※本記事は、株式会社鳥羽洋行 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
鳥羽洋行グループは、制御機器、FA機器、産業機器などの販売を主な事業内容としています。国内では有力メーカーから商品を仕入れ、大手ユーザーに販売。海外では国内メーカーの商品を海外ユーザーに販売しています。
単体従業員数は224名、連結従業員数は261名です。同社グループは単一の事業セグメントとしています。
主な国内グループ会社は、和泉テック(機械工具器具等の販売)、和泉テクニカル・ラボ(同)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
鳥羽洋行は、製造現場の省力化・自動化を支える技術専門商社として、高度な専門知識と提案力を持つ人材を重視しています。社員の専門性向上と働きやすい環境整備に注力しており、ワークライフバランスを考慮した多様な働き方を推進しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
鳥羽洋行では、平均勤続年数が比較的長く、安定したキャリア形成が期待できる環境がうかがえます。平均年齢も30代後半であり、若手から中堅社員が中心となって活躍している組織構成となっています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,689,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.9年 |
| 平均年齢 | 36.7歳 |
| 単体従業員数 | 224人 |
| 連結従業員数 | 261人 |
| 単体のグループ内比率 | 85.8% |
同社は退職給付制度として確定拠出年金制度を採用しています(会社が拠出した資金を従業員が運用する)。この制度は同社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
鳥羽洋行は、「百年の信頼を未来につなげるため、「信用第一主義」を貫き、産業の発展と地球環境に貢献する企業」という企業理念を掲げ、高度な専門知識と提案力を持つ人材を最も重要な資源と捉えています。特に、自動化・省力化機器分野において顧客課題に対応できる専門性の高い営業人材の確保と育成を重視し、「技術専門商社」としての価値向上を目指しています。
報酬制度については、職務価値と市場水準を基準とした職能等級制度を採用しており、等級に応じた年度評価と評価ポイントに基づく公正な昇給昇格基準を設けています。女性活躍推進の観点からも、性別による処遇格差が生じないよう評価基準の透明性を確保し、市況を勘案した透明性の高い判断基準でベースアップを実施しています。
人材育成では、新卒採用を主軸としつつ、中途採用や女性、外国人を含めた多様な人材確保に取り組んでいます。社員教育テキストに基づくカリキュラム研修や、スキルに応じた職能等級制度を通じて、各人の能力を持続的に活用できる環境を整備しています。
また、社員の自己実現を支援する社内環境整備にも力を入れており、安全で快適な職場環境の提供、自己研鑽や資格取得の推奨、資格手当の支給を行っています。ワークライフバランスの推進として、有給休暇取得推進、残業時間削減、育児休暇後の時短勤務適用などを進め、育児休暇取得率および復職率100%を維持しています。これらの取り組みにより、「健康優良企業 銀の認定」や「えるぼし」認定(2段階目)を取得しており、従業員インセンティブ・プランの導入を通じて社員のエンゲージメント向上も図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 40.0% |
多様性・登用
この指標は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性労働者の平均勤続年数 | 10.1年 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
鳥羽洋行は、制御機器、FA機器、産業機器などの販売を主な事業内容とする企業です。ユーザーの生産現場のニーズに応じた商品を直接販売する形態を採っており、単なる機械工具類の卸売りにとどまらないビジネスモデルを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、機械工具器具等の販売事業を単一のセグメントとしています。主力商品は、生産工程の自動化補助に使用される空気圧機器や各種センサーなどの「制御機器」、生産工程の自動化を担う産業用ロボットや自動組立機などの「FA機器」、そして生産現場に必要な電動ドライバーや無人搬送車などの「産業機器」です。国内では地域別に23営業所を設け、得意先に密着した営業活動を行っています。海外では海外事業グループが中心となり、国内有力メーカーから仕入れた商品を海外ユーザーに販売しています。
同社グループは、時代の最先端を行く新商品の発見・育成・提供に努めており、空気圧機器やFAロボットの販売をいち早く手掛けてきました。営業担当者には国家資格である空気圧装置組立て技能士やFAロボットのメーカーSE資格の取得を推進し、専門知識に基づいた提案を行っています。収益は、これらの機械工具器具等の販売から得ています。当連結会計年度の販売実績を見ると、半導体関連や自動車関連の設備投資の低迷により、国内販売は伸び悩みました。一方で、海外販売では中国経済の減速懸念が続く中、各種デバイス向け電子部品に関連する得意先への産業用ロボットの販売は堅調に推移しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は変動しながら推移しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も同様に変動が見られます。直近の当連結会計年度においては、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前年同期を下回る結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 297億円 | 295億円 | 284億円 | 316億円 | 291億円 |
