レダックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レダックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。中古車の買取・販売・輸出を行う自動車流通事業を主力とします。2025年3月期は売上高200億円と前期比で増収となりましたが、経常損益は1.4億円の赤字に転落しました。2024年9月にカーチスホールディングスから商号変更し、事業領域の拡大を目指しています。


※本記事は、株式会社レダックス の有価証券報告書(第38期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レダックスってどんな会社?


中古車の「買取直販」モデルを展開する自動車流通企業です。2024年に商号変更し、投資・金融事業等の多角化を推進しています。

(1) 会社概要


1987年に設立され、中古車買取・販売事業を開始しました。1999年に株式を上場し、2006年にカーチスへ商号変更、2008年には持株会社体制へ移行しました。その後、2024年9月に現在のレダックスへ商号変更し、翌10月には新興自動車を完全子会社化するなど、事業基盤の拡大を進めています。

同社グループの連結従業員数は195名、単体従業員数は20名です。筆頭株主は同社の親会社であるレダグループホールディングスで、第2位は金融・保険サービス等を行う太平フィナンシャルサービス、第3位は投資会社のEMMINENCE, LLCとなっています。

氏名 持株比率
レダグループホールディングス 54.50%
太平フィナンシャルサービス 5.44%
EMMINENCE, LLC 4.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表執行役社長は長倉統己氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
長倉 統己 取締役
代表執行役(社長)
1990年国際証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。コネクトテクノロジーズ社長を経て2020年同社入社。2023年11月より現職。
加畑 雅之 取締役
代表執行役(会長)
1979年セントラル通商(現レダグループホールディングス)設立。創広会長等を経て2012年同社取締役兼執行役会長。2023年6月より現職。
渡邊 雄太 取締役
執行役
1997年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。東京スター銀行本部長、オクトフォースマネジメント副社長を経て2024年同社入社。2025年6月より現職。
平野 忠邦 取締役 1965年運輸省入省。海上保安庁次長、関西国際空港副社長を経て2013年同社顧問。2016年6月より現職。


社外取締役は、内田輝紀(元大蔵省印刷局長・弁護士)、笠井学(元東京日野自動車社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「自動車流通事業」および「リースバック関連事業」を展開しています。

(1) 自動車流通事業


中古車の買取、販売、輸出および自動車部品の販売等を行っています。顧客から直接車両を買取り、自社店舗等で販売する「買取直販」モデルを主軸とし、海外への輸出販売も展開しています。

主な収益は、一般顧客や業者への中古車・部品の販売代金や、車検・保険等の付帯サービス料です。運営は主に株式会社カーチス、株式会社アガスタ、株式会社タカトク、新興自動車株式会社が行っています。

(2) リースバック関連事業


運送事業者等に対する特別目的会社(カーチスファンド)を活用したリースバック事業に係る車両売却等を行っています。トラックなどの商用車取引を拡大し、物流業界へのサービス提供を強化しています。

主な収益は、車両の売却代金やリース料等です。運営は主に株式会社カーチスロジテックが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は160億円から200億円へと拡大傾向にあります。一方で損益面では、黒字と赤字を繰り返す不安定な状況が続いています。2025年3月期は増収となったものの、仕入価格の上昇等が影響し、経常損益および当期損益は赤字となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 160億円 184億円 191億円 191億円 200億円
経常利益 2.4億円 2.1億円 -4.7億円 1.5億円 -1.4億円
利益率(%) 1.5% 1.2% -2.4% 0.8% -0.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.2億円 -4.2億円 -0.2億円 -0.1億円 -0.3億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価の上昇により売上総利益は減少しました。営業損益は前期の黒字から赤字に転じており、収益性の改善が課題となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 191億円 200億円
売上総利益 31億円 29億円
売上総利益率(%) 16.5% 14.5%
営業利益 1.0億円 -2.0億円
営業利益率(%) 0.5% -1.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が11億円(構成比36%)、地代家賃が6億円(同19%)を占めています。

(3) セグメント収益


自動車流通事業は増収となりましたが、仕入価格高騰等の影響により損失を計上しました。一方、リースバック関連事業は大幅な増収を達成し、黒字を確保しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
自動車流通事業 190億円 199億円 0.2億円 -2.3億円 -1.1%
リースバック関連事業 1.1億円 1.7億円 0.8億円 0.3億円 16.8%
連結(合計) 191億円 200億円 1.0億円 -2.0億円 -1.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業活動のための適切な資金調達、流動性の維持、財務構造の安定化を財務方針として掲げています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、契約負債の減少や棚卸資産の増加等により、資金の使用となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却収入等により、資金の獲得となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加等により、資金の獲得となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8.8億円 -8.6億円
投資CF -0.7億円 0.2億円
財務CF -2.3億円 0.9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人と人をクルマでつなぐ架け橋CARCHS」という経営理念を掲げています。車を通じて喜びを分かち合い、顧客のカーライフ全体をサポートすることで、安心と快適さを提供することを目指しています。また、顧客の価値観を尊重し、迅速かつ適切なサービス提供を追求しています。

(2) 企業文化


「顧客ファースト」をスローガンとして掲げ、常に顧客満足を追求する文化があります。地域密着型の活動や環境保護への取り組みを通じ、地域社会や経済の発展に貢献することを重視しています。従業員一人ひとりが質の高い商品・サービスを提供することで、企業価値および株主価値の向上を目指しています。

(3) 経営計画・目標


事業の継続的な発展に注力し、売上高、営業利益、売上高営業利益率の向上を経営指標として掲げています。これらを向上させることで、安定的な成長と株主価値の増大を目指す方針です。具体的な数値目標については、将来の不確実性を考慮し、有価証券報告書には記載されていません。

(4) 成長戦略と重点施策


「買取直販」モデルの推進に加え、アフターサービスの充実により顧客との関係強化を図っています。また、商用車取引やリースバック事業の拡大、海外における中古車流通網の構築など、事業の多角化とグローバル展開を重点施策としています。さらに、投資・金融・不動産事業等への参入も積極的に推進する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な働き方の推進を掲げ、性別や国籍を問わず広く人材を採用する方針です。各従業員の能力に基づいた人事考課を行い、昇給・昇格等の処遇を決定しています。また、多様性を持った社員が活躍できる環境を整備し、持続的な成長を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.8歳 10.2年 3,778,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全社員における女性比率(13.8%)、外国人比率(4.6%)、中途採用者の比率(68.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢等に関するリスク


景気後退による消費者の買い控えや低価格志向の強まりは、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ロシア・ウクライナ情勢などの地政学リスクも、経済活動の停滞を通じて事業環境を悪化させる要因となり得ます。

(2) 法令等の遵守に関するリスク


古物営業法に基づく許可や、道路運送車両法による認証・指定工場の認可を受けて事業を行っています。これらの法令違反が生じた場合、社会的信用の失墜や行政処分を受ける可能性があります。また、法規制の変更や解釈の変更への対応コストが増加するリスクもあります。

(3) 仕入に関するリスク


一般ユーザーからの直接買取による「買取直販」を主要ビジネスモデルとしているため、中古車市場が急激に縮小した場合、良質な車両の仕入が困難になる可能性があります。仕入台数の減少は販売機会の喪失に直結し、業績に重大な影響を与える恐れがあります。

(4) 為替の変動に関するリスク


海外への車両輸出事業を行っており、取引の一部は外貨建てで行われています。そのため、急激な為替レートの変動は、輸出競争力や収益性に影響を与える可能性があります。円高局面では輸出採算が悪化するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。