※本記事は、ムラキ株式会社の有価証券報告書(第68期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ムラキってどんな会社?
サービスステーション向けカーケア関連商品の販売を主力とする企業です。
■(1) 会社概要
1957年に不動産の売買を目的として村木不動産を設立しました。翌1958年に事業内容を自動車部品等の販売に変更し、村木部品へと商号変更しました。その後、1990年に現在のムラキに商号を変更しています。1995年に株式を店頭登録し、2004年にジャスダックに上場、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
従業員数は連結で137名、単体で128名です。筆頭株主は自動車部品等の製造・販売を手掛けるイクヨで、第2位はドリーム・ワークス、第3位は創業家とみられる個人株主です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イクヨ | 17.01% |
| 有限会社ドリーム・ワークス | 12.25% |
| 村木 ミチ | 7.64% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は柳田任俊氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柳田 任俊 | 代表取締役社長 | 1990年2月入社。販売部副部長、商品部長、執行役員商品部長などを経て、2017年6月取締役商品事業部長に就任。2024年6月より現職。 |
| 永井 清美 | 取締役会長 | 1984年4月入社。直売部長などを経て、2007年6月取締役、2008年6月常務取締役に就任。2014年6月代表取締役社長を務め、2024年6月より現職。 |
| 北原 啓詞 | 取締役 | 1993年4月入社。2017年4月販売部長、2019年6月執行役員販売部長を経て、2023年6月取締役に就任。2026年4月より現職。 |
| 加瀬 光二 | 取締役 | 1996年4月入社。2017年4月経理部長、2019年6月執行役員経理部長を経て、2024年6月取締役に就任。2026年4月より現職。 |
社外取締役は、湊信明(湊総合法律事務所開設)です。
2. 事業内容
同社グループは、「カーケア関連商品販売」および「その他」事業を展開しています。
■カーケア関連商品販売
主にサービスステーション(ガソリンスタンド)を対象として、自動車補修部品、自動車ケミカル、サービスステーション備品、販売促進物ギフト、自動車内小物などのカーケア関連商品の販売を行っています。顧客のニーズに合わせた高付加価値な提案により、車両故障の未然防止や環境配慮に貢献しています。
収益源は、サービスステーションなどに対する商品の販売代金です。全国の拠点網を活用した基本営業により、取引アイテム数の拡大を図っています。運営は主に同社および子会社のミツワ商会が行っています。
■その他
カーケア関連商品販売以外の事業領域として、自動車ボディメンテナンス関連の資材・機材の販売や、看板・チラシなどのデジタルサイネージを含めた販売促進物の企画および製作などを行っています。
収益源は、資材・機材の販売代金や販促物の企画・製作に対する対価などです。また、グループ会社の社員教育や金融事業なども手掛けています。運営はテックコーポレーションおよびムラキ協力事業協同組合が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は72億円から78億円規模へと安定した成長を継続しています。利益面については、外部環境の変化による原価高騰などの影響を受け、経常利益は2億円前後で推移しており、直近では減益傾向が見られますが、着実に黒字を維持しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 72億円 | 73億円 | 74億円 | 75億円 | 78億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 2億円 | 2億円 | 2億円 | 2億円 |
| 利益率(%) | 2.2% | 3.0% | 2.9% | 2.2% | 2.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 1億円 | 2億円 | 0.9億円 | 0.7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、高付加価値洗車や環境対策商品の販売が順調に推移し、売上高および売上総利益が増加しました。一方で、人件費などの経費増加により営業利益はやや減少しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 75億円 | 78億円 |
| 売上総利益 | 18億円 | 18億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.5% | 23.3% |
| 営業利益 | 1.4億円 | 1.4億円 |
| 営業利益率(%) | 1.9% | 1.8% |
販売費及び一般管理費のうち、報酬及び給与が8億円(構成比47%)、車両関連費が2億円(同9%)、賃借料が1億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
カーケア関連商品販売セグメントは、物価高等の影響を受けたものの、基本営業の定着や新規顧客の開拓、洗車関連商品の好調な推移により増収を達成しました。その他事業についても堅調な伸びを示しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| カーケア関連商品販売 | 75億円 | 78億円 |
| その他 | 0.1億円 | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 75億円 | 78億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.3億円 | 1.8億円 |
| 投資CF | -0.2億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | -0.5億円 | -0.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人が好き、車が好き」を合言葉に、「ヒューマンカーライフの創造を通じ社会に貢献する」ことを経営理念として掲げています。事業の拡大と収益性の向上を目指し、将来のグループの収益の柱となる事業の創造を積極的に行うことで、企業価値ひいてはステークホルダーの共同の利益向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は持続的成長を見据え、多様性(ダイバーシティ)を重視した「インナーブランディング」を推進しています。企業理念やブランド価値を組織内で共有し、社員一人ひとりのスキルアップと主体的・自律的なキャリア形成を支援する環境づくりに取り組むことで、組織力の向上や他社との差別化を図る文化を育んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は資産効率の向上および株主資本の有効利用を重視し、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、以下の数値を設定して改善に取り組んでいます。
・総資産経常利益率(ROA)
・自己資本利益率(ROE)
■(4) 成長戦略と重点施策
既存の事業モデルであるサービスステーション市場への営業を特化し、基本営業(カスタマイズ提案と定期訪問)によるシェア拡大を図ります。同時に、次世代モビリティ社会(CASEやMaaSなど)に関連した新分野への投資や新規事業開発に取り組み、環境変化に柔軟に対応できる体制を構築して新たな収益の柱を創出します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最優先すべき資本と位置づけ、「既存の商品、従来の販売領域を超えた、新ビジネスに挑戦します」というビジョン実現に向けた投資を行っています。新入社員研修や管理職研修などの階層別研修を充実させ、個々の能力を最大限に発揮できる環境を整備するとともに、女性活躍推進室を設置し多様性の確保にも努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 46.7歳 | 15.1年 | 4,291,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
同社および連結子会社は公表義務対象ではないため、有報には男性育児休業取得率と男女賃金差異の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(10.2%)、エコ商品売上高比率(23.3%)、燃費比率(10.9km/L)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 退職給付に伴うリスク
従業員の退職給付費用および債務は、割引率などの数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されています。そのため、実際の金利水準などの変動によって前提条件との乖離が生じた場合、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 気象状況や災害などによるリスク
同社グループが扱うカーケア関連商品は天候の影響を受けやすく、冷夏や暖冬などの天候不順により消費者の需要変化が生じる場合があります。予測を超えた気象状況の変化や地震などの天災によって営業活動の中断が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) システムに関するリスク
同社グループはコンピュータシステムと通信ネットワークを利用して業務処理を行っています。自然災害やコンピュータウイルス、ハッカーによる不正アクセスなどでシステムダウンや重要データの消失または漏洩が生じた場合、損害賠償や信用力の低下により業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 固定資産の減損に関するリスク
同社グループにおいて、事業等のリスクが顕在化するなどしてブランドや地域市場単位での収支悪化が発生した場合、保有する固定資産について減損損失を計上することになり、業績に影響を与える可能性があります。



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