※本記事は、SPKの有価証券報告書(第155期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. SPKってどんな会社?
自動車部品と産業機械車輌部品の国内販売や輸出入を展開する専門商社です。
■(1) 会社概要
1917年に伊藤忠商事の関係会社として設立された大阪自動車を前身とし、米国車の輸入から事業を開始しました。1992年に現在のSPKへ社名を変更し、2000年には東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしています。近年では2020年に米国統括会社を設立したほか、2024年にブリッツを完全子会社化するなど、グローバル展開と新規領域の開拓を進めています。
同社グループは連結で646名、単体で331名の従業員を擁しています。大株主の構成をみると、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行であり、第2位および第3位には投資事業有限責任組合が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.49% |
| UH Partners 2 投資事業有限責任組合 | 7.43% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長グループCEO・CIOは沖恭一郎氏が務めています。社外取締役の比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 沖 恭一郎 | 代表取締役社長グループCEO・CIO | 1982年に伊藤忠商事へ入社。2002年に同社へ入社し、国内営業本部営業戦略室長や海外営業本部長などを経て、2018年より現職。 |
| 木村 彰良 | 取締役副社長執行役員・COO営業部門グループ統括 | 1985年にニチメン(現双日)へ入社。豊田通商などを経て、2017年に同社へ入社。海外営業本部長などを歴任し、2026年より現職。 |
| 上田 耕司 | 取締役常務執行役員・CLO事業会社担当 | 1986年に同社へ入社。国内営業本部名古屋営業所長や国内営業副本部長などを歴任し、2026年より現職。 |
| 小河 昌史 | 取締役常務執行役員・CFOコーポレート統括本部長 | 1991年に三菱商事へ入社。TVS Automobile Solutions取締役などを経て、2024年に同社へ入社し、2026年より現職。 |
| 清水 敏夫 | 取締役(常勤監査等委員) | 1977年に同社へ入社。内部監査室マネジャーや海外営業本部業務部部長、常勤監査役などを歴任し、2020年より現職。 |
社外取締役は、西島康二(元りそな銀行取締役兼代表執行役副社長)、赤崎雄作(弁護士)、藤原友江(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内営業本部」「海外営業本部」「工機営業本部」「CUSPA営業本部」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 国内営業本部
国産車・輸入車を対象に補修部品・用品を全国の自動車部品商等へ供給しています。メーカーを問わず幅広い部品を取り揃えており、全国19箇所の営業拠点を通じて迅速に対応しています。
全国の自動車部品卸商やカー用品ショップ等からの部品販売代金を収益源としています。運営は主に同社および北光社などの国内連結子会社が行っています。
■(2) 海外営業本部
世界の日系自動車市場に向けて自動車補修部品を輸出しています。創業以来培ってきた自動車整備のノウハウを活かし、世界80ヶ国余の顧客へ高品質な製品とサービスを提供しています。
現地の輸入商等からの補修部品の販売代金を収益源としています。運営は同社のほか、シンガポールや米国、タイなどの海外現地法人が担っています。
■(3) 工機営業本部
建設機械や農業車輌、フォークリフト等の産業車輌を生産する大手メーカー向けに、生産材や組付部品を供給しています。サプライヤー企業と協力した新製品の提案や開発も推進しています。
建産農機メーカー等からの部品・部材の販売代金を収益源としています。運営は同社およびデルオートなどが担っています。
■(4) CUSPA営業本部
カスタマイズドパーツやモータースポーツ関連商品を中心に、自動車メーカーや自動車用品卸商等へ幅広く製品を供給しています。オリジナルブランド事業やe-Sports事業なども展開しています。
カー用品量販店や専門店等からの製品販売代金を収益源としています。運営は同社のほか、ブリッツやカービューティープロなどの子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は右肩上がりで成長を続けており、直近5年間で約1.6倍に拡大しています。経常利益も増益基調を維持しており、利益率はおおむね5%台で安定的に推移しています。国内外の堅調な需要が業績拡大を牽引しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 477億円 | 547億円 | 633億円 | 687億円 | 752億円 |
| 経常利益 | 23億円 | 29億円 | 34億円 | 36億円 | 39億円 |
| 利益率(%) | 4.8% | 5.3% | 5.3% | 5.2% | 5.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 13億円 | 15億円 | 23億円 | 23億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率および営業利益率は前年度と同水準を維持しており、コスト増加の環境下でも安定した収益構造を確保していることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 687億円 | 752億円 |
