#萬世電機転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、萬世電機株式会社の有価証券報告書(第80期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 萬世電機ってどんな会社?
電気機器や電子デバイス、設備機器の販売を主力とする、三菱電機グループの有力な技術商社です。
■(1) 会社概要
1947年に萬世商会として設立され、三菱電機と特約店契約を締結して事業を開始しました。1962年には代理店契約へ移行し、1994年に現在の萬世電機へ社名を変更しています。1997年に大阪証券取引所市場第二部へ上場を果たし、2013年には子会社を設立して太陽光発電事業への参入も実現しました。
従業員数は連結188名、単体181名です。筆頭株主は事業会社の三菱電機で、第2位は創業家等の資産管理会社である日光産業、第3位は事業会社のサンセイテクノスです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱電機 | 21.56% |
| 日光産業 | 9.24% |
| サンセイテクノス | 3.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は占部正浩氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 占部正浩 | 代表取締役取締役社長兼東京支店長 | 1992年三菱電機入社。1999年同社入社。専務取締役ファシリティー本部長などを経て、2009年4月より現職。 |
| 平井徹 | 常務取締役管理本部長兼経営企画部長兼総務部長兼業務部長 | 1988年三菱銀行入行。2018年同社入社。総務部長や経営企画部長などを歴任し、2023年6月より現職。 |
| 小島宏夫 | 常務取締役産業システム本部長兼神戸支店長兼システムエンジニアリング部担当兼和歌山支店担当 | 1989年同社入社。産業システム本部副本部長や機電部長などを歴任し、2026年4月より現職。 |
| 香川直毅 | 常務取締役ファシリティー本部長 | 1985年同社入社。ファシリティー本部副本部長や東京支店長などを歴任し、2025年5月より現職。 |
| 花田昌信 | 取締役電子デバイス本部長兼電子デバイス第三部長 | 1991年三菱電機入社。同社本社半導体・デバイス第一事業部副事業部長などを経て、2026年4月より現職。 |
| 山内孝司 | 取締役FA機器本部長兼和歌山支店長 | 1992年三菱電機入社。同社中国支社FAシステム部長などを経て、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、浦田和栄(関西法律特許事務所パートナー弁護士)、木村守男(三菱電機関西支社副支社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、電気機器・産業用システム、電子デバイス・情報通信機器、設備機器およびその他の事業を展開しています。
■(1) 電気機器・産業用システム
回転機や表示器、インバータなどの各種機器に加え、発電機・受変電システムや物流搬送システムなどの産業用システムを提供しています。インフラ向けや企業向けの設備投資需要に対応し、幅広い製品ラインナップを展開しています。
顧客に対する機器の販売およびシステム構築の対価として収益を獲得しています。事業の運営は主に萬世電機および万世電機貿易(上海)が担っており、製品の仕入・販売を行っています。
■(2) 電子デバイス・情報通信機器
半導体や液晶パネル、電子部品などの電子デバイスに加え、パソコンやサーバー、ネットワーク機器などの情報通信機器を提供しています。また、電子機器の受託生産サービスにも対応し、顧客の多様なニーズに応えています。
製品の販売および受託生産サービスの提供により収益を獲得しています。事業の運営は主に萬世電機、萬世電機香港および万世電機貿易(上海)が行っており、国内外で電子デバイス等の仕入・販売を展開しています。
■(3) 設備機器
パッケージエアコンや各種冷凍機などの冷暖房空調機器、エレベーター、エスカレーターなどの設備機器を提供しています。また、太陽光発電設備工事や電気工事、空調・給排水衛生設備工事などの関連工事も請け負っています。
設備機器の販売および各種工事の設計・施工、保守・サービスの提供により収益を獲得しています。事業の運営は主に萬世電機が担っており、機器の提供からアフターフォローまで一貫したサービスを提供しています。
■(4) 太陽光発電
太陽光パネルを用いた電力の発電事業を展開しています。環境に配慮した再生可能エネルギーの普及を目的とし、地域社会と共生しながら持続可能なエネルギーの供給に取り組んでいます。
発電した電力を電力会社等へ売電することによって収益を獲得しています。事業の運営は主に子会社の日本原ソーラーエナジーが行っており、安定した発電設備の維持および運営管理を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一時的な増減があるものの、全体として右肩上がりの成長基調を維持しています。経常利益および当期利益も売上の増加に伴い順調に拡大しており、収益性の向上が伺えます。安定した成長を続ける強固な事業基盤が確認できます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 187億円 | 231億円 | 262億円 | 244億円 | 270億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 11億円 | 15億円 | 12億円 | 16億円 |
| 利益率(%) | 3.2% | 4.9% | 5.9% | 4.8% | 6.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 5億円 | 10億円 | 8億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