| 経常利益 | 20.6億円 | 18.0億円 | 16.2億円 | 18.1億円 | 16.1億円 |
| 経常利益率 | 6.9% | 6.1% | 5.7% | 5.7% | 5.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 14.2億円 | 14.3億円 | 10.7億円 | 12.3億円 | 11.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 330.69 | 340.14 | 264.94 | 310.89 | 281.86 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高および営業利益は、前期と比較して減少しています。従業員1人あたり売上高は前期の119.1百万円から当期は111.3百万円となり、従業員1人あたり営業利益も前期の6.4百万円から当期は5.7百万円となりました。これらの指標は、組織全体の効率性や収益創出能力の傾向を示すものとなります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 119.1百万円 | 111.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.4百万円 | 5.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社鳥羽洋行は、安定した財務基盤を築いている状況です。本業で着実に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、健全な資金循環を維持しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が高く、安定した状態を示しています。純資産は増加傾向にあり、手元資金も潤沢に確保されています。このような財務状況は、事業運営における安定性につながり、従業員の雇用や給与の安定性にも良い影響を与える要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 210億円 | 218億円 |
| 自己資本比率 | 68.2% | 74.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.9% | 5.2% |
| 現金及び預金 | 105億円 | 124億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の営業活動で安定的に資金を生み出している状況です。当期は32.3億円の営業キャッシュフローを確保しており、これは税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少が主な増加要因となっています。一方、投資活動によるキャッシュフローは、定期預金の預入による支出が主な要因となり、6.2億円の資金を使用しました。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは26.0億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態を示しています。財務活動では配当金の支払いや自己株式の取得により資金が減少しており、健全な資金循環がうかがえます。このようなキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた基盤を維持していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △7.5億円 | 32.3億円 |
| 投資CF | △5.8億円 | △6.2億円 |
| 財務CF | △9.5億円 | △7.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △13.3億円 | 26.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、得意先がデジタル機器、半導体、自動車・車載部品、医療機器、精密機器等の業界に集中しており、経済情勢の変化による設備投資の激減が財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。また、海外での事業活動において、相手国や当事国における政変、社会的混乱、予期しない政治・経済の制度変更などが起きた場合、事業活動そのものが困難になるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、産業界の技術革新のスピードが速く、取扱商品の高精度化・多品種化が進む中で、専門的な知識を持つ人材の確保と育成が重要な課題であると認識しています。これらの対応が遅れた場合、同業他社との競合において劣後し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
鳥羽洋行は、「信用第一主義」を経営理念に掲げ、日本の産業界の発展に貢献してきた機械工具の専門商社です。変化の激しい時代において、堅実さと進取の精神を両立させながら、持続可能な社会の実現を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「何事にも無理なく、堅実に、しかも進取、独創、能率的に経営し、信用を第一におく」という社是を掲げています。この「信用第一主義」の理念を堅持し、機械工具の専門商社として日本の産業界の発展に貢献してきました。
