キムラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

キムラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

キムラは東証スタンダード市場に上場し、住宅用資材の卸売事業と、北海道内でホームセンターを展開する小売事業を柱とする企業グループです。2025年3月期は、新設住宅着工戸数の減少や物価高騰等の厳しい環境下にありましたが、売上高は増収、当期純利益は増益を達成しました。


※本記事は、株式会社キムラ の有価証券報告書(第75期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. キムラってどんな会社?


キムラは、北海道を地盤に住宅用資材の卸売事業と、大型ホームセンター「ジョイフルエーケー」の運営を行う企業です。

(1) 会社概要


1951年に株式会社木村金物店として設立され、1972年に現在の商号へ変更しました。1995年に株式を店頭登録し、2004年にはジャスダックへ上場を果たしました。2001年にはホームセンター事業を担う子会社ジョイフルエーケーを設立し、事業を拡大。2016年には足場レンタル事業を分社化するなど、グループ経営体制を強化しています。

同グループの連結従業員数は751名、単体では154名です。筆頭株主は創業家の資産管理会社であるカネキで、第2位は取引先持株会、第3位は地方銀行の北海道銀行となっており、安定的な株主構成です。

氏名 持株比率
カネキ 35.52%
キムラ取引先持株会 9.08%
北海道銀行 4.95%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は木村勇介氏です。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
木村勇介 代表取締役社長 1994年入社。2001年取締役副社長を経て2002年より現職。ジョイフルエーケーおよびキムラリース社長を兼務。
木村勇太朗 常務取締役営業統括本部長兼道央営業部長 2017年入社。伊藤忠建材への出向を経て、2023年常務執行役員営業本部長。2025年4月より現職。
野村真也 取締役管理部長兼経営企画室長 1986年北海道銀行入行。2023年同社へ出向し管理部人事担当部長。2025年4月より現職。
小池猛夫 取締役 1987年入社。2002年ジョイフルエーケー入社、同社専務取締役を経て2022年より同社取締役副社長営業本部長。


社外取締役は、朝日田雄人(有限会社朝日田コーポレーション代表取締役)、小林美穂子(大通公園メンタルクリニック臨床心理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「卸売事業」「小売事業」「不動産事業」「足場レンタル事業」「サッシ・ガラス施工事業」を展開しています。

(1) 卸売事業


住宅金物、住宅資材、住宅機器、エクステリア、機械工具、仮設資材、ビル用サッシなどの販売を行っています。主な顧客は建材販売店、工務店、建築関連業者などです。

収益は、これらの商品を顧客へ販売することによる代金です。運営は主にキムラが行っています。

(2) 小売事業


DIY用品、家庭用品、ペット用品、レジャー用品、建築資材、園芸用品、インテリアなどを取り扱うホームセンターや専門店を運営しています。一般消費者を主な顧客としています。

収益は、店舗における商品販売による代金です。運営は主に子会社のジョイフルエーケーが行っています。

(3) 不動産事業


不動産の賃貸および販売を行っています。自社保有物件の有効活用などが中心となります。

収益は、不動産の賃貸料および販売代金です。運営はキムラおよびジョイフルエーケーが行っています。

(4) 足場レンタル事業


主に建設現場で使用される建築足場のレンタルを行っています。

収益は、足場資材のレンタル料です。運営は子会社のキムラリースが行っています。

(5) サッシ・ガラス施工事業


サッシ、ガラス、建具などの施工および販売を行っています。

収益は、施工請負および製品販売による代金です。運営は子会社の東洋ガラス工業が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は340億円から360億円前後で推移しており、安定した基盤を持っています。利益面では、経常利益が20億円前後を維持しており、利益率も5〜6%台で安定しています。当期は売上高、利益ともに前期を上回りました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 341億円 343億円 351億円 340億円 362億円
経常利益 22億円 22億円 24億円 20億円 21億円
利益率(%) 6.4% 6.5% 6.7% 5.8% 5.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 6億円 6億円 5億円 7億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約30%の水準を維持しています。営業利益率も5%台を確保しており、堅実な収益構造となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 340億円 362億円
売上総利益 100億円 109億円
売上総利益率(%) 29.6% 30.0%
営業利益 18億円 19億円
営業利益率(%) 5.3% 5.4%


