ジェコス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジェコス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジェコスは東京証券取引所プライム市場に上場し、建設仮設材の賃貸・販売等を行う重仮設事業と、建設用機械の賃貸等を行う建設機械事業を展開しています。直近の業績は売上高1,157億円、経常利益87億円と増収増益を達成しました。鉄鋼事業との連携や海外事業の拡大により、持続的な成長を目指しています。


※本記事は、ジェコス株式会社の有価証券報告書(第59期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジェコスってどんな会社?


建設仮設材や建設機械の賃貸・販売を全国規模で展開する企業です。

(1) 会社概要


1968年に川崎製鉄(現JFEスチール)の出資で設立され、建設用仮設鋼材の賃貸・販売を開始しました。1985年に建設機械賃貸の子会社を設立し事業を拡大。1994年に上場し、1996年に東京証券取引所市場第一部へ指定されました。近年はベトナムやシンガポールへ進出し、海外展開も推進しています。

連結従業員数は1,762名、単体では764名です。筆頭株主は事業会社のJFEスチールで、第2位はみずほリース、第3位はJFE商事です。グループ各社との連携を通じて、建設資材の安定供給や事業領域の拡大に取り組んでいます。

氏名 持株比率
JFEスチール 27.58%
みずほリース 20.00%
JFE商事 8.77%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は野房喜幸氏が務めており、社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
野房喜幸 代表取締役社長 1985年に川崎製鉄に入社し、JFEスチール専務執行役員などを経て、2021年より現職。
石澤毅 代表取締役 専務執行役員 1989年に川崎製鉄に入社し、JFEスチール建材技術部長などを経て、2026年より現職。
田村挙勝 代表取締役 常務執行役員 1990年にジェコスに入社し、同社工事本部東京工事部長などを経て、2024年より現職。


社外取締役は、佐藤健介(みずほリース常務取締役兼常務執行役員)、浅野幹雄(元豊田通商代表取締役副社長)、村田恒子(元パナソニックシステムソリューションズ社法務部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「重仮設事業」および「建設機械事業」を展開しています。

(1) 重仮設事業


建設仮設材の賃貸および販売を中心に、関連する仮設工事の設計・施工、特殊加工製品の製作および販売を展開しています。全国の建設作業所において関連商品を取り扱い、総合的な営業活動を行っています。

建設会社から賃貸料や販売代金、工事代金を受け取る収益モデルです。運営は主にジェコスおよび子会社のオトワコーエイやジェコス工事が国内で行い、海外ではシンガポールのFUCHIやベトナムのGECOSS VIETNAMなどが担っています。

(2) 建設機械事業


建設現場で使用される小型建設機械などの賃貸を行っています。重仮設事業と情報を共有化し、連携して営業を行うことで、グループ全体でのシナジー効果の創出と事業領域の多様化を図っています。

建設会社などの顧客から建設機械の賃貸料を受け取ります。事業の運営は、主に子会社のレンタルシステムが行っており、みずほリースなどとも協業して収益基盤の強化に取り組んでいます。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は1,100億円から1,200億円台で堅調に推移しており、経常利益および利益率も上昇傾向にあります。特に直近では経常利益が87億円、利益率が7.5%に達し、着実な成長と収益力の向上が見られます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,140億円 1,205億円 1,282億円 1,116億円 1,157億円
経常利益 52億円 49億円 66億円 68億円 87億円
利益率(%) 4.6% 4.1% 5.2% 6.1% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 33億円 36億円 45億円 49億円 92億円

(2) 損益計算書


直近は増収増益となり、売上総利益率は20.9%から22.9%へ改善しています。営業利益率も6.1%から6.9%へと上昇し、収益性の高まりが確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,116億円 1,157億円
売上総利益 233億円 265億円
売上総利益率(%) 20.9% 22.9%
営業利益 69億円 80億円
営業利益率(%) 6.1% 6.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与諸手当が69億円(構成比37%)、賞与引当金繰入額が15億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


重仮設事業は、首都圏の大型再開発案件を中心に需要が堅調に推移し、増収となりました。建設機械事業も、資産構成の入れ替えによる採算性向上に注力した結果、売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
重仮設事業 982億円 1,021億円
建設機械事業 134億円 136億円
連結(合計) 1,116億円 1,157億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型と判定されます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 88億円 107億円
投資CF -33億円 -21億円
財務CF -36億円 -12億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「安心、安全な社会の建設への貢献」というコンセプトを掲げています。また、鋼材をリースし再利用するという事業モデルを通じて、資源循環型社会の実現と持続可能な社会の発展に寄与することを使命として経営を行っています。

(2) 企業文化


「人に寄り添う」「チームワークで応える」「挑戦し続ける」という価値観を大切にしています。安全と健康の確保を最優先とし、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮して継続的な成長を実感できる働きがいのある職場環境づくりを重視しています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画(2025~2027年度)において、以下の財務目標を掲げています。

* 営業利益:85億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:60億円
* ROE:8.0%以上
* 配当性向:40%程度

(4) 成長戦略と重点施策


「成長基盤の確立と労働生産性向上」を基本方針としています。重仮設事業では首都圏での施工能力向上や山留周辺分野の事業体制確立を進めます。建設機械事業では協業を通じて事業領域を拡大し、収益基盤の強化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「既存事業の高度化」と「事業ポートフォリオの多様化」を支える基盤として、多様な人材の確保と育成を推進しています。社員一人ひとりのキャリアプランに合わせた教育や柔軟な働き方を推奨し、エンゲージメント向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.7歳 17.1年 8,285,231円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.9%
男性育児休業取得率 87.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 64.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 54.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、平均年休取得日数(13.7日)、定年退職者再雇用率(83.3%)、障がい者雇用率(3.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設業界に対する依存度


主要な取引先が建設会社であり、民間および公共の建設投資の動向が同社グループの業績や財政状態に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 価格変動の影響


取扱商品であるH形鋼や鋼矢板などの販売価格は、市況や原材料の鋼材価格の変動に左右されます。価格の低迷や高騰が想定通りに転嫁できない場合、業績に影響するリスクがあります。

(3) カントリーリスク


海外への投資や海外顧客との取引において、対象国の政治・経済情勢が大きく変動した場合、事業展開に悪影響が生じ、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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