※本記事は、株式会社大田花き の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
大田花きグループは、花きの卸売事業を主たる業務とし、それに付帯する業務を展開しています。東京都中央卸売市場大田市場において花き卸売業を営むほか、九州地方や東北地方での花き卸売・問屋業、種苗販売、洋らん卸売業、花き小売業なども手掛けています。
単体従業員数は176名、連結従業員数は186名です。同社グループは花き卸売事業の単一セグメントです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社大田花きは、花き卸売事業を営む企業として、従業員の長期的なキャリア形成と働きがいを重視する環境がうかがえます。給与水準は安定しており、人材育成にも力を入れていることが特徴です。多様な人材が活躍できる職場環境の整備にも取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高いことから、長期的に安定して働ける環境が整っている傾向が見られます。従業員が腰を据えてキャリアを築きやすい職場であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,511,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.5年 |
| 平均年齢 | 43.2歳 |
| 単体従業員数 | 176人 |
| 連結従業員数 | 186人 |
| 単体のグループ内比率 | 94.6% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付制度による退職一時金制度と確定拠出制度による企業年金制度を採用しています。確定給付制度による退職一時金制度では、勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
退職給付債務は5.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「人材は最大の経営資源」と認識し、社員を“人財”と捉え、自律型人材や次代の経営層、多様性を活かす人材の育成を推進しています。社員一人ひとりが能力を発揮しながら成長を続けることが、企業の持続的な発展と社会貢献につながるとの基本理念のもと、幅広い領域で活躍できる人材の育成を通じて組織の柔軟性を高めています。
従業員給与等の決定方針は、各職種に求められる職責、成果、企業業績を総合的に勘案し、公正かつ公平な処遇を実現することを基本としています。公正な評価による定期昇給と業績に応じた賞与により、従業員の中長期的な成長意欲を高める賃金設計を行っています。社会経済状況の変化に対応し、基本給のベースアップも継続的に実施することで、従業員の生活基盤の安定と労働市場における競争力維持を図っています。
また、ダイバーシティ推進を重要な経営戦略の一つと位置づけ、多様な人材が働きがいを持って活躍するための取り組みを進めています。女性活躍推進においては、一般事業主行動計画を策定・開示し、多様な働き方を推進して働きやすい環境を整備するとともに、キャリア形成を支援しています。ソーシャルインクルージョンへの取り組みとして、高齢者・障害者雇用の維持・促進も行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.0% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10% |
| 女性従業員比率 | 26% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
大田花きグループは、花きの卸売事業を主軸としており、それに付帯する業務も展開しています。同社グループは、花きの安定流通を通じて社会に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、花き卸売事業を主たる業務としています。連結子会社2社、持分法適用関連会社3社、非連結子会社1社、その他の関係会社1社で構成されていますが、その他の関係会社を除き、花きの卸売事業に注力しています。同社は花き卸売事業の単一セグメントで事業を展開しています。
収益は、主に受託品と買付品の販売から得ています。特に受託品である切花が収益の大部分を占める構成となっています。同社グループは、各地の生産者や生花店、パートナー市場と連携し、種苗・運送会社の協力を得ながら、消費者が求める商品の安定流通を実現しています。
同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が大部分を占めており、国内市場が事業の中心となっています。また、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める特定の顧客は存在していません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績推移を見ると、売上高は前期から減少傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、前期と比較して減少しています。
当連結会計年度においては、花き業界全体で厳しい取引環境が続きました。主要商材である菊の相場が崩れたことや、物価高騰による消費者の節約志向、ブライダル・葬儀の小規模化などが影響しています。また、国内農業生産の減少傾向に加え、円安と単価安から輸入品の数量も減少しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 39.3億円 | 42.9億円 | 41.4億円 | 38.6億円 | 36.6億円 |
| 経常利益 | 2.5億円 | 4.2億円 | 2.8億円 | 3.3億円 | 1.2億円 |
| 経常利益率 | 6.3% | 9.8% | 6.8% | 8.6% | 3.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.7億円 | 3.1億円 | 1.8億円 | 2.2億円 | 82百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 34.09 | 60.17 | 35.82 | 43.57 | 16.17 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から減少する傾向にあります。
これらの指標は、同社グループの生産性や収益体質を示すものです。従業員1人あたりの売上高と営業利益の減少は、市場環境の変化やコスト構造の影響を受けていることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 20.7百万円 | 19.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.5百万円 | 0.3百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、本業で安定した資金を生み出し、投資活動も適切に行われていることを示しています。これにより、事業活動を支える盤石な財務基盤が形成されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率によって安定した状態を示しています。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。
ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、手元資金として十分な現金及び預金を確保しており、事業運営の安定性につながっています。これらの財務状況は、長期的な視点での雇用や給与の安定性を示す要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 52.0億円 | 52.2億円 |
| 自己資本比率 | 62.0% | 63.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.3% | 1.6% |
