※本記事は、株式会社極楽湯ホールディングス の有価証券報告書(第46期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 極楽湯ホールディングスってどんな会社?
「極楽湯」や「RAKU SPA」ブランドでスーパー銭湯等の温浴施設を運営する、業界のリーディングカンパニーです。
■(1) 会社概要
1980年に設立され、1996年に「スーパー銭湯極楽湯」のフランチャイズ1号店を開店しました。1998年には直営1号店を開業し、2002年に株式を店頭登録(現 東証スタンダード)しました。2013年に中国・上海へ進出しましたが、2023年末に連結範囲から除外しました。2014年には新ブランド「RAKU SPA」を開始し、2017年に持株会社体制へ移行しています。
同グループの従業員数は連結181名、単体8名です。筆頭株主は取締役の資産管理会社と見られる合同会社ミライニホン・アセットマネジメントで、第2位は香港の投資会社と思われるSPRING OF GOLD HOTEL INVESTMENT AND MANAGEMENT COMPANY LIMITED、第3位も香港の金融機関系株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社ミライニホン・アセットマネジメント | 9.54% |
| SPRING OF GOLD HOTEL INVESTMENT AND MANAGEMENT COMPANY LIMITED | 9.41% |
| HAITONG INT SEC-CL AC-10 (PERCENTAGE) | 1.89% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長兼社長グループCEOは新川 隆丈氏です。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 新川 隆丈 | 代表取締役会長兼社長グループCEO | 日興證券(現SMBC日興証券)、伊藤忠商事を経て、2005年同社代表取締役社長就任。2024年4月より現職。極楽湯、GK Marketing代表取締役会長を兼任。 |
| 後藤 研二 | 取締役常務執行役員 | 兼松、日興證券、伊藤忠商事を経て、いちごグループHD執行役などを歴任。2019年同社取締役。2024年6月より現職。オフィスゴトー代表取締役などを兼任。 |
| 山本 真司 | 取締役執行役員 | 2000年同社入社。店長、営業企画部長、執行役員CBO等を歴任。2024年4月より現職。GK Marketing代表取締役社長、極楽湯取締役を兼任。 |
| 佐藤 剛史 | 取締役執行役員 | 2003年同社入社。店長、経営企画部長、執行役員等を歴任。2024年4月より現職。極楽湯代表取締役社長、GK Marketing取締役を兼任。 |
| 市山 勉 | 取締役 | 1981年国際航業入社。北陸地下開発(現エオネックス)に入社し、1993年同社代表取締役(現任)。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、上野 建太郎(メリディアンパートナーズ代表取締役)、小林 豪(リアルクオリティ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」セグメントにおいて温浴事業を展開しています。
■(1) 温浴事業
同社グループは、「極楽湯」「RAKU SPA」の名称で温浴施設を展開しており、直営29店舗、フランチャイズ10店舗を出店しています。また、関連事業として「RAKU CAFE」や、持分法適用会社運営の「祥楽の湯」、パートナー店舗「ヒナタの杜」なども展開し、幅広い形態で温浴サービスを提供しています。
収益源は、直営店における一般顧客からの入館料、飲食、整体・理髪、物販等の収入に加え、フランチャイズ店(加盟店)からの商品販売収入やロイヤリティ収入等です。事業の運営は、主に子会社である株式会社極楽湯や株式会社GK Marketingが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2023年3月期にかけては、コロナ禍の影響等により当期純損失を計上していましたが、2024年3月期以降は黒字転換しています。売上高は回復傾向にあり、直近の2025年3月期では売上高152億円、経常利益13億円となり、利益率も8.4%まで改善しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 88億円 | 100億円 | 128億円 | 141億円 | 152億円 |
| 経常利益 | -9.3億円 | 7.5億円 | 1.8億円 | 7.2億円 | 12.8億円 |
| 利益率(%) | -10.6% | 7.5% | 1.4% | 5.1% | 8.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -13.1億円 | -57.6億円 | -3.4億円 | 15.2億円 | 8.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しています。営業利益は前期の7億円から11億円へと大幅に増加し、営業利益率は7.5%となりました。コストコントロールと売上拡大の両面で成果が出ており、収益性が高まっていることがわかります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 141億円 | 152億円 |
| 売上総利益 | 21億円 | 25億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.7% | 16.7% |
