内外テック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

内外テック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

内外テックはスタンダード市場に上場し、半導体製造装置等のコンポーネンツ販売や受託製造を主要事業として展開しています。直近の連結業績では、期前半の顧客の在庫調整の影響により減収減益となりましたが、生成AIの需要拡大を背景に第3四半期後半から受注が急増しており、堅調な回復傾向を示しています。


※本記事は、内外テック株式会社の有価証券報告書(第65期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 内外テックってどんな会社?


半導体関連企業を支えるリーディングカンパニーとして、各種コンポーネンツの販売と受託製造を展開しています。

(1) 会社概要


1961年に設立し、1965年に現在のSMCと代理店契約を結び空気圧機器の販売を開始しました。1984年に製造部門として子会社の内外エレクトロニクスを設立しています。2001年に内外テックへ商号変更し、2005年にジャスダック証券取引所へ上場、現在はスタンダード市場に上場しています。

同社グループの従業員数は連結で577名、単体で178名です。筆頭株主は代表取締役会長の権田浩一氏で、第2位は権田雄大氏、第3位は権田益美氏となっており、経営陣とその関係者が上位を占めています。

氏名 持株比率
権田 浩一 10.05%
権田 雄大 4.57%
権田 益美 4.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は岩井田克郎氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
権田 浩一 取締役会長(代表取締役) 1980年埼玉銀行入行。1984年内外テック入社、1996年常務等を経て1999年代表取締役社長に就任。2017年より代表取締役会長。
岩井田 克郎 取締役社長(代表取締役)社長執行役員 1982年SMC入社。2012年内外テック入社、2014年取締役等を経て2017年代表取締役社長、2018年より代表取締役社長社長執行役員。
佐々木 政彦 常務取締役常務執行役員 1981年東京都民銀行入行。2011年経営企画室長として内外テックへ出向し2014年入社。同年取締役就任後、2022年より常務取締役常務執行役員。
山﨑 和也 取締役執行役員 1995年内外テック入社。京都営業所長、営業統括部長を経て2018年執行役員。2023年取締役執行役員営業統括部長を経て2026年より取締役執行役員。
伊藤 信昭 取締役執行役員 1987年内外エレクトロニクス入社。同社取締役管理本部長等を経て、2025年内外テック執行役員管理統括部長、同年より取締役執行役員管理統括部長。


社外取締役は、村山憲二(元新日本有限責任監査法人シニアパートナー)、新井茂明(元アドバンテスト副理事)、泉温子(sou代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「販売事業」および「受託製造事業」を展開しています。

販売事業


半導体製造装置やFPD製造装置、電子機器などに使用される空気圧機器、真空機器、温度調節機器などの各種コンポーネンツや装置を国内メーカーから仕入れ、主に国内のユーザー企業に向けて販売しています。また、中国などの海外拠点を通じた事業活動も行っています。

仕入先からのマージンや販売差益が主な収益源です。日本国内の運営は同社が行い、海外では現地子会社である納宜伽義機材(上海)商貿有限公司などが現地のユーザー企業や日系ユーザー企業への販売を担当しています。

受託製造事業


半導体メーカー、半導体製造装置メーカー、FPD製造装置メーカー、電子機器メーカーを主要な顧客としています。装置の組み立て、受託加工、工程管理、情報機器の組み立て、保守・メンテナンスなどの受託製造サービスを総合的に提供しています。

顧客からの受託製造や保守メンテナンスに伴うサービス対価が主な収益源です。当該事業の運営は、主に同社の連結子会社である内外エレクトロニクスが担当し、製造からメンテナンスサポートまでの一貫したサービス体制を構築しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は半導体市場の変動を受け増減を繰り返しており、直近は顧客の在庫調整の影響で減収となりました。利益面でも労務費等の増加により減益傾向にありますが、足元では生成AI需要の拡大を背景に受注が急増し、回復の兆しを見せています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 376億円 453億円 390億円 353億円 326億円
経常利益 21億円 23億円 12億円 15億円 14億円
利益率(%) 5.6% 5.2% 3.0% 4.3% 4.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 13億円 15億円 8億円 5億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い売上総利益も減少していますが、価格転嫁や在庫販売の進展により売上総利益率は改善しています。一方、品質向上やメンテナンスサポートに係る技術者の増員による労務費の増加等により、営業利益も減少する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 353億円 326億円
売上総利益 46億円 44億円
売上総利益率(%) 13.1% 13.6%
営業利益 16億円 14億円
営業利益率(%) 4.4% 4.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が11億円(構成比35%)、支払手数料が6億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