| 現金及び預金 | 17.5億円 | 15.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期から増加し、3.2億円のプラスとなりました。これは主に減価償却費と税金等調整前当期純利益の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△1.7億円となり、投資有価証券の取得や有形固定資産の取得に資金が使われています。財務活動によるキャッシュフローは△3.5億円で、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因です。
結果として、フリーキャッシュフローは前期のマイナスからプラスに転換し、1.5億円となりました。これは本業で生み出した資金で投資を賄い、なお余剰資金がある優良な状態を示しており、事業の安定性と将来への投資余力を示唆しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.7億円 | 3.2億円 |
| 投資CF | △2.5億円 | △1.7億円 |
| 財務CF | △3.8億円 | △3.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.8億円 | 1.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、花きが嗜好性の高い商品であるため、経済環境の変化による消費構造の変化や可処分所得の減少が業績に影響を及ぼすリスクを認識しています。また、卸売市場法の改正による規制緩和も、花き卸売事業の業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
大田花きは「世界を花で笑顔にする」というパーパスを掲げ、事業を通じて人々の暮らしに潤いと豊かな社会文化の創造を目指しています。花き流通を担う企業集団として、持続的な発展と企業価値の向上を追求する会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「世界を花で笑顔にする」というパーパスのもと、事業を通して暮らしに潤いを提供し、豊かな社会文化を創造すべく努力を積み重ねています。花き流通を担う企業集団として、主要な機能である商流、物流、情報流、資金流を各社有機的に連動させ、生産者や顧客の期待に応えることを目指しています。
これにより事業が持続的に発展し、中長期的な企業価値向上につながるものと考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、価格形成力のある花の卸会社として業界をリードし、商流・物流・情報流・資金流の有機的な連動を通じて生産者や顧客の期待に応えることを重視しています。一層のコーポレート・ガバナンスを徹底し、品質、情報、流通の管理ビジョン「確実なパスワーク」を掲げ、経営機能の強化を図っています。
サステナビリティを重要なリスク管理の一部と捉え、事業を通じた従業員の安全、社会の安定、環境配慮への貢献を追求しています。また、ダイバーシティ推進を経営戦略の一つと位置づけ、多様な人材が働き甲斐を持って活躍できる環境整備とキャリア形成支援に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、「物流クライシス」に対処した円滑な物流網の構築を優先的に対処すべき課題としています。生活者へは生産コストの価格転嫁を図りながらも付加価値のある商品の提供を目指し、取引先との信用強化にも取り組んでいます。競争力を高める情報システムの強化も重点テーマの一つです。
経営環境の課題解決に向けては、業界の先頭に立って効率化、構造改革、再編に進んで取り組む方針です。新たな需要を掘り起こすべく、消費活動を牽引する取り組みも行い、遣り甲斐の持てる職場環境の整備や待遇改善に向けた積極投資を実践しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、経営の執行と監督の分離を行い、執行役による迅速な業務決定を可能にするとともに、取締役会の監督機能の強化を図るため、指名委員会等設置会社形態を採用しています。取締役会が重要な会社の意思決定と執行役の監督を行い、経営を監視する体制です。各委員会は過半数が社外取締役で構成されており、その独立性も確保されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社である大森園芸ホールディングスです。上位には複数の事業会社が名を連ねており、特定の事業会社グループが経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大森園芸ホールディングス | 31.97% |
| 東京青果 | 9.80% |
| 小杉 圭一 | 9.43% |
| 大森園芸 | 7.86% |
| 磯村 信夫 | 3.14% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は16名(男性14名・女性2名)で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表執行役社長は萩原正臣氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 萩原 正臣 | 代表執行役社長 | 1996年4月同社入社、2014年4月同社執行役兼株式会社九州大田花き代表取締役社長、2025年6月同社取締役兼代表執行役社長より現職。 |
| 磯村 信夫 | 取締役 | 1973年3月株式会社大森園芸市場(現株式会社大森園芸)入社、1989年1月同社設立専務取締役、2005年6月同社取締役兼代表執行役社長、同社取締役会会長より現職。 |
| 磯村 隆夫 | 取締役 | 2007年7月フィリップモリスジャパン株式会社(現フィリップモリスジャパン合同会社)入社、2011年9月株式会社大森園芸ホールディングス代表取締役社長、2016年6月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、須磨佳津江氏(フリーキャスター・監査委員)、大島代次郎氏(千疋屋総本店代表取締役社長・指名委員・報酬委員)、菊田一郎氏(元流通研究社代表取締役・監査委員)、内田善昭氏(公認会計士・税理士・監査委員長)、小和田有花氏(アスクルリーガル&リスクマネジメント本部長・指名委員・報酬委員)、川田光太氏(東京青果代表取締役社長・指名委員・報酬委員長)です。
同社は指名委員会等設置会社であり、経営の執行と監督を分離することで、迅速な業務決定と監督機能の強化を図っています。社外取締役が過半数を占める各委員会が、経営の透明性と独立性を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの報酬委員会は、取締役および執行役の報酬基準を公正かつ適正に定めることを目的としています。優秀な人材の確保・維持と、業績に見合った額の支給を基本方針としています。取締役には固定報酬としての基本報酬のみが支給され、執行役には基本報酬と賞与で構成される報酬が支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 6百万円 | 3.0百万円 |
| 執行役 | 6名 | 97百万円 | 16.2百万円 |
| 社外取締役 | 6名 | 12百万円 | 2.0百万円 |
取締役と執行役の兼任者(1名)については、執行役の欄に記載されており、取締役の欄には含まれておりません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
💬キャリコネで会社の実態を確認する
決算資料で業績や財務の状況を把握することは、転職の準備として非常に有効です。数字は会社の今の実力と方向性を正直に示しています。
ただ、数字だけでは見えてこないこともあります。職場の雰囲気、上司との関係、実際の残業の実態、昇給のリアル——こうした情報は、現役社員やOB・OGの声から得られます。
企業口コミサイト「キャリコネ」では、社員のリアルな口コミや給与明細、求人情報をまとめて確認できます。決算データと合わせてチェックすることで、応募判断の精度が上がります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。