経営の軸足は国内に置きつつも、経済のグローバル化や市場ニーズの変化に対応する積極的な経営を進めています。中長期的には、産業の製造現場における省力化・自動化の潜在的需要を先取りし、産業用ロボットを中心としたFA機器に注力しています。地球環境に配慮した商品提案も行い、“FAプランナー”としての地位を確立し、優れた提案力で他社との差別化を図りながら、付加価値の高い営業展開を通じて事業の継続的成長を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社是である「信用第一主義」を経営理念の根幹に据え、堅実さと進取の精神を重んじる企業風土があります。中期経営計画で掲げる「目指すべき企業像」、「5つの企業理念(社是)」、そして「企業行動規範」に則り、環境・社会・企業統治に配慮した事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献しています。
企業行動規範では、社員の自己実現を支援する環境づくりとして、「働くもの全員が明朗、勤勉、練達の社員であり、進取・独創、能率的に行動し、効率的な業務を遂行できるような安全で快適な職場環境の整備を行う」と定めています。また、「私たちは常に自己研鑽に励むとともに、資格制度にチャレンジし、職場が自己実現の場となるよう努めます」という方針も掲げられています。同社は人財を重要な資産と認識し、社員のエンゲージメント向上を重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、産業の発展と地球環境に貢献する企業として成長するために、いくつかの優先的な課題を認識しています。技術革新が進む産業界において、新しい販売市場の開拓と同社業容の拡大に取り組んでいます。
また、同業他社と差別化できる環境負荷の低い高付加価値商品の発掘も重点テーマです。人への投資として、既存人材の成長と将来を担う感性豊かな人材の確保を推進しています。さらに、基幹システムの更新等による業務効率及び顧客満足度の向上、激動する社会情勢に対応するためのコーポレート・ガバナンスの強化も重要な課題です。これらの課題をサステナビリティにおける重要課題と位置づけ、解決への取り組みを推進しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
鳥羽洋行は、企業価値の持続的な向上を目指し、経営の迅速な意思決定と業務執行に対する監査機能を重視したガバナンス体制を構築しています。公正で透明性の高い経営と、適時適切な情報開示に取り組む方針です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
鳥羽洋行の株主構成を見ると、筆頭株主は一般社団法人水と柏の会です。その他、鳥羽洋行取引先持株会や鳥羽重良氏、鳥羽洋行社員持株会など、同社グループの関係者や個人が上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 一般社団法人水と柏の会 | 8.78% |
| 鳥羽洋行取引先持株会 | 7.03% |
| 鳥 羽 重 良 | 3.90% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
鳥羽洋行の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は遠藤稔氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 遠 藤 稔 | 代表取締役社長 | 1981年同社入社。東京第二営業所長、第三ブロック営業部長などを経て、2004年取締役就任。常務取締役営業本部長などを歴任し、2023年4月より代表取締役社長に現職。 |
| 千 國 哲 王 | 取締役営業本部長 | 1992年同社入社。特機グループ長、特機システム部長などを経て、2016年取締役就任。2023年4月より取締役営業本部長兼特機システム部長、2026年4月より取締役営業本部長に現職。 |
| 島 津 政 則 | 取締役管理本部長 | 1988年同社入社。八王子営業所長、静岡営業所長などを経て、2018年管理本部管理部長。2020年6月より取締役管理本部長に現職。 |
| 池 田 智 則 | 取締役中部ブロック長兼関西ブロック長 | 1995年同社入社。大阪営業所長、滋賀営業所長などを経て、2016年西日本ブロック長。2022年6月より取締役中部ブロック長兼西日本ブロック長、2026年4月より取締役中部ブロック長兼関西ブロック長に現職。 |
| 村 木 義 和 | 取締役営業企画室長 | 1988年同社入社。東京第二営業所長、東京南営業所長などを経て、2016年営業企画室長。2023年6月より取締役営業企画室長に現職。 |
社外取締役は、小川隆之氏(元株式会社スター・サークル代表取締役社長)、成瀬圭珠子氏(拔弁天法律事務所代表弁護士)、岩田伸氏(元TDCソフト株式会社取締役常務執行役員管理本部長)です。
鳥羽洋行は監査役会設置会社です。社外取締役は、社外での経験に基づき客観的な視点から経営判断に意見を述べ、社外監査役は取締役会への出席や社長との面談を通じて職務執行を監査する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
鳥羽洋行の役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を目的とした報酬体系です。業務執行取締役には固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬、非金銭報酬等が支給され、社外取締役と監査役にはその職務の独立性・客観性を重視し、基本報酬のみが支払われます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 93百万円 | 18.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 9.8百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 14百万円 | 2.1百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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