※本記事は、田中商事株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
田中商事グループは、電気設備資材の卸売り、弱電および防災設備工事を主たる事業としています。建設関連業界において、資材価格の変動に柔軟に対応し、人材育成を通じて業務効率化と営業力向上を図っています。
単体従業員数は437名、連結従業員数は455名です。
主な国内グループ会社は、カワツウ(弱電、防災設備等の施工)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
田中商事は、「人こそ最大の財産」という考えのもと、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、企業価値向上に貢献できる組織づくりを経営の重要課題としています。人材の確保と育成に力を入れ、多様な人材が安心して活き活きと働ける職場環境の整備に努めています。
また、個々の職務内容や役職に応じた適切な給与水準を設定し、業績や行動を公正に評価する制度を導入しています。経済状況や労働市場の変化に対応した報酬を提供することで、優秀な人材の確保と定着を図っています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数も比較的長い傾向が見られます。これは、従業員が長期的なキャリアを築きやすい環境であることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,346,684円 |
| 平均勤続年数 | 13.4年 |
| 平均年齢 | 39.4歳 |
| 単体従業員数 | 437人 |
| 連結従業員数 | 455人 |
| 単体のグループ内比率 | 96.0% |
同社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)の退職給付制度を採用しています。この制度は国内の従業員を対象としています。退職一時金制度があり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。退職給付債務は19.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「人こそ最大の財産」という考えのもと、従業員一人ひとりが能力を最大限発揮し、持続的な企業価値向上に貢献できる組織づくりを経営の重要課題と位置づけています。人的資本への投資を、生産性向上・事業成長・内部統制の強化につながる経営施策として体系的に推進しています。個々の社員の職務内容や役職に応じた適切な給与水準を設定し、業績や行動に対して適切に評価し報いる制度を導入しています。給与および給付の水準は経済状況や労働市場の変化に対応するため定期的に見直しを行っており、競争力のある報酬を提供し優秀な人材の確保と定着を図っています。
人材育成においては、従業員一人ひとりの成長が企業の成長につながると考え、商品知識等のOJT研修のほか、新入社員から管理職までキャリアステップに合わせた座学研修を計画的に実施しています。具体的には、営業社員研修、幹部候補生育成研修、幹部社員研修、資格取得研修などがあり、各従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう後押ししています。また、社内環境整備として、従業員が健全な状態で安心して活き活きと働ける職場環境の整備を重視しており、繁忙部署への適切な人員配置、ノー残業デーの設定、有給休暇の周知徹底などにより過重労働の防止に努めています。実績に応じた人事評価制度や報奨制度を設け、男女の別なく各従業員の能力や人物に基づいて昇進等の処遇を行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女の賃金格差は、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものです。パート・有期労働者はおりません。管理職に占める女性労働者の割合および男性労働者の育児休業取得率は開示されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 研修実施回数 | 55回 |
| 研修参加率 | 97.3% |
| 研修投資額 | 87,308円 |
| 従業員持株会加入比率 | 73.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
田中商事は、電気設備資材の卸売りを主軸に、弱電および防災設備工事を手掛ける同社グループの中核企業です。同社グループは、これらの事業を通じて社会のインフラを支えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、電気設備資材の卸売りと、弱電および防災設備工事を主な事業としています。得意先や仕入先との信頼関係を強化し、資材価格の変動に柔軟に対応できる体制を整備することで、安定的な収益確保に努めています。
収益は主に、照明器具類、電線類、配・分電盤類、家電品類、その他の品目といった幅広い電気設備資材の販売から得ています。また、弱電や防災設備の工事も手掛けており、これらの工事需要の取り込みにも注力しています。特定の顧客への売上集中は見られませんが、事業全体としては電設資材卸売業に収益が集中する構造となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は変動が見られるものの、直近の連結会計年度では前期から増加しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 331億円 | 357億円 | 418億円 | 415億円 | 440億円 |
| 経常利益 | 10.7億円 | 10.8億円 | 16.1億円 | 12.3億円 | 13.8億円 |
