※本記事は、株式会社山大 の有価証券報告書(第67期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 山大ってどんな会社?
住宅資材・建設資材の卸・小売事業、住宅建築・大型木造建築事業、木材加工事業等を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1964年に株式会社山大産業として設立され、1989年に現社名へ変更しました。1991年にプレカット工場を建設し、加工事業を本格化。2004年にジャスダック(現スタンダード市場)へ上場しました。2007年には国産材製材工場「ウッド・ミル」を設置し、「宮城の伊達な杉」の生産を開始。2024年にはビィ・エル・シーを子会社化し、連結決算を開始しています。
同社グループの従業員数は連結で115名、単体で105名です。筆頭株主は代表取締役社長が代表を務める法人で、第2位は関連会社の山友殖林です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社エステートヤマダイン | 26.75% |
| 株式会社山友殖林 | 3.67% |
| 髙橋 恒 | 3.66% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は髙橋暢介氏です。社外取締役比率は11.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙橋 暢介 | 代表取締役社長 | 2010年入社。取締役管理部部長などを経て2018年より現職。 |
| 阿部 竜也 | 取締役社長補佐 | 丸紅木材建材(現SMB建材)出身。2021年入社、専務取締役などを経て2024年11月より現職。 |
| 宍戸 広光 | 取締役社長補佐 | ARI設計を経て1996年入社。常務取締役などを経て2021年より現職。 |
| 阿部 哲也 | 取締役住宅資材事業部部長 | 1987年入社。住宅資材事業部仙台支店支店長などを経て2015年取締役就任。 |
| 髙橋 拓宏 | 取締役建設事業部部長 | 丹野水産を経て1991年入社。木構造特殊建築室室長などを経て2021年より現職。 |
社外取締役は、髙橋猛(七十七リサーチ&コンサルティング代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「住宅資材事業」、「建設事業」、「賃貸事業」を展開しています。
■(1) 住宅資材事業
木材、建材、住宅設備機器、合板などの卸・小売販売を行うほか、木材のコンピュータカット(プレカット)加工、製材、人工乾燥加工などを行っています。主力製品には宮城県産人工乾燥杉製材品「宮城の伊達な杉」があります。
収益は、工務店やビルダー等の顧客に対する資材の販売代金や加工賃等が柱です。運営は主に同社が行っていますが、2024年度より子会社化したビィ・エル・シーも内装建材販売事業を担っています。
■(2) 建設事業
大型木造建築や木造注文住宅の設計・施工・監理、分譲住宅の販売、不動産の売買・仲介などを行っています。製造エネルギーが低い国産杉無垢材を使用した居住空間の提案を特徴としています。
収益は、施主からの工事請負代金や、分譲住宅および不動産の販売代金、仲介手数料等から構成されています。運営は同社が行っています。
■(3) 賃貸事業
宮城県内において、マンションや貸家、商業施設などの不動産賃貸事業を展開しています。
収益は、保有する不動産のテナントや入居者からの賃貸料収入です。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期(2025年3月期)より連結財務諸表を作成しているため、過去との単純比較はできません。当期は、資材価格高騰による製造原価率の上昇や住宅需要の減少に加え、固定資産の減損損失(約11億円)を計上したことなどにより、大幅な最終赤字となりました。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 41億円 |
| 経常利益 | -3.6億円 |
| 利益率(%) | -8.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -14億円 |
■(2) 損益計算書
当期より連結決算へ移行しているため、比較対象となる前期の連結数値はありません。当期の売上高は41億円でしたが、売上原価率の上昇等により営業損失を計上しています。また、特別損失として多額の減損損失を計上した結果、当期純損失が拡大しました。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 41億円 |
| 売上総利益 | 4億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.3% |
| 営業利益 | -4億円 |
| 営業利益率(%) | -9.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3億円(構成比35%)、支払報酬が0.6億円(同8%)、支払運賃が1億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の住宅資材事業は、資材価格高騰等の影響で営業損失となりました。建設事業も競争激化により利益が圧迫されています。一方、賃貸事業は安定して利益を確保しています。全社費用等の調整額が利益を押し下げています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 住宅資材事業 | 29億円 | -2億円 | -5.2% |
| 建設事業 | 11億円 | -0.0億円 | -0.1% |
| 賃貸事業 | 0.7億円 | 0.4億円 | 60.1% |
| 調整額 | - | -3億円 | - |
| 連結(合計) | 41億円 | -4億円 | -9.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
山大の当連結会計年度末における現金及び現金同等物は増加しました。営業活動では、非資金費用の計上や売上債権・棚卸資産の減少、仕入債務の増加により資金を獲得しました。一方、投資活動では、有形固定資産や子会社株式の取得により資金が減少しました。財務活動では、長期借入による収入が支出を上回り、資金が増加しました。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | 3億円 |
| 投資CF | -2億円 |
| 財務CF | 1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「木材の温もりと笑顔あふれる社会」への貢献を目指し、「木材の温もりは心の温もり」というパーパス(存在意義)を掲げています。山と人をつなぐ木材文化の架け橋となり、自然と暮らしの循環を見守る大樹として、木材の特性を活かした事業を展開することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
「Community with wood(木とともに)200年先の笑顔のために」をスローガンに掲げ、感謝を忘れず木材と向き合う姿勢を重視しています。また、「持続可能な開発目標 SDGs」を宣言し、地産地消の認証木材使用による森林保護や、環境に配慮した事業活動を通じて地球温暖化防止に貢献する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
経営基盤強化のため、収益の向上を最重点目標としています。具体的な経営指標として、以下の数値を掲げ、財務体質の充実と改善を図っています。
* 経常利益率:10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
非住宅建築の木造化推進を市場機会と捉え、大型木造建築物の受注強化や、地産地消のブランド材「宮城の伊達な杉」の販売強化を進めています。また、職人の育成(内製化)による施工体制の確保や、M&Aを通じた販売拠点の拡充にも注力しています。
* 大型木造建築物対応プレカット加工機等の設備投資
* 内装建材販売を行うビィ・エル・シーの子会社化による拠点拡大
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「働きがいのある地域企業」を目指し、年次有給休暇の計画的な取得促進など、働きやすい職場づくりを通じた労働環境の整備を進めています。また、職人不足に対応するための職人の内製化や、資格手当制度を通じた一級・二級建築士等の国家資格取得の促進など、従業員の能力開発に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.7歳 | 11.9年 | 3,830,334円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、国家資格保有者数(25人)、年次有給休暇の取得率(76%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 住宅市場の変動リスク
住宅資材や建築の受注は住宅市場動向に依存しており、少子高齢化の進行、金利上昇、地価変動、税制変更等により住宅需要が減少した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は非住宅の木造化や大型物件の受注強化等により影響軽減を図っていますが、競合激化等により影響を受ける可能性があります。
■(2) 固定資産の減損リスク
同社グループは工場や土地、建物等の固定資産を多く保有しています。収益性が悪化した場合、固定資産の減損に係る会計基準の適用により、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。実際に当連結会計年度において、約11億円の減損損失を計上しています。
■(3) 自然災害による拠点被災リスク
製造原価低減のため、生産工場等を宮城県石巻市に集中させています。そのため、当該地域において地震等の大規模な自然災害が発生し、生産設備等が被害を受けた場合、操業停止や復旧費用の発生等により、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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