※本記事は、株式会社大水 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
大水グループは、卸売市場法に基づく水産物卸売業を主要業務としています。子会社とともに水産物の販売や冷蔵倉庫業を展開し、水産物の流通を支えています。
単体従業員数は325名、連結従業員数は438名です。セグメントは水産物販売事業、冷蔵倉庫等事業の2つです。
主な国内グループ会社は、京都興産(水産物販売事業)、大阪東部冷蔵(冷蔵倉庫等事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
大水は、水産物販売事業を中心に日本の食文化を支える企業です。従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。多様な人材が活躍できるよう、様々な取り組みを通じて働きやすい職場づくりを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は従業員の長期的な定着を重視しており、平均勤続年数からその傾向がうかがえます。年齢構成も比較的安定していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,688,810円 |
| 平均勤続年数 | 20.1年 |
| 平均年齢 | 46.4歳 |
| 単体従業員数 | 325人 |
| 連結従業員数 | 438人 |
| 単体のグループ内比率 | 74.2% |
退職給付制度
大水は、従業員の退職給付として確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。この制度は国内の従業員に適用されます。
退職一時金制度があり、2024年4月1日より最終給与比例方式からポイント制へ改定されています。なお、退職給付債務は16.8億円、年金資産は6.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、経営戦略と人材戦略を連動させ、持続的な成長と企業価値向上には人材の成長と組織力強化が不可欠であると考えています。国内外の産地や顧客ニーズを的確に把握し、水産物の価値を提案できる専門性と提案力を備えた人材の育成に注力しています。
人事賃金制度については、従業員一人ひとりの役割、能力、成果を適切に評価し、処遇へ反映する制度を運用しています。月例給与は資格等級ごとの基準給与を基礎とし、人事評価の結果や経験の蓄積を反映しています。昇給は人事評価と経験を考慮した定期昇給を実施し、会社業績や市場環境を勘案したベースアップも行っています。賞与は会社業績との連動を基本とし、部門業績と個人評価を反映して支給額を決定しています。
具体的な人材戦略として、中長期的な人員構成シミュレーションに基づいた新卒・キャリア採用、年間教育研修計画に基づく階層別研修、計画的な人事ローテーション制度を推進しています。多様な人材の活用にも力を入れており、定年後の再雇用制度、外国籍人材の登用、女性役職者のキャリアアップ支援などに取り組んでいます。また、安全衛生の徹底、ハラスメント防止研修、定期健康診断の個別フォロー、外部福利厚生サービスの導入、エンゲージメント調査の実施を通じて、従業員が能力を十分に発揮できる職場環境の整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。パート・有期労働者のうち、嘱託社員は女性労働者がいないため集計から除外されています。労働者の男女の賃金の額の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しており、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 16.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 56.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 76.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 63.9% |
人的資本に関する指標と目標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性役職者比率 | 9.6% |
| 年次有給休暇取得日数(従業員一人平均) | 8.4日 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
大水グループは、水産物の卸売を主要業務とし、水産物販売事業と冷蔵倉庫等事業の二つのセグメントを通じて事業を展開しています。水産物の安定供給と流通を支える役割を担っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
大水グループは、水産物卸売業を中核とし、子会社や関連会社が水産物等の販売や冷蔵倉庫業を担っています。京阪神の中央卸売市場を拠点に、水産品の集荷販売を行っています。主に水産物の販売による収益と、冷蔵倉庫の保管料収入から収益を得ています。水産物の市場価格や漁獲量、輸入状況、消費者の需要動向が収益に影響を与えます。
水産物販売事業
大水グループの主要な事業であり、水産物の集荷・販売を行っています。市場営業部門では鮮魚や養殖魚、塩蔵・冷凍水産物などを取り扱い、市場外営業部門では海外向け冷凍魚の販売や国内メーカー向けスリミの販売を展開しています。収益は、生鮮水産物や加工水産物の販売から得ています。運営は、大水グループの当社および子会社4社が行っています。
冷蔵倉庫等事業
水産物販売事業の物流を支える役割を担い、冷蔵倉庫の運営を行っています。収益は、主に保管料収入から得ています。運営は、子会社である大阪東部冷蔵が行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 水産物販売事業 | 991億円 | 1,055億円 |
| 冷蔵倉庫等事業 | 2.2億円 | 2.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
大水グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。経常利益も増益傾向で推移していますが、親会社株主に帰属する当期純利益は変動が見られます。
