※本記事は、株式会社山大の有価証券報告書(第68期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 山大ってどんな会社?
山大は住宅資材・建設資材の販売、木材加工、住宅建築などを手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
1951年に設立された能高殖産を起源とし、1964年に山大産業として設立されました。1989年に現在の山大へ社名を変更しています。1991年にはプレカット工場を建設し、木造住宅構造建材の加工を本格化させました。2004年に株式を上場し、直近では2024年に内装建材販売企業を完全子会社化しています。
現在の従業員数は連結で102名、単体で92名体制となっています。筆頭株主は代表取締役社長が代表を務めるエステートヤマダインで、第2位には山友殖林、第3位には個人株主が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社エステートヤマダイン | 26.75% |
| 山友殖林 | 3.67% |
| 髙橋恒 | 3.66% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は髙橋暢介氏が務めています。社外取締役比率は11.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙橋暢介 | 代表取締役社長 | 2010年同社入社。住宅資材事業部直需部仙台支店一課主任、取締役管理部部長等を経て、2018年より現職。 |
| 阿部竜也 | 取締役社長補佐 | 1990年丸紅木材建材入社。2021年同社入社、執行役員営業統括。常務、専務等を経て、2024年より現職。 |
| 宍戸広光 | 取締役社長補佐 | 1994年ARI設計入社、1996年同社入社。開発生産部開発技術部長、ホーム事業部部長等を経て、2021年より現職。 |
| 阿部哲也 | 取締役住宅資材事業部部長 | 1987年同社入社。住宅資材事業部仙台支店二課課長、同直需部仙台支店支店長等を経て、2025年より現職。 |
| 髙橋拓宏 | 取締役建設事業部部長 | 1989年丹野水産入社、1991年同社入社。木材建材部次長、建設事業部木構造特殊建築室室長等を経て、2021年より現職。 |
社外取締役は、髙橋猛(元七十七リサーチ&コンサルティング社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「住宅資材事業」「建設事業」「賃貸事業」を展開しています。
■住宅資材事業
木材、建材、住宅設備機器、合板等の卸・小売販売および木材の加工を行っています。主な顧客は地場の工務店などです。自社工場でのコンピュータカットによるプレカット加工や人工乾燥加工も提供し、多様な建築ニーズに対応しています。
収益は、顧客への各種住宅資材の販売や加工製品の提供から得ています。運営は同社および連結子会社のビィ・エル・シーが行っています。
■建設事業
住宅建築や大型木造建築などの設計・施工・監理、ならびに分譲住宅や不動産の売買・仲介を行っています。製造エネルギーが低い国産杉などの無垢材をふんだんに使用した居住空間の提案を強みとしています。
収益は、顧客との工事請負契約に基づく完成工事高や、販売用土地建物の売上などから得ています。運営は主に同社が行っています。
■賃貸事業
同社が保有する不動産の賃貸等を行っています。宮城県内において、賃貸用のマンションや貸家、賃貸商業施設などの不動産物件を管理・運用し、地域に密着したサービスを展開しています。
収益は、保有する賃貸不動産を利用する顧客からの賃貸料から得ています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期の業績は、売上高が約41億円で横ばい傾向にありますが、経常利益および当期利益はマイナスが続いています。赤字幅は縮小傾向にあるものの、厳しい収益環境が継続しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 41.4億円 | 41.0億円 |
| 経常利益 | -3.6億円 | -2.6億円 |
| 利益率(%) | -8.7% | -6.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -13.9億円 | -2.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上総利益率は改善傾向にあるものの、販売費及び一般管理費の負担を吸収しきれず、営業損失を計上しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 41.4億円 | 41.0億円 |
| 売上総利益 | 4.2億円 | 5.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.3% | 12.1% |
| 営業利益 | -3.8億円 | -2.9億円 |
| 営業利益率(%) | -9.1% | -7.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.9億円(構成比36%)、支払運賃が0.9億円(同12%)を占めています。売上原価(当期36.0億円)は売上高の大部分を占めており、資材価格の高騰などが収益を圧迫しています。
■(3) セグメント収益
住宅資材事業と建設事業は微減収となっています。一方で賃貸事業は増収を確保しており、全社の売上を下支えしています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 住宅資材事業 | 29.4億円 | 29.2億円 |
| 建設事業 | 11.3億円 | 11.1億円 |
| 賃貸事業 | 0.7億円 | 0.7億円 |
| 連結(合計) | 41.4億円 | 41.0億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
当期のキャッシュ・フローは、本業・投資・財務のいずれもマイナスとなっており資金繰りが危機的な状況を示す状態です。なお、同社は在庫を多く抱える小売関連事業を展開しているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.8億円 | -3.8億円 |
| 投資CF | -2.4億円 | -0.1億円 |
| 財務CF | 1.0億円 | -0.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-14.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.0%であり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「木材の温もりは心の温もり。わたしたち山大は山と人をつなぐ木材文化の架け橋として自然と暮らしの循環を見守る大樹として木材の温もりと笑顔あふれる社会に貢献します。」をパーパスとして掲げています。また、「木材の温もりに囲まれた笑顔あふれる社会を創造します」というビジョンの実現を目指しています。
■(2) 企業文化
持続可能な社会の創造に向けた環境問題への取り組み方針として、「Community with wood(木とともに)200年先の笑顔のために」を掲げています。循環資源である木材を活かし、自然と暮らしの大きな循環を支えることで、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に貢献していく姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、経営基盤強化のため、経営の最重点目標を収益の向上と位置付けています。財務体質の充実や改善を図りながら会社を発展させていくため、以下の数値を経営指標として掲げています。
* 経常利益率10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の期待できるマーケットとして、公共施設等の非住宅分野における木造化を推進しています。また、地産地消の認証木材使用による森林保護や、高性能住宅による二酸化炭素排出量の抑制を通じて地球温暖化防止へ貢献する戦略を描いています。具体的には、プレカットの営業強化や国産杉製材工場の生産効率向上、建築現場の職人育成による内製化などを進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
働きがいのある地域企業を目指し、年次有給休暇の計画的な取得等の働きやすい職場づくりを通じた労働環境の整備を行っています。また、資格手当制度によって国家資格の取得を促進するほか、管理職研修や新入社員研修などの社員研修を充実させることで、従業員の能力開発や雇用促進・維持に取り組む方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.9歳 | 13.3年 | 3,749,956円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇の取得率(77%)、国家資格保有者数(24人)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 住宅市場の動向への依存と固定資産の減損
一般住宅関連の受注は住宅市場の動向に依存しており、少子高齢化や金利の変動、資材価格の高騰などにより需要が減少するリスクがあります。また、生産工場などの固定資産を多く保有しているため、収益性が悪化した場合に減損損失が計上され、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 大規模な自然災害等による生産設備への被害
生産工場の製造原価を下げるため、宮城県石巻市に生産設備を集中させています。そのため、同地域において地震などの大規模な自然災害が発生し、工場等の生産設備が甚大な被害を受けた場合、操業の停止等により同社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



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