アドヴァン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アドヴァン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証スタンダード上場の建材総合メーカーです。タイル・石材等の輸入販売を主力とし、ファブレスメーカーとして機能性・デザイン性に優れた商品を提供しています。直近の業績は、円安による仕入コスト増等の影響で減収減益となりましたが、売上高経常利益率は47.3%と極めて高い水準を維持しています。


※本記事は、株式会社アドヴァングループ の有価証券報告書(第52期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アドヴァングループってどんな会社?


欧州を中心とした海外一流建材の輸入販売を行う専門商社兼メーカーです。ショールーム展開と直接販売が特徴です。

(1) 会社概要


1975年に輸入セラミックタイルの販売を目的に設立されました。1978年には原宿ショールームを開設し、2000年に東京証券取引所市場第一部へ上場しました。その後、2021年に現在の社名へ変更し、2022年には東証スタンダード市場へ移行しています。2024年には子会社の株式会社アドヴァンテックを吸収合併し、ユニットバス事業を強化しています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は239名、単体従業員数は144名です。筆頭株主は不動産管理業を営む株式会社不二総業で、第2位は創業家資産管理会社と思われる山形兄弟株式会社、第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)となっています。

氏名 持株比率
不二総業 47.17%
山形兄弟 7.09%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.85%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は末次廣明氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
末次 廣 明 代表取締役社長 1985年入社。取締役副社長営業統括を経て、2019年6月より現職。
山 形 朋 道 代表取締役副社長 1995年入社。取締役物流担当、専務取締役を経て、2024年6月より現職。
山 形 雅之助 取締役会長 1993年入社。代表取締役社長を経て、2024年6月より現職。
山 形 さとみ 専務取締役総務本部長兼企画本部長 2003年入社。常務取締役総務本部長を経て、2022年7月より現職。


社外取締役は、野浦高義(元ケイミュー社長)、勝部和男(元花王経営監査室部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建材関連事業」、「不動産賃貸事業」、「その他」事業を展開しています。

(1) 建材関連事業


店舗・商業施設や住宅・マンション等に使用されるタイル・石材、水廻り商品、システムキッチンなどを世界のトップメーカーと共同開発・輸入し、国内で販売・施工しています。東京、大阪など全国5ヶ所にショールームを展開し、商品を直接体感できる環境を整備しています。

施主、工務店、工事会社などへの商品販売代金や、同社商品を使用した工事請負代金が主な収益源です。また、ホームセンター向けのガーデニング関連商品(HRB事業)の卸売も行っています。運営は主に同社が行い、商品加工の一部はアドヴァンロジスティクス株式会社、商品仕入の一部は株式会社ヤマコーが担当しています。

(2) 不動産賃貸事業


同社グループが保有する不動産の有効活用を目的とした事業です。

グループ会社や外部テナントからの賃料収入が収益源です。運営はアドヴァン管理サービス株式会社が行っており、同社本社ビル、物流センター及び社宅などを同社及びアドヴァンロジスティクス株式会社へ賃貸しています。

(3) その他


物流管理業務を行う事業です。

同社商品の入出庫業務などに伴う物流管理料が収益源です。運営はアドヴァンロジスティクス株式会社が行っており、同社商品の物流を一手に担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2023年3月期にかけて売上高は増加傾向にありましたが、直近2期は200億円前後で推移した後、当期は減少しました。経常利益は2024年3月期に為替予約評価益の影響等で急増しましたが、当期はその影響が縮小し減益となりました。それでも利益率は非常に高い水準を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 171億円 176億円 204億円 203億円 185億円
経常利益 42億円 58億円 52億円 162億円 88億円
利益率(%) 24.3% 32.7% 25.3% 79.8% 47.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 20億円 28億円 21億円 90億円 55億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高、売上総利益ともに減少しました。営業利益率は低下したものの17.0%と高い収益性を確保しています。売上原価率の上昇や販管費の負担増が利益を圧迫する要因となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 203億円 185億円
売上総利益 82億円 74億円
売上総利益率(%) 40.2% 39.7%
営業利益 39億円 32億円
営業利益率(%) 19.4% 17.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が9億円(構成比20%)、減価償却費が8億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の建材関連事業は、資源高や円安によるコスト増や工期遅れの影響で減収減益となりました。不動産賃貸事業とその他事業は、内部取引が中心ですが、賃料改定や取扱量の増加により増収増益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
建材関連事業 202億円 184億円 43億円 32億円 17.6%
不動産賃貸事業 1億円 1億円 12億円 13億円 -
その他 - - 4億円 4億円 -
調整額 - - -20億円 -18億円 -
連結(合計) 203億円 185億円 39億円 32億円 17.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 50億円 19億円
投資CF -56億円 12億円
財務CF -5億円 -16億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「昨日より今日、今日より明日」をモットーに、日々成長していくことを掲げています。総合メーカーとして、商品のデザイン性・機能性・コストに徹底してこだわり、顧客に満足される商品を提供することで社会に貢献することを目指しています。社名の由来であるADVANCE(前進)の通り、常に次のステップへ進むことを重視しています。

(2) 企業文化


固定概念や過去の成功体験にとらわれず、常に新しいチャレンジを行い、社内に逆境を生み出して成長することを「アドヴァンらしさ」としています。また、建材マーケットにおいて代理店を通さず直接販売にこだわる「自前主義」を貫き、顧客の声を直接商品開発や在庫管理に活かす姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


具体的な数値目標としての経営計画は記載されていませんが、為替評価損益による経常利益の変動が大きいため、「営業利益(率)」を重視する指標としています。また、経営効率の指標としてROE(自己資本利益率)の向上にも努めています。

* 過去5期平均営業利益率:21.0%
* 過去5期平均ROE:11.6%

(4) 成長戦略と重点施策


高付加価値商品の開発や、ショールーム・物流施設への継続的な設備投資により競争力を強化する方針です。特に、ユニットバスやシステムキッチンなどの住宅設備分野に注力し、総合メーカーとしての発展を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の多様化と育成を中長期的な企業価値向上につなげる方針です。女性・外国人・中途採用者を積極的に採用し、国籍や性別にとらわれない能力・成果に応じた採用を行っています。また、若手技術者の育成や、職人を正社員として雇用し育成することにも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.27歳 12.49年 6,080,101円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.2%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況と建築需要の変動


同社グループは建材や住宅関連商品を販売しており、国内の経済状況や建築需要の動向に業績が左右される可能性があります。市場の変化に対応するため、在庫回転率の向上や新商品の開発、販売先の分散に努めています。

(2) 海外からの商品仕入と地政学リスク


欧州・アジアを中心に海外メーカーからの仕入が大部分を占めるため、仕入国の政治・経済情勢や感染症拡大等により物流が寸断された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。仕入先の分散や国内物流センターでの在庫確保によりリスク軽減を図っています。

(3) 為替相場の変動


海外からの仕入決済が主に外貨建てであるため、為替変動が業績に影響を与える可能性があります。為替予約によりリスク軽減を図っていますが、期末の時価評価(為替予約評価損益)が経常利益や純利益に大きく影響する場合があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。