コンドーテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コンドーテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のコンドーテックは、産業資材や鉄構資材、電設資材等の製造・販売を行う企業です。第73期の連結業績は、大型物件の需要増やM&A効果により、売上高は792億円と増収を達成しましたが、経常利益は47億円と減益になりました。


※本記事は、コンドーテック株式会社 の有価証券報告書(第73期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コンドーテックってどんな会社?


産業資材や鉄構資材を中心に、製造・仕入・販売を行う建設関連資材の総合企業です。

(1) 会社概要


同社は1953年に株式会社近藤商店として設立され、船舶用金物の製造販売を開始しました。1989年に現社名へ変更し、1995年に大阪証券取引所市場第二部へ上場しました。2011年には東京証券取引所市場第一部銘柄に指定されています。近年では、2024年に上田建設を子会社化するなど、M&Aによる事業拡大を積極的に進めています。

同社グループの従業員数は連結で1,423名、単体で815名です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社と推測される有限会社藤和興産で、第2位は外国法人の投資ファンド、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
有限会社藤和興産 11.78%
BBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUND 5.99%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 5.55%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性3名の計14名で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表取締役社長は濵野 昇氏です。社外取締役比率は35.7%です。

氏名 役職 主な経歴
近藤 勝彦 取締役会長(代表取締役) 1984年同社入社。企画部長等を経て2013年代表取締役社長に就任。2024年6月より現職。
濵野 昇 取締役社長(代表取締役) 1993年同社入社。鉄構営業部長、常務取締役営業本部長等を経て2024年6月より現職。
矢田 裕 之 専務取締役管理本部長兼SDGs推進室長 1985年同社入社。業務部長、西日本営業部長、常務取締役営業本部長等を経て2024年12月より現職。
石野 和浩 常務取締役営業本部長 1990年同社入社。新潟支店長、業務部長、取締役西日本営業部長等を経て2025年6月より現職。
浅川 和 之 取締役東日本営業部長兼東京支店長 1990年同社入社。大阪支店長、東京支店長等を経て2019年6月より現職。
古田 総 一 取締役海外営業部長 1991年同社入社。KONDOTEC INTERNATIONAL (THAILAND) 社長等を経て2023年6月より現職。
石橋 康 司 取締役製造本部長兼九州工場長 1992年同社入社。滋賀工場長、関東工場長、栗山アルミ代表取締役社長等を経て2023年6月より現職。
江尻 友 征 取締役 1988年同社入社。海外営業部長等を経て2020年2月より現職。日本足場ホールディングス代表取締役社長等を兼務。
西田 範 夫 取締役(常勤監査等委員) 1981年同社入社。執行役員監査室長、経理部長、常勤監査役を経て2020年6月より現職。


社外取締役は、金井 美智子(弁護士法人大江橋法律事務所社員)、福井 彌一郎(積水樹脂取締役会長)、安田 加奈(公認会計士・税理士)、德田 琢(德田法律事務所代表弁護士)、山岡 美奈子(元ファンケル取締役専務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「産業資材」「鉄構資材」「電設資材」「足場工事」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。

**(1) 産業資材**
金物小売業を中心に、土木・建築資材、機械装置等の製造および仕入販売を行っています。また、海外子会社を通じた事業展開も含まれます。
収益は、顧客への製品販売による代金が主な源泉です。運営は主にコンドーテック、KONDOTEC INTERNATIONAL(THAILAND)、中央技研、栗山アルミが行っています。

**(2) 鉄構資材**
全国の鉄骨加工業者向けに、建築関連資材の製造および仕入販売を行っています。大型物件から中小物件まで幅広い需要に対応しています。
収益は、鉄骨加工業者等への製品販売代金が源泉となります。運営は主にコンドーテックが行っています。

**(3) 電設資材**
家屋、ビル、施設、工場などの建設に携わる電気工事業者や家電小売店向けに、照明、電線、空調などの電設資材の仕入販売を行っています。
収益は、電気工事業者等への商品販売代金が源泉となります。運営は主に三和電材が行っています。

