#記事タイトル:南陽転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社南陽 の有価証券報告書(第71期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 南陽ってどんな会社?
建設機械や産業機器の販売・レンタルを主力とする総合機械商社です。九州を地盤に全国およびアジアへ展開しています。
■(1) 会社概要
1953年に西日本ベアリングとして福岡市で設立され、1994年に福岡証券取引所へ上場しました。その後、2017年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、翌2018年には同市場第一部銘柄に指定されました。近年ではM&Aを推進しており、2022年にエイ・エス・エイ・ピイ、2024年にはAQUAPASSを買収し子会社化しています。
同社グループは連結504名、単体158名の従業員を擁しています。大株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役会長の武内英一郎氏であり、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は大手都市銀行となっています。経営陣や金融機関が上位を占める安定した株主構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 武 内 英一郎 | 4.31% |
| 株式会社西日本シティ銀行 | 3.45% |
| 株式会社三井住友銀行 | 3.43% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長は篠崎学氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 篠 崎 学 | 代表取締役社長 | 2001年入社。管理本部人事総務グループ次長、経営企画室長、取締役管理本部長、常務取締役などを歴任し、2023年6月より現職。 |
| 武 内 英一郎 | 代表取締役会長 | 1986年入社。取締役経理部長、専務取締役産機営業本部長、代表取締役社長などを歴任し、2023年6月より現職。 |
| 眞 野 耕 二 | 常務取締役事業統括 | 1981年入社。産機営業本部副本部長、産機事業本部長、海外子会社社長などを歴任し、2024年4月より現職。 |
| 南 雲 一 紀 | 取締役建機事業本部長 | 1984年入社。建機営業本部鹿児島支店長、同営業部長、執行役員建機事業本部副本部長などを歴任し、2017年4月より現職。 |
| 古 賀 貴 文 | 取締役建機事業本部副本部長 | 2005年入社。管理本部経理グループ次長、建機事業本部管理部長、南陽レンテック代表取締役社長を経て、2016年6月より現職。 |
| 栗 田 真 欣 | 取締役産機事業本部長 | 1993年入社。産機事業本部東京支店長、海外子会社社長などを歴任し、2025年4月より現職。 |
| 石 川 一 郎 | 取締役(常勤監査等委員) | 1981年入社。産機営業本部南九州支店長、海外子会社総経理、取締役産機事業本部副本部長などを経て、2021年6月より現職。 |
社外取締役は、奥田貫介(弁護士)、斧田みどり(公認会計士・税理士)、南谷敦子(弁護士)、漆間麻紀(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建設機械事業」、「産業機器事業」および「砕石事業」を展開しています。
**(1) 建設機械事業**
建設機械および産業用車両等の販売、建設機械のレンタルを行っています。公共工事や民間建設投資に関連する需要に対応し、一般土木機械を中心とした商品・サービスを提供しています。
収益は、商品の販売代金および建設機械のレンタル料等から得ています。運営は、南陽が販売およびレンタルを行うほか、子会社の南陽レンテックがレンタル事業を、南陽重車輌が中古産業用車両の売買を行っています。
**(2) 産業機器事業**
産業機器の販売および製造を行っています。半導体製造装置関連やロボット分野など、自動化・省力化ニーズに対応した機器を取り扱っています。
収益は、産業機器等の販売代金から得ています。運営は、南陽および共栄通信工業が販売を行い、戸髙製作所、エイ・エス・エイ・ピイ、AQUAPASS、浜村が製造・販売を行っています。また、海外子会社が国外での仕入・販売を行っています。
**(3) 砕石事業**
道路用砕石やコンクリート用砕石などの製造・販売を行っています。
収益は、砕石製品の販売代金から得ています。運営は、子会社の共立砕石所が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は300億円台後半で推移していますが、直近では微減となりました。一方、利益面では利益率が緩やかに上昇傾向にあり、経常利益は30億円を超える水準を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 324億円 | 348億円 | 393億円 | 380億円 | 365億円 |
| 経常利益 | 20億円 | 27億円 | 32億円 | 30億円 | 31億円 |
| 利益率(%) | 6.3% | 7.6% | 8.2% | 8.0% | 8.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 9億円 | 13億円 | 11億円 | 11億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は減少したものの、売上総利益および売上総利益率は向上しました。販売費及び一般管理費は増加しましたが、粗利益の増加がこれを吸収し、営業利益は増益を確保しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 380億円 | 365億円 |