直近の連結会計年度では、売上高は前期から増加し、営業利益および経常利益も増益となりました。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となっています。これは税効果会計における法人税等調整額の計上が影響しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 888億円 | 985億円 | 985億円 | 993億円 | 1,058億円 |
| 経常利益 | △1.2億円 | 6.0億円 | 10.0億円 | 8.2億円 | 10.5億円 |
| 経常利益率 | △0.1% | 0.6% | 1.0% | 0.8% | 1.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △18百万円 | 7.0億円 | 10.1億円 | 11.9億円 | 7.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △1.38 | 52.46 | 75.00 | 87.92 | 53.71 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
大水グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。これは、同社グループ全体の売上高が伸びたことと、従業員数の増加が緩やかであったことによるものです。
また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、同社グループの生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標は、同社グループが効率的な事業運営を進めていることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 228.8百万円 | 241.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.6百万円 | 2.1百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
大水グループの財務状況は、事業活動と投資活動において資金の支出が続いている状況です。これは、将来に向けた投資を積極的に行っていることを示唆しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
大水グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均を上回る水準で推移しています。純資産は増加傾向にあり、財務の安定性を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金である現金及び預金は減少しており、今後の資金繰りの動向に注目が集まります。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性を判断する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 115億円 | 128億円 |
| 自己資本比率 | 46.1% | 45.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.1% | 6.0% |
| 現金及び預金 | 30.0億円 | 25.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
大水グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期に引き続きマイナスとなっています。これは主に、商品確保のための前渡金や売上債権、棚卸資産の増加が要因です。投資活動によるキャッシュフローも有形固定資産の取得によりマイナスが継続しており、事業拡大に向けた投資が行われていることを示しています。その結果、フリーキャッシュフローはマイナスで推移しています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の増加により大幅なプラスに転じており、事業活動や投資活動で不足する資金を外部からの借入れで賄っている状況です。このような資金の流れは、事業の成長を支えるための資金調達が活発に行われていることを示しており、入社後の成長性や給与の安定性を判断する上で重要な情報となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △10.6億円 | △10.6億円 |
| 投資CF | △3.0億円 | △3.4億円 |
| 財務CF | 0.1億円 | 9.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △13.6億円 | △14.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業構造・収益性に関するリスクとして、水産物の市況変動が挙げられます。天候や自然災害、資源保護などにより、水産物の入荷量や価格が日々変動する可能性があります。また、物流業界におけるトラックドライバーの労働時間規制強化や人手不足もリスクとして認識されています。これにより、輸送手段の確保や物流コストの上昇が事業に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、新規人材の確保と業務ノウハウの継承に関するリスクを認識しています。社員構成において中高年者の割合が高く、中長期的な業務ノウハウ継承のためには若年層の拡充と早期育成が不可欠です。人口減少に伴う若年層の採用難が、基幹的な業務ノウハウの空洞化につながる可能性を示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
株式会社大水は、水産物を中心に食料品の販売や冷蔵倉庫事業を展開する企業です。自然の恵みに感謝し、日本の食文化を守りながら、新たな食の創造に挑戦することを企業理念としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「企業理念」と「経営理念」を掲げ、水産物流通の担い手として人々の健康と幸福に貢献することを目指しています。企業理念では、水産資源の持続的利用と地球環境の保全、日本の食文化の伝統、そして食を通じた人々の健康と幸福への貢献を重視しています。
