たけびし 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

たけびし 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

たけびしは東京証券取引所プライム市場に上場するトータルソリューション技術商社です。FA・デバイス事業と社会・情報通信事業を両輪とし、三菱電機やオムロン等の製品販売やソフト開発を手掛けます。直近の業績は売上高1099億円、経常利益45億円と増収増益を達成し、堅調な成長を続けています。


※本記事は、株式会社たけびしの有価証券報告書(第137期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. たけびしってどんな会社?


同社はFA・デバイス事業と社会・情報通信事業を柱とする、トータルソリューション技術商社です。

(1) 会社概要


1926年設立の九笹商業を前身とし、1943年に竹菱電機へ商号変更しました。1944年に三菱電機、1961年にオムロンと特約店契約を締結し基盤を構築。1996年に株式上場を果たし、2006年に現在のたけびしに社名を変更しました。近年は東南アジア等への海外展開やM&Aによる事業拡大を推進しています。

同社グループの従業員数は連結で858名、単体で449名です。筆頭株主は主要仕入先である三菱電機で、第2位のサンセイテクノス、第3位の立花エレテックといずれも事業会社が上位株主となっています。

氏名 持株比率
三菱電機 14.60%
サンセイテクノス 6.86%
立花エレテック 6.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長執行役員社長は岡垣浩志氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
岡垣浩志 代表取締役社長執行役員社長 1983年入社。機電システム本部技術部長、同FAシステム部長などを歴任。2017年執行役員技術本部長。取締役執行役員等を経て、2023年より現職。
小倉勇 取締役会長 1982年入社。名古屋支店長等を経て2012年取締役執行役員に就任。2017年代表取締役社長執行役員社長を経て、2023年より現職。
坂口和彦 取締役上席常務執行役員経営推進室長 1984年入社。経営推進室総務部長などを歴任。2017年取締役執行役員経営推進室長、2020年取締役常務執行役員を経て、2023年より現職。
大井武 取締役常務執行役員経営戦略室長 1990年入社。竹菱香港総経理などを歴任。2021年執行役員機電システム本部長に就任。2022年取締役執行役員経営戦略室長を経て、2023年より現職。
大西康治 取締役(常勤監査等委員) 1986年入社。電子デバイス本部業務部長、社会・情通システム本部業務部長などを歴任。2019年監査室長に就任。2021年より現職。


社外取締役は、池田聡(桜美林大学大学院国際学術研究科准教授)、上村博美(元大和証券ビジネスセンター代表取締役社長)、西門道博(三菱電機関西支社副支社長)、河本茂行(河本総合法律事務所代表弁護士)、山田善紀(税理士法人川嶋総合会計代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、FA・デバイス事業および社会・情報通信事業を展開しています。

(1) FA・デバイス事業


産業機器システムや半導体・デバイスなどの販売とソフト開発を主力とし、各種設備の自動化や電子機器向け部品を提供しています。主に製造業をはじめとする幅広い産業の顧客に向けて、課題解決に向けた提案や技術サポートを実施しています。

顧客への機器販売やシステム連携作業などの据付工事に伴う収益が主な収益源です。運営は同社および竹菱香港、TAKEBISHI(THAILAND)、Le Champ(South East Asia)、梅沢無線電機などの子会社が行っています。

(2) 社会・情報通信事業


社会インフラ分野では冷熱住設機器や電子医療機器などを、情報通信分野では情報システムや携帯電話などを提供しています。医療機関や一般企業、インフラ関連企業などを主な顧客とし、機器の販売から保守サービスまで幅広く対応しています。

機器の販売代金や据付工事費用、携帯電話の卸売および販売に伴う手数料などが主な収益源です。運営は主に同社のほか、TSエンジニアリング、フジテレコムズ、ファーストブレインなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は1000億円前後で推移し、直近では1099億円と過去最高を更新しました。経常利益も30億円台後半から40億円台で安定して推移しており、当期は45億円と増益を達成しました。利益率も4%前後を安定して維持しており、堅調な業績拡大が続いています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 816億円 974億円 1014億円 1010億円 1099億円
経常利益 32億円 40億円 39億円 38億円 45億円
利益率(%) 3.9% 4.1% 3.9% 3.7% 4.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 18億円 23億円 24億円 22億円 25億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増収となり、これに伴い売上総利益や営業利益もそれぞれ増加しています。売上総利益率および営業利益率ともに前期から改善を見せており、収益性の向上が伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1010億円 1099億円
売上総利益 144億円 157億円
売上総利益率(%) 14.2% 14.3%
営業利益 34億円 41億円
営業利益率(%) 3.4% 3.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与が43億円(構成比37%)、賞与引当金繰入額が10億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のFA・デバイス事業は、半導体・デバイス分野での販売好調が寄与し増収となりました。社会・情報通信事業も医療用機器や空調機器、情報通信分野での販売が堅調に推移し、大幅な増収を達成して全体の業績を牽引しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
FA・デバイス事業 738億円 776億円
社会・情報通信事業 272億円 322億円
連結(合計) 1010億円 1099億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 18億円 30億円
投資CF -1億円 -18億円
財務CF -13億円 -12億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人と人、技術と技術を信頼で結び、輝く未来を創造する」を企業理念に掲げています。社会の急激な変化に柔軟に対応しながら、進化する技術と最良の品質を提供する「トータルソリューション技術商社」を目指し、事業を通じた社会への貢献を追求しています。

(2) 企業文化


行動基準として「企業倫理の遵守と社会への貢献」を掲げ、「信頼」「技術」「総合力」の3つを重視しています。顧客との高い信頼関係を築き、役立つ新技術の吸収と革新に努めるとともに、個々の強みを結集してトータルサービスを創造する組織文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


2026年度を最終年度とする4カ年の中期経営計画「T-Link1369」を策定しています。また、2030年度を目標として同社グループ全体でのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めており、資本コストや株価を意識した経営を通じて持続的な企業価値の向上を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


既存の基幹ビジネスの拡大に加え、「グローバル」「メディカル」「オートメーション」「オリジナル」の4つの成長戦略をさらに進化させます。また、既存の枠組みを超えた「モビリティ」「マテリアル」「エネルギーソリューション」「DX推進」等の領域にも注力し、成長市場に適応した新規ビジネスの創造を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人づくり」を重要視し、多様な能力を持つ人材の確保と育成に注力しています。従業員が能力を最大限に発揮できる人事制度や教育研修体系の整備を進めるとともに、健康経営の推進やダイバーシティの推進、コミュニケーションの活性化を図ることで、働きがいのある職場環境の実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.7歳 16.5年 7,909,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 52.9%
男女賃金差異(全労働者) 50.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 51.4%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 57.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性育休取得率(100%)、一人当たり年次有給休暇取得率(67.0%)、自己都合離職率(1.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 外部経営環境に関するリスク


同社グループが事業を展開する日本国内や中国、東南アジアなどにおける経済環境の動向や、関連業界の市場動向、取引先の需要の減少などが生じた場合、同社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 主要仕入先に関するリスク


三菱電機やオムロンなどと販売代理店契約を締結して商品を仕入れています。これら主要な仕入先の事業戦略や販売戦略の変更が行われた場合、同社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 人材確保に関するリスク


競争力を維持するために優秀な人材の確保が必要ですが、労働人口の減少や獲得競争の激化により、採用活動や人事制度の運用が不十分となった場合、中核人材の不足が生じて経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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