SDエンターテイメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SDエンターテイメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のRIZAPグループ傘下企業です。北海道を地盤にフィットネス、保育、介護等のウェルネス事業を主力とし、オンラインクレーンゲームや不動産賃貸も展開しています。直近の業績は、売上高が前期比で増収となった一方、各利益は減益となり、先行投資負担等が影響しています。


※本記事は、株式会社SDエンターテイメント の有価証券報告書(第71期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SDエンターテイメントってどんな会社?


同社は、フィットネス、保育、介護からなるウェルネス事業を中核とし、オンラインクレーンゲームや不動産賃貸等も手掛ける多角化企業です。

(1) 会社概要


同社は1954年に須貝興行として設立され、映画興行やボウリング場経営から始まりました。その後、ゲーム事業等へ展開し、2005年にはゲオ(現ゲオホールディングス)の子会社となりましたが、2014年にRIZAPグループ(旧健康コーポレーション)の傘下に入り、現在のSDエンターテイメントへ商号変更しました。近年は祖業のエンタメ事業の一部を譲渡し、フィットネスや保育事業等のウェルネス領域へ注力しています。

同社グループの連結従業員数は355名、単体では96名です。筆頭株主は親会社のRIZAPグループで、第2位は中道リースです。

氏名 持株比率
RIZAPグループ 59.63%
中道リース 0.82%
金城政次 0.55%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は高橋誠氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
高橋 誠 代表取締役社長 PwCコンサルタント、日本ベンチャーキャピタルを経て、2020年RIZAPトレーディング入社。エムシーツー社長等を経て、2023年6月より現職。
塩田 徹 取締役 パナソニックヘルスケアHDを経て、RIZAPグループ取締役、MRKホールディングス社長等を歴任。2020年12月より現職。
岡野 靖彦 取締役(常勤監査等委員) 1986年同社入社。財務経理部長、社長室長などを歴任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、安藤誠悟(弁護士)、大塚一暁(弁護士)、小島茂(社会保険労務士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ウェルネス事業」「クリエーション事業」「不動産賃貸事業」および「その他」事業を展開しています。

**ウェルネス事業**
フィットネスクラブの運営のほか、認可・企業主導型保育園の運営、および介護施設や障がい者向け就労支援事業所の運営を行っています。健康づくりから子育て支援、高齢者・障がい者支援まで幅広いライフステージを対象としています。
収益は、フィットネス会員からの会費、保育・介護サービスの利用者および自治体からの給付費等が主な柱です。運営は同社のほか、子会社のITグループ、フォーユー、合同会社TAISETSU等が担っています。

**クリエーション事業**
インターネットを通じてクレーンゲームを楽しめるオンラインクレーンゲーム「ぽちくれ」等を運営しています。
収益は、ユーザーからのゲームプレイ料金(ポイント購入費)等から構成されています。運営は同社が行っています。

**不動産賃貸事業**
同社が所有する土地・建物等の不動産賃貸を行っています。北海道内を中心に賃貸用商業施設等を保有しています。
収益は、テナントからの賃貸料収入等です。運営は同社が行っています。

**その他**
上記セグメントに含まれない事業として、コールセンター事業や事務用品販売(カウネット代理店事業)、EC事業等を展開しています。
収益は、業務受託料や商品販売代金等です。運営は主に子会社のエムシーツー等が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は30億円台後半から40億円台へと回復傾向にあります。利益面では、経常利益および当期純利益は黒字と赤字を行き来しており、安定的な収益確保が課題となっています。直近では増収ながらも減益となっており、投資局面にあることがうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 37億円 40億円 38億円 37億円 42億円
経常利益 -3.4億円 -1.6億円 0.1億円 0.8億円 0.6億円
利益率(%) -9.2% -4.0% 0.3% 2.2% 1.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -5.9億円 0.6億円 -2.0億円 1.2億円 0.9億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は増加し、売上総利益も拡大していますが、販管費の増加により営業利益は減少しています。事業拡大に伴うコスト増が利益を圧迫している構造が見て取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 37億円 42億円
売上総利益 35億円 39億円
売上総利益率(%) 93.6% 93.1%
営業利益 1.2億円 1.0億円
営業利益率(%) 3.3% 2.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料が15億円(構成比40%)、地代家賃が5億円(同12%)を占めています。売上原価に関しては、詳細な内訳データはありませんが、サービス業中心のため売上総利益率が高い構造となっています。

