産は東京都内に集中しています。東京近郊で大規模な災害等が発生し、管理物件が損壊・閉鎖となった場合、業績に悪影響が生じる可能性があります。

(3) 小規模組織であること


提出会社の従業員数は30名程度と少数精鋭の組織体制をとっています。事業の急拡大や新規事業進出の際、即座に十分な組織的対応ができず、事業展開の速度に影響が出る可能性があります。

(4) M&Aについて


事業拡大を目的としたM&Aを重要な戦略としていますが、買収後に予期せぬ問題が発生したり、想定したシナジーが得られなかったりした場合、のれんの減損損失などが発生し、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。