※本記事は、株式会社トラスト の有価証券報告書(2025年3月期、2024年4月1日 ~ 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
トラストは、中古車輸出事業、レンタカー事業、海外自動車ディーラー事業を展開しています。同社グループは、国内での販売需要が少ない中古車を海外へ販売する自動車輸出事業を担い、グループ各社とともに多角的な自動車関連サービスを提供しています。
単体従業員数は36名、連結従業員数は633名です。セグメントは中古車輸出事業、レンタカー事業、海外自動車ディーラー事業の3つです。
主な国内グループ会社は、(親会社)VTホールディングス(持株会社)、(連結子会社)J-netレンタリース 4(レンタカー事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、中古車輸出やレンタカー事業などを展開しており、事業特性に応じた給与水準と働き方が特徴です。従業員が長期的に活躍できる環境づくりに注力しており、多様な働き方を尊重する姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数と平均年齢から、一定の定着感とバランスの取れた年齢構成がうかがえます。多様な事業を展開する中で、従業員が安定してキャリアを築ける環境を提供していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,401,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.0年 |
| 平均年齢 | 44.0歳 |
| 単体従業員数 | 36人 |
| 連結従業員数 | 633人 |
| 単体のグループ内比率 | 5.7% |
同社グループ及び連結子会社は、確定拠出年金制度を設けています。これは会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人的資本を何よりも優先すべき資本と認識し、性別や国籍にかかわらず優秀な人材を積極的に採用しています。人材育成においては、中長期的な視点から外部・内部研修を積極的に活用し、定期的なジョブローテーションを通じて国際情勢や社会環境の変化に対応できる人材の育成に取り組んでいます。
社内環境整備に関する方針として、多様性を尊重し、公正さを重視した人事制度の刷新を進めています。従業員一人ひとりが前向きに働けるよう改革を進め、女性役員や女性管理職、外国籍管理職の育成にも注力しています。
当事業年度では有給休暇の日数拡大を実施し、今後は事業所のリニューアル等も予定しており、従業員が活躍できる環境づくりに努めています。また、多様な働き方を尊重し、ワーク・ライフ・バランスの充実を目指して、多様なシフト制度や時短勤務制度、テレワークの拡充も実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ J-netレンタリース㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 87.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 72.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 137.7% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 79.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
トラストは、中古車輸出事業、レンタカー事業、海外自動車ディーラー事業の3つの事業を柱として展開しています。自動車関連の多様なサービスを通じて収益を上げており、国内外の市場をターゲットに事業を拡大しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、中古車輸出、レンタカー、海外自動車ディーラーの3つの事業を中核としています。各事業はそれぞれ異なる顧客層と収益モデルを持ち、安定的な事業体の構築を目指しています。海外市場をターゲットとする事業も展開しており、為替変動が業績に影響を与える可能性があります。特定の顧客への収益集中は見られません。
中古車輸出事業
インターネットのウェブサイトを利用し、主に海外の個人顧客向けに中古車の輸出販売を行っています。新車代替時の下取り車両やオークションでの仕入れ車両、レンタカーの代替車両などを輸出しています。収益は、主に落札日または船積日に充足される履行義務に基づく車両販売から得ています。運営は、トラストが行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加しています。
レンタカー事業
フランチャイズ事業と直営店を併せて全国でレンタカーサービスや自動車リースサービスを提供しています。レンタカーの貸出期間にわたり履行義務が充足されることで収益を得ています。顧客満足度向上のための車両高年式化や広告拡大、多様な店舗展開に注力しています。運営は、J-netレンタリース、Jネットレンタカー北海道が行っています。当連結会計年度の売上高は前期から大幅に増加しています。
海外自動車ディーラー事業
南アフリカ共和国において自動車ディーラーを運営し、新車・中古車の販売および自動車の修理を行っています。車両の引き渡し時点において履行義務が充足されることで収益を得ています。運営は、TRUST ABSOLUT AUTO (PROPRIETARY) LIMITED、SKY ABSOLUT AUTO (PROPRIETARY) LIMITEDが行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加していますが、営業利益は減少しています。
| セグメント | 売上高(2024年3月期) | 売上高(2025年3月期) |
|---|---|---|
| レンタカー事業 | 196億円 | 252億円 |
| 海外自動車ディーラー事業 | 98.7億円 | 127億円 |
| 中古車輸出事業 | 116億円 | 123億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの連結業績は、過去5期にわたり売上高、経常利益ともに増加傾向を示しています。特に直近の当連結会計年度では、売上高と経常利益が前期から大きく伸長しました。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は前期から減少しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 201億円 | 276億円 | 343億円 | 411億円 | 503億円 |
| 経常利益 | 5.4億円 | 19.1億円 | 24.7億円 | 28.1億円 | 32.7億円 |
| 経常利益率 | 2.7% | 6.9% | 7.2% | 6.8% | 6.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 50百万円 | 8.3億円 | 12.5億円 | 11.1億円 | 8.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 1.91 | 31.96 | 48.16 | 43.07 | 30.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期からわずかに増加し、ほぼ横ばいの水準を維持しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期からわずかに増加しており、生産性の改善傾向が見られます。これらの指標は、同社グループが従業員一人あたりの収益創出力を着実に高めていることを示しています。
| 指標 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 79.3百万円 | 79.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.4百万円 | 5.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、安定した財務基盤とキャッシュフローを維持しており、事業活動を通じて着実に資金を生み出しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、純資産は前期から増加傾向にあります。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して低い水準となっていますが、ROE(自己資本利益率)は前期がプライム市場平均を上回り、当期は平均を下回る水準を示しています。手元資金である現金及び預金は増加しており、不測の事態への耐性があることを示しています。
| 指標 | 2024年3月期(前期) | 2025年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 151億円 | 166億円 |
