※本記事は、因幡電機産業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
因幡電機産業は、電設資材や産業機器の卸販売、および空調部材の製造販売を主な事業としています。同社グループは、幅広い製品の提供を通じて社会インフラや産業の発展に貢献しています。
単体従業員数は1,790名、連結従業員数は2,230名です。同社グループの事業セグメントは、電設資材事業、産業機器事業、自社製品事業の3つです。
主な国内グループ会社は、当社、アイティエフ、当社、当社、パトライト、などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
因幡電機産業は、技術商社として多様な現場に最適なソリューションを提供し、社会の発展に貢献しています。従業員は、こうした事業を通じて専門性を高めながら、安定した環境でキャリアを築くことができるでしょう。同社グループは、従業員の成長を重視し、働きやすい環境づくりにも力を入入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
因幡電機産業では、平均勤続年数が比較的長く、安定して働き続けられる環境がうかがえます。平均年齢も30代後半であり、若手から中堅層が中心となって活躍していることが示唆されます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,894,858円 |
| 平均勤続年数 | 13.0年 |
| 平均年齢 | 37.6歳 |
| 単体従業員数 | 1,790人 |
| 連結従業員数 | 2,230人 |
| 単体のグループ内比率 | 80.3% |
同社グループは確定拠出型の制度を設けており、一部の連結子会社では確定給付型の制度として退職一時金制度を採用しています。退職給付債務は1.1億円、年金資産は50百万円となっています。
なお、退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
因幡電機産業グループは、豊富な商品知識と現場対応力を基盤とした営業力を競争優位の源泉と捉え、その持続的な強化を図っています。特に、新製品の創出を担う開発人材や、デジタル技術を活用した変革を推進するDX人材など、重点機能に対応した人材の戦略的な獲得と育成に注力しています。
従業員の報酬は、公正な評価と処遇を通じて人材育成に寄与し、一人ひとりの挑戦を促す活性化された組織風土の醸成を目指すという基本的な考え方に基づいています。金銭報酬として職責、能力、評価等に応じた月例賃金と、業績連動報酬を含む賞与を支給しています。また、中長期的な業績と企業価値向上を図るため、一部の従業員には非金銭報酬として譲渡制限付株式を交付しています。
人材育成においては、従業員の自主性を尊重し、職務を通じた能力開発を推進しています。新人研修、階層別研修、役職者研修、キャリア開発・支援研修などを実施し、従業員一人ひとりが主体的に行動・挑戦できる環境を整えています。多様性の確保も重視しており、性別や年齢、人種、国籍、障がいの有無、性的指向など、あらゆる多様性を受け入れる包摂的な企業文化の醸成に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 1.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 41.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 56.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 57.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 62.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱パトライト
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 51.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 66.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 63.5% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性の割合 | 1.9% |
| 管理職に占める外国人の割合 | 0.0% |
| 管理職に占める中途採用者の割合 | 17.2% |
| 男性総合職(管理職を含む)に占める管理職の割合 | 24.0% |
| 女性総合職(管理職を含む)に占める管理職の割合 | 10.5% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 教育訓練費 | 1億45百万円 |
| 離職率 | 4.4% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 一人あたり月平均所定外労働時間 | 13.0時間 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
因幡電機産業は、電設資材や産業機器の卸販売、および空調部材などの製造販売を主な事業とする企業です。同社グループは、複数の事業セグメントを通じて幅広い顧客ニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、電設資材および産業機器の卸販売、ならびに空調部材などの自社製品の製造販売を主な事業としています。これらの事業を通じて、幅広い顧客層に製品やサービスを提供しています。収益は、各事業セグメントにおける製品の販売から得ています。
電設資材事業
電線ケーブル類、照明器具、受配電機器などの卸販売を行っています。収益は、電設資材全般の販売から得ています。大都市圏の再開発や工場、データセンターなど大型物件向けの納入が好調に推移しており、銅価格の高騰も売上に寄与しています。
産業機器事業
制御機器、電子部品、FA関連機器などの卸販売を行っています。収益は、半導体関連の在庫調整縮小や人手不足に伴う省力化・自動化需要の拡大を背景とした製造業における設備投資の持ち直しによる販売増加から得ています。
自社製品事業
空調用被覆銅管、空調配管化粧カバー、表示灯、回転灯などの製造販売を行っています。収益は、ルームエアコンの出荷好調に伴う主力製品の販売増加や、連結子会社であるパトライトの海外向け販売増加から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 電設資材事業 | 2,711億円 | 2,933億円 |
