※本記事は、株式会社たけびし の有価証券報告書(第136期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. たけびしってどんな会社?
三菱電機系の技術商社として、FA・産業機器や半導体デバイス、社会インフラ機器の販売と技術提供を行います。
■(1) 会社概要
1926年に九笹商業として設立され、三菱電機製品の取り扱いを開始しました。1996年に大阪証券取引所第二部および京都証券取引所に上場し、2006年に現在のたけびしへ商号変更しています。2014年には東京証券取引所第一部へ上場を果たし、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。
2025年3月31日時点の従業員数は、連結で824名、単体で425名です。筆頭株主は主要な仕入先でもある大手電機メーカーで、第2位は産業用電気機器の商社、第3位は同業の技術商社が名を連ねており、事業上の関係が深い企業が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱電機 | 14.62% |
| サンセイテクノス | 6.87% |
| 立花エレテック | 6.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長執行役員社長は岡垣浩志氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡垣 浩志 | 代表取締役社長執行役員社長 | 1983年同社入社。機電システム本部技術部長、取締役執行役員技術本部長、取締役専務執行役員などを経て、2023年6月より現職。 |
| 小倉 勇 | 取締役会長 | 1982年同社入社。経営戦略室長、企画部長などを歴任。2017年に代表取締役社長執行役員社長に就任し、2023年6月より現職。 |
| 坂口 和彦 | 取締役上席常務執行役員経営推進室長 | 1984年同社入社。経営戦略室企画部長、経営推進室総務部長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 大井 武 | 取締役常務執行役員経営戦略室長 | 1990年同社入社。竹菱香港有限公司総経理、機電システム本部長、TAKEBISHI(THAILAND)CO.,LTD.社長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 大西 康治 | 取締役(常勤監査等委員) | 1986年同社入社。電子デバイス本部業務部長、社会・情通システム本部副本部長、監査室長を経て、2021年6月より現職。 |
社外取締役は、池田聡(桜美林大学大学院教授)、上村博美(元大和証券ビジネスセンター代表取締役社長)、西門道博(三菱電機関西支社副支社長)、河本茂行(河本総合法律事務所代表弁護士)、山田善紀(税理士法人川嶋総合会計代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「FA・デバイス事業」および「社会・情報通信事業」を展開しています。
■FA・デバイス事業
三菱電機製のFA機器(シーケンサ、サーボモータ等)や産業機械、半導体、電子デバイスなどを製造業の顧客向けに販売しています。また、自社開発のFA関連ソフトウェアや組込みソフトウェアの提供も行っています。
主な収益は、機器やソフトウェアの販売代金です。運営は同社および、竹菱(上海)電子貿易有限公司、TAKEBISHI(THAILAND)CO.,LTD.などの海外現地法人が行っています。
■社会・情報通信事業
空調・冷熱機器、昇降機、映像・セキュリティ機器などのビル設備や、放射線がん治療装置などの医療機器、さらには携帯電話の販売を手掛けています。携帯電話事業ではドコモショップ等の店舗運営も行っています。
主な収益は、各種設備の販売・施工代金や携帯電話端末の販売、通信キャリアからの手数料収入などです。運営は同社に加え、TSエンジニアリング(空調・設備工事)、フジテレコムズ(携帯電話販売)などが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2021年3月期の636億円から2024年3月期の1,014億円まで拡大しましたが、2025年3月期は1,010億円と横ばいで推移しています。経常利益は30億円台後半から40億円程度で安定しており、利益率は3%後半から4%台を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 636億円 | 816億円 | 974億円 | 1,014億円 | 1,010億円 |
| 経常利益 | 22億円 | 32億円 | 40億円 | 39億円 | 38億円 |
| 利益率(%) | 3.5% | 3.9% | 4.1% | 3.9% | 3.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 13億円 | 18億円 | 23億円 | 25億円 | 27億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績は、売上高・売上総利益ともに概ね横ばいで推移しています。売上総利益率は14%前後で安定していますが、営業利益は若干の減少となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,014億円 | 1,010億円 |
| 売上総利益 | 141億円 | 144億円 |
| 売上総利益率(%) | 13.9% | 14.2% |
| 営業利益 | 37億円 | 34億円 |
| 営業利益率(%) | 3.7% | 3.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与が41億円(構成比37%)、賞与引当金繰入額が8億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
FA・デバイス事業は、装置システム関連が増加したものの、顧客の在庫調整などの影響でFA機器が減少し、減収減益となりました。一方、社会・情報通信事業は、医療機器や携帯電話販売が堅調に推移し、増収増益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| FA・デバイス事業 | 753億円 | 738億円 | 29億円 | 25億円 | 3.4% |
| 社会・情報通信事業 | 261億円 | 272億円 | 8億円 | 9億円 | 3.3% |
| 連結(合計) | 1,014億円 | 1,010億円 | 37億円 | 34億円 | 3.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
たけびしグループは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に代理店契約等に基づく商品販売等により創出されています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資等に充てられる資金の動きを示しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の返済や調達等による資金の動きを示しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 61億円 | 18億円 |
| 投資CF | -1億円 | -1億円 |
| 財務CF | -44億円 | -13億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「人と人、技術と技術を信頼で結び、輝く未来を創造する」を企業理念として掲げています。この理念のもと、進化する技術と最良の品質を提供する「トータルソリューション技術商社」を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「企業倫理の遵守と社会への貢献」を行動基準とし、以下の3つの価値観を重視しています。「信頼」最良のサービス提供による信頼関係の構築、「技術」顧客に役立つ新技術の吸収と革新、「総合力」個々の強みを結集したトータルサービスの創造です。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、中期経営計画『T-Link1369』を策定し、2026年度に向けた具体的な数値目標を掲げています。
* 連結売上高:1,300億円
* NEWビジネス:プラス300億円
* 連結経常利益:60億円
* ROE:9%
■(4) 成長戦略と重点施策
「グローバル」「メディカル」「オートメーション」「オリジナル」の4つの既存成長戦略を進化させるとともに、「モビリティ」「マテリアル」「エネルギーソリューション」「DX推進」等の新たなビジネス領域の拡大に注力し、成長市場に適応した「NEWビジネスの創造」に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
少子高齢化や労働人口減少などの環境変化に対応するため、多様な能力を持つ人材の確保と、従業員が能力を最大限発揮できる人事制度や教育研修体系の整備を進めています。また、健康経営を推進し、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.8歳 | 16.7年 | 7,844,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。なお、管理職に占める女性労働者の割合について、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 52.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 51.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 53.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 50.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、一人当たり年次有給休暇取得率(65.1%)、自己都合離職率(3.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外部経営環境に関するリスク
主要な事業活動を行う日本国内、中国、東南アジア等の経済環境が悪化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、主力事業に関連する業界の市場動向や取引先の需要減少も、経営成績や財政状態に悪影響を与える要因となります。
■(2) 主要仕入先に関するリスク
三菱電機およびそのグループ会社と販売代理店契約等を締結しており、これら主要仕入先の事業戦略や販売戦略の変更が業績に影響する可能性があります。また、携帯電話販売事業においても、通信事業者等の戦略変更の影響を受ける可能性があります。
■(3) 人材確保に関するリスク
競争力維持のために優秀な人材の確保が必要ですが、労働人口減少や獲得競争の激化により、採用や定着が十分に図れない場合、中核人材の不足や従業員エンゲージメントの低下を通じて、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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