※本記事は、ムラキ株式会社 の有価証券報告書(第67期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ムラキってどんな会社?
カーケア関連商品の専門商社として、サービスステーション向けに自動車部品や用品、備品などを販売しています。
■(1) 会社概要
1957年に村木不動産として設立後、翌年に村木部品へ商号変更し自動車部品販売を開始しました。1990年にムラキへ商号変更し、2004年に日本証券業協会(後のJASDAQ)へ株式を上場しました。2016年にミツワ商会を完全子会社化し、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。
連結従業員数は134名、単体では127名です。筆頭株主は投資ファンドであるMRK1号投資事業有限責任組合で、第2位は法人株主、第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| MRK1号投資事業有限責任組合 | 17.01% |
| ドリーム・ワークス | 12.25% |
| 村木 ミチ | 7.64% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は柳田任俊氏です。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柳田 任俊 | 代表取締役社長 | 1990年入社。商品部長、販売部長などを歴任し、2017年に取締役商品事業部長に就任。2024年6月より現職。 |
| 永井 清美 | 取締役会長 | 1984年入社。直売部長、常務取締役を経て、2014年に代表取締役社長に就任。2024年6月より現職。 |
| 北原 啓詞 | 取締役 | 1993年入社。北関東副支店長、南関東支店長、商品部次長などを経て、2019年に執行役員販売部長。2023年6月より現職。 |
| 加瀬 光二 | 取締役 | 1996年入社。経理部長を経て、2019年に執行役員経理部長。2024年6月より現職(人事部長)。 |
社外取締役は、湊 信明(湊総合法律事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「カーケア関連商品販売」および「その他」事業を展開しています。
■(1) カーケア関連商品販売
自動車補修部品、自動車ケミカル、サービスステーション(SS)備品、販売促進物ギフト、自動車内小物などをSS業界向けに販売しています。顧客の要望に応じた提案や高付加価値情報の提供を行う独自の営業戦略を展開しています。
収益は、主にSS等の顧客に対する商品販売代金です。運営は同社および子会社のミツワ商会が行っています。
■(2) その他
自動車ボディメンテナンスに関連する資材・機材の販売や、看板・チラシといった販売促進物の企画・製作を行っています。
収益は、資材・機材の販売代金や販促物の製作費です。運営は主に子会社のテックコーポレーションが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高は72億円から75億円の範囲で安定的に推移しており、直近では緩やかな増加傾向にあります。経常利益は2億円前後で推移していましたが、第67期は減益となりました。利益率は2%台から3%弱の水準で推移しており、低マージンながら安定した収益構造が見て取れます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 73億円 | 72億円 | 73億円 | 74億円 | 75億円 |
| 経常利益 | 1.1億円 | 1.6億円 | 2.2億円 | 2.2億円 | 1.7億円 |
| 利益率(%) | 1.5% | 2.2% | 3.0% | 2.9% | 2.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.7億円 | 1.0億円 | 1.3億円 | 2.0億円 | 0.9億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は増加したものの、売上総利益率は横ばいで推移しています。一方、営業利益は前期の1.9億円から1.4億円へと減少し、営業利益率も低下しました。売上増効果よりも販管費の増加影響が大きく、利益を圧迫する結果となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 74億円 | 75億円 |
| 売上総利益 | 18億円 | 18億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.7% | 23.5% |
| 営業利益 | 1.9億円 | 1.4億円 |
| 営業利益率(%) | 2.6% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、報酬及び給与が7.9億円(構成比48%)、その他経費が2.1億円(同13%)を占めています。売上原価は58億円で、売上高に対する構成比は76%です。
■(3) セグメント収益
主力のカーケア関連商品販売事業は、新基本営業の推進により売上が増加しました。その他事業も増収となりました。全体として増収基調ですが、カーケア事業が売上の大半を占める構造に変化はありません。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| カーケア関連商品販売 | 74億円 | 75億円 |
| その他 | 0.1億円 | 0.1億円 |
| 調整額 | -1.6億円 | -1.6億円 |
| 連結(合計) | 74億円 | 75億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を投資と借入返済や配当に充当する「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.2億円 | 1.3億円 |
| 投資CF | -1.3億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | -0.9億円 | -0.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人が好き、車が好き」を合言葉に、「ヒューマンカーライフの創造を通じ社会に貢献する」ことを経営理念として掲げています。この理念のもと、事業拡大と収益性向上を目指し、ステークホルダーとの共同利益の向上を追求しています。
■(2) 企業文化
同社は「インナーブランディング」を通じて組織を強化し、社員が企業理念やブランド価値を共有することで意識と行動の変革を促す文化を重視しています。また、顧客ごとの要望に応じたカスタマイズ提案を行う「基本営業」を徹底し、信頼と信用を築くことを行動の基本としています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、資産効率の向上と株主資本の有効活用を重視し、「総資産経常利益率(ROA)」および「自己資本利益率(ROE)」を重要な経営指標として位置付けています。これらの指標の改善に向けた取り組みを継続的に行っています。
* ROA(総資産経常利益率):4.3%(実績)
* ROE(自己資本利益率):3.4%(実績)
■(4) 成長戦略と重点施策
既存の中核事業であるSS市場に対し、独自の営業戦略「定期訪問PLUS」によるシェア拡大を図りつつ、CASEやMaaSといった新しいモビリティ分野への投資や新規事業開発に取り組んでいます。また、インナーブランディングによる人材育成や、ESG経営の推進を通じて企業価値の向上を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最優先すべき資本の一つと位置付け、継続的な投資による競争優位性の確保を目指しています。新入社員から管理職までの階層別研修やコンプライアンス研修など社内研修を充実させるとともに、社員の処遇改善や人員増強、エンゲージメント向上施策を通じて、個々の能力を最大限に発揮できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.0歳 | 15.0年 | 4,200,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.4% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※提出会社及び連結子会社は公表義務対象ではないため、有報には育児休業取得率および賃金差異の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(9.0%)、エコ商品売上高比率(24.5%)、営業車両の燃費比率(11.1km/L)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定の業界に対する依存度
同社グループの売上高の99%以上がサービスステーション(SS)業界向けです。SS業界は市場縮小が続いており、業界の経営環境の動向が同社グループの業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原油価格の高騰
原油価格が急激に高騰した場合、顧客であるSSへの来店頻度が減少する恐れがあります。また、取扱商品の仕入原価上昇にもつながり、業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 人材の確保及び育成
事業運営は人材に大きく依存しています。人材獲得競争の激化等により、適切な人材の確保や育成が困難となった場合、競争力の低下を招き、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 気象状況や災害などによるリスク
取扱うカーケア関連商品は天候の影響を受けやすく、冷夏や暖冬などの天候不順が需要変動をもたらします。また、地震などの天災により営業活動が中断した場合も業績に影響を与える可能性があります。



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