ハリマ共和物産 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハリマ共和物産 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。日用雑貨品の卸売業と、小売業の物流業務を一括して請け負う受託物流業を主要事業としています。直近の業績は、売上高が618億円と前期比で微増収(0.4%増)となる一方、経常利益は19億円(6.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億円(8.4%減)の減益となりました。


※本記事は、ハリマ共和物産株式会社 の有価証券報告書(第58期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハリマ共和物産ってどんな会社?


日用雑貨品の卸売と、小売業等の物流業務を一括して請け負う受託物流事業を主軸とする企業です。

(1) 会社概要


1969年に本多商事から商号変更し、津田物産より営業権を譲受して現在の基盤を築きました。1995年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、2013年の市場統合を経て、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。物流拠点の拡充に注力しており、近年も各地に物流センターを開設しています。

連結従業員数は192名、単体では174名体制です。筆頭株主は創業家資産管理会社の津田物産で、第2位は主要取引先である西松屋チェーンです。第3位には従業員持株会が名を連ねており、創業家と取引先、従業員が主要な株主構成となっています。

氏名 持株比率
津田物産 41.74%
西松屋チェーン 10.98%
ハリマ持株会 3.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は土屋匡輝氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
土屋 匡輝 代表取締役社長 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)を経て、2012年同社入社。ロジスティクス本部長、経営企画室長などを歴任し、2025年6月より現職。
津田 信也 代表取締役会長 大塚製薬を経て、1982年同社入社。商品本部長、管理部門管掌、代表取締役社長などを歴任し、2025年6月より現職。
藤原 稔也 常務取締役ホールセール営業本部長 1991年同社入社。執行役員ホールセール事業部長などを経て、2024年6月より現職。
津田 隆雄 取締役相談役 丸紅を経て、1976年同社入社。代表取締役社長、代表取締役会長などを歴任し、2025年6月より現職。
柳内 成弘 取締役経営管理本部長 2000年同社入社。執行役員経営管理本部長などを経て、2024年6月より現職。
三輪 正俊 取締役(監査等委員)(常勤) 1983年同社入社。マネジメントサポート本部長、常務取締役商品企画本部長、監査本部長などを歴任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、前原啓二(前原会計事務所所長)、谷林一憲(谷林一憲法律事務所所長)、伊藤進介(元大鵬薬品工業執行役員人事部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「卸売事業」および「受託物流事業」等を展開しています。

(1) 卸売事業(物品販売)


石鹸、洗剤、化粧品、日用雑貨品などを、ドラッグストアやホームセンター、スーパーマーケット等の小売業者へ販売しています。主要な取扱商品は、油脂加工品、衛生用品、医薬部外品、紙類など多岐にわたります。

この事業では、商品の販売代金が主な収益源となります。運営は主にハリマ共和物産が行うほか、関連会社のトイレタリージャパンインクやRGCなども一部機能を担っています。商品の仕入から販売までを一貫して手掛け、小売店の売り場づくりを支援しています。

(2) 受託物流事業(物流受託)


小売業者やメーカー等の物流業務を一括して請け負う3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業を展開しています。商品の入出庫、保管、仕分け、配送などの物流機能を顧客に提供しています。

この事業では、物流業務の受託に伴う保管料や作業料、配送料などが収益源となります。運営はハリマ共和物産に加え、子会社のブルームが配送業務等を、アットスタッフが倉庫内作業等を担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、600億円台で安定して推移しています。一方、利益面では経常利益が20億円前後で推移していましたが、直近期ではやや減少しました。当期純利益も安定的に確保していますが、直近期は減益となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 545億円 578億円 602億円 616億円 618億円
経常利益 17億円 18億円 20億円 21億円 19億円
利益率 3.2% 3.2% 3.3% 3.3% 3.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 11億円 12億円 14億円 13億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高は微増し、売上総利益も増加しました。一方で、営業利益率は3%台前半で推移しており、薄利多売のビジネスモデルであることがうかがえます。コストコントロールにより利益率の維持を図っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 616億円 618億円
売上総利益 71億円 72億円
売上総利益率 11.6% 11.7%
営業利益 18億円 19億円
営業利益率 3.0% 3.1%


販売費及び一般管理費のうち、運賃及び荷造費が15億円(構成比28%)、給料及び手当が14億円(同25%)を占めています。物流コストと人件費が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


(core_data.segments が空のため、このセクションは省略します)

(4) キャッシュ・フローと財務指標


積極型(営業+、投資-、財務+)
営業活動で得た資金に加え、外部調達も活用して積極的な投資を行っている状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1億円 25億円
投資CF -15億円 -35億円
財務CF -1億円 19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.3%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「お得意先の成長と繁栄を通して私達も発展します」という社是を掲げています。また、「物的流通を通して社会に貢献すること」「良識と強い信念を持つ社会人を育成すること」「会社の健全な発展と、社員の幸福の増進を期す」という三つの経営理念に基づき、商流・物流両面で質の高いサービスを提供する卸売業を目指しています。

(2) 企業文化


「忘己利他(自分のことよりも他人の利益をはかる)」という事業精神を根底に持っています。顧客、株主、従業員の三位一体となった信頼関係の構築を重視しており、時流を読み新たな発想で流通サービスの構築に挑むことができる人材の育成や、法令順守などの高い倫理観に基づいた企業活動を推進する風土があります。

(3) 経営計画・目標


経営上の目標達成状況を判断する指標として、収益力を重視する観点から「売上高経常利益率」を採用しています。卸売業と受託物流業の相乗効果を高めることで、高水準の売上高経常利益率を維持することを目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


同業他社との差別化を図るため、商品調達から小売店頭までを一貫して効率化するサードパーティ・ロジスティクス(3PL)の展開を推進しています。また、積極的な商圏拡大と規模の拡大を図りつつ、コスト削減や社内組織の見直しを行い、収益の安定化と財務体質の改善に努める方針です。

* 卸売業:提案力の向上、インターネット販売事業のサポート体制構築、物流センターの稼働率向上。
* 受託物流業:物量拡大への対応、効率化された物流機器の導入による生産性向上。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


時流を読み、常に新たな発想で流通サービスの構築に挑み続けることができる人材の確保と育成に取り組んでいます。多様な人材の採用・起用を進めるとともに、従業員一人ひとりが自律的に成長できるよう、人事制度や育成施策の改善、人材への積極的な投資を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.4歳 14.3年 5,351,210円


※平均年間給与は税込支払給与額であり、基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合等の影響


日用雑貨品の流通業界では大手小売業による寡占化や取引卸売業者の集約が進んでおり、卸売業者間の競争も激化しています。これらの環境変化により、同社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

(2) ロジスティクス部門の顧客依存


受託物流を行うロジスティクス部門では、売上の大半が特定の小売企業に対する納入業者に偏っています。そのため、特定の小売企業の販売動向が同部門の業績に大きく影響する構造となっています。

(3) 業務委託先への依存


配送業務の一部や倉庫内業務の一部を外部業者へ委託しています。適切な業務委託先や取引条件が確保できない場合、事業運営に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。