SDエンターテイメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SDエンターテイメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SDエンターテイメントは、東京証券取引所スタンダード市場に上場する企業です。ウェルネス事業を中心に、クリエーション事業、不動産賃貸事業などを多角的に展開しています。直近の業績トレンドでは、新規出店やサービス向上等により増収を達成した一方で、先行投資による費用が先行し、営業減益となっています。


※本記事は、SDエンターテイメント株式会社の有価証券報告書(第72期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SDエンターテイメントってどんな会社?


ウェルネス事業を中心に、アミューズメントや不動産賃貸など多角的なサービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1954年に映画興行を目的として設立され、その後ボウリング場やゲーム場経営へと事業を拡大しました。2014年に現社名へ変更し、RIZAPグループが親会社となりました。近年は事業の多角化を進めており、2019年には企業主導型保育園を開園するなど、ウェルネス領域でのサービス提供を強化しています。

従業員数は連結で381名、単体で89名です。筆頭株主は事業会社であり同社の親会社であるRIZAPグループで、第2位は中道リース、第3位は個人の金城政次氏となっています。

氏名 持株比率
RIZAPグループ 59.63%
中道リース 0.82%
金城政次 0.55%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は塩田徹氏が務めています。取締役6名のうち、社外取締役の比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
塩田徹 代表取締役社長 パナソニックヘルスケアホールディングス等を経てRIZAPグループ専務取締役などを歴任し、2026年6月より現職。
中田剛史 取締役 東芝、ローランド・ベルガー等を経てRIZAPグループ執行役員などを歴任し、2026年6月より現職。
岡野靖彦 取締役(常勤監査等委員) 同社入社後、財務経理部長などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、安藤誠悟(弁護士法人アンビシャス総合法律事務所設立代表社員)、大塚一暁(大塚・川崎法律事務所代表)、小島茂(有限会社プラン・ドゥ・シー代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、ウェルネス事業、クリエーション事業、不動産賃貸事業およびその他事業を展開しています。

ウェルネス事業


フィットネスクラブ等の運営、認可・企業主導型保育の運営及び介護等施設の運営を行う事業です。幅広い世代のココロとカラダの健康を支えるサービスを提供しています。

収益源は会員からの会費や施設の利用料などであり、SDエンターテイメントのほか、ITグループやフォーユーなどが運営を行っています。

クリエーション事業


オンラインクレーンゲームの運営を行う事業です。定期的なイベントの開催や景品投入等の施策を行い、国内だけでなく海外向けにもサービスを展開しています。

収益源はユーザーからのゲーム内におけるサービス利用料であり、SDエンターテイメントが運営を行っています。

不動産賃貸事業


同社所有の建物ならびに土地の賃貸を行う事業です。テナント獲得に向けたリーシング活動を行っています。

収益源は顧客からの不動産賃貸収入や管理業務に対する報酬であり、SDエンターテイメントが運営を行っています。

その他


コールセンター事業、事務用品販売などを運営する事業です。

収益源はコールセンター業務等のサービス提供に対する対価などであり、主にエムシーツーが運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が一時減少したものの、その後は回復傾向にあり、当期は52億円まで成長しています。経常利益は黒字転換後、安定して推移していますが、当期は先行投資の影響で減益となりました。当期利益は大幅な増益を達成し、収益性の改善が進んでいます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 40億円 38億円 37億円 42億円 52億円
経常利益 -1.6億円 0.1億円 0.8億円 0.6億円 0.4億円
利益率(%) -4.0% 0.3% 2.2% 1.4% 0.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.6億円 -3.7億円 0.0億円 0.9億円 0.0億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は順調に拡大しており、売上総利益も増加しています。一方で、営業利益については減少しており、収益力の強化が課題となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 42億円 52億円
売上総利益 39億円 47億円
売上総利益率(%) 93.1% 90.9%
営業利益 1.0億円 0.7億円
営業利益率(%) 2.3% 1.4%


販売費及び一般管理費のうち、その他の費用が19億円(構成比41.4%)、給料が17億円(同37.4%)を占めています。売上原価(4.7億円)のうち、商品仕入高や景品費などが主な内訳となっています。

(3) セグメント収益


主力事業であるウェルネス事業は、フィットネスの堅調な推移や保育・介護分野の拡大により増収増益を牽引しました。クリエーション事業と不動産賃貸事業は前年並みの売上を維持しています。その他事業は売上が大きく伸びたものの、利益は減少しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
ウェルネス事業 36億円 43億円 1.1億円 2.2億円 5.2%
クリエーション事業 0.7億円 0.7億円 0.0億円 0.0億円 6.3%
不動産賃貸事業 1.7億円 1.7億円 1.1億円 1.1億円 66.5%
その他 3.4億円 6.5億円 1.8億円 1.2億円 18.4%
調整額 -億円 -億円 -3.1億円 -3.9億円 -%
連結(合計) 42億円 52億円 1.0億円 0.7億円 1.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 0.9億円 6.1億円
投資CF -2.2億円 -1.8億円
財務CF -2.4億円 1.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「ココロとカラダのサポートを通じて皆さま方に寄り添い、『ベストなソリューション』をお届けします。」を目指すべき姿として掲げています。社会課題の解決や幅広い世代への高品質なソリューション提供を通じ、人々の健康で充実した生活を支える企業を目指しています。

(2) 企業文化


株主重視の立場を基本とし、各ステークホルダーと良好な関係を築きながら社会的責任を果たすことを重視しています。透明性・健全性の高い効率的な経営活動を目指しており、企業倫理に則した公正な事業活動の推進や、コンプライアンス重視の経営体制の整備を文化として根付かせています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、収益力を示す指標として売上高営業利益率、経営の安全性を示す指標として自己資本比率、経営の効率化を示す指標として自己資本当期純利益率(ROE)を重視しています。また、次期以降の具体的な数値目標として以下の達成を目指しています。

* 売上高 53億円
* 営業利益 3.5億円
* 経常利益 2.8億円
* 当期純利益 1.5億円

(4) 成長戦略と重点施策


持続的な成長に向けた事業基盤の強化に取り組む方針です。コスト削減を推進しつつ成長領域への投資を継続し、従業員教育の充実を図ります。事業拡大に向けては、就労支援B型事業所「リバイブ」の多店出店や、保育における「イングリッシュタイム」の導入等を通じたサービス品質の向上に注力します。また、事業ポートフォリオの拡充に向けた新規事業の検討も進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な人材の確保・育成と、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境整備を重視しています。事業戦略と連動し、専門性を持つ人材の採用強化、人材育成体系の充実、適材適所の人材配置を推進しています。また、AI活用研修の強化や多様な働き方を支える制度整備にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.2歳 7.0年 4337295円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 56.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 72.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 127.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 個人消費の動向による影響


同社のサービスは人々の健康意識の高まりにより市場拡大が見込まれるものの、主として個人消費者を対象顧客としているため、個人消費が低迷するような経済局面では業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 専門人材の確保難


サービスの提供には専門的な知識や資格を有する人材が不可欠です。施設数の増加に人材の確保が追いつかない場合、事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法令遵守とコンプライアンス体制


「児童福祉法」や「介護保険法」など事業の根幹をなす法令の遵守が求められています。業務管理上の問題が生じた場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 出店形態に関するリスク


出店時に土地・建物等所有者に対して保証金を差し入れていますが、所有者の破綻等により継続的な使用が困難となった場合や、中途解約に伴い代替借主を紹介できず保証金を放棄する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。