創健社 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

創健社 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所 スタンダード市場に上場しており、健康自然食品の企画・開発および卸売事業を主力としています。直近の業績は、売上高が49.5億円で前期比増収、経常利益は0.7億円で同増益となり、増収増益を達成しました。


※本記事は、創健社 の有価証券報告書(第58期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 創健社ってどんな会社?


同社は、不要な食品添加物を使わない健康自然食品の企画・開発・販売を行う、自然食品のパイオニア企業です。

(1) 会社概要


同社は1968年に無添加の健康自然食品の開発及び卸売を目的として設立されました。1972年には主力商品となる「べに花一番」の販売を開始し、その後もマヨネーズやマーガリンなどの自社開発商品を展開しました。1994年に日本証券業協会へ店頭登録を行い、2004年にはジャスダック証券取引所へ上場しました。2013年の市場統合を経て、2022年の市場区分見直しにより、現在はスタンダード市場に上場しています。

2025年3月31日時点の従業員数は、連結で40名、単体で37名です。筆頭株主は同社社長の中村靖氏であり、第2位も創業家出身者となっています。第3位は取引先による持株会が保有しており、安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
中村靖 12.06%
中村澄子 11.17%
創健会(取引先持株会) 8.67%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は中村靖氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
中村靖 代表取締役社長 1987年同社入社。営業本部長、ブランディング推進事業本部長などを歴任し、2001年より現職。
岸本英喜 専務取締役営業本部長 1984年同社入社。商品本部長、営業本部副本部長などを経て、2021年より現職。
山田一斗資 取締役商品本部長 1991年同社入社。総務経理部長などを経て、2014年より現職。髙橋製麺取締役を兼務。
飯田雅之 取締役管理本部長 1987年同社入社。情報システム部長、総務経理部長などを経て、2016年より現職。
藤川清士 取締役(常勤監査等委員) 2003年同社入社。商品開発本部長、顧問経営企画室長などを経て、2019年より現職。


社外取締役は、鈴木久衞(税理士事務所代表)、合田真琴(司法書士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、健康自然食品の卸売業を展開しています。単一セグメントですが、取り扱い品目は多岐にわたります。

(1) 健康自然食品事業


同社は「安心で」「おいしく」「栄養価値のある」食品を提供することを目的とし、調味料、加工食品、油脂、飲料などを企画・開発しています。主な顧客は食品量販店や自然食品店、通販利用者などです。自社工場を持たないファブレス経営を基本とし、協力工場での委託製造を行っていますが、連結子会社の髙橋製麺では即席麺の製造を行っています。

収益は、卸売販売による商品代金が主な源泉です。運営は主に創健社が行っており、即席麺の製造および一部商品の販売については、連結子会社である髙橋製麺が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間を見ると、売上高は46億円から49億円台で堅調に推移しています。経常利益は0.3億円前後で推移していましたが、直近の2025年3月期には0.7億円へと増加しました。当期純利益も同様に回復傾向にあり、利益率は低い水準ながらも黒字を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 47.0億円 46.3億円 48.5億円 48.8億円 49.5億円
経常利益 0.5億円 0.3億円 0.3億円 0.3億円 0.7億円
利益率(%) 1.1% 0.6% 0.6% 0.6% 1.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 0.3億円 0.2億円 0.1億円 0.5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は前期の48.8億円から49.5億円へと増加しました。売上総利益も微増し、売上総利益率は約25%を維持しています。営業利益は前期の0.2億円から0.7億円へと大きく伸長し、営業利益率も改善しました。コストコントロールと売上拡大が利益増に寄与しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 48.8億円 49.5億円
売上総利益 12.1億円 12.5億円
売上総利益率(%) 24.8% 25.2%
営業利益 0.2億円 0.7億円
営業利益率(%) 0.5% 1.3%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運送・保管費が3.3億円(構成比28%)、給料手当及び賞与が2.8億円(同24%)を占めています。売上原価率は約75%で推移しています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、品目別の売上動向を見ると、「調味料」と「副食品」が主力であり、それぞれ前期比で増加しました。「油脂・乳製品」もココナッツオイル等の寄与で増加しましたが、「嗜好品・飲料」は豆乳等の減少により微減となりました。全体としては多くの品目で堅調な推移を見せています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
油脂・乳製品 4.5億円 4.6億円
調味料 17.1億円 17.5億円
嗜好品・飲料 10.4億円 10.2億円
乾物・雑穀 2.6億円 2.6億円
副食品 12.5億円 12.8億円
栄養補助食品 1.3億円 1.2億円
その他 0.6億円 0.6億円
連結(合計) 48.8億円 49.5億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

創健社グループは、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保、中期経営計画に基づく事業展開と内部留保の充実、株主への適正な利益還元を基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に商品仕入や人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用により変動します。投資活動によるキャッシュ・フローは、生産性向上のための設備投資や既存設備の維持・改修等に充てられます。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期運転資金を自己資金と金融機関からの短期借入で、設備投資や長期運転資金は金融機関からの長期借入で調達する方針に基づいています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1.5億円 -0.4億円
投資CF -0.7億円 -0.1億円
財務CF -0.6億円 -0.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「地球環境を大切にし、食生活の提案を通して人々の健康的な生活向上に貢献する」という企業理念を掲げています。この理念のもと、人間の健康、地球の健康、そして企業の健康を目指し、企業価値の向上と社会貢献の両立を追求しています。

(2) 企業文化


同社は「食」が持つ大切さを訴え続けることを重視しています。不要な食品添加物を使わない自然食品専業企業としての歴史と信頼を背景に、ステークホルダー全ての期待に応える姿勢を持っています。役員・社員が一丸となって目標達成に取り組む風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社は第6次中期経営計画『新たな成長に向けた価値観の向上』(2023年4月1日~2026年3月31日)を推進しており、最終年度に向けて取り組んでいます。経営指標としては「売上総利益率」および「売上高営業利益率」を重視し、売上拡大と費用のバランスを図りながら利益重視の経営体質を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、オーガニックやプラントベース商品の充実、自社ECサイトの拡充、新規市場の拡大を掲げています。また、商品価値の向上と安定供給のためメーカーとの連携強化を図り、サステナビリティへの取り組みも推進します。さらに、新しいものづくり課による新たなターゲット層への商品開発も進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社はOJTを基本とし、人材のスキルに合わせた多様な研修プログラムを実施しています。また、定年退職者を部長職として再雇用し、若手社員の教育にも注力しています。採用においてはオンライン面接の活用や募集範囲の拡大を行い、全国から優秀な人材を確保する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.1歳 19.8年 6,236,588円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料調達と委託製造


同社グループブランド商品の多くは、外部の協力工場に製造を委託しています。原材料の産地や委託先は分散されていますが、天候不良、紛争、委託先の倒産や事故、感染症の流行などにより、商品の製造や供給が困難になる可能性があります。これらが発生した場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。

(2) 放射性物質検査への対応


食品の放射性物質に関して、独自の基準を設けて自主検査を実施しています。セシウム134、137について検出限界値未満を基準とし、外部機関での検査を行っていますが、万が一問題が発生した場合には、商品の信頼性や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 食品の安全性と信頼性


食品業界では産地偽装や表示違反などの問題が発生することがあります。同社は関連法規の遵守を徹底していますが、食品の安全性や信頼性を損なう事態が発生した場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(4) 公的規制の遵守


食品衛生法や食品表示法、景品表示法、容器包装リサイクル法など、多岐にわたる公的規制を受けています。これらを遵守できなかった場合、事業活動の制限やコスト増加につながり、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。