| 自己資本比率 | 19.2% | 17.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.2% | 8.0% |
| 現金及び預金 | 13.9億円 | 16.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、その資金を成長投資に充てている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは前期に比べて増加しており、主に税金等調整前当期純利益と減価償却費があったことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が増加したことにより、使用した資金が増加しています。
その結果、フリーキャッシュフローは前期に比べて増加しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。財務活動によるキャッシュフローは、リース債務の返済による支出が増加したことにより、使用した資金が増加しています。これらのキャッシュフローの状況は、同社グループが事業の成長に向けた投資を継続しつつ、安定した資金運営を行っていることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる傾向があります。
| 項目 | 2024年3月期(前期) | 2025年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 107.8億円 | 141.2億円 |
| 投資CF | △47.9億円 | △54.2億円 |
| 財務CF | △55.9億円 | △84.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 59.8億円 | 87.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの中古車輸出事業においては、市場の拡大に伴い同業他社との競争が激化しており、主要販売地域であるアフリカ地域への売上依存度が高い状況です。また、レンタカー事業では、自動車ディーラー等への売上高が事業全体の約8割を占めており、特定の取引先への依存度が高いことがリスクとして挙げられています。これらの要因は、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは組織が小規模であることから、内部管理体制や業務執行体制も当該組織規模に応じたものとなっています。より組織的な社内管理体制の整備・運用に努めていますが、適切かつ十分に組織的な対応ができなかった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
トラストは、「CLOSER TO YOU お客様のために」という経営理念のもと、お客様と社会からの信頼を基盤に事業活動を行っています。全てのステークホルダーの満足と幸福度向上を目指し、感謝の気持ちを大切にする企業文化を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
トラストグループは、「CLOSER TO YOU お客様のために」という経営理念を掲げています。この理念に基づき、質の高いサービスと商品の提供を通じてお客様と社会から信頼される関係を構築することを目指しています。
責任ある企業経営を通じて社会に貢献し、全てのステークホルダーの信頼に応え、企業価値の向上に努める方針です。常に挑戦・改善・改革を行い、社会に必要とされ、有用性の高い会社であり続けることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
トラストグループは、Trust(信頼)、Responsibility(責任)、Usefulness(有用性)、Satisfaction(満足)、Thanks(感謝)の5つの経営方針を大切にしています。これらは、お客様や社会との相互信頼、社会貢献、自己変革、ステークホルダーの満足、そして感謝の気持ちを重視する行動指針となっています。
また、同社グループは人的資本を最優先すべき資本と認識しており、性別や国籍にかかわらず優秀な人材を積極的に採用しています。多様性を尊重し、公正さを重視した人事制度の刷新を進め、従業員一人ひとりが前向きに働ける環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
トラストグループは、サステナビリティに関する取り組みとして、環境面ではEV車販売比率の向上、人的資本の観点からは有給休暇取得率の向上を目指しています。親会社とも連携し、EV販売比率40%を目標に掲げています。
人材育成においては、中長期的な視点から外部・内部研修を積極的に活用し、定期的なジョブローテーションを通じて変化に対応できる人材の育成に取り組んでいます。社内環境整備として、女性役員や女性管理職、外国籍管理職の育成も推進しています。
従業員が活躍できる環境づくりとして、有給休暇の日数拡大や事業所のリニューアルを予定しています。多様な働き方を尊重し、ワーク・ライフ・バランスの充実を目指して、多様なシフト制度や時短勤務制度、テレワークの拡充も実施しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
トラストは監査役会設置会社であり、社外取締役1名と社外監査役2名が経営監視機能を担っています。これにより、経営の健全性、透明性、効率性の確保を目指すガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
トラストの筆頭株主はVTホールディングスであり、同社グループの資本構成において大きな割合を占めています。このことから、VTホールディングスがトラストの経営に強い影響力を持つことがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| VTホールディングス | 72.20% |
| JPモルガン証券 | 1.66% |
| 山下 良久 | 1.45% |
| 楽天証券 | 1.08% |
| SBI証券 | 0.96% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は川村賢司氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川村 賢司 | 代表取締役 社長 | 1999年6月 株式会社ホンダベルノ東海(現 VTホールディングス)監査役、2004年12月 アイコーエポック代表取締役、2019年6月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 松田 泰二 | 取締役 | 1986年4月 株式会社ホンダクリオ関西入社、2019年2月 同社入社 車輌管理部長、2023年4月 同社取締役営業部長より現職。 |
| 野木森 直樹 | 取締役 | 2021年12月 VTホールディングス入社、2021年12月 同社出向 管理部長、2024年6月 同社取締役管理部長より現職。 |
| 伊藤 誠英 | 取締役 | 1999年6月 株式会社ホンダベルノ東海(現 VTホールディングス)常務取締役、2003年3月 同社取締役、2008年6月 VTホールディングス専務取締役より現職。 |
| 伊藤 和繁 | 取締役 | 2004年7月 VTホールディングス入社、2008年6月 同社取締役営業部長、2011年4月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、藤澤昌隆氏(リーダーズ法律事務所代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、経営監視機能の客観性及び中立性を確保するため、社外監査役による監査を実施しています。社外取締役は、取締役会において内部統制に関する助言を適宜行い、監督機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社では、役員の報酬総額の最高限度額を株主総会で決定しています。その範囲内で、会社の業績や各役員の役割、貢献度を考慮し、取締役の報酬は取締役会の決議、監査役の報酬は監査役の協議により決定する仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 18百万円 | 4.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 4.7百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 6百万円 | 1.5百万円 |
役員報酬の総額は29百万円であり、報酬の支給対象となった役員は合計9名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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