**(4) 足場工事**
工務店や中堅ゼネコン向けに、足場架払工事および仮設足場機材の仕入販売、レンタルを行っています。
収益は、足場工事の請負代金や機材の販売・レンタル料が源泉となります。運営は日本足場ホールディングス、テックビルド、東海ステップ、フコク、上田建設が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期連続で増加傾向にあり、第73期には792億円に達しています。一方、利益面では第72期まで増加傾向にありましたが、直近の第73期では経常利益および営業利益が若干減少しました。利益率は6%前後で安定的に推移しています。当期純利益は第72期以降、30億円台を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 596億円 661億円 754億円 769億円 792億円
経常利益 35億円 38億円 46億円 49億円 47億円
利益率(%) 5.8% 5.8% 6.0% 6.3% 5.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 23億円 29億円 29億円 29億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し792億円となりましたが、売上総利益率は22.1%と前期からほぼ横ばいで推移しています。営業利益は45億円となり、営業利益率は5.6%へ低下しました。増収を確保したものの、コスト増等の影響により利益率は若干低下する結果となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 769億円 792億円
売上総利益 170億円 175億円
売上総利益率(%) 22.2% 22.1%
営業利益 47億円 45億円
営業利益率(%) 6.1% 5.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が41億円(構成比32%)、荷造運搬費が20億円(同16%)を占めています。売上原価は617億円で、売上高に対する構成比は78%です。

(3) セグメント収益


産業資材と鉄構資材は増収ながらもコスト増により減益となりました。一方、電設資材は大幅な増収増益を達成し、足場工事も増収増益となりました。全体として、増収効果をコスト増が一部相殺する形となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
産業資材 372億円 373億円 27億円 25億円 6.6%
鉄構資材 209億円 211億円 15億円 14億円 6.6%
電設資材 101億円 113億円 3億円 4億円 3.7%
足場工事 87億円 94億円 2億円 2億円 2.6%
連結(合計) 769億円 792億円 47億円 45億円 5.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 42億円 58億円
投資CF -21億円 -17億円
財務CF -11億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「顧客重視」の立場から、顧客のニーズに機敏に応え、なくてはならない企業であり続けることを目指しています。様々な業界に向けて製商品を提供し、社会インフラの充実を通じた豊かな社会づくりに貢献できる「提案型企業」となることを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、「私達は未来を築く人材を育て、創意工夫と開拓の精神をもって企業活動を行うことにより、豊かな社会づくりに貢献します。」という企業理念を掲げています。この理念のもと、人材育成と職場環境の整備を通じて人的資本を強化し、持続的な成長と企業価値の向上を目指す文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は資本効率を示すROE(自己資本利益率)を主要な経営指標とし、持続的成長と企業価値向上につながる投資による収益力向上と資本効率向上に取り組むことで、ROE10%以上を目標としています。

* 売上高:935億円(2028年3月期)
* 経常利益:53億円(2028年3月期)
* EBITDA:74億円(2028年3月期)

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、既存事業の強化(オーガニック成長)、周辺領域の強化、およびM&A戦略を推進しています。既存事業では新規販売先の開拓や新商材の提供を進め、周辺領域では海外市場への展開やデジタル技術の活用に取り組みます。また、M&Aにより成長を加速させ、事業ポートフォリオの最適化と収益性の向上を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、キャリアや性別、国籍にとらわれない多様な人材の確保と育成を重視しています。通年採用や経験者採用に加え、研修等の教育制度を充実させ、社員の自律的なキャリア形成を支援しています。また、多様なバックグラウンドを持つ社員が個性を発揮できるよう、柔軟な働き方や育児・介護支援制度の拡充など、職場環境の整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.1歳 13.3年 599.9万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.9%
男性育児休業取得率 43.4%
男女賃金差異(全労働者) 73.5%
男女賃金差異(正規雇用) 75.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 73.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、経験者採用者管理職比率(55.7%)、女性役職者(管理職未満)比率(16.1%)、外国人管理職人数(1名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料等の市況変動の影響


主要原材料である鋼材、銅、アルミの市況は世界的な需給動向により変動します。市況が大幅に変動した場合、仕入価格への影響を通じて同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、販売価格への転嫁や仕入先の多様化、生産技術によるコストダウンを進めています。

(2) 災害等によるサプライチェーンへの影響


国内4ヶ所の工場や多数の仕入先・外注先が被災、または感染症蔓延等により操業停止や物流寸断が発生した場合、製商品の供給が滞り、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、生産設備の定期点検、全国拠点での在庫保有、複数仕入先の確保等の対策を講じています。

(3) 情報セキュリティリスク


事業上保有する個人情報や機密情報について、システム障害やサイバー攻撃等による漏洩・改ざんが発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償等により業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、情報セキュリティ管理規程の策定、データバックアップ、防御システムの構築等の対策を実施しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。