南陽 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

南陽 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

南陽は、東京証券取引所スタンダード市場および福岡証券取引所に上場する総合機械商社です。建設機械や産業機器の販売、建設機械のレンタルを中心とした事業を展開しています。直近の業績は、個人消費を中心とした緩やかな景気回復を背景に、売上高が約368億円と前期比で微増し、当期純利益も増益を達成しました。


※本記事は、南陽の有価証券報告書(第72期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 南陽ってどんな会社?


建設機械や産業機器の販売および建設機械のレンタル事業を展開する総合機械商社です。

(1) 会社概要


1953年に西日本ベアリングとして設立され、1954年に現在の南陽機材、1992年に南陽へ商号変更しました。1994年に福岡証券取引所に上場し、2017年には東京証券取引所市場第二部へ上場、現在は同スタンダード市場に移行しています。近年はM&Aを積極的に行い、事業領域を拡大しています。

同社グループの従業員数は連結で521名、単体で158名です。筆頭株主は同社代表取締役会長である武内英一郎氏で、第2位および第3位には取引先金融機関である西日本シティ銀行や三井住友銀行などの事業会社が名を連ねており、安定した資本関係を構築しています。

氏名 持株比率
武内英一郎 4.39%
西日本シティ銀行 3.52%
三井住友銀行 3.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役会長は武内英一郎氏、代表取締役社長は篠崎学氏が務めています。社外取締役比率は36.3%です。

氏名 役職 主な経歴
武内英一郎 代表取締役会長 1986年同社入社。取締役社長室長、総務部長、経理部長などを経て、2008年代表取締役社長に就任。2023年より現職。
篠崎学 代表取締役社長 2001年同社入社。経営企画室長、取締役管理本部長などを経て、2018年常務取締役。2023年より現職。
眞野耕二 常務取締役事業統括 1981年同社入社。産機営業本部信州支店長などを経て、2018年常務取締役事業統括兼産機事業本部長。2024年より現職。
南雲一紀 取締役建機事業本部長 1984年同社入社。建機営業本部鹿児島支店長などを経て、2016年取締役建機事業本部副本部長。2017年より現職。
古賀貴文 取締役建機事業本部副本部長 2005年同社入社。管理本部経理グループ次長などを経て、2016年取締役建機事業本部副本部長に就任。2016年より現職。
栗田真欣 取締役産機事業本部長 1993年同社入社。産機事業本部南九州支店長などを経て、2024年取締役産機事業本部長兼福岡支店長。2025年より現職。
石川一郎 取締役(常勤監査等委員) 1981年同社入社。南央国際貿易(上海)有限公司董事総経理などを経て、2021年より現職。


社外取締役は、奥田貫介氏(おくだ総合法律事務所所長)、斧田みどり氏(斧田みどり公認会計士事務所所長)、南谷敦子氏(南谷綜合法律事務所代表弁護士)、漆間麻紀氏(漆間公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設機械事業」「産業機器事業」「砕石事業」を展開しています。

(1) 建設機械事業


建設機械や産業用車両等の販売および建設機械のレンタルを行っています。インフラ補修に関連する新商品の販売や新市場の開拓を進めています。

顧客から建設機械等の販売代金やレンタル料を受け取ります。販売およびレンタル事業は同社が手掛け、国内のレンタル事業は南陽レンテックが行っています。また、中古産業用車両の仕入・販売は同社と南陽重車輌が共同で展開しています。

(2) 産業機器事業


半導体やロボット市場をはじめとする幅広い分野向けに、電子機器や油空圧機器などの産業機器の製造および販売を行っています。

顧客から産業機器の販売代金を受け取ります。販売は同社および共栄通信工業が担い、製造・販売は戸髙製作所、エイ・エス・エイ・ピイ、AQUAPASS、アプリオリ、浜村が担当しています。海外では南央国際貿易(上海)有限公司などが展開しています。

