中山福 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

中山福 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の家庭用品卸売大手。フライパン等の調理用品やサニタリー用品を主力とし、製造事業も展開しています。直近の業績は、売上高が前期比増収となり、利益面でも経常利益および当期純利益が黒字転換を果たしました。物流費高騰等の影響を受けつつも、価格転嫁や経費削減により回復基調にあります。


※本記事は、中山福株式会社 の有価証券報告書(第79期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 中山福ってどんな会社?


家庭用品の専門商社として、調理・台所・収納用品などを全国の小売店へ供給するほか、自社ブランド品の製造販売も手掛けています。

(1) 会社概要


1925年に中山福松商店として創業し、1947年に設立されました。1963年に現在の商号へ変更し、全国各地へ支店網を拡大。2003年に東証一部へ指定され、2013年には通販事業のロイヤル通販(後のENICY)を子会社化しました。2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行し、2024年には子会社のENICYを吸収合併するなど、組織再編を進めています。

連結従業員数は423名、単体では321名です。筆頭株主は取引先等で構成される中山福共栄会で、第2位は主要仕入先である象印マホービン、第3位も同じく仕入先の京セラとなっています。事業会社との安定的な関係がうかがえます。

氏名 持株比率
中山福共栄会 13.77%
象印マホービン 4.68%
京セラ 4.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名、計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は橋本謹也氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
石川 宣博 取締役会長 1977年みずほ銀行入行。2010年同社入社。副社長を経て2012年代表取締役社長に就任。2022年代表取締役会長を経て、2024年6月より現職。
橋本 謹也 代表取締役社長 1988年みずほ銀行入行。2017年同社出向。企画本部長、管理本部長などを歴任し、2022年6月より現職。
北代 憲司 取締役大阪支店長兼広島支店長 1988年同社入社。大阪支店副支店長、営業本部副本部長などを経て、2023年6月より現職。
佐々本 剛広 取締役商品・物流本部長兼商品企画部長 1987年同社入社。営業本部商品企画部長、仕入・物流本部仕入業務部長などを経て、2024年6月より現職。
中川 敬夫 取締役グループ管理本部長兼グループ事業部長兼経営企画部長 1989年みずほ銀行入行。2022年同社入社。管理本部副本部長などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、柴田直子(公認会計士、柴田直子公認会計士事務所代表)、小野由美子(東京家政学院大学現代生活学部教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「家庭用品卸売事業」、「プラスチック日用品製造事業」、「インテリア用品製造・販売事業」および「その他」事業を展開しています。

家庭用品卸売事業

調理用品、台所用品、サニタリー用品、収納用品などを、ホームセンターやスーパーマーケット、通信販売業者などの小売業者へ卸売販売しています。全国の物流拠点を活用し、地域ごとのニーズに対応した商品供給を行っています。
収益は、小売業者等への商品販売代金として受け取ります。運営は主に中山福が行っています。

プラスチック日用品製造事業

収納用品や園芸用品、エクステリア用品などのプラスチック製品を製造・販売しています。自社工場での生産機能を持ち、独自商品の開発に注力しています。
収益は、製品の販売代金となります。運営は子会社のグリーンパルが行っています。

インテリア用品製造・販売事業

インテリア関連用品の企画・開発および販売を行っています。デザイン性の高い照明器具や時計などを扱い、ライフスタイル提案型の事業を展開しています。
収益は、商品の販売代金となります。運営は子会社のインターフォルムが行っています。

その他

上記報告セグメントに含まれない事業として、インターネット通信販売事業などを展開しています。ECサイトを通じた消費者への直接販売や、海外への輸出などが含まれます。
収益は、消費者や海外顧客からの商品販売代金となります。運営は中山福および子会社のLIV PLUSなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移です。売上高は400億円前後で推移しており、当期は前期比で増収となりました。利益面では、前期に経常赤字を計上しましたが、当期は黒字転換を果たし、当期純利益も回復しています。利益率は低水準ながら改善傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 479億円 427億円 399億円 386億円 409億円
経常利益 13億円 9億円 5億円 -1.3億円 5億円
利益率(%) 2.7% 2.2% 1.2% -0.3% 1.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 2億円 3億円 -4.3億円 3億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高の増加に伴い売上総利益が増加しました。販売費及び一般管理費は微増にとどまりましたが、物流費や人件費の高止まりが見られます。結果として、営業損益は前期の赤字から黒字へと転換しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 386億円 409億円
売上総利益 72億円 78億円
売上総利益率(%) 18.6% 19.1%
営業利益 -5億円 2億円
営業利益率(%) -1.2% 0.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が27億円(構成比35%)、運賃荷造費が17億円(同22%)を占めています。物流コストと人件費が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


