※本記事は、ハリマ共和物産株式会社の有価証券報告書(第59期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハリマ共和物産ってどんな会社?
石鹸や洗剤、日用雑貨品の卸売と受託物流サービスを展開する流通企業です。
■(1) 会社概要
ハリマ共和物産は1951年に本多商事として設立され、1969年に現在の商号へと変更しました。1995年に大阪証券取引所市場第二部へ株式を上場しています。1998年の高槻物流センター開設以降、全国各地に物流拠点を拡充し、近年も中部小牧や埼玉加須などに新たなセンターを開設して物流網を強化しています。
同社グループの従業員数は連結で190名、単体で173名体制です。筆頭株主は創業家関連の資産管理会社とみられる津田物産で、第2位には主要な取引先であり商品の販売や物流業務の受託を行う西松屋チェーンが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 津田物産 | 41.74% |
| 西松屋チェーン | 10.98% |
| ハリマ持株会 | 3.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は土屋匡輝が務めています。社外取締役は3名で構成されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 津田信也 | 代表取締役会長 | 1979年大塚製薬入社。1982年同社入社。管理部門などを経て2016年代表取締役社長に就任し、2025年より現職。 |
| 土屋匡輝 | 代表取締役社長 | 2004年住友信託銀行入社。2012年同社入社。物流管理や経営企画室長などの要職を歴任し、2025年より現職。 |
| 藤原稔也 | 常務取締役ホールセール営業本部長 | 1991年同社入社。子会社営業部長やホールセール事業部長などを経て、2024年より現職。 |
| 津田隆雄 | 取締役相談役 | 1973年丸紅入社。1976年同社入社。代表取締役社長や代表取締役会長などを歴任し、2025年より現職。 |
| 柳内成弘 | 取締役経営管理本部長 | 2000年同社入社。マネジメントサポート本部管理グループマネージャーなどを経て、2024年より現職。 |
| 三輪正俊 | 取締役(監査等委員)(常勤) | 1983年同社入社。マネジメントサポート本部長、監査本部長などを経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、前原啓二(前原会計事務所開設)、谷林一憲(谷林一憲法律事務所開設)、伊藤進介(元大鵬薬品工業執行役員人事部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「卸売事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 物品販売
同社は、石鹸、洗剤、油脂加工品、化粧品、衛生用品、医薬部外品、日用雑貨品、紙類などの卸売を行っています。メーカー等から商品を仕入れ、大手小売業を中心とする得意先の指定する納品場所へ商品を引き渡すことで流通を支えています。
収益は、小売店等の顧客に商品を販売することで得られる代金から成り、取引先の成長をサポートしています。この事業の運営は主にハリマ共和物産が行うほか、子会社のトイレタリージャパンインクや関連会社のRGCなどが連携して担っています。
■(2) 物流受託
同社は商品調達から小売店頭までを効率的にトータル物流するサードパーティ・ロジスティクスを展開しています。全国に構える自社の物流センターを活用し、入出庫、保管、ラベル貼り、検品、仕分作業、輸送などの役務を提供しています。
収益は、取引先から個々あるいは複合的に受託する物流機能の提供を完了した対価として受け取る手数料などから構成されます。運営は主にハリマ共和物産が担い、商品の配送や倉庫内業務については子会社のブルームやアットスタッフが請け負っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は600億円前後で安定的に推移していますが、直近では一部得意先の取引見直しの影響もあり減収となりました。一方で経常利益は物流センターの運営効率化などにより、直近では21億円と増益を確保しています。当期利益も順調に伸びており、底堅い収益力を維持しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 578億円 | 602億円 | 616億円 | 618億円 | 598億円 |
| 経常利益 | 18億円 | 20億円 | 21億円 | 19億円 | 21億円 |
| 利益率(%) | 3.2% | 3.3% | 3.3% | 3.1% | 3.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 12億円 | 14億円 | 13億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の微減に対し、売上総利益は増加しており、利益率も改善傾向にあります。これは取引内容の見直しや効率化が奏功していると推察されます。営業利益は新規物流センター稼働に伴う初期費用や減価償却費の増加により減少しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 618億円 | 598億円 |
