SPK 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SPK 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場し、自動車部品や産業機械車輌部品の販売・輸出入を主要事業としています。直近の業績は、海外市場での旺盛な需要やM&A効果により、売上高は前期比8.6%増、経常利益は同6.3%増となり、増収増益を達成しました。


※本記事は、SPK株式会社 の有価証券報告書(第154期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SPKってどんな会社?


自動車部品・用品の専門商社として、国内卸売や世界80ヶ国以上への輸出、産業車輌部品の供給などを展開しています。

(1) 会社概要


1917年に大阪自動車として設立され、伊藤忠商事の関係会社としてスタートしました。1992年に現社名へ変更し、2003年には東京証券取引所市場第一部に指定されました。その後も海外現地法人の設立を進め、2024年には自動車カスタムパーツの製造・販売を行うブリッツを完全子会社化するなど、事業拡大を続けています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は638名、単体では324名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は通信サービスや電力事業などを手掛ける事業会社、第3位は投資会社となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.72%
光通信 7.50%
UH Partners 2 7.44%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名、計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は沖 恭一郎氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
沖 恭一郎 取締役社長(代表取締役) 1982年伊藤忠商事入社。2002年同社入社。国内営業本部副本部長、海外営業本部長、常務取締役などを経て2018年4月より現職。
木村 彰良 取締役副社長営業部門グループ会社統括 1985年ニチメン(現双日)入社。豊田通商を経て2017年同社入社。海外営業本部長、専務取締役などを経て2025年6月より現職。
上田 耕司 取締役事業会社担当 1986年同社入社。大阪外車部品センター長、国内営業本部名古屋営業所長、国内営業副本部長などを経て2022年6月より現職。
小河 昌史 取締役コーポレート統括本部長 1991年三菱商事入社。2024年同社入社、常務執行役員社長付経営企画担当を経て2025年6月より現職。
清水 敏夫 取締役(常勤監査等委員) 1977年同社入社。内部監査室マネジャー、海外営業本部業務部部長、常勤監査役を経て2020年6月より現職。


社外取締役は、西島 康二(元ダイア建設代表取締役社長)、赤崎 雄作(弁護士法人中央総合法律事務所社員弁護士パートナー)、藤原 友江(高山友江公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内営業本部」、「海外営業本部」、「工機営業本部」、「CUSPA営業本部」事業を展開しています。

国内営業本部


国内の自動車部品・用品メーカーが生産する部品や欧米からの輸入部品を取り扱っています。全国19拠点の事業所を通じ、地域の部品卸商やカー用品ショップ等へ販売しており、部品供給のインフラとしての役割を担っています。

収益は、主に自動車部品商やカー用品店等の顧客からの商品販売代金です。運営は主に同社が行っていますが、フォークリフト用補修部品等は丸安商会、ケミカル用品製造は谷川油化興業、輸入車部品等は北光社などの子会社も担っています。

海外営業本部


主に国内自動車部品メーカーが生産した部品を、現地の輸入商を通じて世界80ヶ国余りへ販売しています。また、海外現地法人による三国間貿易も拡大しており、グローバルな補修部品供給網を構築しています。

収益は、海外の輸入商や現地顧客からの商品販売代金です。運営は同社および、シンガポール、マレーシア、タイ、米国などの海外現地法人が連携して行っています。

工機営業本部


建機、農機、フォークリフト等の産業車輌メーカーに対し、組立用部品(純正部品)を販売しています。国内外の部品メーカーから調達した電装部品や機構部品などを、メーカーの生産ラインへ供給しています。

収益は、産業車輌メーカー等からの部品販売代金です。運営は主に同社が行っていますが、米国やタイの現地法人も一部事業を担っています。

CUSPA営業本部


カスタマイズパーツやモータースポーツ関連商品を中心に企画・販売を行っています。また、カーメーカーとのタイアップ事業やe-Sports事業など、趣味性の高い分野での事業展開を行っています。

