※本記事は、ムラキ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ムラキは、カーケア関連商品の販売を主軸とする企業グループです。自動車補修部品やケミカル、サービスステーション備品などを提供し、SS業界の顧客を中心に事業を展開しています。
単体従業員数は128名、連結従業員数は137名です。同社グループの報告セグメントはカーケア関連商品販売の1つです。
主な国内グループ会社は、テックコーポレーション、ミツワ商会(カーケア関連商品販売)、ムラキ協力事業協同組合などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ムラキは、社員一人ひとりの成長を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境づくりを目指しています。企業理念である「人が好き、車が好き」を基盤に、社員が主体的に能力を発揮できるような人材育成と社内環境の整備に力を入れていることが特徴です。
社員が安心して長く働けるよう、安定した給与水準と充実した研修制度を通じて、専門性を高めながら貢献できる働き方を追求しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、社員が長く活躍できる環境が整っており、平均勤続年数や平均年齢から、人材の定着傾向がうかがえます。社員がキャリアを築きながら、経験を積んでいける職場であることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,291,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.08年 |
| 平均年齢 | 46.7歳 |
| 単体従業員数 | 128人 |
| 連結従業員数 | 137人 |
| 単体のグループ内比率 | 93.4% |
同社および連結子会社は、確定給付型の退職金制度を設けています(給与や勤続年数に応じて給付額が決まります)。この制度は、同社および連結子会社を対象としています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
退職給付債務は2.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「人が好き、車が好き」「ヒューマンカーライフの創造を通じ社会に貢献する」ことを企業理念とし、経営ビジョン「既存の商品、従来の販売領域を超えた、新ビジネスに挑戦します」の実現には従業員の成長が不可欠であると認識しています。そのため、従業員を大切な「人財」であり「資本」と位置付け、継続的な投資を行うことで持続的な成長と企業価値の向上につなげています。
給与その他の給付の額は、全従業員の職務内容、職位、実績、成果等を勘案し、内規に基づいた報酬案を総務人事部が作成し、取締役を委員とする人事委員会で決定しています。経済状況や労働市場の変化に対応するため定期的に見直しを行い、競争力のある報酬を提供することで優秀な人材の確保と定着を図っています。また、福利厚生の一環として株式給付信託(J-ESOP-RS)を導入し、従業員のインセンティブ向上に寄与しています。
人材育成においては、階層別研修に力を入れており、営業スキル研修、管理職研修、商品研修などを実施しています。具体的には、新入社員に対するマンツーマン研修、新人研修、社員研修、コンプライアンス研修、商品研修等を通じて、個々の社員が能力を最大限に発揮できる制度と環境を整備しています。
多様性の確保にも取り組んでおり、全従業員に占める女性の割合が約19%と男性と差があることから、2024年7月より「女性活躍推進室」を設置しました。女性管理職のもと、育児や介護制度の拡充、柔軟な勤務制度の導入等、職場環境の改善に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の額の差異は、公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2.3% |
指標及び目標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性従業員比率 | 10.2% |
| エコ商品売上高比率 | 23.3% |
| 燃費比率 | 10.9 km/L |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ムラキは、主にカーケア関連商品の販売を通じて収益を上げています。サービスステーション(SS)を主要な顧客とし、自動車の維持管理に必要な多岐にわたる商品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、ムラキと3つの子会社で構成されており、カーケア関連商品販売事業を単一の報告セグメントとしています。この事業は、自動車補修部品、自動車ケミカル、SS備品、販売促進物ギフト、自動車内小物などの販売が中心です。
収益の約99%はSSへのカーケア関連商品販売によるもので、オイルエレメント、ワイパーブレード、バッテリー、洗車関連商品などが主力商品です。また、看板等のデジタルサイネージや設備工具機器、環境対策品であるアドブルーなども売上に貢献しています。SS以外の新規顧客開拓も全国で進めており、販売領域の拡大を図っています。
さらに、同社グループは「業務レンタカーサービス」事業も展開しており、貸出車両の増車により順調に推移しています。海外への売上高は開示されていません。主要な顧客としては、ENEOSトレーディング株式会社やアポロリンク株式会社への販売実績があります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は変動があり、直近の期では減少となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 72.1億円 | 73.3億円 | 74.1億円 | 75.4億円 | 78.3億円 |
| 経常利益 | 1.6億円 | 2.2億円 | 2.2億円 | 1.7億円 | 1.6億円 |
| 経常利益率 | 2.2% | 3.0% | 2.9% | 2.2% | 2.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.0億円 | 1.3億円 | 2.0億円 | 91百万円 | 66百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 72.16 | 88.14 | 139.64 | 64.07 | 46.42 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。これは、従業員一人ひとりの売上貢献度が高まっていることを示しています。
一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から当期にかけて減少しました。これは、売上高の増加に対して販売費及び一般管理費の増加が影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 56.3百万円 | 57.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.1百万円 | 1.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ムラキグループは、本業で安定した資金を生み出し、投資活動に必要な資金を賄うことができています。手元資金も着実に増加しており、盤石な財務基盤を築いている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が高く、手元資金も増加傾向にあります。自己資本比率は非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準を維持しており、安定した経営基盤を示しています。