(3) 砕石事業


公共工事や民間工事向けの砕石等の製造および販売を行っています。主に同社から建設機械を購入して事業を展開しています。

顧客から砕石の販売代金を受け取ります。運営は共立砕石所が行っています。燃料費や老朽化設備の更新コスト増加への対応として、販売単価の交渉に努めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は340億円から390億円台で推移し、底堅い事業基盤を維持しています。経常利益は30億円前後で安定して推移しており、利益率も7〜8%台を確保しています。当期利益についても安定した水準を保っており、堅実な経営が行われていることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 348億円 393億円 380億円 365億円 368億円
経常利益 27億円 32億円 30億円 31億円 31億円
利益率(%) 7.6% 8.2% 8.0% 8.5% 8.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 13億円 11億円 11億円 11億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となり、売上総利益も増加しました。一方で、販売費及び一般管理費の増加により営業利益はわずかに減少していますが、売上総利益率は21%台を維持しており、安定した収益構造を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 365億円 368億円
売上総利益 77億円 79億円
売上総利益率(%) 21.2% 21.5%
営業利益 29億円 28億円
営業利益率(%) 7.8% 7.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が17億円(構成比33%)、賞与引当金繰入額が4億円(同7%)を占めています。また、売上原価は289億円で売上高全体の79%を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、産業機器事業が全体の約6割を占める主力事業となっています。当期は建設機械事業が増収となった一方、産業機器事業は設備投資抑制の影響で微減、砕石事業は全体の取引量減少により減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
建設機械事業 137億円 144億円
産業機器事業 223億円 220億円
砕石事業 6億円 4億円
連結(合計) 365億円 368億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 49億円 41億円
投資CF -22億円 -13億円
財務CF -10億円 -13億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.2%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は創業以来、炭鉱経営から砕石業、総合機械商社へと時代の要請に適合した事業活動を行ってきました。「社会への貢献」を社外向けの基本理念として掲げ、社会の役に立つ会社を目指しています。また、社内に対しては「働き甲斐のある職場作り」を掲げ、社会の役に立つ人材を育成することを目的としています。

(2) 企業文化


社員全員が働き甲斐をもって業務に臨むことを重視する文化が根付いています。持続可能な社会への貢献と企業価値の向上が重要な経営課題であるとの認識に立ち、グループ間の連携を強化しながら、ステークホルダーへの最適なソリューションを提案できる人材を育成し続けることを大切にしています。

(3) 経営計画・目標


効率的な資産配分に基づく収益力の向上により財務内容の充実を目指しており、具体的な経営指標として以下の目標を掲げています。

* 総資産経常利益率(ROA)を6%以上維持
* 自己資本当期純利益率(ROE)を8%以上維持

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の成長に加え、M&Aによる事業領域の拡大と組織力強化、持続的成長を可能にするサステナビリティ経営の推進に取り組んでいます。建設機械事業では特長ある業者のM&Aや技術者育成による内製化を推進し、産業機器事業では半導体前工程での商品拡充やASEAN地域を中心とした海外事業の強化に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


最も重要な経営資源は人材であると考えており、「人材の育成及び確保」「健康で働き甲斐のある職場作り」「ダイバーシティ&インクルージョン」を重要課題に設定しています。ステークホルダーとの強固な繋がりを築く人材を育成し、性別や国籍を問わず能力を発揮できる多様性のある組織づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.3歳 12.5年 6,635,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 81.8%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(非正規雇用労働者) -


※女性管理職比率および労働者の男女の賃金の差異については、公表を行っていないため有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 公共・民間建設投資への依存リスク


建設機械事業および砕石事業は、公共事業や民間建設投資の動向に大きく依存しています。これらの需要が急激に減少した場合、同社グループの財政状態や経営成績、キャッシュ・フローに大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 取扱商品および貸与資産の価格変動リスク


原油価格や原材料価格の高騰が仕入価格の上昇につながり、競争激化により販売価格への転嫁が困難な場合、業績に影響を及ぼします。また、レンタル用貸与資産の購入価格が上昇した場合、減価償却費などの固定費が増加するリスクがあります。

(3) 半導体・電子部品市場の変動リスク


産業機器事業は、半導体や電子部品市場における市況の変動を直接的に受けます。不況期に民間設備投資が抑制されたり、生産や在庫調整が行われたりした場合、同社グループの業績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 製商品の欠陥リスク


主として信頼のおけるメーカーの製商品を販売していますが、すべての製商品に欠陥がないという保証はありません。販売先からの製商品の欠陥に起因する損害賠償請求などが発生した場合、同社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。