(3) セグメント収益


ウェルネス事業は、ピラティススタジオの展開や保育・介護施設の拡充により増収となりましたが、投資費用等により減益となりました。クリエーション事業と不動産賃貸事業は減収となりましたが、黒字を維持しています。その他事業は大幅な増収増益を達成しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ウェルネス事業 33億円 36億円 1.5億円 1.1億円 3.1%
クリエーション事業 0.8億円 0.7億円 -0.1億円 0.0億円 3.5%
不動産賃貸事業 1.8億円 1.7億円 1.1億円 1.1億円 65.9%
その他 1.9億円 3.4億円 1.6億円 1.8億円 52.7%
調整額 -2.3億円 -2.5億円 -2.8億円 -3.1億円 -
連結(合計) 37億円 42億円 1.2億円 1.0億円 2.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業の営業活動で得た資金を借入金の返済や設備投資に充てる、財務的に健全なサイクル(健全型)となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 0.3億円 0.9億円
投資CF 0.5億円 -2.2億円
財務CF -2.2億円 -2.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.1%で市場平均(7.2%)を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.7%で市場平均(48.5%)を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、『ココロとカラダのサポートを通じて皆さま方に寄り添い、「ベストなソリューション」をお届けします。』を目指すべき姿として掲げています。保育事業による待機児童問題の解消、フィットネスによる健康づくり、介護事業による生活支援などを通じ、人生100年時代の幅広い世代へ、高品質なソリューションと継続的なサポートを提供することを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、株主重視の立場を基本に、透明性・健全性の高い効率的な経営活動を目指しています。企業倫理に則した公正な事業活動を推進するため、コンプライアンス重視の経営体制を構築し、内部統制システムの整備に努めています。また、社員一人ひとりが能力を発揮できる環境づくりやウェルビーイングの向上を、持続可能な経営の根幹と位置づけています。

(3) 経営計画・目標


同社は、収益力指標として売上高営業利益率、安全性指標として自己資本比率、効率化指標として自己資本当期純利益率(ROE)を重視しています。

* 売上高:50億円
* 営業利益:0.8億円
* 経常利益:0.4億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:2.1億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、主力であるウェルネス事業の成長戦略を加速させ、業績向上を目指しています。フィットネスではピラティススタジオ「スターピラティス」のサテライト出店、介護では就労支援B型事業所「リバイブ」の複数出店を推進します。また、保育では特長あるプログラムの充実や認可保育園のグループインを進め、コスト削減を意識しつつ、ニーズに応えられるサービス開発と人材育成に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社はウェルネス事業をコアとするグループにおいて、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。社内外を問わず多様な中核人材の登用が不可欠であると認識し、その確保に向けた目標設定を行うとともに、社内教育体制、給与、評価制度などの環境整備を、時代や社員のニーズに応じて柔軟に見直しを行っていく方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.8歳 8.0年 4,150,603円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

* **必須記載事項(法定開示)**

項目 数値
女性管理職比率 15.0%
男性育児休業取得率 100.0%


※労働者の男女の賃金の差異については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

* **任意記載事項**

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(82.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状態について


同社グループは主に個人消費者を対象としたサービスを提供しているため、個人消費が低迷するような経済局面においては、業績に影響を及ぼす可能性があります。中長期的には健康意識の高まりによる市場拡大が予想されますが、景気動向の影響を受けるリスクがあります。

(2) 人材の確保について


サービス提供には専門的な知識や資格を有する人材が不可欠です。人材派遣会社との提携等により確保を強化していますが、施設数の増加ペースに対して必要な人材の確保が追いつかない場合、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) コンプライアンスについて


児童福祉法や介護保険法など、事業の根幹に関わる法令の遵守が求められています。業務管理体制や内部牽制機能の強化に取り組んでいますが、万が一業務管理上の問題が生じた場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。

(4) 出店形態について


店舗出店時に敷金・保証金を差し入れていますが、貸主の破綻等により回収困難となるリスクがあります。また、同社の事情による中途解約時に代替借主を紹介できない場合、敷金・保証金を放棄せざるを得ず、損失が発生する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。