収益は、自動車用品量販店、カーディーラー、専門店等からの商品販売代金です。運営は同社に加え、カーディテイリング事業を行うカービューティープロや、2024年に子会社化したブリッツなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期連続で増加しており、堅調な成長トレンドを描いています。経常利益についても増加傾向にあり、利益率は5%前後で安定的に推移しています。当期は海外市場の好調や円安効果、M&Aの影響などにより、売上高・利益ともに過去最高水準を更新しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 419億円 477億円 547億円 633億円 687億円
経常利益 20億円 23億円 29億円 34億円 36億円
利益率(%) 4.9% 4.8% 5.3% 5.3% 5.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 11億円 13億円 15億円 23億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しました。売上総利益率は前期の18.4%から18.7%へと改善しています。販管費も増加していますが、増収効果により営業利益率は4.8%と、前期(5.0%)から微減にとどまり、安定した収益性を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 633億円 687億円
売上総利益 117億円 129億円
売上総利益率(%) 18.4% 18.7%
営業利益 31億円 33億円
営業利益率(%) 5.0% 4.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が32億円(構成比34%)、荷造運搬費が12億円(同12%)を占めています。売上原価は558億円で、売上高に対する構成比は81%となっています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収となりました。特にCUSPA営業本部はブリッツの子会社化等により大幅な増収となりました。海外営業本部も円安や旺盛な需要を背景に伸長しました。一方、利益面では国内、海外、CUSPAが増益となったものの、工機営業本部は主要顧客の減産影響等により減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
国内営業本部 298億円 309億円 14億円 15億円 4.9%
海外営業本部 223億円 253億円 10億円 11億円 4.4%
工機営業本部 77億円 78億円 7億円 6億円 7.2%
CUSPA営業本部 35億円 47億円 2億円 1億円 2.1%
連結(合計) 633億円 687億円 34億円 36億円 5.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金に加え、借入等による資金調達を行い、将来の成長に向けた投資(M&Aや設備投資など)を積極的に実施している「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 18億円 12億円
投資CF -18億円 -29億円
財務CF 2億円 25億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は61.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「誠実(Sincerity)に生き、情熱(Passion)を持って仕事をし、親切(Kindness)な対応ができる企業人の集団」を経営理念として掲げています。この理念に基づき、ステークホルダーへの感謝を忘れず、持続的な成長を目指しています。

(2) 企業文化


創業以来、近江商人の精神である「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」、「始末して気張る」、「進取の気性」を経営方針として受け継いでいます。これらの価値観は、現代のサステナビリティ経営にも通じるものであり、同社の持続的な価値創造の根幹となっています。

(3) 経営計画・目標


2030年に向けたビジョン「VISION2030」を掲げ、「モビリティビジネスのグローバル商社」を目指しています。中期経営計画「UPGRADE SPK!」のもと、持続可能な収益力の維持・伸長を図り、最重要経営指標として売上高営業利益率を重視しています。また、資本効率向上のためROE(自己資本利益率)も重要指標としています。

* 売上高営業利益率(連結):4.8%(実績)
* ROE(自己資本利益率):10%水準の維持・向上

(4) 成長戦略と重点施策


「経営基盤の強化」を主眼とし、人的資本・ESG経営を推進しています。国内では物流改革やシステム改修による業務効率化、海外ではグローバルネットワークを活かした事業領域の拡大を図っています。また、M&Aによる事業拡大や、EV化・CASE対応商品の開発など、市場環境の変化に柔軟に対応しつつ、成長分野への投資を加速させる方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「モビリティビジネスのグローバル商社」への変革に向け、人的資本を中長期的な競争力の源泉と位置づけています。従業員一人ひとりの個性や能力を最大限に引き出し、働きがいを持って活躍できる環境整備を進めるとともに、次世代リーダーの育成やダイバーシティ推進に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.3歳 12.8年 6,953,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.8%
男性育児休業取得率 20.0%
男女賃金差異(全労働者) 62.5%
男女賃金差異(正規) 71.9%
男女賃金差異(非正規) 56.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人社員比率(2.3%)、離職率(7.1%)、平均残業時間(19.8時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 政治・経済情勢


世界80ヶ国以上に事業展開しており、特にアジアや中南米等の開発途上国での販売比率が高いため、各国の政治・経済情勢の変化や為替変動の影響を受ける可能性があります。国際情勢の不安定化や経済政策の変更が業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) マーケットの環境変化


自動車業界は電動化や自動運転技術の進展など大変革期にあります。国内自動車保有台数の減少や、電動化に伴う補修部品需要の減少が懸念されます。市場環境の激変に対応できない場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 取引先の減産による影響


工機営業本部では、建機・農機・産業車輌メーカー向けに部品を供給しています。主要顧客であるメーカーが減産を行った場合、同社グループの受注減少につながり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) のれんの減損


M&Aにより発生したのれんを計上しています。事業環境の変化等により買収した企業の収益性が低下した場合、のれんの減損損失を計上する必要が生じ、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。