| 売上総利益 | 72億円 | 77億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.7% | 12.9% |
| 営業利益 | 19億円 | 17億円 |
| 営業利益率(%) | 3.1% | 2.8% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃及び荷造費が23億円(構成比38%)、給料が11億円(同19%)を占めています。売上原価の主な内訳としては、当期商品仕入高が445億円(構成比85%)、経費が44億円(同8%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 25億円 | 20億円 |
| 投資CF | -35億円 | -18億円 |
| 財務CF | 19億円 | - |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お得意先の成長と繁栄を通して私達も発展します」という社是を掲げています。また、「物的流通を通して社会に貢献すること」「良識と強い信念を持つ社会人を育成すること」「会社の健全な発展と、社員の幸福の増進を期す」という3つの経営理念に根ざした事業活動を展開し、質の高いサービスで社会から選ばれる卸売業を目指しています。
■(2) 企業文化
同社の企業文化の根底には、100年を超える持続的な発展の基盤となった「忘己利他(自分のことよりも他人の利益をはかる)」の事業精神が流れています。顧客、株主、従業員と三位一体となった信頼関係を構築するとともに、時流を読み、常に新たな発想で流通サービスの構築に挑み続けることができる企業風土の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、収益力を重視する経営方針のもとで、売上高経常利益率を経営指標として採用しています。卸売業と受託物流業の相乗効果を高めることで高水準の売上高経常利益率を維持することを目指すとともに、持続的な成長と事業拡大、株主還元の充実に継続して取り組み、ROE(自己資本利益率)の向上を目標に掲げて経営を進めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、同業他社との差別化を図るため、商品調達から小売店頭までをトータルに効率化するサードパーティ・ロジスティクスの展開を推し進めています。また、商圏と規模の拡大を図る「積極路線」を貫きつつ、社内組織の見直しによるコスト削減を並行して実施し、収益基盤の強化と財務体質の改善による成長を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、「良識と強い信念を持つ社会人を育成すること」を理念とし、時代変化に対応できる人材の確保と育成に取り組んでいます。従業員が自律的に成長できるよう人事制度や評価・報酬体系を継続的に改善し、女性や外国人、キャリア採用者など多様な人材が特性を活かして活躍できる職場環境の整備を積極的に進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.0歳 | 14.0年 | 5,485,152円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競合等の影響
同社グループが属する日用雑貨品の流通業界では、大手小売業による寡占化が進んでおり、取引卸売業者の集約が進む傾向があります。卸売業者間の競争も激しく、これらの要因が業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は既存顧客との関係維持に努め、受託物流等の流通サービスを提供して収益の多様化を図っています。
■(2) 特定小売企業への依存と物流投資負担
主に受託物流を営むロジスティクス部門では、売上先の大半が特定の小売企業に対する納入業者に偏っており、特定の小売企業の販売動向に依存する割合が高くなっています。また、受託物量の増加に応じた物流センターの開設や設備投資により運営費用が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 外部業務委託先への依存
物流センターを起点とする商品の配送業務では自社便に加えて一部をアウトソーシングしており、倉庫内業務の一部も外部業者へ委託しています。適切な業務委託先や取引条件が確保できない場合、各事業へ影響を及ぼす可能性があります。同社は委託先との良好な関係維持と、多様な委託先の確保に注力しています。
■(4) 債権回収リスク
同社グループは、販売先や仕入先などとの継続取引に伴う債権について、取引先の業績悪化によって債権回収が不能となった場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。これを軽減するため、債権管理の徹底や取引信用保険の加入などを行い、貸倒発生のリスクを抑える取り組みを行っています。



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