| 売上総利益 | 129億円 | 144億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.7% | 19.2% |
| 営業利益 | 33億円 | 36億円 |
| 営業利益率(%) | 4.8% | 4.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が36億円(構成比33%)、荷造運搬費が12億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の国内営業本部および海外営業本部は、堅調な補修部品需要を背景に増収を達成しました。また、CUSPA営業本部はグループ会社化の寄与等により大幅な増収となっています。一方で工機営業本部は微減収となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 国内営業本部 | 307億円 | 321億円 |
| 海外営業本部 | 253億円 | 280億円 |
| 工機営業本部 | 80億円 | 80億円 |
| CUSPA営業本部 | 47億円 | 72億円 |
| 連結(合計) | 687億円 | 752億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | 26億円 |
| 投資CF | -29億円 | -8億円 |
| 財務CF | 25億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.6%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も61.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「誠実(Sincerity)に生き、情熱(Passion)を持って仕事をし、親切(Kindness)な対応ができる企業人の集団」を経営理念に掲げています。社名の由来ともなっているこの理念のもと、すべてのステークホルダーの期待と信頼に応え、社会的責任を果たすことを目指しています。
■(2) 企業文化
近江商人の精神である「三方よし、始末して気張る、進取の気性」を経営方針の根幹に据えています。自由闊達で風通しが良く、世の中の流れに合わせて機敏かつ柔軟に変化できる商人マインドを重視しており、多様性を受容し新たなものを積極的に取り入れる組織文化の醸成を図っています。
■(3) 経営計画・目標
2030年までにモビリティビジネスのグローバル商社を目指す長期ビジョン「VISION2030」を掲げています。持続可能な収益力の維持と伸長を図るため、以下のような目標数値を設定しています。
* 売上高:1,000億円
* 営業利益:50億円
* 自己資本利益率(ROE):10%の水準を維持・向上
■(4) 成長戦略と重点施策
自動車業界のEV化やCASEといった大変化に対応するため、「中核部品事業強化」と「新規モビリティ事業強化」の両輪で事業成長を推進しています。国内では新規商材の開発や物流改革による生産性向上を図り、海外では現地の調達・供給網を活用した商権の拡大に取り組みます。また、人的資本・ESG経営にも重点的に投資を行っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「モビリティビジネスでのグローバル商社」の実現に向けて、多様な専門人材やグローバル人材の採用強化に取り組んでいます。人材育成の体系化や研修システムの導入を通じたスキル向上を図るとともに、働きがいのある職場環境を整備し、従業員のエンゲージメントと生産性を高める好循環の創出を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.2歳 | 12.5年 | 7,192,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.5% |
| 男性育児休業取得率 | 60.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 74.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 52.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(27.5%)、有給休暇取得日数(10.2日)、離職率(7.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) グローバル市場の政治・経済動向と為替変動
同社グループは世界80ヶ国以上に事業展開しており、特にアジアや中南米などの開発途上国の政治・経済情勢の変化や為替変動の影響を強く受けます。地政学的リスクの高まりやサプライチェーンへの影響により不測の事態が発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 自動車業界の環境変化とコスト増
環境規制や電動化の進展に伴う市場環境の激変に加え、物流費や原材料費の高騰、円安による輸入価格の上昇などのコスト増が生じています。国内の自動車保有台数の減少や電動化による補修部品の需要減少が将来的なリスクとなるため、物流改革や新規商材の開発等で対応を進めています。
■(3) 産業車輌メーカーの減産による影響
建機・農機事業において、建設車輌やフォークリフト等の産業車輌を生産する大手メーカー向けに組付用の部品・部材を供給しています。これらのメーカーの生産状況が減産に転じたり、北米や欧州市場での需要が低迷したりした際には、同社の部品販売や業績に直接的な悪影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。