販売費及び一般管理費のうち、その他が38億円(構成比43%)、従業員給料及び賞与が37億円(同42%)を占めています。売上原価は商品の仕入が中心となります。

(3) セグメント収益


当期は主力の小売事業が増収となり、全体を牽引しました。卸売事業は微増収ながら減益となりましたが、不動産事業が大幅な増収増益となり利益貢献しました。足場レンタル事業は増収ながら赤字転落、サッシ・ガラス施工事業は増収増益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
卸売事業 101億円 102億円 8億円 7億円 7.2%
小売事業 216億円 223億円 10億円 10億円 4.3%
不動産事業 4億円 15億円 3億円 7億円 42.7%
足場レンタル事業 6億円 8億円 0億円 -0億円 -2.7%
サッシ・ガラス施工事業 13億円 14億円 1億円 2億円 11.0%
連結(合計) 340億円 362億円 18億円 19億円 5.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFで得た資金に加え、財務CFでの調達を行い、投資活動に大きく資金を振り向けている「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。特に当期は有形固定資産の取得等により投資CFのマイナス幅が拡大しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 20億円 14億円
投資CF -11億円 -39億円
財務CF -4億円 24億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは、「社会への貢献」、「企業の永続」、「社員の幸せ」の三つを企業理念として掲げています。お客様、仕入先様、同社の三者が共に生成発展する「三位一体経営」の実践を社業の基本としています。

(2) 企業文化


「人と環境に優しい住まい方の創造と提案で社会貢献します」を企業コンセプトとし、堅実な経営による安定した財務体質の維持に注力しています。グループ会社間においては、各社の機能を十分に発揮してグループ総合力の強化を図り、経営の効率化を進める方針を持っています。

(3) 経営計画・目標


同グループは、企業価値の向上のために収益性を重視するとともに、財務基盤の安定に注力しています。自己資本の充実を図りながら、以下の指標を重要な目標として掲げています。

* 売上高経常利益率
* ROE(自己資本利益率)

(4) 成長戦略と重点施策


卸売事業では北海道での提案型営業強化に加え、本州での換気関連商品の販売拡大を推進します。小売事業では顧客満足度の向上、適正価格販売、新部門開発、テナント誘致等を進めます。また、関連会社との連携によるシナジー効果の創出や、リアル店舗の強みを活かしたファンづくりに取り組む方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「自律型社員の育成」を基本方針とし、従業員の多様性を尊重し、能力を発揮できる環境整備を進めています。ワークライフマネジメントの観点から時差出勤制度やビジネスカジュアルを導入し、多様な人材が活躍できる組織づくりを行っています。また、中途採用の強化による専門性の確保や、公正な評価によるエンゲージメント向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.0歳 14.3年 4,892,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 3.6%
男性労働者の育児休業取得率 0.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 62.6%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 61.9%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期) 99.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業種的リスクと住宅市場への依存


同グループの卸売事業は建築資材の販売を主たる事業としており、その大半が住宅関連資材です。そのため、人口減少や国内経済の停滞などにより新設住宅着工戸数が減少し、住宅関連資材の需要が低迷した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 営業基盤の北海道への集中


同グループの事業は北海道地域を中心に展開しており、連結売上高の約9割が道内での売上です。そのため、北海道固有の経済環境や建設需要の動向、人口減少などの影響を強く受ける可能性があります。地域外への展開も進めていますが、当面は高い依存度が継続すると想定されます。

(3) 取引先に対する信用リスク


主要な取引先は国内の建材販売店、工務店、建築関連業者です。外部環境の変化や取引先の経営悪化により貸倒れが発生した場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。与信管理や取引先信用保険の活用によりリスク低減に努めています。

(4) 災害等のリスク


地震や火災等の災害により事業拠点や店舗、情報システム設備が損害を受けた場合、業務の停滞や商品の損害が発生する可能性があります。また、インフラやサプライチェーンの被害により商品の確保が困難になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。