売上高と売上総利益がいずれも増加しており、売上総利益率も改善傾向にあります。これに伴い、営業利益および営業利益率も向上しており、本業における稼ぐ力が着実に高まっていることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 244億円 | 270億円 |
| 売上総利益 | 36億円 | 42億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.8% | 15.6% |
| 営業利益 | 11億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 4.6% | 5.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が10億円(構成比39%)、配送保管費が3億円(同11%)、福利厚生費が3億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力となる電気機器・産業用システムや設備機器の売上高が順調に拡大しており、全体の増収を牽引しています。一方、電子デバイス・情報通信機器はわずかに減少していますが、全体に与える影響は限定的であり、全社として安定した収益基盤を維持しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 電気機器・産業用システム | 107億円 | 120億円 |
| 電子デバイス・情報通信機器 | 86億円 | 84億円 |
| 設備機器 | 50億円 | 64億円 |
| 太陽光発電 | 1.0億円 | 1.0億円 |
| 連結(合計) | 244億円 | 270億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業活動で得た資金を活用し、借入金の返済や事業投資を自己資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状況にあります。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.0%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も53.5%と市場平均を上回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 23億円 | 25億円 |
| 投資CF | 2億円 | -13億円 |
| 財務CF | -28億円 | -2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「わたしたちは 誠と和をもって 広く知識を求め技術をみがき みんなの幸せに貢献します」という経営理念を掲げています。技術商社として、顧客のベストパートナーであり続け、ともに成長する企業を目指すというビジョンを持ち、社会全体への貢献と持続的な発展を追求しています。
■(2) 企業文化
同社は、顧客志向に徹し、情報・商品・技術を迅速に提供することを重視しています。常に技術力の向上に努めて顧客の信頼に応えるとともに、社員の個性を尊重して活力ある組織を築くことを行動指針としています。法を遵守し、社会倫理や常識の変化に敏感な感性を持って行動する文化が定着しています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、以下の具体的な数値目標を掲げています。
・営業利益10億円を超える水準の持続的な維持・拡大
・配当性向30%以上を目指し、安定的で継続的な配当を実施
・株主資本コストを上回るROEの維持
■(4) 成長戦略と重点施策
顧客起点の徹底や収益基盤の強化、営業エリアの拡大を成長戦略の柱としています。既存顧客との信頼関係を基盤にパートナー協業を進め、事業領域の拡大に取り組むとともに、戦略に沿った投資やM&Aを検討しています。また、首都圏や関西圏をベースとして営業地域を拡充し、多様化する顧客ニーズに迅速に対応する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
社員一人ひとりの実行力と実現力を高め、目的意識と責任感を持つ人材の育成に努めています。営業担当者の力量向上を継続的に促す「セールスファンデーション」を整備し、専門性を高める教育研修を推進しています。また、心身ともに健康で安心して能力を発揮できる職場環境の整備を重要な課題と位置づけています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.9歳 | 16.1年 | 6,902,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異に関する記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況の変動
同社グループの事業活動は日本国内や香港、上海などの国および地域の経済環境に依存しています。電気・電子・建設業界の市場動向が悪化した場合、同社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 主要仕入先との関係
主要仕入先である三菱電機グループへの依存度が高く、総仕入高に対する割合は56.6%を占めています。仕入先の経営戦略の変更や調達困難な事態が発生した場合、同社の事業運営に悪影響を与えるリスクがあります。
■(3) 為替相場の変動
事業には外貨による取引が含まれており、先物為替予約による通貨ヘッジ取引で影響の最小限化に努めています。しかし、想定を超える為替相場の急激な変動が生じた場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 情報管理の徹底
事業遂行において、取引先の営業情報や技術情報など多くの秘密情報を保有しています。情報管理の徹底を図っていますが、予期せぬ事態による情報流出が発生した場合、社会的信用の失墜や業績への影響が懸念されます。



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