販売事業は期前半の顧客の在庫調整の影響により減収となりましたが、受託製造事業はAI関連の市場回復を背景に期初から堅調な受注を確保し、増収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
販売事業 309億円 280億円
受託製造事業 44億円 46億円
連結(合計) 353億円 326億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入返済を行いながら投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -3億円 14億円
投資CF -4億円 -0.1億円
財務CF -15億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.9%でスタンダード市場の平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「あらたな価値の創造」をパーパスとして掲げています。知恵と創造力を最大限に発揮し、「価値のある商品と情報の提供」「受託製造」「自社開発」「保守・メンテナンス」「加工」の5事業を通して夢のある社会に貢献することを経営方針とし、半導体関連企業を支えるリーディングカンパニーを目指しています。

(2) 企業文化


国内外の法遵守に基づきフェアでオープンな経営を通して社会から信頼される企業を目指しています。常に最先端の情報や技術を研鑽しお客様にその価値を認めて頂くこと、地球環境に配慮した商品の提供や製造を通してクリーンな社会へ貢献すること、多様性を尊重し差別やハラスメントが無い健康・安全・安心な企業を目指す文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


新たな中期経営計画「MIRAI 2030」では、AI事業を軸としたビジネスモデル変革による事業拡大を目指しています。収益性を重視する観点から目標を設定しており、その1年目となる2027年3月期の目標は以下の通りです。

・売上高:406億円
・営業利益率:3.7%
・自己資本利益率(ROE):7.6%

(4) 成長戦略と重点施策


急拡大するAI市場を見据え、AIを活用した以下の3つの成長戦略を推進しています。

・フィジカルAI戦略:AI×ロボティクスによる製造装置の自動組立やAI予知保全の実現
・AI/SCMシステム戦略:AIエージェントを活用した「調達のハブ」への進化
・AI人財育成戦略:AIを活用した人財育成とナレッジの継承

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


企業の競争力の源泉は「人」であるとの考えのもと、多様な人財が互いの価値観の違いを認め合い活躍できる職場環境づくりを推進しています。また、AI人財育成戦略を成長の柱と位置づけ、やりがいと成長実感の創出に向けた人事制度改革や専門人財の計画的な増員、AIを活用した育成を通じた技術ナレッジの継承に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.8歳 10.9年 5,456,351円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 80.2%
男女賃金差異(正規労働者) 80.6%
男女賃金差異(非正規労働者) 94.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、1人あたり研修時間(41.3H)、開発技術者、製造技術者増員率(115%)、フィールドエンジニア増員率(130%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 半導体市場の需要・価格動向


同社は半導体製造装置メーカー等への依存度が高く、世界的な景気変動や半導体市場の需要・価格動向の影響を強く受けます。AI関連需要の成長が想定を下回った場合や、シリコンサイクルの影響、為替変動による原材料価格の高騰などでコストダウン要求が強まった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定の取引先や仕入先への依存


主要取引先である東京エレクトロングループへの売上依存度が約69%と高く、同グループとの取引減少や生産計画の変更が業績に影響する可能性があります。また、主要仕入先であるSMCに対する仕入依存度も約37%に上り、代理店契約の更新や取引方針の変更がリスクとなります。

(3) 人財の確保と育成の遅延


取引先のニーズに応え中期経営計画の戦略を実現するには、優秀なエンジニア等の確保や早期戦力化が不可欠です。AIやVRを活用した育成システムを導入していますが、人財獲得競争の激化などにより計画通りに採用・育成が進まない場合、同社の事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。