| 営業利益 | 7.5億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 5.3% | 7.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が3.4億円(構成比24%)、役員報酬が1.3億円(同10%)を占めています。売上原価については内訳の詳細な記載はありません。
■(3) セグメント収益
同社グループの報告セグメントは「日本」のみです。アニメコンテンツやVtuber等とのコラボイベント、地域連携イベントが好調に推移したことや、入館料金改定、シーズン料金拡大などの施策により、客単価や利益率が向上し、増収増益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 141億円 | 152億円 |
| 連結(合計) | 141億円 | 152億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**パターン判定:健全型**
営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスです。本業で稼いだ現金を、将来のための投資や借入金の返済に充てている健全な状態と言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 16億円 | 22億円 |
| 投資CF | -11億円 | -12億円 |
| 財務CF | -27億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は27.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「人と自然を大切に思い、人の心と体を『癒』すことにより、地域社会に貢献することで、自己の確立と喜びを感じる企業でありたい」という企業理念を掲げています。この理念のもと、質の高いサービス提供による顧客満足度の向上と適正な利益の獲得、ステークホルダーとの健全な関係維持、地域社会への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、「ホスピタリティ、チャレンジ精神、経営マインドを持った人材」の育成を重視しています。また、「開かれた企業経営体質」を基本とし、危機管理体制の構築と法令遵守を徹底する姿勢を示しています。お風呂を日本の文化と捉え、それを継承・発展させていく真摯な姿勢を大切にする文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は、「60店舗体制の確立」を掲げており、直営店出店に重点を置いた店舗開発に取り組む方針です。具体的な数値目標としては、来店客数、売上高、店舗利益の向上を目指していますが、有価証券報告書内に将来の具体的な売上高や利益目標数値の記載はありません。
■(4) 成長戦略と重点施策
60店舗体制の確立に向けて、直営店を中心とした新規出店と候補地の情報収集強化を進めています。既存店では収益向上を目的とした改装を実施し、新形態・新業態の開発として、異業種コラボや都市型温浴施設の展開にも注力しています。また、衛生管理の徹底や設備の維持管理に加え、これらの拡大に対応できる人材の確保・育成を重要課題としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
60店舗体制の確立および直営店重点の出店戦略を推進するため、店舗数・業務拡大に対応できる人材の確保・育成を重視しています。採用活動の強化とともに、社員に対する教育・研修に注力し、ホスピタリティや経営マインドを持った人材を育成する方針です。また、女性が参画する多様性に富んだ組織構築のため、女性採用比率や女性管理職数などの具体的な数値目標を掲げています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.9歳 | 9.1年 | 9,116,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 66.7% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 65.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員採用者に占める女性比率(33.3%)、社員の有給休暇取得率(47.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 退店について
直営店は主に定期借地権を設定して土地を賃借しているため、契約期間満了や中途解約の際には原則として建物を撤去し、原状復帰して返還する必要があります。これに伴う費用負担が発生し、資産除去債務を計上していますが、追加費用等により業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 法的規制等について
スーパー銭湯の運営には公衆浴場法、食品衛生法、建築基準法などの法令や自治体の条例による規制を受けます。万が一、営業許可が下りない、承認が遅れる、あるいは法令違反により営業停止等の行政処分を受けた場合、出店計画や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 水質管理について
公衆浴場において水質管理は極めて重要です。同社は定期的な水質検査や設備の清掃を徹底していますが、万が一レジオネラ属菌による事故等が発生した場合、ブランドイメージの低下や来店客数の減少、行政処分による営業停止などにより、業績に深刻な影響を与える可能性があります。
■(4) 店内で提供する飲食について
店舗内の飲食スペースでは食品衛生法に基づき営業許可を取得し、衛生管理を徹底しています。しかし、万が一食中毒が発生した場合には、営業停止等の行政処分を受ける可能性があり、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。



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