| 自社製品事業 | 748億円 | 804億円 |
| 産業機器事業 | 381億円 | 434億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期間の売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は一貫して増加傾向を示しています。特に当連結会計年度は、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも前期から増加しました。これは、中長期的な経営戦略に沿った施策推進と積極的な営業活動の結果、過去最高業績を更新したことによるものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,891億円 | 3,169億円 | 3,454億円 | 3,840億円 | 4,170億円 |
| 経常利益 | 176億円 | 203億円 | 226億円 | 267億円 | 318億円 |
| 経常利益率 | 6.1% | 6.4% | 6.5% | 7.0% | 7.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 123億円 | 154億円 | 156億円 | 188億円 | 234億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 110.03 | 138.75 | 139.67 | 166.92 | 208.49 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、同社グループの事業規模拡大と効率的な運営がうかがえます。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、従業員一人ひとりの稼ぐ力が向上している傾向を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 175.8百万円 | 187.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 11.7百万円 | 13.3百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
因幡電機産業は、堅実な財務基盤を築いており、安定した経営状況を示しています。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も行いながら、手元資金も厚く確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は強固であり、自己資本比率はプライム市場の製造業平均を上回る水準で推移しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な経営が行われていることを示しています。また、手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、事業運営における安定性がうかがえます。このような財務状況は、同社グループの持続的な事業活動と雇用や給与の安定性につながる要素となっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,730億円 | 1,974億円 |
| 自己資本比率 | 61.8% | 62.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.2% | 12.7% |
| 現金及び預金 | 621億円 | 713億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローはプラスで推移しており、税金等調整前当期純利益が主な要因となっています。投資活動によるキャッシュフローはマイナスですが、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が主な要因であり、将来に向けた投資を継続している状況です。財務活動によるキャッシュフローは配当金の支払いや自己株式の取得による支出が主な要因で、資金を外部に流出させています。
これらの結果、事業活動と投資活動を通じて自由に使えるフリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で安定的に資金を生み出しながら、成長投資も行い、資金の余力も確保している堅実な経営状況がうかがえます。このような資金の流れは、同社グループの持続的な成長と雇用安定性につながる基盤を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 233億円 | 269億円 |
| 投資CF | △105億円 | △66.0億円 |
| 財務CF | △83.7億円 | △103億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 128億円 | 203億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、新規参入企業を含めた競合他社との厳しい価格競争に晒されています。市場環境の変動により価格競争が熾烈化した場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、製造及び販売する空調部材等の原材料価格は、国際的な価格変動により製造コストを変動させる可能性を有しています。原材料価格の高騰を製品価格に転嫁できない場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
因幡電機産業は、地球環境への配慮と豊かな社会づくりへの貢献を経営の基本理念としています。信頼される企業として、コンプライアンス経営を重視し、成長と変革を通じて企業価値の最大化を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
因幡電機産業グループは、電設資材や産業機器の卸販売、空調部材の製造販売を通じて、「省エネルギー、省資源など地球環境に配慮し、豊かで快適な社会づくりに貢献する」ことを経営の基本理念としています。同社グループは、信頼される企業であり続けるためにコンプライアンス経営を第一義とし、成長と変革によって企業価値の最大化を図ることを目指しています。すべてのステークホルダーにご満足いただける企業となることを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
