極楽湯ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 極楽湯ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

極楽湯ホールディングスは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、「極楽湯」や「RAKU SPA」などの温浴施設を展開する企業です。直営店やフランチャイズ店を通じた入館料や飲食収入を主力としています。直近の業績では、来店客数の増加や料金改定効果などにより増収増益を達成し、過去最高益を更新しています。


※本記事は、株式会社極楽湯ホールディングスの有価証券報告書(第47期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 極楽湯ホールディングスってどんな会社?


同社は、日本最大級の温浴施設チェーン「極楽湯」や「RAKU SPA」の運営を展開する企業です。

(1) 会社概要


1980年4月に三洋実業として設立され、1996年にスーパー銭湯「極楽湯」のFC1号店を開店しました。2002年に店頭売買有価証券として株式を登録(現・スタンダード市場)し、2014年には滞在型温浴施設「RAKU SPA」ブランドを開始しました。2017年に持株会社体制へ移行しています。

同社グループの従業員数は連結で188名、単体で19名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は合同会社ミライニホン・アセットマネジメントで、第2位は資産管理業務を行う外国法人等、第3位はアサヒビールです。

氏名 持株比率
合同会社ミライニホン・アセットマネジメント 9.40%
SPRING OF GOLD HOTEL INVESTMENT AND MANAGEMENT COMPANY LIMITED(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店) 9.30%
アサヒビール 1.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役会長兼社長グループCEOは新川隆丈氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
新川隆丈 代表取締役会長兼社長グループCEO 北陸銀行、日興證券、伊藤忠商事を経て、2005年同社代表取締役社長に就任。2017年代表取締役社長グループCEO。2024年より現職。
後藤研二 取締役専務執行役員 兼松、日興證券、伊藤忠商事等を経て、2019年同社取締役就任。ミライニホン・アセットマネジメント代表社員等を兼任し、2025年より現職。
山本真司 取締役執行役員 2000年同社入社。総合企画部長や営業企画部長などを歴任し、2024年取締役執行役員に就任。GK Marketing代表取締役社長等を兼任。
佐藤剛史 取締役執行役員 2003年同社入社。経営企画部長などを経て、2022年取締役執行役員に就任。極楽湯代表取締役社長等を兼任。
新川隆啓 取締役執行役員 2019年同社入社。海外事業部副部長兼経営企画部副部長等を経て、2024年極楽湯取締役などに就任。2025年より現職。
市山勉 取締役 1981年国際航業入社。エオネックス代表取締役や利水社代表取締役などを務め、2024年より現職。


社外取締役は、上野建太郎(メリディアンパートナーズ社長)、小林豪(リアルクオリティ社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」セグメント事業を展開しています。

温浴事業


同社グループは、「極楽湯」および「RAKU SPA」ブランドによる温浴施設の展開を主力事業としています。直営店では、温浴施設の入館料収入や飲食収入、整体、理髪、物販などの多様なサービスを提供し、来店客に対して癒やしとくつろぎの空間を提供しています。また、関連事業として「RAKU CAFE」の運営も行っています。

主な収益源は、直営店を利用する一般顧客からの入館料および施設内の各種サービス利用料です。また、フランチャイズ店からは、加盟契約に基づくスーパー銭湯経営に関する商品の販売収入や、ノウハウ等の提供に伴うロイヤリティ収入を得ています。事業の運営は、主に子会社である極楽湯が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は安定して成長を続けており、増収基調を維持しています。経常利益は低迷した時期もありましたが、直近では順調に回復し、利益水準が大幅に改善しています。利益率も上昇傾向にあり、収益体質の強化が進んでいることがうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 100億円 128億円 141億円 152億円 162億円
経常利益 8億円 2億円 7億円 13億円 13億円
利益率(%) 7.5% 1.4% 5.1% 8.4% 8.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -58億円 -3億円 15億円 9億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに堅調に推移しています。利益率も安定して推移しており、増収効果がコスト増加を吸収して利益を堅調に押し上げています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 152億円 162億円
売上総利益 25億円 27億円
売上総利益率(%) 16.7% 16.8%
営業利益 11億円 12億円
営業利益率(%) 7.5% 7.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が4億円(構成比26.6%)、役員報酬が1.4億円(同9.4%)を占めています。売上原価(135億円)は売上高の約83.2%を占めています。

(3) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.3%で市場平均を下回っています。営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状態といえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 22億円 13億円
投資CF -12億円 -21億円
財務CF -10億円 -6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人と自然を大切に思い、人の心と体を『癒』すことにより、地域社会に貢献する」という企業理念を掲げています。この理念のもと、時代の変化や顧客ニーズを的確に捉えた質の高いサービスを提供することで、顧客満足度を高め、企業として適切な利益を安定的に獲得することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「開かれた企業経営体質」を基本とし、危機管理体制の構築と法令遵守の徹底を重視する企業文化を持っています。また、各地域の文化や慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて社会に貢献することを大切にしています。従業員に対しては「ホスピタリティ、チャレンジ精神、経営マインドを持った人材の育成」を掲げています。

(3) 経営計画・目標


同社は、既存店と新店それぞれの改装や企画イベントを通じた付加価値の向上により、来店客数、売上高、店舗利益の拡大を目標としています。また、新モデルや新業態の開発による新たな顧客層の開拓にも注力し、業務の効率化を推進することで収益体質の強化を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、60店舗体制の確立に向けて、直営店の出店に重点を置いた店舗開発を推進しています。出店候補地の情報収集や投資効率の向上を図るほか、既存店の収益向上を目的とした改装も実施します。また、都市型温浴施設など従来の枠にとらわれない新業態の開発にも積極的に取り組む方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、事業戦略と連動した人材育成を重視し、「ホスピタリティ」「チャレンジ精神」「経営マインド」を持つ人材を求めています。新入社員からマネジメント層まで、役割に応じた階層別研修を実施し、キャリア形成を支援しています。また、業務効率化やオペレーションの標準化を通じて、サービス提供に専念できる体制を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.3歳 11.2年 6,437,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 54.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 54.3%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) -


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員採用者に占める女性比率(56.4%)、社員の有給休暇取得率(51.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 退店時の原状回復による負担


同社の直営店は定期借地権を利用して土地を賃借していることが多く、契約満了や中途解約時には建物を撤去して原状回復する必要があります。資産除去債務を計上しているものの、追加費用の発生により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 法的規制や行政指導の影響


温浴施設の開設・営業には公衆浴場法や食品衛生法などの各種法令・条例の規制を受けます。営業許可の遅れによる出店計画の修正や、法令違反による営業停止処分、規制強化に伴うコスト上昇などが業績に悪影響を与えるリスクがあります。

(3) 浴槽の水質管理と事故リスク


温浴施設において水質管理は最重要事項であり、同社では定期的な水質検査を徹底しています。しかし、万一レジオネラ属菌などによる事故が発生した場合、ブランドイメージの低下や来店客数の減少を招き、業績に重大な影響を及ぼす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。