経営理念では、社員一人ひとりが質の向上と変革を推進し、働きがいを持てる企業を創ることを目指しています。また、顧客や仕入先、株主など関係者からの期待に応え、社会的信頼を高めることを重視しており、関西を基盤に世界を視野に入れた活動を展開しています。同社グループは、2030年に「活き活きと水産物の価値をお客様に提供し続ける企業」となることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業として中長期的な持続可能性を高めるため、収益追求と継続的な成長を目指すとともに、リスク管理や社会価値の向上にも取り組んでいます。社員全員が働きがいを持てる企業を創ることを経営理念の一つとしており、継続的な人材確保と人材力の向上、多様な人材の活用、従業員のエンゲージメントと心身の健康を不可欠と考えています。
具体的には、年齢、人種、性別などに関わらず能力重視の人材活用を推進しています。高齢者の活躍推進や外国籍人材の登用、女性活躍の推進に力を入れています。また、安全衛生の徹底、ハラスメントの防止、健康経営の推進、ワークライフバランス及びエンゲージメントの向上を通じて、従業員が能力を十分に発揮できる職場環境の実現を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
「前を向き、スピードをもって構造改革を進める」という基本方針のもと、同社グループは将来を見据えた事業基盤の強化に取り組んでいます。
生産性向上に向けては、業務の集中と選択、適材適所の人員配置、複数担当制や多能工化を推進し、効率的で柔軟な組織体制の構築を図っています。
また、IT活用や業務のデジタル化も重要な経営課題と認識しており、業務効率化や情報活用力向上に向けた環境整備を進めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
大水は監査役会設置会社であり、社外役員を起用して経営監視機能を強化しています。執行役員制度を導入し、意思決定の迅速化と業務執行体制の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、水産関連の事業会社が上位に名を連ねています。筆頭株主はニッスイであり、極洋や農林中央金庫も主要株主として名を連ねています。これらの企業が同社グループの経営を支える主要な存在であることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ニッスイ | 31.59% |
| 極洋 | 8.66% |
| 農林中央金庫 | 5.09% |
| 大水従業員持株会 | 3.52% |
| ニチモウ | 3.30% |
なお、ニッスイ、極洋及び農林中央金庫が2026年5月から6月にかけて提出した大量保有報告書の変更報告書に基づき同社が把握している各社の保有株式数は、それぞれ3,303千株、905千株及び534千株であります。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は山橋英一郎氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山橋 英一郎 | 取締役社長 (代表取締役) | 1980年4月 日本水産株式会社(現株式会社ニッスイ)入社。2009年6月 同社執行役員業務用食品部長。2016年6月 同社取締役常務執行役員。2019年6月 同社代表取締役社長執行役員。2025年4月 同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 湯上 信元 | 取締役 営業部門統括 兼海外販売部長 | 1983年4月 日本水産株式会社(現株式会社ニッスイ)入社。2009年6月 同社執行役員営業本部長補佐。2013年6月 同社取締役執行役員営業本部長。2026年6月 同社取締役専務執行役員営業部門統括兼海外販売部長より現職。 |
| 金岡 正倍 | 取締役 市場営業担当 兼大阪本場支社長 | 1988年2月 神戸海産物株式会社入社。2018年6月 同社執行役員大阪本場支社鮮魚3部長。2024年6月 同社取締役上席執行役員神戸支社長兼神戸東部支社長。2026年6月 同社取締役常務執行役員市場営業担当兼大阪本場支社長より現職。 |
| 三谷 拓己 | 取締役 経営企画室 ・物流企画部担当 | 1985年4月 日本水産株式会社(現株式会社ニッスイ)入社。2020年6月 同社社外取締役。2020年6月 日本水産株式会社(現株式会社ニッスイ)執行役員大阪支社長。2025年6月 同社取締役上席執行役員経営企画室担当。2026年6月 同社取締役常務執行役員経営企画室・物流企画部担当より現職。 |
| 西山 康成 | 取締役 管理部門統括 | 1994年4月 同社入社。2023年6月 同社執行役員管理本部副本部長。2024年6月 同社取締役執行役員管理本部長。2026年4月 同社取締役執行役員管理部門統括より現職。 |
社外取締役は、松葉知幸氏(弁護士)、谷内満氏(ニッスイ執行役員関西支社長)です。
同社は監査役会設置会社を採用しています。社外取締役2名と社外監査役3名が選任されており、外部からの経営監視機能を強化する体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能するよう設計されています。社外取締役を除く取締役の報酬は、金銭による固定報酬としての基本報酬、業績に連動する賞与、そして譲渡制限付株式による報酬で構成されています。社外取締役については、その職責に鑑み基本報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 1.9億円 | 31.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 28百万円 | 4.7百万円 |
上記報酬等には、使用人兼務取締役5名に使用人分給与、賞与(業績連動報酬)等として支給した88百万円を含んでおります。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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