因幡電機産業は、創業以来「われわれは誠の心をもって世の中を明るくするためにはたらく」という社是を掲げています。同社グループは、信頼される企業としてコンプライアンス経営を第一義とし、すべてのステークホルダーにご満足いただける企業を目指しています。
また、サステナビリティ基本方針として、ビジネスを通じたマテリアリティに基づく価値創造、従業員のエンゲージメント向上、地球環境問題への真摯な対応を重視しています。サプライチェーン全体での人権尊重、地域に根差した信頼される企業活動、誠実な情報開示も掲げています。さらに、一人ひとりが自ら行動を起こせる組織となることを目指すカルチャーです。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
因幡電機産業グループは、中長期的な成長に向けた重点施策として、サステナビリティ経営の推進に取り組んでいます。取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会の下に「サステナビリティ推進会議」を設置し、気候変動への対応、人的資本経営の推進、サステナビリティ経営の具体化を主要テーマとしています。
人的資本経営では、経営戦略と人材戦略の連動を重視し、事業戦略に必要な人材像を特定し、採用や能力開発を進めています。女性活躍の推進やキャリア採用者の受入体制整備も重点課題です。また、自社製品の開発・拡充の一環として、新たな研究開発施設「イノベーションセンター」を建設し、採用競争力の強化や従業員のモチベーション向上を図っています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
因幡電機産業は、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能と業務執行の迅速化を両立させるガバナンス体制を構築しています。経営上の意思決定と職務執行の監督を担う取締役会は、独立した社外取締役を招聘することで監督機能を強化しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
因幡電機産業の株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、複数の信託銀行や海外機関投資家が上位に名を連ねています。これは、幅広い機関投資家によって支えられている資本構成を示しています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つというよりは、多様な株主によって分散された構成であると言えます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.76% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.60% |
| りそな銀行 | 2.84% |
| NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE FIDELITY FUNDS | 2.74% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 2.54% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役会長は喜多肇一氏、代表取締役社長は玉垣雅之氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 喜多 肇一 | 代表取締役会長 | 1982年3月同社入社、2011年6月同社取締役電材西日本事業部長、2019年6月同社代表取締役社長、2025年6月同社代表取締役会長より現職。 |
| 玉垣 雅之 | 代表取締役社長 | 1987年3月同社入社、2018年7月同社執行役員経営企画室長、2025年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 堀家 一美 | 取締役 専務執行役員 | 1984年3月同社入社、2020年7月同社執行役員産機カンパニー長、2022年6月同社取締役常務執行役員産機カンパニー長、2026年4月同社取締役専務執行役員より現職。 |
| 田代 浩明 | 取締役 専務執行役員 東京本社代表 営業戦略本部・電設カンパニー管掌 | 1991年6月同社入社、2017年6月同社取締役電設西日本事業部長、2019年4月同社取締役電設カンパニー長、2026年4月同社取締役専務執行役員東京本社代表 営業戦略本部・電設カンパニー管掌より現職。 |
| 溝越 尚人 | 取締役 執行役員 管理本部長兼総務部長 | 1993年4月同社入社、2020年7月同社執行役員総務部長兼人事担当、2022年6月同社取締役執行役員管理本部長兼総務部長、2026年4月同社取締役執行役員管理本部長兼総務部長より現職。 |
社外取締役は、橋爪大氏(元りそな銀行常勤監査役・常勤監査等委員)、坂本雅明氏(桜美林大学教授・監査等委員)、藤原友江氏(公認会計士・髙山友江公認会計士事務所開設・監査等委員)、禿祥子氏(弁護士・勝部・髙橋法律事務所入所・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である社外取締役が取締役会の監督機能を強化しています。独立した社外取締役は、客観的な視点から経営に対する適切な監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
因幡電機産業の役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬、そして譲渡制限付株式による非金銭報酬で構成されています。業績連動報酬は単体当期純利益を指標とし、業績向上への意識を高めることを目的としています。また、譲渡制限付株式は中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして機能するよう設計されています。監査等委員である取締役には固定報酬が支給されます。
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。また、取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。非金銭報酬等には、譲渡制限付株式に関する費用計上額とストックオプションに基づく費用計上額が含まれています。
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