| 経常利益率 | 3.2% | 3.0% | 3.9% | 3.0% | 3.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.0億円 | 9.8億円 | 11.8億円 | 8.8億円 | 9.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 81.19 | 115.46 | 140.23 | 108.95 | 115.27 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、2025年3月期から2026年3月期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も同様に前期から増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と効率的な事業運営を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 94.0百万円 | 96.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.8百万円 | 3.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、事業活動で安定的に資金を生み出しており、その資金を投資にも回しながら成長を目指しています。財務基盤は堅実な状況にあると言えます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が50.7%と高い水準を維持しており、安定した経営状況を示しています。これは、外部環境の変化に対する耐性があることを意味します。
一方で、ROE(自己資本利益率)は6.1%となっており、プライム市場平均と比較すると改善の余地がある状況です。手元資金である現金及び預金は29.1億円あり、事業運営に必要な流動性を確保しています。これらの財務状況は、同社グループが安定した雇用と給与水準を維持するための基盤となっていると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 149億円 | 156億円 |
| 自己資本比率 | 50.5% | 50.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.0% | 6.1% |
| 現金及び預金 | 30.8億円 | 29.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、事業活動による資金の出入りが安定していることを示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは4.6億円のプラスとなり、税金等調整前当期純利益の計上により資金を得ています。
投資活動によるキャッシュフローは△2.8億円のマイナスで、有形及び無形固定資産の取得に資金を使用しています。財務活動によるキャッシュフローは△3.5億円のマイナスで、借入金の返済や配当金の支払いに資金を使用しています。
その結果、フリーキャッシュフローは1.8億円のプラスとなっており、事業活動で得た資金が投資を上回る状況です。これは、同社グループが本業で安定的に資金を創出し、将来への投資も行いつつ、資金の余力も確保していることを示しており、安定した事業運営と成長への取り組みがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.3億円 | 4.6億円 |
| 投資CF | △7.2億円 | △2.8億円 |
| 財務CF | △7.3億円 | △3.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.9億円 | 1.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業環境は、建築関連業界の景気動向、金利動向、地価動向、住宅税制などの影響を受けやすい傾向にあります。これらの外部環境が悪化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、営業所の新設方針を進めていますが、新設営業所が計画通りの収益を計上できない場合、投下資本の回収に時間を要し、有利子負債残高の増加が業績に影響する可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、地震等の自然災害や伝染病、その他の災害発生時にも事業活動を継続するための事業継続計画(BCP)を策定しています。しかしながら、想定外の自然災害や事故等により、事業所及び従業員の多くが被害を被った場合には、事業活動に大きな影響が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
田中商事グループは、独立系商社としての強みを活かし、顧客満足と社会貢献を追求する経営理念のもと、事業を展開しています。社員の人間的価値向上と組織の総合力発揮を重視する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
田中商事グループは、「働く社員の人間的価値づくり、総合力を発揮できる組織づくり、株主様が納得できる付加価値づくり、先行投資ができる財政価値づくり、顧客が満足できる経済価値づくり、生活に役立つ価値づくり、社会が認める会社の存在価値づくり」を経営理念としています。この理念の実践を通じて企業価値を向上させ、ステークホルダーへの経済価値創造と社会貢献を目指しています。
同社グループは、特定のメーカー系列に属さない独立系商社として、幅広い電気設備資材を提供しています。営業ネットワーク網の拡充と新規開拓による市場占有率の向上を拡大戦略の柱とし、関連業種との連携によるシナジー効果創出も図っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