| 売上総利益 | 75億円 | 77億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.7% | 21.2% |
| 営業利益 | 28億円 | 29億円 |
| 営業利益率(%) | 7.3% | 7.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が16億円(構成比33%)、賞与引当金繰入額が4億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
建設機械事業は売上横ばいながら増益となり、砕石事業は大口需要により大幅な増収増益を達成しました。一方、産業機器事業は投資抑制の影響で減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設機械事業 | 137億円 | 137億円 | 17億円 | 19億円 | 13.9% |
| 産業機器事業 | 239億円 | 223億円 | 17億円 | 17億円 | 7.5% |
| 砕石事業 | 4億円 | 6億円 | 0.0億円 | 0.1億円 | 1.4% |
| 連結(合計) | 380億円 | 365億円 | 28億円 | 29億円 | 7.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
南陽のキャッシュ・フローの状況は、営業活動による資金の増加、投資活動による資金の減少、財務活動による資金の減少という構成になっています。営業活動では、仕入債務の減少があったものの、利益の増加や売上債権の減少、減価償却費の計上などにより資金が増加しました。投資活動では、主に有形固定資産の取得により資金が減少しました。財務活動では、配当金の支払い及びファイナンス・リース債務の返済により資金が減少しました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 52億円 | 49億円 |
| 投資CF | -25億円 | -22億円 |
| 財務CF | -19億円 | -10億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、社外に対しては「社会への貢献」を掲げ、社会の役に立つ会社を目指しています。また、社内に対しては「働き甲斐のある職場作り」を掲げ、社員全員が働き甲斐をもって業務に臨むことにより、社会の役に立つ人材を育成することを目指しています。
■(2) 企業文化
創業以来、炭鉱経営から砕石業、そして総合機械商社へと変遷し、取扱商品も建設機械から半導体製造装置、ロボット分野へと広げてきました。このように、時代の要請に適合した事業活動を行う柔軟性と適応力を重視する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
効率的な資産配分に基づく収益力の向上により財務内容の充実を目指し、目標とする経営指標として以下を掲げています。
* 総資産経常利益率(ROA):6%以上
* 自己資本当期純利益率(ROE):8%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
経営の安定性と成長性を実現するため、建設機械事業ではシナジー効果の追求やニッチ分野の深耕、レンタル体制の強化を図ります。産業機器事業ではAI・ロボット分野の強化や海外市場の開拓を進めます。また、人的効率と資産効率の向上により企業価値を高め、株主還元にも努める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「働き甲斐のある職場作り」を基本理念に掲げ、社員全員が働き甲斐を持って業務に取り組むことで、社会の役に立つ人材を育成することを目指しています。中長期的には安定した組織運営に向けて人材育成に注力するとともに、人的効率の向上にも努める方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.9歳 | 13.1年 | 6,456,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表を行っていないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
**(1) 事業環境について**
建設機械事業および砕石事業は公共事業や民間建設投資の動向に、産業機器事業は半導体電子部品市場の市況変動に大きく依存しています。これらの急激な減少や不況による設備投資の抑制等は、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
**(2) 取扱商品及び貸与資産の価格変動について**
多品種の商品を取り扱っており、原油・原材料価格の高騰による仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できない場合、業績に影響を与える可能性があります。また、レンタル用貸与資産の購入価額上昇による固定費の増加もリスク要因となります。
**(3) 棚卸資産について**
産業機器事業では適正在庫の維持に努めていますが、景気動向の変化による受注減少や商品のモデルチェンジ等により収益性が低下した場合、棚卸資産の評価減等が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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