家庭用品卸売事業は増収となり、セグメント利益も大幅に改善しました。インテリア用品事業も堅調に推移しましたが、プラスチック日用品製造事業は減収減益となりました。全社費用等の調整額が大きく、連結利益を圧迫しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
家庭用品卸売事業 346億円 373億円 3億円 11億円 2.9%
プラスチック日用品製造事業 20億円 18億円 3億円 1億円 5.6%
インテリア用品製造・販売事業 14億円 14億円 4億円 4億円 29.0%
その他 6億円 5億円 -0.9億円 0.1億円 2.3%
調整額 -3億円 -4億円 -13億円 -15億円 -
連結(合計) 386億円 409億円 -5億円 2億円 0.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

中山福のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少があったものの、仕入債務の減少などが影響し、前年同期と比較して大きく減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却収入があったものの、有形固定資産や投資有価証券の取得による支出が主な要因となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加が長期借入金の返済や配当金の支払いを上回り、資金獲得となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 13.5億円 0.4億円
投資CF 0.6億円 0.2億円
財務CF -7.3億円 7.5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「社会と共存し、社業を通じて、株主の皆さま、仕入先、得意先、社員その他の関係者の方々の『幸』の実現と、社会の発展に貢献する。」を経営理念としています。生活市場への商品提供を通じて取引先の利益に貢献し、得られた利益を還元・再投資することで社業を拡大し、社会発展に寄与することを基本方針としています。

(2) 経営文化


同社は「役職員行動規範」に基づき、法令遵守や社会規範の尊重を重視する文化を持っています。環境への配慮やサステナビリティへの取り組みも推進しており、事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指す姿勢を明確にしています。また、従業員の成長を促すための研修や通信教育制度を導入し、能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2025年3月期を初年度とする中期経営計画「NFG2026」を策定しています。初年度は売上高目標を達成したものの、経常利益は未達となりました。これらを踏まえ、2年目の目標を修正しています。

- 2026年3月期 売上高:400億円
- 2026年3月期 経常利益:7億8000万円

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画に基づき、「卸売事業の拡充」「ものづくり事業の強化」「EC事業の拡大」「物流機能の強化」の4つを経営戦略として掲げています。卸売事業では商品政策の見直しによる収益性向上、ものづくり事業ではグループ商品戦略の推進、EC事業ではグループ一体運営による効率化、物流ではシステム導入による高度化・低コスト化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最も重要な経営資源と捉え、多様な人材の確保と育成に注力しています。女性・外国人・中途採用者の管理職登用や、中核人材における多様性確保のための環境整備を進めています。また、ワークライフバランスの推進や健康管理、メンタルヘルス支援などを通じて、「働きやすい」「働き甲斐のある」職場環境の構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.3歳 14.3年 5,247,680円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.4%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 42.6%
男女賃金差異(正規雇用) 68.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 72.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料価格の高騰および調達リスク

主要取扱商品の原材料であるアルミ、ステンレス、プラスチック(ナフサ)などの価格高騰や、円安による仕入価格の上昇が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、仕入先の業績悪化や廃業等により商品供給に支障が生じるリスクもあります。

(2) 物流コストの上昇および労働力不足

物流費が高止まりする中、労働力不足や労働環境の変化により物流コストがさらに増加する可能性があります。同社は物流機能の強化を進めていますが、コスト増が想定を上回った場合、利益を圧迫する要因となります。

(3) 消費市場の変動と競争激化

物価上昇に伴う消費者の節約志向や生活防衛意識の高まりにより、国内消費市場は厳しい状況が予想されます。また、同業他社との販売競争が激化しており、価格競争やシェア争いにより収益性が低下するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。