田中商事グループは、独立系商社としての「特徴(ポリシー)」を掲げ、得意先との連帯を深め、競合他社との差別化と業容拡大を図る企業風土です。具体的には、「配送の革命(原点)を実行しています」として迅速な自社便配送を、「品揃えは抜群です」として常時ニーズに応じる商品供給体制を、「全国ネットでご奉仕します」として広域ネットワークによる信頼獲得を重視しています。
また、採用においては、腰を据えて仕事に取り組み成長意欲のある方、目標設定と主体的な行動ができる方、最後までやり抜く強い意志を持つ方を求めています。従業員一人ひとりの成長を企業の成長と捉え、顧客満足を追求する意思疎通力と専門知識を持つ人材育成に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
田中商事グループは、建設関連業界における資材価格の高騰や人手不足の継続、中東情勢に起因する工期延伸といった課題に直面しています。これらの課題に対し、同社グループは得意先・仕入先との信頼関係を強化し、資材価格の変動を販売価格へ早期に反映させる取り組みを進めています。
また、今後の商品需要を見極めることで利益率の向上を図るとともに、デジタル技術を活用した業務効率化を推進し、経営基盤の強化に努めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
田中商事では、経営の透明性、責任の明確化、内部牽制機能の向上を重視したコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。同社は監査等委員会設置会社として、取締役会の業務執行に対する監査・監督機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
田中商事の株主構成を見ると、上位には複数の個人株主が名を連ねています。特に筆頭株主と第2位の株主は個人であり、同社の資本構成において重要な位置を占めていることがうかがえます。また、事業会社も主要株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 河合 宏美 | 16.30% |
| 河合 きよ子 | 12.80% |
| トウテック | 5.10% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は安部安生氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 安部 安生 | 代表取締役社長 | 1987年同社入社。首都圏第一営業部長などを経て、2013年より取締役営業本部長、2017年より専務取締役営業本部長を歴任。2024年4月より代表取締役社長に就任し現職。 |
| 鳥谷部 毅 | 代表取締役会長 | 1988年同社入社後、営業本部長、取締役営業本部長を歴任。2011年より代表取締役社長を務め、2024年4月より代表取締役会長に就任し現職。 |
| 春日 国敏 | 常務取締役 管理本部長兼 総務部長兼 経営企画担当 | 1994年同社入社。経営企画室長、取締役経営企画室長、常務取締役管理本部長などを歴任。2025年6月より常務取締役管理本部長兼総務部長兼経営企画担当に就任し現職。 |
| 伊藤 淳 | 取締役東日本営業本部長 | 1991年同社入社。東海営業部長、取締役西部地区物件担当部長、取締役営業副本部長などを歴任。2024年4月より取締役東日本営業本部長に就任し現職。 |
| 玉木 修 | 取締役クリエイション営業本部長 | 1995年同社入社。東京中央営業部長、取締役中央地区物件担当部長、取締役クリエイション事業部長などを歴任。2024年4月より取締役クリエイション営業本部長に就任し現職。 |
| 中田 周作 | 取締役 首都圏営業本部長 | 2006年同社入社。首都圏第三営業部川崎北営業所所長、神奈川営業部長などを経て、2022年より執行役員東部エリア事業部長。2024年6月より取締役首都圏営業本部長に就任し現職。 |
社外取締役は、福田大助氏(山王シティ法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)、川本典行氏(川本会計事務所税理士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社制度を採用しています。社外取締役を過半数とする監査等委員会を設置し、取締役会の業務執行に対する監査・監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
田中商事の役員報酬は、職位に応じた固定報酬、業績連動報酬、そして株式報酬で構成されています。監査等委員である取締役については、その職務の性質から固定報酬のみが支給される仕組みです。この報酬体系は、各事業年度の業績向上と同社グループの企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 2.0億円 | 28.1百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 4.0百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 5百万円 | 2.3百万円 |
なお、総額には期中に退任した取締役に対する退職慰労金が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
💬キャリコネで会社の実態を確認する
決算資料で業績や財務の状況を把握することは、転職の準備として非常に有効です。数字は会社の今の実力と方向性を正直に示しています。
ただ、数字だけでは見えてこないこともあります。職場の雰囲気、上司との関係、実際の残業の実態、昇給のリアル——こうした情報は、現役社員やOB・OGの声から得られます。
企業口コミサイト「キャリコネ」では、社員のリアルな口コミや給与明細、求人情報をまとめて確認できます。決算データと合わせてチェックすることで、応募判断の精度が上がります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。