一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金は増加しており、不況時にも耐えうる資金力を有している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 26.9億円 | 27.6億円 |
| 自己資本比率 | 68.1% | 67.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.4% | 2.4% |
| 現金及び預金 | 14.4億円 | 15.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、営業活動による資金が着実に増加しています。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費、仕入債務の増加などによるものです。投資活動では有形固定資産の取得による支出があるものの、投資有価証券の売却による収入もあり、支出は減少しています。
財務活動では配当金の支払いにより資金が流出していますが、営業活動で得た資金が投資活動の支出を上回るフリーキャッシュフローは増加しています。この状況は、本業で安定的に資金を創出し、将来に向けた投資も行いつつ、資金の余裕も確保できていることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 127百万円 | 176百万円 |
| 投資CF | △23百万円 | △18百万円 |
| 財務CF | △45百万円 | △48百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 103百万円 | 158百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの売上高は99%以上がSS業界に対するものであり、SS業界の市場縮小や経営環境の動向が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原油供給の減少や原油価格の高騰は、取り扱い商品の仕入数量や原価に影響を与え、業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業運営は人材に大きく依存しており、お客様をはじめとする様々なステークホルダーとの共存共栄を実現できる人材の継続的な確保・育成が必要不可欠です。今後、人材獲得競争の激化等により、相応しい人材の確保が困難になる場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ムラキは「人が好き、車が好き」を経営理念に掲げ、「ヒューマンカーライフの創造を通じ社会に貢献する」ことを目指しています。事業の拡大と収益性の向上を図りながら、将来の収益の柱となる新規事業の創出にも積極的に取り組む会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ムラキグループは「人が好き、車が好き」を経営理念とし、「ヒューマンカーライフの創造を通じ社会に貢献する」ことを念じています。同社グループは事業の拡大と収益性の向上を目指し、将来の収益の柱となる事業を積極的に創造することで、企業価値とステークホルダーの共同の利益向上を目指しています。具体的には、サービスステーション(SS)との取引維持・拡大、既存事業にとらわれない分野への投資と新規事業開発、人財の開発と育成、そしてESG経営の推進を基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ムラキグループは「人が好き、車が好き」という経営理念のもと、「ヒューマンカーライフの創造を通じ社会に貢献する」ことを大切にしています。人的資本を最優先すべき資本と位置づけ、継続的な投資を通じて競争優位性を確保することを目指しています。社員には主体的で自律的なキャリア形成を求め、成果だけでなく組織力向上に貢献する人材の育成を支援しています。また、インナーブランディングを通じて組織を強化し、市場変化を的確に捉え、業務の質と効率の向上を目指す企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ムラキグループは、SS業界だけでなくモビリティ社会の動向にも柔軟に対応できる体制の構築を今後の課題としています。人材育成においては、営業セールスのスキルアップや社員の健康、働き方改革を重要な経営課題と捉え、社員がチャレンジできる機会の創出に取り組んでいます。また、コーポレート・ガバナンスの充実と透明性・公平性の高い経営を目指し、経営機構の整備を進めています。ESG経営の推進として、ダイバーシティ、特に女性活躍の推進にも力を入れています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ムラキの経営体制は、取締役会と監査役会が連携し、透明性と公平性の高い経営を目指しています。多様なステークホルダーとの適切な関係を維持し、社会に対する責任を果たすことを重視しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ムラキの株主構成を見ると、事業会社であるイクヨが筆頭株主として名を連ねています。その他、有限会社ドリーム・ワークスや村木ミチ氏といった個人・法人株主が上位に位置しており、特定の株主グループが経営を支える構造となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| イクヨ | 17.01% |
| 有限会社ドリーム・ワークス | 12.25% |
| 村木 ミチ | 7.64% |
| ムラキ社員持株会 | 6.74% |
| ムラキ取引先持株会 | 6.67% |
なお、前事業年度末において主要株主でなかったイクヨは、当事業年度末現在では主要株主となっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は柳田任俊氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柳田 任俊 | 代表取締役社長 | 1990年4月同社入社、2017年6月同社取締役商品事業部長、2024年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 永井 清美 | 取締役会長 | 1984年4月同社入社、2014年6月同社代表取締役社長、2024年6月同社取締役会長より現職。 |
| 北原 啓詞 | 取締役 | 1993年4月同社入社、2023年6月同社取締役販売部長、2026年4月同社取締役営業本部長より現職。 |
| 加瀬 光二 | 取締役 | 1996年4月同社入社、2024年6月同社取締役総務人事部長、2026年4月同社取締役管理本部長 兼 総務人事部長より現職。 |
社外取締役は、湊 信明氏(湊総合法律事務所代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会が経営上の重要な意思決定と取締役の職務執行監督を、監査役会が取締役の職務執行監査を行っています。社外取締役は、弁護士としての専門的な知識・経験に基づき、客観的な視点から経営を監督しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ムラキの役員報酬は、株主総会で定められた報酬総額の限度内で、各役員の職務内容、職位、実績、成果等を勘案して決定されています。代表取締役が報酬案を作成し、社外取締役に諮問した上で取締役会にて決定する仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 82百万円 | 20.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 8百万円 | 3.9百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 10百万円 | 3.4百万円 |
合計9名の役員に対し、総額1.0億円の報酬が支給されています。
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